今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・FinTeckの正体


週刊ダイヤモンド ... FinTeckの正体
日経ビジネス ... 経営者本田圭佑が米国に進出するワケ
週刊東洋経済 ... 緊急点検 企業業績
週刊エコノミスト ... 商社の憂鬱

 ビットコイン騒動の時はそれほどには感じませんでしたが金融業界もITベンチャーの波が確実に押し寄せてきていて、最近では「フィンテック」という言葉が流行りのように飛び交っています。経済誌でも何度か取り上げられていますが、今週の『週刊ダイヤモンド』が大きく特集しました。フィンテックという言葉はアメリカのシリコンバレーのベンチャーキャピタルがお金を集めるために掲げたマーケティング用語という見方もありますが、それでも動きがあるのは事実で、どんな動きか興味を持ちます。同誌は取材力を活かして、この特集を仕上げていて、今週の第1位はこれです。
 第2位は「経営者」という視点でサッカーの本田圭佑選手を取り上げた『日経ビジネス』です。ただ、特集のタイトルに持ってくる割に本田に割く中身が薄く、サッカーファンなら知っていることが書かれていて少し残念でした。
『週刊東洋経済』は同社のメイン商品『会社四季報』と歩調を合わせて企業業績と、いまどの株を買うべきかという定番的な特集でした。これが第3位です。また、『週刊エコノミスト』は特集で総合商社の懸念材料を分析してフィーチャーしました。業績を下方修正している会社が多く、そのあたりは『週刊東洋経済』にも出ていますが、とにかく何が原因でそうなっているのかがよくわかります。


   <第1位>       <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 金融業界にもITベンチャーの波

 最近の流行言葉になってきた感のある「フィンテック」。このフィンテック現象を取りあげたのが『週刊ダイヤモンド』だ。タイトルは「FinTechの正体」と大仰だが、べつに裏を暴いた特集というわけではない。
 伝統的な金融産業とデジタル技術との融合であるフィンテックによって、旧来からの金融業界を取り巻くビジネスはどう変わってゆくのか、その現象を取材してレポートする。
 例えば同誌が取りあげているのがクラウド会計ソフト「freee」。石川県金沢市でこの会計ソフトを利用して北國銀行が地元企業や商店と会計情報を共有しようとしている。これは企業・店の銀行口座やレジ等から自動で会計情報を取得し、会計事務の手間を削減するサービスだが、これにはユーザーの許諾を得れば財務データを銀行と共有する機能がある。北國銀行では地域の店舗の財務状況をリアルタイムで把握でき、タイムリーな融資の提案が可能となるというわけだ。年1回の決算情報ではこのようには行かない。しかし、デメリットもある。財務データを共有するという事は企業に取っては銀行に対して経営状況が丸裸にされているも同然。そこで北國銀行はまず取引先に会計事務効率化をうたい「freee」を紹介して回たという。取引先の生産性改善も期待でき、業種も問わない。そこからさらに任意でのデータ共有を提案していった。「freee」を通じて信頼関係を築いてからさらに踏み込んでの関係に結びつけると言う形で成功したモデルといえよう。
 特集では他にもベンチャーのこの分野への参入状況や、メガバンクの動向など、細かく紹介している。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< ビジネスマン本田圭佑の真実

「スポンサーとしてカネを出し、企業イメージを上げる。」そんなスポーツとビジネスの関係性は一変した。米国を中心にマネジメント手法や技術をビジネスへと還元する動きが活発になっている。このうねりをいち早く感じ取り、経営者として米国へと渡ったトップアスリートがいる。本田圭佑、その人だ。
混合の『日経ビジネス』はその本田を巻頭にあしらい、とにかく「スポーツ」をキーワードに特集を組んだ。
 巻頭の経営者・本田圭佑の項は、インタビューも交えて実質3ページと特集タイトルに謳ったわりには少々物足りない。本田が2012年から始めた小学生対象のサッカースクールは50を数え、中学生のクラブチームを3つ持ち、4月からは高校生のユースクラブも誕生する。本田はいまや日本最大級のサッカースクールの経営者であり、オーストリアプロリーグ3部に属する「SVホルン」の実質的オーナーである。
 その本田がこの度米スポーツビジネスに進出しようとしている。一現役選手がここまで本格的にビジネスに参画するのは異例であり、「誰も成し得ていない事に挑戦する」という人生哲学に基づき、挑戦を続けている。米国のサッカー人口は世界第2位だが、四大スポーツと呼ばれる野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーの人気に押されている。そこで「米国でスクールを展開して、将来的にそこからサッカー選手でビッグスターを生み出し、サッカーに対する見方を変えたい」というわけだ。他にスポーツマネジメントと経営との関係やビジネスとしてのスポーツを取り上げるが、少々無理があり散漫になっている。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<< 勝てる会社を探そう!

 東洋経済新報社の看板出版物の1つ『会社四季報』春号の発売(3月14日)に合わせ、『週刊東洋経済』は「緊急点検 企業業績 沈む株・浮かぶ株」を特集した。
 今年に入って、日経平均株価が1日で大きく乱高下する日が増えている。年初から2月29日までの2ヵ月間での変動幅(高値と安値の差)を見ると、1日平均427円。昨年が222円、一昨年が169円だから、短い期間とはいえ変動幅の大きさが際立つ。そこには為替変動や資源価格などの外部要因が背景としてよく語られる。が、それ以上にプル型投資信託など先物取引を利用したファンドが規模を急拡大したことが上げられるという。先物主導で現物にも売り・買いが入るため、変動幅が大きくなってしまう。これでは個別企業の景況感がどれほど良いのか・厳しいのか、株価の動きから判断するのは難しい。そこで、『会社四季報』最新情報をもとに、本誌が全体のトレンドを分析するとともに、「勝てる会社」を探そうじゃないか!という特集なのである。
 マイナス金利、円高転換、しぼむ外需......。企業の2016年度増益シナリオに黄信号が灯ったなか、840社の理論株価を総点検する。
巻頭特集の一つに鈴木敏文氏へのインタビューが掲載されている。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 三重苦にあえぐ総合商社

 ちょっと前まで不振の他業界を尻目にわが世の春を謳歌していた総合商社がいまや「憂鬱」なのだという。今週の『週刊エコノミスト』は特集でその総合商社を取り上げる。特集タイトルは「商社の憂鬱」だ。
 なぜ、商社が憂鬱かといえば、資源安、中国経済の減速、そして新興国の経済失速が背景にあるからで、これら全てと深く関わりのある商社は必然的に大きなリスクを背負っているというわけだ。いわば三重苦である。
 例えば、三菱商事でいえば、このところ進めてきた原油や金属資源に対する投資が市況の急速な悪化によって損失処理を迫られている。場合によっては赤字決算になってもおかしくはない。
 快進撃を続けてきた伊藤忠もリスクを抱えている。それが中国最大の国有コングロマリット中国中信集団(CITICグループ)、タイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループとの資本提携だと同誌は説明する。伊藤忠とCPとが6000億円ずつ出資してCITICの中核会社の株式を取得(昨年1月)する交渉が成立したが、いまやそのプロジェクトが足踏み状態で、相当に高くつく可能性がある。
 現在の商社の状況を理解するには手っ取り早い特集だと言えよう。


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