第8回 未知の発想は素人が生む。それを成功に導くのは情熱。(前編)

キュービーネット株式会社 代表取締役社長岩井 一隆 氏キュービーネット株式会社 代表取締役社長
岩井 一隆 氏

聞き手 松室哲生(おもろい会社研究所主幹)

――昨年12月にMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)のオーセンティックライセンス契約を日本企業として初めて締結されましたが、現在はどのような状況でしょうか。

【平田】MLB商品もリリースされて順調です。11月の中旬に米国ラスベガスで次のライセンス商品の展示会とミーティングをする予定になっています。MLBサイドが乗り気なのにはこちらのほうがびっくりするくらいです。
 
米国は新しい話題に対する反応がとても早いですね。MLBばかりでなくNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、PGA(プロフェッショナル・ゴルファーズ・アソシエーション)からもオファーをもらい、ライセンス契約の仮調印をしました。向こうはチャンスに対しては垣根を越えてやってきます。

――米国の人気スポーツのライセンスを取得するというのは商売としてとても強いですね。

【平田】はい。それも向こうのほうから言ってきてくれるからコストも安いわけです(笑)。もしこちらから働きかけるということになると、いくつものエージェントを通さなければなりませんから時間もコストも非常にかかります。あちらがファイテンに興味を持ってくれたからこそのことです。


北京オリンピックの功績によって、中国政府とのプロジェクトが誕生。

――オーセンティックライセンス契約をすれば、球団ごとの契約はせずとも各球団のロゴなどをデザインした商品を売り出せるわけで、その波及効果は大きいでしょうね。

【平田】予想以上のものがありました。例えば、米国では大手の売場では名前が知られてなければ陳列もしてくれません。以前は、商品機能を説きながらコツコツと売っていましたが、オーセンティックライセンスをとれると一気に売場の対応が変わりました。今ではファイテンの商品を並べてくれないお店は一軒もありません。

――EUではどうでしょうか。

【平田】ドイツとスイスが好調です。
 
簡単な医療品としてのレベルですが薬局にも置いてもらえることになりました。近いうちにドイツで開かれるメディカル・コンベンションにも出展する予定です。
 
欧米はよい商品でもって、きちんとしたルートで販売できれば、排他的なところもなく、とてもスピーディにビジネスができます。
 
商品が非常に珍しいといわれている時期はあまり売れませんが、少し名が知れたあたりが購買者の関心を一番引きつけるときで好調に売れていきます。すこし前の日本の状況がそうで、毎年倍々に売上げを伸ばしてきました。近頃は、中国の勢いがあります。

――北京オリンピックの波及効果ですね。

【平田】中国とは2年ほど前から北京オリンピックに向け、選手強化の協力をしてきました。それが実を結び、協力先の選手の約7割が金メダルをとるという快挙を成し遂げました。
 
それで中国体育総局から推薦を受けることになり、今では中国で販売されているファイテンの全商品に体育総局が認可した印が付けられています。さらに、次世代の選手を育成する団体からも認可を受けました。

――中国政府が相手では、オーセンティックライセンス以上の効果があるかも知れません。

【平田】もの凄く気に入られまして、これから嫌われないようにするにはどうしたらいいか思案しています(笑)。

――どういうアプローチの仕方をしたのですか。 

【平田】ほかのケースと同様に、部分的なところから入っていき、徐々に商品のよさを理解してもらい、認められました。
 
中国では、今後の製品を共同制作していくプロジェクトが立ち上がります。なんといっても国が相手で、トップアスリートたちがテスターになってくれるわけですから、スケールが大きい面白い仕事になると思います。


効果を実感した選手たちの口コミが団体を動かし、巨大市場を生んだ。

――正に一人ひとりの選手を相手に、実際に使ってもらい、よさを実感してもらうという実直な方法ですね。

【平田】そうです。MLBにしろNBAにせよ、表玄関から堂々と入っていったわけではなく、選手個人のケアをコツコツやってきたんです。そこで効果を実感してもらい、ほかの選手にも紹介してもらい、口コミによって次から次に輪が広まっていったわけです。それがしまいには団体にも伝わって、うちでも取り扱わせてくれという契約に結びついたのです。

――たとえばマラソン選手では、引退を発表してしまいましたが高橋尚子選手や英国のポーラ・ラドクリフ選手など、宣伝効果の高いトップアスリートと契約を結んでいますが、最初からターゲットにしていたわけではありませんね。

【平田】われわれはファイテンのよさ、中身を理解した人にしかすすめませんし、高橋尚子選手やゴルフの片山晋呉選手などもファイテンの心からのファンです。自分で気に入って使ってくれるからこそ、自分の言葉で宣伝してくれます。お金を払って宣伝コピーをいわせているのではなく、選手たちの実体験から出る言葉ですから真実味が違います。それがファイテンの強みです。

――確かに、ホームページやブログなど新しいメディアにおける口コミの影響力は、広告などのマスコミの力を上回ることがあります。

【平田】商売としては、トップアスリートに早くたどり着ければもとよりですが、広告などのマスコミとは違い、よくも悪くも口コミで広げていくのがファイテンの宣伝ポリシーです。
 
法人相手の共同開発にしても、まず我われの方針を理解してもらった上で、相手の身の丈にあった提案をさせていただいています。


2008年11月 月刊『エマージング・カンパニー』誌の取材に


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