【番外編・3】ビジネスマンは話題のiPadを本当のところどこまで使いこなせるか

見せびらかすには面白い道具か?
 
iPadが人気である。いや、正直にいうと、日本でどこまで人気なのかはよく分かっていない。
「話題先行じゃないのか?」
「そりゃ、大人のおもちゃとしては面白いだろうがね」
「使ってみたいけれど、本当のところどうなんだ」などという人のために、レポートしたいと思い立ったわけだ。

というわけで、今回はちょっと趣向を変え、今話題のiPadがどれほど役に立つのかをレポートしたい。当然この原稿もそのiPadで書いている。パソコンのワープロソフトで書くように滑らかではないが、それでも十分に使える。
 
購入したのは、発売日の翌日だった。機種としては「Wi-Fi+3Gモデル」。つまりどこでも使えるという機種だ。3Gモデルでなくても、「どこでもWi-Fi」のようなサービスを使えば、ほぼどこでも使える。
 
見せびらかすには面白い道具か?私は購入以来、常に持ち歩き、いろいろな局面で表に出しては使っているのだが、まぁ、他人は驚いてみせるものの、心の中では単なる見せびらかしと思っているに違いない(笑)。
 
さて、このiPadを購入するに当たって一緒に購入したのは、iPad専用のゴム製の純正ケースとワイヤレスキーボードである。何らかのケースが必要だったのと、やはり画面で打つよりはキーボードの方が打ちやすいと思ったからだ。結果は、どちらも良好だった。特にこのワイヤレスキーボードは非常に軽く、使いやすいことこの上ない。新幹線のなかでもこれがあるとずいぶん便利である。


新幹線の車内で使うならノートPCよりもストレスなく快適
 
私は決してITオタクではない。ずぶの素人に近い。その私が使った(わずか1ヵ月弱の)経験からいうと、私のようにものを書くことが多い人間にとってはこのiPadはかなり有効である。
 
だから、日常的に書類をまとめることの多い人には向いている。最近では会議に出席してノートPCでメモを取っている人は多いが、ノートPCよりはかなり使いやすいと思う。メモを取る以外に、話題のテーマですぐネット検索できるし、録音も可能である。企画書を書くといった仕事が目の前にある人にもかなり有効だと思う。キーボードがなくても使えるが、キーボードがあれば仕事のスピードは数倍に上がる。
 
この原稿はiPhoneにもついている「メモ」というソフトに書いているのだが、本当はワープロソフトがあれば、なおいいのだろう。このiPadにはアップル社製の「Pages」というソフトが1200円で売っているのだが、評判が悪いので買っていない。
 
それがなくても、この原稿をそのままテキストベースで保存すれば、マイクロソフトのワードソフトにも変換できるし、どのようにも加工できる。
 
実際、このところ出張が多いため、毎週のように新幹線の車内で原稿を書いているが、400字5~6枚から10枚程度の原稿を書くには十分に使いこなせる。10時間程度は電池も保ってくれるので、電池切れを心配しつつ重いノートPCを持ち歩くよりは、ストレスがなく快適である。


iPhoneにはもう戻れない
 
では、他にどんな使い方ができるのか。それよりも、これがどんなことに使えるのかを考えてみたい。
 
その時に考慮すべきはこの大きさである。横15センチ弱 × 縱19センチという画面の大きさは、iPadの最大の利点である。iPhoneに慣れた人なら、まずこの画面の大きさを魅力の第一にあげるだろう。ウェブを見るならこれだし、メールのやりとりもiPadの方が大きい分スムーズだ。
 
毎日無料で配信される産経新聞を読むのに、こんな最適なデバイスはない。ちょっと恥ずかしいが、通勤の電車では産経新聞を読んでいる。ゲームフリークなら、さらに使い勝手の良さを感じるに違いない。実際、一度iPadを使ってみると、もうiPhoneには戻れない、というのが正直な感想だ。
 
そんな中で、唯一意見の分かれるのは電子書籍を読む場合だろう。画面が大きなiPadはもちろん読むのに便利である。しかし、書籍(新聞や雑誌ではなくあくまで書籍)でいえばちょっと違う。活字だけを目で追うという観点にたてば、私は、手のひらで読むことができるiPhone(あるいはiPod touch)が、圧倒的に便利だと思う。
 
実際、中里介山の「大菩薩峠(全41巻)」もヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」もiPod touchで完読したが、すこぶる快適だった。
 
もちろん 、iPadよりもiPhoneのほうが使い勝手がいいという場合は他にもある。例えばマップを利用する場合はその典型だ。知らない場所に住所を頼りに行く場合、マップに住所を打ち込んで近くの駅からそのマップを頼りに向かうことになるわけだから、大きなiPadよりは小さなiPhoneのほうがいいに決まっている。
 
当たり前のことだが、iPadはその特性を生かした使い方をして初めて有効なのである。ではその使い方とは?


『できるビジネスマンなら
間違いなく充実した気分に浸れる
iPadの魅力と実力』


ワールドカップをテレビで見ながら情報収集
 
私が気に入っている使い方は、iPadを横に置いてテレビを見るという方法である。もともとテレビで見るのはスポーツが圧倒的に多い私は、ゲームを見ていて周辺の情報を知りたくなる。
 
例えば、ワールドカップ。このチームの注目選手は? 予選はどう戦い、どんな勝敗だったのか? 今出てきた選手はどこのチームに所属している、どれくらいの選手なのか。あの監督はどういう経歴だったか、などなど。見ながらネットで検索して調べるのだ。本来デジタルテレビでは、dボタンがついていて、それを押すと画面が分割され、その手の情報を提供してくれるはずだが、コストも手間もかかるせいか、NHKも民放もそんな気持ちはさらさらないようで、唯一その手の情報提供がなされているのは、正月の箱根駅伝だけだが、これとて情報的には不満が多い。
 
だから、この方法が生きるのである。こうやってテレビを見ると、楽しさ
は倍増する。この方法ならテレビドラマだって使えるに違いない。
 
例えばNHKの大河ドラマ「龍馬伝」を観ながら、武市半平太はどうなったんだっけ? とか、龍馬が海援隊を作るのはこの何年後だったっけ? など、ふだん、ちょっと疑問に思っても、次から次へと押し寄せてくる映像という名の情報の波に呑まれて行く現実に、一石を投じてくれる役割を、このiPadが担ってくれるというわけだ。


話題の本をあっという間に手に入れる
 
さらにいえば、iPadが便利だと思ったこんな話もある。
 
やはり出張中の新幹線の車内。隣に座った同僚と四方山話をしていた時、その彼がこんなことを言い始めた。
「そういえば最近、金融のことを扱った演劇があったのを知ってますか」
知らないと答えると、
「なんでもイギリスの演劇で08年のリーマンショックを舞台にしたもので、登場人物がアメリカの財務長官や有名な投資家などリアルな人ばかり出てきて、リーマンショックの舞台裏を暴いているようなのです」と、その彼は言ったのだ。
 
その演劇は日本語に翻訳され、日本でも何カ所かで上演されたとか。
 
こんな時こそiPadの出番である。その演劇「The Power of Yes」をネットで検索した。後は誰でもやるようなプロセスを経て情報にたどり着いた。
「The Power of Yes」は、2009年春、イギリスのナショナル・シアターが劇作家デイヴィッド・ヘアーに依頼して書かれたたもので、
「世界金融危機はなぜ起こったか、いま何が起きているのか」がテーマである。ヘアーは、多くの関係者へインタビューを行ない、その証言をまとめてドラマを書き上げた。
「ヘッジファンドの帝王」ジョージ・ソロス、現代金融工学の始祖的存在でブラック-ショールズモデルでお馴染みのノーベル賞経済学者マイロン・ショールズ、ほかに、バンカーや投資家、金融ジャーナリストなどのリーマンショックを巡る人物たちが登場するドキュメンタリー・ドラマである。
 
日本で上演したのは「燐光群」という劇団で、東京は5月下北沢の「ザ・スズナリ」で上演され、その後、地方でも行なわれた。
 
演劇なら脚本があるだろう、というわけで、今度はアマゾンにアクセスし、Kindle for iPadで読むべくダウンロードした。14ドルの本が11ドルちょっとで買えたし、何より凄いのはすぐにその本を電車の中で読み始めることができたことである。


録音しながらメモをとる
 
さて、本当にビジネスにこれを役立てることはできるのか?
 
正直なところ、その結論は出せないままである。本来仕事に使うものではない、という意見もあるだろう。例えば、アップル社からはiPad用のスプレッドシートソフト(Excelと同じようなソフト) や、 プレゼンテーションソフト(パワーポイントと同じようなもの)が発売されている。これらは価格も1200円とその種のソフトにしては安価である。買って使っている人の評価もそれほど悪くはない。
 
だから買って使ってみようかとも思うが、そのためにはMac用の同じソフトを買って、パソコンに一度落としてからでないと不安であり、そうなると躊躇するのだ。早くマイクロソフトがiPad用のワードやエクセルのソフトを出してくれることを願うばかりだが、それはそれできっと高いんだろうなぁ。
 
さて、それ以外にビジネスに役立つ使い方はあるのか?

会議の議事録を取ったり、人の話を聞いて文章をまとめるなら、「sound paper」というソフトを使うとかなり楽に行なえる。これは録音機能とメモ機能が合体したもので、会議が始まると同時に録音を開始し、メモを取り始める。会議が終わってそのメモをベースに録音を再生しながら、メモを完璧な文章にしていけば良い。手書きでメモを取ることもでき、再生時にはメモと録音が同期しているという優れものだ。


出版社が電子書籍を本格的に出すのはいつか
 
まだある。私はまだiPadでは試してないが、iPhoneでやっていたように、書籍をスキャンしてpdfファイルかtextファイルにして、電子書籍として読むという方法がある。ハードカバーの書籍は重いので、これは(手間さえ厭わなければ)便利である。
 
もっともそれよりは早くそれぞれの版元が電子書籍を出してくれることのほうがいいわけだが、出版社にいた経験からいえば、まだしばらくかかるだろう。
 
実際には電子書籍にする場合の形式(e-pubなど)をどうするか、それに関わる費用の問題など、クリアしなければならない問題が多いのだ。
 
まぁ、電子書籍はさておき、この他にも使えそうなソフトは怒涛のごとく発売されている。吟味して使えば、どれも役立つに違いない。
 
ま、現在のところでは、これくらいのレビューしかできないが、それでもこのツールは私をワクワクさせてくれるツールであることに変わりはない。
もう少し使い込んだら、またレポートしよう。

(2010・7・7)


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