第52回 就活生が受かるために知っていなければならない「3つのこと」

100社以上エントリーしたけれど内定ゼロの実態」
 
文部科学省と厚生労働省の調査で、2011年春に卒業予定の大学生の昨年12月1日時点での就職内定率が、前年同期を4.3ポイント下回る68.8%であることがわかった。

この方法で調査し始めた1996年度以降では初めて7割を切り、過去最悪の水準になった。従来この時期に「就活生」といえば就職活動を始めた3年生を指すのが普通だったが、今年は4年生の3人に1人が内定を得られていない状況で、同じ就活生でも4年生と3年生とを区別して考えなければならない状況だ。
 
最近、こうした就活生向けに話をしたり、エントリーシート(ES)を添削したり、相談に乗ったりすることが多い。3年生の中にはいたずらに焦りを感じている人が多い。一方で4年生の中には、何十社、下手すると100社以上エントリーしたけれど内定を得られず「就活疲れ」になってしまった人もいる。こうした就活生向けに、ぜひとも伝えたい「3つのこと」がある。


(1)「会社を知らない」ことを自覚する
 
就活を始めたばかりの3年生と話していて最も強く感じるのは「会社を知らない」ということだ。
 
例えば大手自動車部品メーカートップのデンソーという会社がある。2011年3月期の売上高は3兆円を超し、1月18日時点での株式時価総額は2兆6000億円と三井物産をわずかに上回り、日本の19位に位置する超優良企業だ。
 
だが学生の集まりでこのデンソーを知っているかを聞くと、名前を聞いたことがある人で10人に1人、業種や仕事内容を知っている人は20人に1人もいない。就職情報会社のダイヤモンド・ビッグアンドリード(東京)がこのほど発表した2011年大学生が選んだ就職人気企業ランキング(文系・男子)でも、デンソーは150位の中にすらない。
 
この理由は1つ。デンソーが手掛けるのは自動車部品で、テレビコマーシャルを積極的に流したり、ブランド名が前面に出したりすることがほぼないためだ。
 
学生は結局、自分に身近な消費財メーカーや消費者と直接関わりのあるマスコミ、さらに商社などの超有名企業から「入りたい会社」を選んでいるに過ぎない。改めてこの種の人気ランキングを眺めてみると、その偏りぶりに驚かされる。
 
日本には、広くは知られていないが優良な会社がそれこそ何万もある。特に就職氷河期を上回る厳しさといわれるなかでも、従業員300人未満企業、いわゆる中小企業の大卒求人倍率は4.41倍(リクルートワークス研究所の2010年4月の調査)と売り手側の優位が続く。
 
自分の希望に合い、しかもランキングには乗らないような優良企業を見つけられれば、それだけ内定を得る確率も高くなる。そうした努力をするには、まずは自分たちが会社をあまりにも知らないことを自覚することが必要だ。


(2)100社のエントリーより、志望動機がきちんとかける数社へのエントリーを
 
就活において履歴書に代わってESの提出が一般的になり始めたのは2000年前後だろうか。当時は、手書きの履歴書ではなく、パソコンを使ってネット経由で提出可能なESが普及してきたことに、手書き履歴書時代に就職活動をした我々世代は羨ましい思いを抱いたものだ。
 
だが今ではこの仕組みの問題点がいろいろあらわになっている。個人から見れば、切り貼りが容易になったことで、1人で100社以上にESを送れるようになったことは一見、よいことのように思えるが、そうとばかりは言い切れない。
 
企業側から見れば、大量のES提出者の中からまずは筆記試験や面接に値する人たちを選び出すのに手間がかかるため、機械的にES提出者をふるいにかけることになる。その結果、就活生の多くは多くの企業でESを提出しても試験にすらたどり着くことができず、徒労感を募らせていくことになる。
 
そこで就活生に提案したいのは、業務内容もよくわからない会社も含めて100社にエントリーするより、仕事の内容をよく理解して志望動機をきちんと書ける会社に絞ることだ。
 
ES提出先の数だけを増やしてみても、たとえ面接にこぎ着けたとしても、志望動機をきちんと話せなければ、試験を通る確率は低い。それならば「本気」の会社に絞った方が、効率も高いし、何より無駄な徒労感を抱く可能性が減る。そして学生の多くがこのことを心がければ、企業側の労力も減るのだ。


(3)使えるコネは大事にしよう
 
こう書くと前時代的に聞こえてしまうが、この3番目の提言も2番目と関係している。いま企業側は大量のエントリーから、試験をするに値する人を選ぶのに苦労している。だが人的なつながりがある学生は、ESとは関係なく、試験を受けさせてもらえる確率が高くなるからだ。
 
こんなことを書くと、ほとんどの学生は「コネなんかない」というだろう。だが親戚、両親の知り合い、ゼミの先輩、体育会の先輩など、探せばコネにつながるものはある。こうした人たちに会って、きちんと仕事について、就職について話をする。そこからコネクションは始まるのだ。
「コネがあれば就職できる」というのは幻想にしても、コネをつくることで試験を受けさせてもらえることは可能。使えるコネは大切に。


【著者プロフィール】
1965年、埼玉県出身。1988年に大学卒業後、大手新聞社に就職。主に企業関係の取材を担当。
現在は経済関係部署のデスク。

(2011・1・19)


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