今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・絶望の中国

週刊エコノミスト ... 絶望の中国
週刊東洋経済 ... 6000万ガラケーユーザーのスマホ選び
日経ビジネス ... スマホ第二幕
週刊ダイヤモンド ... 守る資産運用

 今週の経済誌のなかでは特に『週刊エコノミスト』の特集が際立っていたように思います。テーマは中国。それも彼の国の成長しながらどんどん蓄積されていく「絶望」を描いた特集です。都市に出てきても、病気をすると都市の医療保険に加入していないため、田舎に戻らざるを得ない農民工の実態からPM2.5による大気汚染の深刻さまで、その絶望感(どうしようもなさ)を描き、中国が採るべき姿を示唆しています。これが今週の第1位です。
 第2位と3位はどちらもスマホの特集です。ガラケーユーザーの読者に的を絞ったのが『週刊東洋経済』、スマホ市場の今後の動向に注目した『日経ビジネス』というわけで、どちらもそれなりの内容ですが、どちらかと言うと『日経ビジネス』の特集は少し前の『週刊ダイヤモンド』の特集「スマホの次はこれがくると重なる部分もあり、損をしていました。というわけで、前者が2位で後者が3位となります。
 2位の『週刊東洋経済』はガラケー6000万ユーザーに買い替えを促すような特集で、それほど新鮮味はないものの、分厚い取材で、手取り足取りの細やかさで情報を提供しています。3位の『日経ビジネス』では、特集の最後に載せた伊藤譲一MITメディアラボ所長のコメントが的を得ているような気がしました。
 さて、第4位は『週刊ダイヤモンド』です。同誌の特集は「資産運用」がテーマ。NISAなど新商品で盛り上がっている金融業界ですが、一般の市民は何をどう買えばいいのか分からないまま、来春からは消費増税もあるとあって資金の目減りに不安が募っている、ということなのでしょう。「資産を守る」をキーワードに、特集を組んでいます。

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第1位
■週刊エコノミスト■ <<< 成長の裏の絶望

『週刊エコノミスト』はよく中国特集をやっている気がする。そこで確認してみると、約3ヵ月おきに特集を組んでいた。3月に「中国の破壊力」、6月に「中国・韓国の悲鳴」、9月に「墜ちる中国」。そして今週の特集は「絶望の中国」。
 なにが絶望なのか? 過去の誌面では、シャドーバンキングに端を発した経済問題について書かれてきた。または官僚の横領や言論統制といった政治問題についても。これらも絶望の中の1つとしてとりあげられる。しかし、もっと根本的な"生きる"上での絶望が中国では深刻化しているという。その象徴が、出稼ぎ農民(農民工)だ。彼らはけがや病気をしたら終わりだ。出稼ぎにきている農民工の医療保険加入者は1割。雇用主が払っていない、または手取りをあげるため加入しない選択をするためだ。その上、都市部の治療は高額で前払い。けがや病気になってしまった場合は故郷に戻り、就労経験も水泡に帰することになる。こういった格差は数値にも表れる。所得分布の不平等さを表すジニ係数が警戒ラインの0.4を超える0.61だ。しかし、貧困層に限らない「絶望」(ちょっと言い過ぎだと思うが)もある。地下水汚染に食品の品質不安、大気汚染がそれだ。
 こういった絶望の中、政府は「政左経右」の戦略を打ち出す。共産党の一党支配体制を維持しつつ、市場経済化を進めるのだ。くしくも、ビジネスの土壌として中国は優良であり、いまだ支持は厚い。儲けられるうちは、これらの問題は据え置かれていくのだろうか。
 第2特集は「東電解体」。東電が存在する理由を問う。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  ガラケー6000万ユーザーを狙え

 都内で電車に乗っていると、携帯をいじっている人のほとんどがスマホである。肌で感じる普及率は6割を軽く超える感じだが、実は日本のスマホ普及率はそれほど高くない。シンガポールや韓国は7割を超える。いろいろなデータがあるが、日本は最も低い統計で28%(約4人に1人)、高いもので49.8%(IDCによるネット上の調査)の普及率だ。なぜ? ガラケーで満足のユーザーが6000万人もいるからだ。
 今週の『週刊東洋経済』は、まだスマホデビューに二の足を踏む方々に贈る「6000万ガラケーユーザーのスマホ選び」が第1特集だ。まあ、ここ数年で飛躍的に進化したスマホは、今やどの機種を買っても失敗しないレベルに達し、デビューには「絶好のタイミングが到来した」ってことで。
 特集前半は「ガラケーからの乗り換え完全マニュアル」。ドコモ、au、ソフトバンク3社の各種スマホやサービスを3人のスマホプロフェッショナルが評価する。通話に特化するLCC(ローコストキャリア)&タブレットorスマホのダブル持ちなど通話料削減ノウハウも。基本用語解説もあって、検討中のシニアにも優しい作りだ。
 後半「3キャリアの激突」では、ドコモ、au、ソフトバンク3社の戦略分析をメインに、快進撃LINEとの連携と覇権争いなどレポートする。
 第2特集は「白モノ家電に明日はあるか」。電機メーカー最後の砦の白モノ家電。海外メーカーとの攻防とトレンドを伝える。

第3位
■日経ビジネス■ <<<  ウェアラブルはありか?

 先週『週刊ダイヤモンド』がサムスンの限界を特集で取り上げた。片や、アップルも『iPhone 5c』が思うように伸びず、一時の輝きはない。スマートフォンは、世に出て6年ではや完成形まで行き着いたとされ、新興メーカーの台頭と急激なコモディティ化が、アップルとサムスンという2強に襲いかかる。そしてウェアラブル端末の行方は? あらゆるデジタル機器を飲み込んで増殖したスマートフォン。「iPhone後の世界の扉は誰が開くのか」。今週の『日経ビジネス』は、「スマホ第二幕」と題し、iPhone後の世界を予測する。
 特集前半は現在シェア争いの主戦場である中国市場やアフリカ市場における急速な「ローカルモデル」の台頭が描かれ、大手メーカー各社の現状やその戦略がレポートされる。後半は「『目』『腕』『体』の争奪戦」と題してウェアラブルに寄せられる熱狂が描かれる。
 2ヵ月前、『週刊ダイヤモンド』が「スマホの次はこれがくる!」と、ウェアラブル端末にフォーカスした景気のいい特集を組んだが、「はて、ウェアラブルにそこまでの威力があるか?」と疑問だった。実際、部品各社は「ウェアラブル端末市場の立ち上がりに絶対的な確信を持っているわけではない」という。しかも異業種からの参入も多い。自動車産業における自動運転や電気自動車開発と同じようなことがスマホでも起こっている。どこもかしこもSF映画のようなメカの商品が見えてきて、使ってみたいような、疲れてしまいそうな、複雑な気分だ。
 第2特集は「日系アメリカ人という資産」の前編。各界で日米間を支えた日系アメリカ人を紹介する。


第4位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  とにかく守る時代に突入?

 1年前のこの時期に、野田前首相が衆議院解散を明言した。あれから1年と考えると、あっという間だ。その後アベノミクスで「インフレ率2%」が目標に掲げられ、物価はじわじわ上昇してきた。金利上昇も忍び寄る。現金を持っているだけで実質価値が上がったデフレ時代は終わり、預金の価値が目減りするインフレ時代へ。今週の『週刊ダイヤモンド』はそんな時代の資産運用術を「あなたの預金が危ない! 守る資産運用」として特集した。とにかく資産を減らさないことに重点を置いた"守り"の資産運用を伝授しようという特集だ。
 Part1は「これで守る! タイプ別資産運用術」、Part2は、編集部が独自算出した「お金を目減りさせない投資商品ランキング」、Part3は近頃大宣伝されているNISAについて、活用のツボなど。Part4は「主要投資信託&株ランキング」だ。資産を減らさないためには、本当にまあ、たくさんの知識が必要なんだよね......。あ、証券マンや資産運用会社社員による覆面座談会は業界の営業マンの裏が描かれていて面白く読みました。


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