今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・「教育」の経済学


週刊東洋経済 ... 「教育」の経済学
日経ビジネス ... 仮面国家メキシコ
週刊エコノミスト ... インド びっくり経済
週刊ダイヤモンド ... その節税、ありか、なしか?

「三つ子の魂百まで」という言葉は近年間違って「勉強を教える」意味に使われることが多くなっていました。本当の意味は「三歳までに覚えたことは百歳になっても忘れない」。ところが最近、経済学者がそれを証明する調査を行ない、その結果、就学前教育は知識の教育には意味がないけれど、「おもいやり」とか「協調性」を養うには意味があるという結論を導きだしました。それが今週の『週刊東洋経済』の特集に出ています。「教育の経済学」と題した特集は従来の「お受験」特集と違って深みのある特集で、これが今週の第1位です。
 視点の意外性という点では『日経ビジネス』が取りあげた「メキシコ」特集も面白い内容でした。ふだんあまり接することのない国の経済の実態をオモテとウラ(マフィア経済)からレポートしています。これが第2位です。
 視点の意外性という観点では、同じ新興国の「インド」を取りあげた『週刊エコノミスト』も負けてはいませんでした。国連の統計によれば2022年には中国を抜いて世界第1位の人口になる国の経済の実態を取りあげています。ただ同誌の場合、現地取材等がないので、その分アピールが弱い恨みがあります。ということで第3位。
 最後に『週刊ダイヤモンド』ですが、節税の特集です。富裕層には出国税が課せられ、サラリーマンには配偶者控除の見直しに象徴されるように税控除が廃止の動きを見せていて、それにマイナンバーが導入されるということで我々を取り巻く状況は厳しくなってきています。それを見越したハウツー特集です。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<<  「非認知スキル」が将来を決める

 経済学や心理学、そして脳科学。いま、いろいろな分野の知見を集め、教育を「科学」する試みが世界的な潮流となっているという。今週の『週刊東洋経済』は子どもの教育に関する特集だが、お受験特集から離れ、教育を科学する。題して「『教育』の経済学」だ。人的資本に対する効率的投資への研究成果が、教育政策を変えるか。
 ノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、研究成果から「所得階層別の学力差はすでに6歳の就学時点からついており、格差の解消には就学前教育が重要」と主張する。そして諸外国でも多くの研究が進み、就学前教育の投資対効果が最も高いことはもはやコンセンサスと言えるようだ。
 ヘックマン教授の研究は「非認知スキル」が注目されるきっかけも作った。学力に繋がるスキルを「認知スキル」、それ以外の力を「非認知スキル」と経済学では呼んでいる。要するに「思いやり」や「協調性」「やり抜く力」「自制心」「勤勉性」など、人間が生きていくために大切な能力全般を指す。就学前教育を受けた低所得世帯の子どもは、受けなかった子どもに比べて、学力は8歳時点で差がなくなるものの、40歳時点で学歴・収入・持ち家率が高く、反社会的な行為に及ぶ確率が低かったのだ。これは「非認知スキル」が就学前教育によって高まったと考えられ、それを実証する実験研究もシカゴ大学ジョン・リスト教授によって開始している。「子どもの将来はセルフコントロール力で決まる」とするニュージーランドの研究など、いま知っておきたい知見がいっぱいの特集だ。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< 「最強?」それとも「最凶?」

 ルチャ・リブレというメキシコ独自のプロレスがある。善玉と悪玉に別れ、勧善懲悪が基本的なスタイルだが、これはメキシコの国民性を強く表している。スペインによる侵略から隣の大国アメリカとの折衝等によって虐げられてきたメキシコ人は従順という仮面を被る裏にエネルギーを秘めている。現に経済的に成長する一方で、OECD加盟国とは思えないほど犯罪率は高い。
 今週の『日経ビジネス』は、優等生のマスクの裏に凶暴さを隠すメキシコの実態に迫る。タイトルは「仮面国家メキシコ TPP陰の主役」だ。
 メキシコはFTA(自由貿易協定)先進国であり、TPPにも参加し、積極的な経済開放政策を推進する自由貿易体制の優等生だ。メキシコの利点の一つとして大国アメリカと地続きというものがある。鉄道や回路を組み合わせることで北南米に対して非常に短期間で輸送することができる。その利点を生かすため、多くの自動車企業がメキシコに拠点を置いている。日本とほぼ同じ人口を持ち、平均年齢は20代という成長ポテンシャルの高い国だ。
 一方で殺人や誘拐、パイプラインからの石油強奪など、常軌を逸した犯罪や治安の悪さが目を引く。メキシコは「最強」なのか「最凶」なのか。メキシコの素顔に迫る特集だ。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 最後のフロンティア

『日経ビジネス』がメキシコを取り上げた今週、『週刊エコノミスト』はインド! タイトルは「インド びっくり経済」だ。世界銀行の予測では、今年、インドが経済成長率で中国を上回る可能性が出てきた。この巨大な市場はいまや沸騰寸前。成長の果実を手に入れようと世界中の企業が進出を加速している。
 成長力の源泉は人口の多さなのは言うまでもない。2022年にはその人口は中国を抜き、30年には15億人に達すると予測されている(国連推計)。しかも総人口における生産年齢人口比率が45年ごろまで上昇し続け、人口ボーナスを受取り続ける経済なのだ。豊富な労働人口を頼りに雇用の場が広がり、所得を押し上げ魅力的な消費市場拡大する。まさに21世紀の「びっくり経済」。しかし、ヒンドゥー教やカースト制度、複数の公用言語など、多様で複雑な文化や風俗・習慣に包まれ、企業にとって一筋縄ではいかない最後のフロンティアと言える。


第4位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 節税術指南

 じわじわと"増税包囲網"が形づくられていくのを感じる昨今。富裕層には出国税が導入され、来年から財産債務調書の提出が始まる。サラリーマンには、配偶者控除の見直しや各種控除の廃止があり、相続税の対象も拡大した。こんな増税ラッシュのなかで、どうやって身を守るか。マイナンバーも始まるし、節税策の駆使しかないでしょう! 今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「その節税 ありか、なしか?」。サラリーマンから富裕層まで、節税術を徹底検証する。
 本編は「不動産編」「贈与編」「保険編」「証券編」「サラリーマン編」「中小企業オーナー編」の6部構成。押さえておきたい主要な節税法の現状と今後の見通しを解説する。
 今週は巻頭に特別インタビューを掲載している。独フォルクスワーゲン社の不正を暴いた米国の環境NPO、ICCT(国際クリーン交通委員会)創設者、マイケル・ウォルシュ氏だ。ICCTはNPOだが、その実態は米政府がバックについた"政府系シンクタンク"。世界中の自動車メーカーが無視できない存在だ。


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