今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・解剖 稲盛経営

週刊ダイヤモンド ... 解剖 稲盛経営
日経ビジネス ... 社員(あなた)は見られている
週刊東洋経済 ... 会社を変える会議
週刊エコノミスト ... バブルの研究

 今週の経済誌はそれぞれが異なったテーマに取り組んでいました。そのなかで、面白かったのは稲盛和夫という経営者を特集した『週刊ダイヤモンド』でしょうか。京セラやKDDIを創業し、そしてJALを蘇らせた実績は誰も文句を付けないでしょう。稲盛さんが主宰する盛和塾出身の経営者も数多く、ゆえに稲盛教などと呼ばれたりもしています。正直なところ、JALについては心配していましたが、それも見事に再建したのですから、やはりすごい人です。稲盛さんに学びたいと思う経営者は多いのでしょうね。これが、今週の第1位です。
 続くは『日経ビジネス』でしょうか。特集のテーマは「監視社会」です。マイナンバー法案が5月に国会で成立して、俗にいう国民総背番号制が現実にものになることになったことと、SNSの発展進化によって自分の履歴がかなり見られるようになり、またそれをビッグデータとして使うことが進められている現状を考えれば、これはタイミングのいい企画と言えるでしょう。
 そして3位は『週刊東洋経済』です。会議をかえれば会社は変わるというのが特集の趣旨で、これはこれで面白い企画ではありました。でも、これって永遠のテーマですし、いろいろな会社の過去のさまざまな取り組みが目に浮かぶ分、若い人向けかな? とも思ってしまいます。
 第4位の『週刊エコノミスト』の特集は「バブル」です。ちょっと早いかな、とも思いますが、これでアベノミクスが失速するのであれば、それはもうバブル以前の話なのですから。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  稲盛和夫とは何者か

 今週の『週刊ダイヤモンド』は、京セラとKDDIの創業者にして、JALをV時回復させた稀代の名経営者・稲盛和夫さんの特集だ。題して「稲盛経営 解剖」。表紙は往年の『週刊ダイヤモンド』の読者には懐かしいご本人を描いたイラストレーション。この雑紙がB5判だったころ、は毎号こんな経営者のイラストが表紙を飾っていた。
さて、「人間として何が正しいかで判断する」経営を実践するこの方の人気は根強い。これは売れるのではないだろうか。
 ご本人へのインタビューから特集は始まる。また、特集トビラでは「稲盛経営を読み解く3つのキーワード フィロソフィ・アメーバ経営・成功のための方程式」がシンプルにまとめられ、稲盛さんの著作や実績をよく知っている人にも、初めての人にも興味深く読める構成だ。小手先の経営テクニックではなく、「人間として何が正しいか」という"フィロソフィ"の大切さを説くその姿には、日本人の良き特質が体現されているように感じ、武士であり偉大な宗教家のようでもある。
 パート1「稲盛和夫とは何者か」、パート2は「哲学と実学の実践現場」、パート3は「稲盛流『成功の方程式』」。これらの章から稲盛氏の歩み、哲学の片鱗、彼を師と仰ぐ経営者と企業のレポートが続く。ロングセラーが多いというお薦めの著作も掲載されている。
 第2特集は「"アベノミクス"失速!? 骨抜きの成長戦略」。「雇用」・「保育」・「農業」・「医療」の4つに対して、骨抜きと指摘し、期待と現実の差を露にした。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  よい監視社会と悪い監視社会

 日本は1995年の地下鉄サリン事件以降、アメリカは2001年の同時多発テロ事件以降、安心・安全の旗印の下、社会の監視化が進められてきた。今週の『日経ビジネス』は、その流れの中で進展してきた企業による社員の監視を特集する。タイトルは「社員(あなた)は見られている ここまで来た監視社会の現実」だ。大企業や、情報のセキュリティを売り物にしている会社では、いまや普通に行なわれている社員の行動記録システムだが、中小企業で導入しているところはなかなかない。しかし、中小企業も蚊帳の外ではない。企業も、税務署や信用調査会社、警察や公正取引委員会、そして産業スパイという監視者に取り囲まれているからだ。
 特集では「9割が防犯カメラの設置に賛成」というデータから、社会を監視する「今の流れは止まらない」と結論づけている。そして『日経ビジネス』が出した結論を紹介しよう。「超監視社会に備えすべきこと」企業編①セキュリティを改めて強化②社員監視のルールを決める③まっとうな経営をする。社員編①私的利用はNG行為と再認識②品行方正に生きる③監視社会の暴走に目を光らせる。......企業がまっとうな経営をする!人が品行方正に生きる!当たり前やないかい!と、『週刊ダイヤモンド』に登場した稲葉和夫さんに怒られそうだ。
 第2特集は「周回遅れのネット選挙」。公職選挙法が改正され、ようやくこの夏から解禁となった「ネット選挙」を取り上げた。 


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 会議のやり方を変える

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「会社を変える会議」。「日本人は会議好き」なんて言葉はよく聞くが、ならばその会議の質を上げよう、というちょっと目先が変わった特集だ。そういえば今週は4誌ともに第1特集のベクトルがバラバラで、バラエティーに富んでいる。
 パート1の「会議を変えれば会社は変わる」。ここでは技あり会議の具体例が掲載されている。1社紹介しよう。今号表紙にも使われているサイバーエージェント。年間80ものスマートフォンサービスを生むメガベンチャー。そこには会議への施策が溢れている。まずは「ダカイゼンルーム」。これは、内装の違う「打開の間」と「改善の間」という会議室の名称で昨年末に設置されたものだ。解決する問題の大きさによって、部屋を選ぶ。そして、そこで行なわれ、今回紹介されるのが「ブレストランチ」。特集では、その一部始終をのぞくことができる。日産自動車の課題解決会議「V-upプログラム」ほか、10社弱の具体例が読める。会議を変える施策が並んだ本特集。ヒントになる方々も多いのではないか。
 第2特集は「パズドラの破壊力」。電車の中でよそ様の携帯が目に入ると、パズドラやっている人が多い! 累計ダウンロード数は1400万件を超えるんだそうです。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  バブルって何?

 一転、不安げな記事が連なるようになってきた経済誌だが、今週の『週刊エコノミスト』の特集は「バブルの研究」である。
 まだバブルにすらなっていないのにと思う反面、このまま落ちていくことの不安がこうした特集を生む。昨年末、解散総選挙からの安倍政権で円安・株高。「三本の矢」とよばれる経済政策と共に、「アベノミクス」に沸き、黒田日銀総裁の異次元緩和などもあってそのアベノミクスへの評価も上がっていった。そんな中で起こった、5月半ばの株価急落である。その後、株価は4月水準までも持ち直したものの不安要素は十分。だからバブルを研究しておこうというのだろう。
 特集の中で、バブルになる条件として、シティグループ証券・藤田勉副会長は「バブルへの三本の矢」をあげる。低金利・低インフレ・好景気(高成長)だ。世界同時緩和が低金利をもたらし、低インフレでも現在はバブルの萌芽と言えるということなのだろう。でもそんな理屈はさておき、株価が上がれば、売りたくなる人はいるわけだし、3本の矢の一番のキーファクターである成長戦略の中身が世界中から失望を買ったわけだし、ここいらで本当の「アベノミクス」を掲げなければ、バブル前崩壊になりかねないのは事実でしょう。

(2013年6月19日)


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