今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・パナソニック 最後の賭け

週刊ダイヤモンド ... パナソニック 最後の賭け
週刊東洋経済 ... 会社の数字
日経ビジネス ... メコン 2020年、新「世界の工場」へ
週刊エコノミスト ... 金利 株 為替

 『週刊ダイヤモンド』が創刊100年を迎えました。創刊が大正2年(1913)です。もっとも、ライバルの『週刊東洋経済』は、明治28年創刊で、既に118年を迎えており、経済誌の歴史の古さを改めて感じます。その『週刊ダイヤモンド』ですが、今週は充実した内容になっています。まずは第1特集で「パナソニック 最後の賭け」と過去最大の危機に瀕する、この大企業を徹底した取材で論じます。これが今週の第1位です。
 第2位は最近の数字ブームにあやかってか「会社の数字」を特集に持ってきた『週刊東洋経済』です。地味な特集ですが、今や年功序列社会は遠の昔、経営者はもちろんビジネスマンも数字に強いかどうかで断然変わってくるのが仕事の中身です。そういう意味ではいいかな、と思いました。
 第3位の『日経ビジネス』は特集でメコン流域圏の経済の可能性に注目しました。メコン川流域には5つの国があり、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、タイとなっています。これらの国が「世界の工場」として発展していく、という特集です。そして、第4位は特集に株や金利、為替を持ってきて今後の動向を予測する『週刊エコノミスト』です。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< カドマノミクスから脱却できるか?

 先日、大阪の方に用事があった。今や見る影もなくなってしまったが、大阪の門真市といえばパナソニックの本社がある城下町で、いかにも質実剛健なメーカーの本社というイメージだった。
 一方、先月26日にパナソニックセンター大阪が大阪駅にオープンした。「ナレッジキャピタル(知的創造拠点)」をコンセプトにした複合施設で、立地の良さもあり大変にぎわっていた。そんな変わろうとするパナソニックを『週刊ダイヤモンド』は「総力検証!パナソニック 最後の賭け」と特集にもってきた。
 特集は津賀一宏社長へのインタビューから始まる。「テレビを捨てた男」とセンセーショナルなタイトルをつけ、B to CからB to Bシフトについて語る。その後は、内部資料から"赤字関連工場"マップ、航空機ビジネスなど多角的に"最後の賭け"の行く末を想像しながら読んでいく。ここで注目すべきは、冒頭に書いた門真ムラの論理で、同誌はそれを"カドマノミクス"と揶揄しているが、読むだにその根は深いと感じる。
 同誌の本領を発揮したページは「本誌100年間の記事で検証 パナソニックの経営史」だろう。5月10日をもって100周年を迎えた『週刊ダイヤモンド』。その時々のパナソニックの記事を紹介しながら、日本の家電史を検証している。  
 この他、第2特集に「歪む株式市場」。分析や知識などおかまいなしに上がり続ける株の特集で、第3特集「経営者115人が選んだ『ベスト・ビジネス書』」と併せて、100周年記念特別企画の号らしく、今週号、非常に充実している。


第2位
■週刊東洋経済■ <<<  数字で威力を発揮するのは割り算

「数字に強くなりたい」と考える「会社の数字コンプレックス」を持つ方は多いのだろう。年に1回は『週刊東洋経済』か『週刊ダイヤモンド』で特集が組まれるテーマだ。新社会人需要もあるし。今回の「会計から投資まで知ればカンタン! 会社の数字」は、講義形式の構成だ。基礎編は1時間目から4時間目まで、小宮一慶氏、木村俊治氏ら、会計・経営のプロによる講義とケーススタディ。応用編は「特別講義」。100億円の事業を預かる事業部長になるまで「正直、会計や数字の知識はゼロ」と率直に語るバンダイ上野和典社長は、いまや「数字に強い経営者」として名を馳せる。公認会計士の望月氏、コンサルタントの久保氏は「『業界地図』(東洋経済新報社)から入れ」とか、「威力を発揮するのは『割り算』」とか、非常に取っ付きやすいポイントを挙げてやる気を引き出してくれている。
「歪んだ数字編」では、オリンパスや大王製紙などの不正監査問題を扱う。ラストは「株式投資編」。「銘柄選別に数字力を生かせ!」ということで、業界別に指標となる数字を紹介。実践的だ。
 第2特集は「金利消失 金融大波乱」。今週、黒田異次元緩和後の経済状況を『週刊ダイヤモンド』は株式市場の歪みで切り、『週刊東洋経済』は金利の歪みで切る。金融緩和なのになぜか上昇する国債利回りや住宅ローン金利。異次元緩和でもたらされつつある波乱を読み解く特集だ。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  メコン川流域5ヵ国の可能性

『日経ビジネス』も冒頭の「時事深層」でアベノミクスの現状を製造業・国内機関投資家の動きで検証する。円安でも大手の国内生産拠点への投資は増えず、設備投資の大半は海外だ。活況の株式市場だが、国内機関投資家は「絶好の売り場」と捉え、債券市場へとシフトしている。経済界側からの政府への苦言?とも捉えられるレポートだった。
 さて、今週の『日経ビジネス』第1特集は、「メコン 2020年、新『世界の工場』へ」だ。ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムのメコン川流域に位置する5ヵ国は、その潜在能力を開花させつつある。2015年末に域内関税の撤廃、2020年までに地域を縦横断する9本の越境道路網の整備も進む。人件費の上昇や反日感情、成長の鈍化で見えてきたチャイナリスクの表面化も、企業のメコン進出をあと押ししているのはご承知のとおり。域内人口もすでに6億人を突破し、今後の経済発展によって市場としての魅力は計り知れない。
 しかし、なんでいま「メコン」特集なんだろう、と思ってしまうタイミングではある。中韓のASEAN投資が急ピッチで進むなかでの日本経済界の焦りなのだろうかとうがった見方をしてしまう。しかし、メコン川流域が日本の企業における進出ホットスポットとなることは間違いないだろう。何年後かには「ナイル 新『世界の工場』へ」というタイトルが見られるのかな。
 今週から「カルロス・ゴーンの経済教室」の連載が始まった。「リーダーシップは4度変わる」と題して、リーダー論が語られる。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< キャッシュ イズ ナット キング

 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「金利 株 為替」。専門家の見方を並べた、この雑誌にとっての王道的テーマ・作りの特集といったところだ。今週は各誌「異次元緩和」以降の金融市場がらみのレポートが多い。ゴールデンウィーク後、円相場も100円をあっさり超え、誰が見ても「Cash is King(現金が最強)」の時代が終わり、リスクテイクの時代に入った日本、いや世界の金融市場。『週刊エコノミスト』も資産運用の手段をインフレ対応に変換することを促す。ここ数年、株式市場は「5月に売りにげろ」と言われてきたが、今年は「5月に売り逃げろ」ではないってことだ。みんなが気にしているのは「このバブルはいつ弾けるのか?」だろう。このお祭りからいつ逃げ切って「今度は損をしないぞ!」と、雑誌も個人もピリピリしている感じだ。

(2013年5月15日)


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