今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・世界が認めたニッポンの酒

週刊ダイヤモンド ... 世界が認めたニッポンの酒
週刊東洋経済 ... 分裂する大国アメリカ
日経ビジネス ... 東レ
週刊エコノミスト ... 中国大減速

 今週の『週刊ダイヤモンド』はちょっと変わった特集を組みました。「酒」の特集です。しかし考えてみれば、いま酒の業界は大きな変化に直面しています。一つはグローバル化への対応。もう一つは(もっと深刻だと思いますが)若い人を中心とした嗜好の変化への対応です。こうした対応は既に始まっていて、サントリーが世界第3位の蒸留酒メーカー ビーム社を買収し、その後、電撃的とも言えるローソン新浪会長のサントリー社長就任を発表したのはこうした影響を受けてのことです。それだけではなく、朝の連続テレビ小説は日本のウィスキーの父と言われる竹鶴政孝がモデルですし、日本酒では「獺祭」がク−ルジャパンの先兵として海外に展開しています。
 と、これほど話題が豊富なら、特集にしない手はないということなのです。これが今週の第1位。
 次は「悩める超大国アメリカ」を特集した『週刊東洋経済』です。このメルマガでも何度か取りあげたピケティの「21世紀の資本論」が米国でベストセラーになっていますが、その背景にあるのは1%の超富裕層と99%の貧困層が形成されていると言われる極端な2極化の進展です。さまざまな角度から、アメリカの問題点とその解決に何が必要かをレポートしています。
『日経ビジネス』は今週もシリーズ特集「企業再攻」で、東レを取りあげました。昔から強い会社の代名詞のように言われる同社の強さの秘密を分析しています。
 そして第4位は「中国経済の大減速」を取りあげた『週刊エコノミスト』です。今年の7〜9月期のGDP成長率が前年同期比で7.3%増とリーマンショック後の09年1〜3月期以来の低水準になったことを受けての特集です。

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<<  酒の業界の構造的な変化

 サントリーにおける新浪社長就任効果かもしれない。今週の『週刊ダイヤモンド』は「酒」の特集だ。これが面白い! 私が酒好きだからかもしれないが。読み応えがあって、あの酒もこの酒も飲みたくなる、そんな特集である。タイトルは「世界が認めたニッポンの酒」。
 確かに最近は国内の酒類市場は縮小傾向だ。「とりあえずビール」の習慣は消え、発泡酒や第三のビールの登場でビール消費量は減少の一途。一時ブームだった焼酎も元気がない。しかし、最近安くてうまいワインが増えてないか? 自分も友人も日本酒の美味しさにはまってないか? ハイボールでウィスキーが息を吹き返してるじゃないか! と、そんな個人的に肌で感じていた情報はどうやら真っ当だったようだ。
 特集では、アルコール市場全体を押さえつつ、「世界を目指すジャパニーズウィスキー」、個性的な蔵元たちの努力が結実しブームを迎えつつある「日本酒市場」、「まだまだ伸びるワイン新時代」、「最大の酒市場ビールの正念場」、そして「酒を学ぶ」ページまで、アルコールの世界が経済面から熱く語られる。
 特に興味深く読んだのはPart2「変わる日本酒の味と飲み手」だろうか。中小零細蔵元が日本酒好きのためにつくってきた個性的な日本酒があまりに旨いので、消費者も動き始めているという構造変化がよく見える。「プロが薦める今飲むべき日本酒35」も参考にさせていただこう。


第2位


 今週も60ページに及ぶ大特集を組んできた『週刊東洋経済』。タイトルは「分裂する大国アメリカ」。まもなく中間選挙を迎えるアメリカの現状に迫る。オバマ大統領就任から6年、米国は再び岐路に立たされている。富の寡占化、政治的な二極化が加速し、長期的な経済停滞の懸念も浮上している。大国アメリカは何処へ向かうのか。
「分裂」の中身は所得格差が生み出すものが大きい。富める1%はさらに富み、残りの99%は所得を減らしている。例えば、ニューヨークでは、都市の高級化が進み、中間層は郊外やハーレムに移住。ハーレムの黒人人口は減少し白人化しているという。州による格差、都市による格差も大きい。生まれた土地、親、学歴で固定化される格差。「この国に中間層は存在しない」どころか、「恐ろしいほど貧しい人がたくさんいる」の現在のアメリカだという。不平等の構図を解いたピケティの『21世紀の資本論』は、アメリカでは「『これは持っておかないといけない』聖書のようなもの」と感じる人々が多く、大ベストセラーとなっている。
 来週投票の中間選挙では共和党優勢と見られている。これにより上院の議席の過半数が共和党のものになると、政権交代も現実的となるが、対する共和党の支持率も低迷している。回復しない経済状況に対して、アメリカ人全体の政府への信頼が落ちている。
 日本も格差の固定化は同じ道を辿っている。コラム「経済を見る目」阿部彩氏の日本社会分析と併せて読んでほしい。つつましい生活を送るのに見合う所得が得られない層が世界的に増えている。


第3位
■日経ビジネス■ <<< 強い会社の「勝利の方程式」
 
 外資系大手証券会社をして「死角が見当たらない」といわしめる東レ。今週の『日経ビジネス』はシリーズ企業再攻で「東レ 勝つまでやり切る経営」を取り上げた。今、世界を見渡しても東レに比肩しうる総合繊維メーカーは存在しない。「ユニクロ」と協業した「ヒートテック」の流行が記憶に新しいが、このたび会長が経団連のトップに就任し、今期は売上高、営業利益ともに過去最高となる見込みだ。しかし、従来のやり方だけでは市場の変化についていけない面も見えてきた。強い東レが88年かけて構築した企業戦略を見直し、再び攻める経営を志向する。
 東レの根幹は独自の「勝利の方程式」である。研究所で開発した素材や技術を事業化する道を10年単位で構築し、事業化後は徹底したコスト削減と性能向上で他社を圧倒する。素材をグローバルに提供し異業種とも強固な関係を築くことで参入障壁を造る。これが勝利の方程式だ。もちろんうまくいっていない事業も複数あるが、「石の上にも50年」の執念が勝ちパターンを支える。近年は事業スピードを早めるためのM&Aにも積極的だ。日覺・現社長はインタビューで「東レには、財務諸表だけで事業を切り貼りしたり、経営を判断したりする社外取締役は必要ありません」と言い切る。そして「順調なときほど非常に怖い」「東レのすべての事業が『弱点』」という現状認識を披瀝する。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 中国に山積する深刻なリスク

 中国の高成長に支えられてきた世界経済。この国の動向は非常に気になるところなだけに、経済誌でもたびたび特集されている。『週刊エコノミスト』は3月の「中国の破壊力」以来、約7ヵ月ぶりの中国特集だ。今回のタイトルは「中国大減速」。副題に「GDP7%割れ容認の衝撃」とある。
 先頃2014年7〜9月期GDP7.3%増との発表があり、新華社通信は「成長率6.5〜7.0%でも正常」「構造改革が重要」との論説を掲載した。習近平政権は成長鈍化を容認し、その地ならしを進めている。『週刊東洋経済』のアメリカの内側に目を向けた特集は中間選挙を控えたタイムリーなものだ。『週刊エコノミスト』の中国特集はどうだろう。グローバル経済、政治に多大な影響を及ぼす大国の内情からは目は離せない。


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