【番外編・5】日本の10倍以上の市場で、渇望される日本の商品の「品質」

日本に迫り、すぐに追い抜いていきそうな
中国市場の活力

日本の消費材メーカーにとって、今後数年の売上げアップを期待できるイベントが中国北京で12月16日から開催された。中国通販業界の2010年年次総会がそれだ。

と、これだけでは何のことか分からないだろう。説明しよう。

中国の通販業界は年を追うごとに飛躍的に市場を拡大している。中国政府が目指しているのは内需拡大で、世界の工場として機能してきた中国が、この数年世界最大の消費市場へと変貌していることは誰もが認めるところである。中国の2009年度の通販市場は(種々のデータが存在するので確定はできないが)EC(イーコマース)で約2500億元(3兆7500億円:1元=150円換算)、テレビ通販が約400億元(6000億円)、カタログ通販が約60億元(900億円)といわれている。

日本のECが約6兆7000億円、テレビ通販が約4000億円、カタログ通販が約1兆5000億円であるのと比較すると、すでにテレビは超え、ECは日本に迫る勢いであるのがよくわかる。全体でも日本の8兆6000億円に対して、中国のそれは4兆4400億円と半分強に迫ってきている。

中国の内需拡大政策は例えばテレビ通販の目標数値に表れており、5年間でなんと10倍の4000億元(6兆円)に伸長させる予定である。日本の10倍以上の人口を持つ中国からすれば当然のことかもしれないが、商品を売る側からすれば、そこに市場としての魅力があるのも当然のことだ。

日本に迫り、すぐに追い抜いていきそうな中国市場の活力


タオバオ1社で日本のEC全体に匹敵

毎年、年末に開かれる通販業界の年次総会を主催するのは中国信息(情報)産業部傘下の電子商会である。

電子商会はすべてのエレクトロニクス企業の総元締めであり、しかも14ある工作委員会の一つに通販工作委員会を有している。中国全土のテレビ局通販子会社やEC会社、カタログ通販会社、仕入れ会社、投資会社などを束ねている格好だ。

ゆえに、この年次総会には中国の名だたる通販会社のトップが参集する。もちろん電子商会会長の曲維枝会長(中国国務院参事)、王寧常務副会長以下、国務院の関係各部の幹部らも出席している。このイベントに日本から出席したのは(社)日本優良品協会 (http://www.lpaj.or.jp)と消費材メーカー数社である。

総会は曲会長の挨拶から始まった。続いて関係各部門の挨拶があり、その後中国EC売上高の80%以上を占めるという淘宝社(タオバオ社)路社長のプレゼンテーションが始まった。注目されたのは、2010年度の売上見通しが4000億元(6兆円)に上るという点。09年度の中国EC全体を一社で大幅に上回ることになり、日本のEC市場全体(09年度6.7兆円)と比較しても、1社で日本に迫る売上高ということになり、中国の通販市場を大きく伸長させたことになるのだ。

タオバオ1社で日本のEC全体に匹敵


日本でもやっていないテレビとネットの融合

そうしたなかで特筆されるのは、中国企業が日本よりもいち早くネットとテレビを融合させた新会社を設立させたことではないだろうか。今年の4月、湖南テレビと淘宝(タオバオ)社が合弁で設立した快采淘宝(ハイタオ)社である。同社はテレビ番組の制作と同時にネット配信も手がける企業である。例えば通販でいえば、テレビ番組としてファッション系の番組を作り、そこに登場した商品をネット上で売るという仕組みである。

そもそもタオバオのユーザーは男性が多く、TV通販は女性のユーザーが多い。また、平日はネットでの購買が多く、土日はTV通販で買われることが多い、という購買形態の相違もある。こうした、異質性を融合させることが目的だというのである。つまりネットとさまざまなユーザーを囲い込むために、ネットとTVの融合が必須というのが同社設立の目的で、今後はTVのリモコンで注文できるようにするなど、さまざまな「融合」の手法を駆使していくという。

実際、日本の皇室御用達ブランドである濱野皮革工藝は、このハイタオ社の番組一体型通販を2年の独占契約で行なうことを決め、この総会で調印式を行なった。

日本でもやっていないテレビとネットの融合


たいへん注目された日本企業の商品

こうした活気に溢れるイベントであったが、午後は日本企業の優良品をわれわれ日本優良品協会のスタッフが中国のTV通販、EC企業に対してプレゼンテーションを行なった。こうしたプレゼンは今夏にこのサイトでレポートしたように、7月の中日韓青島通販サミットでも行なった。このときとの最大の違いは、企業による直接的なプレゼンテーションが少なかったことである。

12月という日本企業にとっては師走の忙しい時期であり、なかなか海外に出張するのが難しいこともあって、協会が企業に替わってプレゼンテーションを行なうという手法を採用したのだ。

企業自身によるプレゼンテーションは三菱レーヨンクリンスイとツカモトエイムの2社であり、もちろん直接中国企業へのアピールは十分だった。

特に、三菱レーヨンクリンスイは日本企業としては初めて、今年の中国通販業界の優良品の一つとして表彰された商品であり、注目度は高まった。

一方、協会が行なったプレゼンは、お茶のトップメーカーである伊藤園、ゴマのトップメーカーであるオニザキコーポレーション、それにブラジル産のフルーツを原料にした健康食品「アサイー」、青色光線をカットするため白内障に効果的なサングラスの「アイブレラ」、界面活性剤をほとんど使わずに汚れを驚くほど落とす洗剤の「浄」の5社分で、そのどれもが注目された。

伊藤園とオニザキコーポレーションは業界トップの商品力と品質に対する評価が高く感じられた。また、アサイー、アイブレラ、浄の3商品はそれぞれが日本の通販市場で大のつくヒット商品であるため、それなりの反響をもって迎え入れられたようだ。それぞれのプレゼンテーションに対してアンケートを実施、回収しており、この結果を企業にフィードバックしながら今後の商談につなげていく予定である。

今後も企業の直接的なプレゼンテーションと協会による商品プレゼンとを組み合わせる方法が検討されていくかもしれない。

たいへん注目された日本企業の商品


中国での成功のカギは中国企業の特性を知ること

今回の訪中では、中国の大手通販企業への訪問も行なった。業界第3位の家有購物(ジャイユー)社と第4位の北京優購物(ユーゴー)社への訪問である。両社の売上げ規模はほぼ同じレベルであるが、それぞれが特徴のある戦略を打ち出し、またCRMなどの顧客囲い込み戦略なども駆使していた。

家有購物有限公司は、貴州テレビ局傘下のテレビショッピング専門会社であり、国家ラジオ・テレビ総局に一番早く承認されたテレビショッピング・プラットフォームの一つである。登録資金は1億元。 2008年11 月に北京で設立されており、現在は、本部のある北京の他に、貴州、それに河南に子会社がある。

オフィス用地は3,000平方メートルで、600平方メートルの大型テレビ・スタジオを持っている。先端的な番組制作・放送設備を設け、完全な運営・情報管理ITシステムを導入し、先進的なコール・サービスセンターを作り、全国的に物流・倉庫を設置している。

中国TV通販会社第4位の北京優購物社はテレビ・メディアを主として、インターネット、ダイレクト・メール等のメディアも活用し、全国の家庭消費市場に向けて販売している。 運営本部は北京にあり、現在社員数は2,000人に及ぶ。やはり専門的な大型テレビショッピング・スタジオと国内トップクラスの番組制作・放送設備を持ち、先進的な物流・倉庫を有している。現在、問合せ1万件以上/日で、注文数は7,000件/日とのことである。同社は現在、放送地域を、山西、天津、山東、河南、遼寧、内モンゴル、安徽、江蘇、广西、湖南、江西、河北等の17省に拡げ、計12の省の首府都市、33の地区レベル都市で計4,738万世帯(放送する予定の1,049万世帯を含む)まで視聴範囲を拡大し、同時に北京、南京、南昌、吉林という4つの倉庫基地を持つことで、全国的なチェーン式運営を実現しているとのことである。

日本企業が中国13億人超の市場に「通販」という形で参入する場合は、こうした中国の通販企業の特性をつかんだ上でビジネス展開していかなければならないといえよう。

(2010・12・22)


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