【第52回】医師免許取得社長が始めた「サイトに集客」ビジネス高利益の秘密

株式会社 DYM

実績以上に大きな成長力を秘めた会社
 
面白い会社が出現したものだ。サイトで売上アップを保証してくれるのだという。
「とにかくわれわれに任せてくれれば、絶対に売上を上げる。報酬は成果報酬で構いません」と社長は淡々と語る。成果報酬ということだから、売上が上がらなければ報酬はないに等しいわけだから、これは相当な自信と裏付けがないとできないビジネスだ。
「そんなことができるんですか」と尋ねると
「できます」と単刀直入な答えが返ってくる。

面白いと冒頭に書いたが、凄いと言い直した方がいいかもしれない。
 
その会社はDYMという。創業してまだ3年未満の会社だが、売上10億円、経常利益は2億円を計上している。この数字だけを見ても、成長性のありそうないい会社をイメージできる。しかし、実際はもっと大きな成長力を秘めた会社である。
 
業種は俗にいうSEO(Search Engine Optimization:サーチエンジンを最適化)。つまりウェブサイトでキーワードを検索したときに自社のウェブサイトが検索結果の上位にいくように表示するためのさまざまな手法を総称していう。だれもが自ウェブサイトに人を集めたい。そのためにはSEOを利用するというわけだ。また、風評被害に遭うサイトも多いが、同社のサービスはそうした被害からも守ってくれる。
 
創業者は水谷佑毅。1980年生まれだから今年で30歳になる。まだ大学を出てそれほど経っていないというこの社長の経歴がまたユニークだ。


医師になるついでのバイト感覚で高収入
 
水谷は杏林大学医学部の出身。医師免許も取得しているれっきとした医師である。しかし、水谷は学生時代から副業に精を出していた。
「医学部はカネがかかるし、そこまで親に面倒を見てもらえないから、自分で小遣い稼ぎをやろうと思ったんです(水谷)」という。つまりアルバイト感覚で始めたのが、待ち受け画像のサイト運営だった。同じ小遣い稼ぎをするならラクして儲けたいという動機からだったが、これがヒットした。
 
ちょうど2000年くらいの話である。まだ、世の中はパソコンやインターネットの普及が急速に進展している最中で、東京渋谷に「ビットバレー」なる構想が生まれ、この手の話に盛り上がっていた。これが儲かった。なぜか、誰もやってなかったからだ。これが数年間続いた。その販売が下火になった頃、次に考えたのは無料のホームページ構築サイトだった。これも手がけている企業がなく、大きな利益を生んだ。
 
どちらも、今でいうブルーオーシャン戦略である。競争が激しい故に血で赤く染まったレッドオーシャンではなく、まだ誰もが参入していない青い海を目指していたのだ。
 
他にも掲示板のレンタルサイトや、いろいろな商品やサービスの比較サイトを作っていったが「バイトの感覚の割には収入が多かったから(水谷)」次々に投資にまわしていけたのだという。2003年には有限会社として法人化も果たしている。


普通の企業はマネジメント力はあっても商材が弱い
 
水谷は医学部の5、6年になった時、今度は医者の世界の「遅れ」を目の当たりにすることになる。
「病院というのはIT化が遅れていて、データベースなど完備していなかった。だから患者を2~3時間待たせても平気だし、待ち時間表示などすぐできるのにそれすらしていなかった」と水谷が回想するように、医療業界はITの分野では非常に遅れていた。
 
そこで、水谷は考えた。この業界をなんとかしなければならないし、それが自分にはできると。そこで医者への道を止め、アルバイト感覚で続けていた事業を、2007年4月の卒業と同時に株式会社組織にし、資本金を1000万円に増資した。いわば第二創業期の始まりである。
 
さて、同社がなぜこのように順調に伸びているかといえば、ひとえに水谷自身の商品開発力による。ではその開発力とは何だろう。ブルーオーシャンはどんどんなくなってきている今においても
「普通の企業を見ていると、マネジメント力はあっても商材の開発力が弱い会社が多い」と、水谷はいう。
 
では、いい商材とは何か。水谷によれば「営業マンが売りやすい、どんな会社にも通用する商材」なのだそうだ。SEOだからいろいろな手法を駆使してお客をサイトに呼び込んでくるわけだが、そのメニューが極めて豊富なのが同社の特色なのだという。
 
それを牛丼店に例え、「他は吉野家、うちは松屋。吉野家が牛丼オンリーなのに対し、豚丼やらいろいろある」と解説してくれる。他社がメニュー5種類を用意しているとしたら、同社は70種類くらい用意しているというのである。だから営業マンもいろいろな提案ができるし、顧客もいろいろななかから選べるから、満足度が高いのだ。しかも、成果報酬型だから、顧客にはリスクを気にせずにすむ安心感がある。

SEOの分野でトップになることが当面の目標
 
こうした商材の充実によって、「成功」を導きだすのが同社の強みで、しかも成功報酬型で利益を得るビジネスモデルだとすれば、当然利益率は高くなる。成功報酬型の場合、当然マージンを高く設定できるからだ。同社の利益率は約8割。「成功」が条件という厳しいハードル故の高利益である。
 
冒頭に同社の実績は10億円で利益2億円と書いた。ということはつまり相当の金額を新商材の開発や人材の確保などの投資に使っているということにもなる。しかし、今は利益が2億円でも、売上がさらに伸びていけば利益は今後大幅に拡大するだろう。現在かけている経費は固定的費用であり、売上の伸長によって膨らむタイプの費用ではないからだ。
 
現在快進撃中の同社だが、水谷はどういう構想を持っているのか。
「一言でいえばITと医療の分野で世界のナンバーワン企業になりたい」という。そのためにはまずSEOの分野で1位になること。トップを走っている企業の売上が20億円だから「そんなに難しくはない(水谷)」とも。さらに 新たな商材の開発も進んでいるようだ。
その新商材とは医療の世界に戻っていく第一弾ともいえる「クリニックへの集客」の商材だ。利益が急減し経営が難しくなっている病院は多いから、この分野は有望だ。何よりも社長自身が医者である。


2年後には年商50~60億円、上場も視野に
 
そして、水谷は地方への営業を拡充していきたいともいった。
「地方の商店街の現状は大変です。切実さが違う。でもわれわれの仕組みを使えば2万円の投資でお客を呼ぶ手立てを考えられる」と水谷は淡々と語る。
 
確かに、経済の疲弊は地方都市にこそ及んでいる。そんな地域の企業や商店でも、安い値段でこのサービスを導入できるとしたら、重要なツールになるだろう。
しかし、1件の売上が2万円程度では非効率ではないかと聞くと、水谷からすぐに答えが返ってきた。
「2万円の売上でも1万6000円が利益になります」
 
確かにそれを集積していくことは重要には違いない。 
 
こうして水谷の話を聞いていくと、2年後には売上高50~60億円という目標も問題なくクリアーできそうに思えてくる。上場はどうかと最後に尋ねると、「2年半後には」とこれも淡々と答えてくれた。

(2010・1・26)


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