今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.4.09

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 実は強いぞ!日本の農業
週刊東洋経済 ... 良い値上げ 悪い値上げ
日経ビジネス ... インドネシア 覚醒する「未完の大国」
週刊エコノミスト ... 食えない税理士・会計士

 今週は4月に入って気分一新! となったのか、どの雑誌も充実した内容でした。しかもそれぞれのテーマがバラエティに富んでいました。なにせ「農業」「値上げ(インフレ)」「インドネシア」「税理士・会計士」です。これぐらいばらつきがあるといいですね。どれも読んでみたくなります。
 そのなかでタイミングとしても掘り下げ方としても頭一つリードしていたのは『週刊ダイヤモンド』でした。特集のテーマは「農業」。TPP交渉参加に揺れる農業ですが、「実は強い」とスローガンを掲げ、その理由を解説しています。第2特集の「シェールガス革命」と併せて、充実度はいちばんでした。これが今週の第1位。
 第2位はアベノミクスによりインフレが起きることを前提に「値上げ」を特集テーマにもってきた『週刊東洋経済』です。「いい値上げ」とは何かを、消費者と密接に関連する企業の現場の戦略を取材してレポートしています。第2特集の「NPO」やパナソニック津賀社長へのロングインタビューも充実していました。
 同じく、現場での取材を軸に「インドネシア市場」への進出ノウハウを余すところなくレポートしたのが『日経ビジネス』です。これもなかなか読み応えがあって面白かったですね。
 では4位はというと『週刊エコノミスト』でした。でも、誤解のないように言うと、この特集もおもしろかった。「税理士や会計士」と言えば、食べていける資格の最たるものですが、これらの職業がさまざまな環境の変化から危機に瀕している、というレポートです。公認会計士などはいまでも花形職業と認識されていますが、決してそうでない現実があるのです。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  TPP参加は日本農業が海外に進出するチャンス

 雑誌を読んでお腹(頭?)がいっぱいになったのは今週の『週刊ダイヤモンド』である。第1特集「実は強いぞ!日本の農業」は、TPP問題にゆれる日本農業において知られざる活躍を見せる企業・人物を取りあげた。といっても、ボリュームがすごい。40ページにびっしりと綴られている。そして、特集では「農業は成長産業」という切り口をとっている。詳しくは本誌を読んでほしいが、品質において強い競争力をもっているため、海外(とくにアジア市場)に一層進出するべきとしている。つまり、TPP参加は国内市場が縮小している日本にとって絶好のチャンスであるというのだ。また、単なる第1次産業の話ではなく、「6次産業化(1次農業+2次製造+3次商業)」して付加価値をつける成功事例も数多く掲載されている。では「なぜ、TPPや国民自給率を問題視する風潮があるのか?」。それを特集では「成長を抑制するJA」というパートで解説する。
 Part3「都会にある潜在自給力」では、援農ボランティアの最新情報や、全国プロの指導付き体験農場リストなど、興味ある個人がすぐに役立つ情報も。プロも素人も、生産する人の顔はどの顔も力強い。「農」がもたらす社会の活性化にも注目したい。
 第2特集は「シェールが起こす 3つの"革命"」。『週刊ダイヤモンド』がシェール革命について単独で初めて特集枠で取り上げた。こちらも18ページとボリュームがある。ロシアのLNG関連要人の日本における"仁義なき戦い"が面白い。田中伸夫・前IAEA事務局長のインタビューに現状から展望まで、ほぼまとまっている。

第2位
■週刊東洋経済■ <<<  価値の高い値上げに奔走する日本企業

 デフレから反転してインフレ期待が高まるなか、今週の『週刊東洋経済』はインフレにおける問題点を取りあげて特集した。タイトルは「良い値上げ 悪い値上げ」。冒頭で、良し悪し2つの未来予想を説明し、その後は値上げを前提とした企業の取り組みにスポットを当てている。先週の『週刊ダイヤモンド』の特集「給料は上がるのか? 安倍マジックのタネ明かし」を読んだ人は、冒頭部分や「消費者物価」などが内容的に一部被ってしまうことにきづくだろう。(『週刊ダイヤモンド』の方が若干グラフなどの数値データが充実しているかな。)
 しかしその分、『週刊東洋経済』は値上げの矢面に立つ小売業などミクロの取材を試みた。これが結構面白い。
 特集で扱われた企業の特徴は、"値上げ"ではなく"価値の高い商品"とすること。単純な値上げでは、消費者の不満を募らせるだけだが、そこに新たな価値を足せば順当な価格上昇に変化させることができる。セブンイレブンやローソンなど大手コンビニはプライベートブランドの強化を。三越伊勢丹ホールディングスは、改装した新店舗での"買い物体験"という付加価値を提供して成果をあげている。
 第2特集は「NPOでメシを食う!」。NPO=ボランティアという時代が、日本でも終わりをむかえる!? 一流の手法で成果をあげるNPOに迫った。
 パナソニック津賀社長のインタビューも興味深かった。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  成長著しいインドネシア市場開拓の秘訣

 マーケティングを学ぶならばインドネシアだ。と『日経ビジネス』は特集で宣言している。<覚醒する「未完の大国」>というサブタイトルを関したインドネシア特集である。
「BOP(Bottom of Pilamid)」市場として、経済成長は目覚ましく、"市場"としての期待度は日に日に増す。BRICsにI(Indonesia)を加えてBRIICsと呼んだり、ポストBRICs としてVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)市場と呼ばれたりもしている。
 しかし、インドネシア市場の開拓は一辺倒ではいかない。2億4000万人にもなるインドネシアの人口は、300を超える民族と多様な宗教・文化でできているからだ。そこで同誌はインドネシア市場の攻略方法を日本企業の事例を交え紹介した。
 攻略するポイントを挙げるならば、大きく2つある。1つは「先入観」を持たないこと。例えば「イスラム国家だから豚肉は流行らない」。宗教上の理由で豚肉が禁忌なのは間違いないが、インドネシアにおけるイスラム教徒の割合は88.1%。つまり11.9%、約2800万人の市場は存在し、現にジャカルタでは豚骨ラーメン店が増えている。他にも、1人当たりのコメ消費量が日本の2倍である国に、双日・敷島製パンが「パン食」市場を立ち上げている。理由は「経済成長は、コメ以外の主食需要が伸びる」という、「先入観」を取り払ったものだ。
 2つ目は「ニーズ」を的確に汲みとること。イスラム教圏では、生理用品を洗って捨てる習慣がある。そのまま捨てることは、たしなみとして良くないとされるためだ。そこで花王は、「洗いやすい」と「吸水性」のバランスを考えた生理用品を開発し、後発でありながらユニ・チャームと並ぶ35%のシェアを占めるようになった。
 このような成功事例をみると、そのどれもがマーケティングの基本であることが分かる。この難しいインドネシア市場で、当たり前のことができるようになれば、それは世界で通用するマーケティングになるだろう。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  税理士業界でも会計士業界でも起きる不当廉売

 この時期、大学近くで新歓活動に精を出す人たちは2通りいる。1つは大学生、もう1つは資格予備校のスタッフである。未だ進路として根強い資格取得であるが、数年前から未就職者率が上がっている。『週刊エコノミスト』は「食えない税理士・会計士」として、大競争時代へ向かう2つの業界が抱える問題を提起した。
 税理士編と会計士編の2部構成で、「読めば業界丸わかり 税理士(会計士)の基礎知識」という記事を差しこむなど対比して読みやすい構成。それぞれの問題をあげると、税理士側は<弁護士・公認会計士にも税理士資格が付与されている点>、会計士側は<相次ぐ会計不祥事が大手監査法人に巻き込まれている点>。前者は分かりやすいが、後者も食い扶持が増えないことに起因している。監査法人では、新規上場企業が減ったこともありリストラを行なっている。しかし、「本来辞めてほしい高年収の50歳代会計士ではなく、働き盛りの30年代がごっそり辞めた」(大手監査法人のパートナー談)ために、現場にシワ寄せが起き、監査の質に影響が出ることが懸念されている。
 このような市場で今まさに起きているのが、ダンピング(不当廉売)。既存顧客の取り合いが市場原理以上に加速し、質に対する負のスパイラルが懸念される。企業が良い会計士を探すとなると、大手になってしまうのは避けられない。しかし、個人が良い税理士を探す上で「税理士の正しい選び方」という記事は参考になるだろう。


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