第61回 海外旅行だけじゃない! 日本にいても円高を満喫する方法

会員制ディスカウント店、超満員の理由
 
米国発の会員制ディスカウント店、コストコの前橋倉庫店が8月末、北関東自動車道の前橋南インターチェンジにオープンした。1998年に日本へ進出した米コストコは前橋倉庫店が10店目。既に目新しさは薄れているはずだが、前橋倉庫店の開店前に事前登録を済ませた会員(個人会員の年会費は4200円)は他店舗を大きく上回る5万人超にもなった。

9月のある平日のお昼時、新店舗を訪れてみた。休日の混雑を避け平日を選んだのに、駐車場はほぼ満杯。1つだけ商品を買うのにも、30分ほどレジに並ばなければならなかった。
 
もう1つ長蛇の列ができていたのが、フードコートだ。中でも人気を集めるのがホットドッグ。ボリュームのあるホットドッグに、ケチャップやマスタード、オニオンなどを好きなだけトッピングできる。しかもソーダなどの飲み物類がおかわり自由で、価格は180円。
「180円でおなかいっぱい」というのが人気の理由だ。
 
実はこのホットドッグ、以前は250円で提供していた。しばらく前に200円に引き下げ、前橋倉庫店のオープンと同時に全店でさらに180円に値下げした。コストコで販売している商品は、かなりの割合で輸入品が占めており、値付けは為替の動きをみて随時見直している。180円という安さは、1ドル=80円を割る「歴史的な円高」の恩恵も受けているのだ。


7月半ばから続く超円高の影響が年末には顕在化
 
1ドル=80円台を推移していた為替相場が、80円を割るようになったのは、7月半ばから。欧米を中心に各国の政府債務や銀行経営に対する不安が高まったため、東日本大震災からの復興需要が見込め、銀行の経営不安が少ない円が買われ、円高が進んだのだ。
2008年9月のリーマン・ショックから3年。各国の金融緩和や積極財政で世界景気は回復しつつあったが、急速な財政悪化でこれ以上の財政出動が難しくなり「世界景気は長期低迷に陥る」との見方が強まったことも、円買いを後押する結果となった。8月19日にはニューヨーク市場で1ドル=75円95銭と戦後最高値を更新。現在も1ドル=76~78円といった「超円高」の状態が続いている。
 
自動車など輸出型製造業にとっては、弱くなった外需と超円高の定着は二重の足かせになる。直近では自動車関連企業を中心に、震災の影響で積み上がった需要に対処するためフル生産の企業が多いが、たまった需要が解消する年末にかけて、弱い外需と超円高の影響が顕在化するだろう。


米国のブランド衣料品が日本の半額!
 
輸出依存度の高い日本では、急速な円高が進むと企業からの悲鳴があふれるが、消費者にとって円高はむしろメリットだ。
 
個人が円高を生かそうとするとき、まず思いつくのが海外旅行。日本政府観光局によると、日本人の8月の出国者数は179万2000人と、前年同月に比べ9.1%増え、過去最高の水準になった。まだ大震災の影響も消えてはいないだけに、震災がなければ、もっと出国者は増えただろう。
 
2つめは、コストコのような円高還元度の高いお店で買い物をすることだ。コストコでは店舗の多くのスペースを占める食料品や日用品に目がいきがちだが、意外と盲点なのが、米国ブランドの衣料品が安いことだ。種類は限られるが、ラルフローレンやパタゴニアなど米国のブランドものの服がスポットで入り、しかも価格は日本の希望小売価格の半額程度と、とても安い。
 
3つめはインターネットを使って海外通信販売や個人輸入を利用する方法だ。海外製品で日本での販売量が多くないものは、商社などが輸入代理店になっている。この代理店制度をとる商品の場合、もともと日本での値付けが高めだったり、為替レートが動いても値段は変わらなかったりする。


英国の通販サイトなら日本で買うより2~5割安
 
特に最近はドルより、ユーロや英ポンドの方などの方が円に対して安くなっている。欧州勢が強いブランド品をほしい場合、海外通販や個人輸入を検討する価値がある。
例えば、最近は女性の愛好者も増えつつある自転車。自転車の本体や部品、関連製品は欧州製が多く、日欧の価格差が大きい。
 
英国にはWiggleという有名な通信販売サイトがある。
 
最近は日本からの顧客が多く、日本語表示も可能だ。このサイトで購入すると日本で買うより2割から、場合によっては半額ぐらいで買えるものもある。購入価格7000円以上で送料も無料になるので、日本の通販サイトを利用するのとほとんど使い勝手は変わらない。
 
自転車に限らず、ブランドもののバッグ、服、アクセサリーなどでも同じような方法で買い物できる。欧米を中心とした金融危機はなかなか沈静化せず、しばらくは1ドル=80円を割る円高が続く可能性が高い。消費者は、円高のデメリットだけに目を奪われず、メリットをしっかりと受け取る姿勢が必要だ。


【著者プロフィール】
1965年、埼玉県出身。1988年に大学卒業後、大手新聞社に就職。主に企業関係の取材を担当。
現在は経済関係部署のデスク。

(2011・10・4)


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