【番外編・4】日本商品に中国各テレビ局が群がった青島通販サミットって何だ?

過去2回と様相を異にした通販サミット
 
ほとんどの人の眼に触れなくとも、インパクトのある国際会議はあるものだ。2010年7月8日から10日まで中国の青島で「日中韓通販サミット」はその際たるものだろう。

と書いてもほとんどの人はピンと来ないに違いない。しかし、ひょっとすると10年後にはこのサミットが日本の特に中堅企業にもたらした役割について大きな話題になっているかもしれない。そんな気にさせられるほど内容の濃い3日間だった。
 
それでは通販サミットとは何だったのか? 主催は中国電子商会。中国政府の信息(情報)産業部傘下の非常に影響力を持つ組織で、その下には4000社からの会員企業が存在する。
 
そもそもこのサミットは第6回国際消費電子産業博覧会の期間に行なわれた20数件の国際会議の一つで、このサミットは3回目となっていた。サミット自体は3つの国の通販に関わる団体が集まり、スピーチを行なうもので、日本からは社団法人日本通販協会(JADMA)の専務理事がスピーチを行なった。
 
とまあ、これは表の顔的なもので、実際は中国のテレビ通販会社やEコマース会社がこのサミットには集結しており、参加した企業(日本メーカー)の商品を売り込むためのプレゼンテーションの場であった。ちなみに私の役割は、日本側事務局の事務局長であり、訪中団の団長だった。

過去2回と様相を異にした通販サミット


中国市場はこの5年で10倍の売上を目指す
 
今回のサミットは第3回目と書いたが、過去2回はいわゆるメーカーの参加がなかったという。つまり、日本サイドから売りたい物の提示は一切なかったのだ。
 
日本の通販会社が結集した団体というJADMAの性格上、メーカーを集められないのはもっともなことで、別の機能を持つ団体が必要だったのだが、過去の2回はそういう接点が持てず、叶わなかったということである。だが、さすがに3回目ともなるとそうもいっておれず、電子商会サイドも日本企業(メーカー)の参加を強く望んでいたのである。
 
というのも、現在の中国のテレビ通販の売上はざっと400億元(5132億円)であるのを、15年までには4000億元(5兆1320億円)と10倍に伸長したいという目標があり、その意味からも良質で安全性の高い日本製品は渇望されていたのだ。
 
日本の通販市場はJADMAの発表によると約4兆1400億円で日本の小売業全体(133兆円)のおよそ3%を占める。近年急激に売上を伸ばしてきたEコマース(5兆3000億円)と併せても7%にすぎないのだが、それでも日本が上回る数字であり、中国の購買力から考えると、4000億元でも極めて保守的な数字といえるだろう。
 
とあるきっかけから、この話を受けたわれわれは、早速参加メーカーの選択に当たった。いろいろな議論をしたが、結論からいえば、大手のように既に中国に製造拠点や販路を持ち、実績も上げている企業は除き、優れた技術や品質を持つ製品を作っているがそれほど大々的に展開はしていない企業に的を絞った。打診した企業の多くが前向きで、参加の意向を示してくれた。

中国市場はこの5年で10倍の売上を目指す


抜群の性能を持つ浄水器や除湿器、画期的化粧品などが目白押し
 
結局このサミットに参加した日本のメーカーは7社だった。どのような会社がメンバーだったのか、プレゼンテーションを行なった順でその7社を紹介していこう。
 
まず、三菱レーヨンクリンスイである。三菱レーヨンの子会社で、家庭用浄水器メーカーとしてはトップクラスの売上を誇る有名メーカーである。中国にも拠点を持ち、既に販売実績を持つ参加企業の中では、唯一の大企業的存在だった。
 
次は、ホソカワミクロン化粧品。ホソカワミクロンは世界的なナノテクノロジーを持つ大手粉体機械メーカーだが、同社創業者の故細川益男氏が機械という川上の商品ばかりでなく、ナノテクノロジーを川下の消費者向けに利用していこうとした肝いりの商品がこれで、画期的化粧品と育毛剤(同社は薬事法の関係で育毛剤といっていないが)をプレゼンテーションした。
 
3番目にプレゼンしたのはカンキョーという会社。90年代にその技術力で一世を風靡した会社だが、研究開発投資の重さから経営が悪化した。しかし、現在はよみがえり、除湿器と空気清浄機のプレゼンテーションを行なった。同社の除湿器は抜群の除湿効果を持ち、稼働させているだけで洗ったTシャツが10分で乾くという優れもの。中国の南部は湿度が非常に高く、こうした商品は渇望されているはずだ。空気清浄機を含め、注目される商品に違いない。
 
そして、本サイトでも2回にわたって紹介した山本化学工業。詳しい説明はサイトを見ていただきたいが、画期的な水着と画期的なバイオラバーという健康商品はやはり注目された。なかでも、中国テレビ通販界のドンともいうべき存在の聯采社長は興味を示していた。

抜群の性能を持つ浄水器や除湿器、画期的化粧品などが目白押し


次回のサミットには100社くらい参加してもらう
 
5番目にプレゼンしたのはアスク。出版社として日本語教材やさまざまなソフトウェアを作っている同社は、中国のニーズに対応できる商品を開発できるメリットを持つ。その意味で画期的な会社である。
 
次に紹介したのはカインドウェア。日本のフォーマルウェアの歴史が会社の歴史そのものという同社は宮内庁御用達で、英国の王室ご用達企業と提携しているフォーマルウェアでは国内最大メーカー。さらに近年は介護事業に積極的に取り組み、折りたたみ式のステッキなど、やはり注目される商品を多く紹介していた。
 
そして最後にプレゼンテーションを行なったのが濱野皮革工藝。これも皇室御用達のバッグとしてつとに有名なメーカーだが、近年はテレビ通販に力を入れており、実績も相当上げている。台湾では既にテレビ通販を展開していることも強みで、すぐに番組を立ち上げたいというようなテレビ局さえ現れた。実際、プレゼンテーションの翌日は賑やかな商談会となり、より具体的な話に進展した企業もみられた。
 
中国市場というと、その大きさに、参入を望む企業は間違いなく多い。しかし他方、どこにどのような話をすればいいのか見当がつかないために放置している企業が大多数でもある。今回のような中国の国家機関が関与するプレゼンや商談が進めば、間違いなく日本の優れた商品が中国人に愛用される日は近づこう。何より今回のサミットが大成功の裡に終わったことがその証左である。
 
次回の通販サミットは100社くらいの参加を望みたい。これが、われわれ事務局サイドの思いで、だから参加したい企業はぜひお知らせいただきたい。

(2010・7・21)


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