今週の第1位は『日経ビジネス』・・・大手は子に従え

週刊経済誌の読みどころ20150415

日経ビジネス ... 大手は子に従え
週刊ダイヤモンド ... がん最前線
週刊東洋経済 ... 金融異変
週刊エコノミスト ... 相場を見抜く経済指標

 いいタイトルというのは滅多にでてこないものです。しかし、今週の『日経ビジネス』の特集タイトルは秀逸でした。「大手は子に従え」--------大手企業では画期的な製品が生まれないので、そこはベンチャー企業に任せてそのベンチャーと協業しようというそんな企画です。私も、元パナソニックの社員が立ち上げた社員数人のメーカーの経営者の話を聞いたことがあります。こんな話はアメリカのシリコンバレーの話だとばかり思っていましたが、近年、徐々に日本に広がりつつあります。これが今週の第1位です。
 第2位は『週刊ダイヤモンド』で、同誌の特集、がんの最前線レポートに注目します。いまやがんは治らない病気ではなくなりつつあり、最新の技術、医薬品が生まれてきています。その最前線には驚きの技術があふれています。
『週刊東洋経済』は超低金利のなかで、金融機関はいかに顧客を獲得するかの戦争に明け暮れています。メガバンクと地銀、それに加えてあたら行く免許を取った銀行などなかなかその模様は壮絶です。
 そして『週刊エコノミスト』は「何が有効な経済指標か」という視点で特集を組みました。イエレン・ダッシュボードの発言(米FRB議長)に端を発した指標論という感じですね。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  ベンチャーと大手企業との協業が始まる

「大手は子に従え」というタイトルは、言いたいことがストレートにしかもユーモラスに説得力を持って伝わってくる。画期的な製品が日本の大手企業から生まれづらくなっている現状。理由は、大手企業が旧来の枠組みから脱しきれず、イノベーションの壁にぶち当たっているからだ。そんななか、ユーザーニーズを素早く汲み取り、画期的な商品を繰り出すベンチャー企業が続々登場している。大手は技術と部品の供給者と化す。逆転する主従。大手はこのままなす術もなく転落していくのか? いや、その「逆転の構図」の中にこそ日本のモノ作りを再生するヒントがある。あえて「従」となり、ベンチャーとの関係強化のなかで自らの革新力を鍛え直し、協業で相乗効果を上げていく道がある!と本誌は説く。
 秋葉原にある「DMM.make AKIBA」。最新の試作制作ツールが完備され、多くのベンチャー企業が集うこのビルを、最近電機大手の経営幹部や技術者が日々訪れている。社内で通らなさそうなアイデアを形にしてもらったり、ベンチャーと協力したいが何から始めたらよいかと相談したり、と理由はさまざまだ。大手企業ではブランド力があるのでどうしてもアイデアの製品化は慎重にならざるを得ない。そういったなかで葬り去られてきた多くのアイデアをすくい上げて世の中へと送り出す役割をベンチャーが担う。日本の大手とベンチャーの相互補完は始まったばかりだ。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  がん治療の構造変化

 数年前、がんで入院した友人(女性)のところに見舞いにきた会社の同期(男性)が「自分もがんだ」と告白したという。人事に関わるため会社には言わず、普通に働きながら保険のきかない免疫療法で治療しているという。病気との戦いは人それぞれ。がんの治療も一昔前とは大きく変貌を遂げてきたようだ。今週の『週刊ダイヤモンド』が「もう神の手はいらない? がん最前線」と題して、がんの三大療法である「薬物治療」「手術」「放射線治療」の変化と最前線を追う。
 ガン専門病院として名高いがん研有明病院での前立腺がん手術の数が落ちている。理由は手術支援ロボット「ダビンチ」の導入が遅れたためだ。2012年に前立腺がんのダビンチによる全摘出が公的保険適用となったことで全国の医療機関で導入ブームが起こった。その結果として導入した病院としなかった病院で手術数に差が出たのだ。「重粒子線治療」は従来の放射線治療と異なり、まわりの細胞を傷つけずにピンポイントでがん細胞を照射できる。日本が先頭を走る分野で政府も力を入れるが、治療費は高額だ。そして注目される「がん免疫薬」。"さえない"中堅製薬会社だった小野薬品が世界の薬物治療の主役に躍り出た。その開発秘話も興味深かった。
 第2特集は「試練の住宅産業」。2025年、新設住宅着工数は62.3万戸との予測が出された。バブル期の2分の1。住宅産業の未来をよむ。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 水没状態の金利で争う金融機関

「金利水没」。先進国を中心とする世界的な低金利の状態を、みずほ総合研究所・高田創チーフエコノミストが表現した造語だ。「金利が水没する世界の中で、浮き輪のように唯一プカプカ浮かぶのが米国。しかし、金利低下で運用先に困った世界中の"運用難民"が、少しでも金利のある米国債という浮き輪に殺到している」(高田氏)。この異常な状況の中で、金融を支えてきたビジネスモデルが揺らいでいる。今週の『週刊東洋経済』は、「金融異変」と題し、金融業界の危機の芽をレポートする。
 法人融資の現場では、メガバンクと地銀の金利争いが起きている。貸出先に困った地銀が低金利を武器に東京に攻め込んでいるのだ。逆ざやに陥るメガバンクも少なくない。一方、アリババや楽天など決済を手始めに貸出業務に進出する異業種企業も増加中だ。資産形成ビジネスの中核を担うはずの証券会社は、顧客のニーズに応え信頼を得るに値する力をつけてきているとは言えない。消費者側にも、その銀行や生保会社が自分の金を預けるに値する機関かを見極める力が要求されている。
 ITっぽくないIT企業、「ほぼ日刊イトイ新聞」を取り上げた巻頭特集「僕たち、ほぼ上場します」も面白かった。NPOなのか株式会社なのか。糸井重里が独自の価値観と嗅覚で進めるビジネスはゆる〜くいいところを突いている。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< ダッシュボードに入れるべき経済指標

 今週の『週刊エコノミスト』は、「相場を見抜く経済指標 統計を疑え」という特集だ。得意のお勉強シリーズに分類されるだろうか。「目まぐるしく変化する景気や経済構造を知る手がかりとなる経済統計・指標--−--−。経済の姿を正しく捉えるために、その読み解き方を専門家が伝授する」とある。プロは数ある指標のどれをピックアップし、どう読んでいるのか、その一端を見せてくれるようだ。
 FRBのイエレン議長が、昨年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見の席で記者から「ダッシュボード(計器盤)に入れている雇用指標は何か?」との質問を受けた。その際に議長が挙げた9つの雇用関連指標は「イエレン・ダッシュボード」と呼ばれ、今後の金融政策を見通すうえで注目されているという。
 また、第一生命経済研究所の熊野英生チーフエコノミストは、「無数にある経済指標のうち1つだけ選べと言われたら、経済産業省の『鉱工業生産指数』を挙げる」と言っている。結局残すのは王道だ。久々に同志社大学の浜矩子教授も登場する。「エコノミストに騙されないためには、常に疑問を抱く感受性が大事」とのこと。


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