今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.19

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 不動産マネー 動く!
日経ビジネス ... 商社の異変
週刊エコノミスト ... 中国の破壊力
週刊東洋経済 ... 入門 日本経済

 経済誌の売れ行きは、特集で決まります。ではどんな特集が売れるかと言えば、「儲かりそうな特集」ということに尽きます。「役に立ちそう」というキーワードも強いのですが、やはり「儲かりそう」な匂いには負けてしまう。
 今週で言えば、『週刊ダイヤモンド』の特集がそれ。「不動産の特集」です。アベノミクスによって、カネが動き始めている日本で、株と同じくマネーが動くものと言えば不動産です。また、バブル再燃か? と世の人たちは期待を込めて読んでくれるでしょう。ということで、これが第1位です。
 では第2位は『日経ビジネス』です。このところの勝ち組の象徴だった総合商社を取りあげ、異変が起こっているとレポートしています。資源バブルでしこたま稼いだ商社もそのバブルが一段落すると、とたんに揺れ始めるというわけでしょうか。
 第3位の『週刊エコノミスト』は中国の破壊力をテーマに特集を組みました。それ自体は珍しくもありませんが、そのなかで、「中国の頭脳」とも言うべき「エリート層」にスポットを当てているところが、斬新な感じがしました。この部分は面白かったですね。
 第4位の『週刊東洋経済』は春先の恒例企画、日本経済の入門編です。おそらくこの後どこかで『週刊ダイヤモンド』でも特集を組むでしょう。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<< 儲かり始めるか? 不動産

 今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「不動産マネー動く!」。金融緩和により、債券から株式への大転換が起きていることは『週刊エコノミスト』をはじめ各誌で取りあげているが、株と同時に、巷間話題になるのが不動産であることは言をまたない。不動産価格は上昇するのか? マネーの動きはどうなのか? つまり物価上昇に伴う金利上昇によって不動産購入が急がれるのでは、という気運と外資の流入によりミニバブルの再来が期待されているのだ。
 同誌では第1部で不動産マネーの展望を、第2部では急騰するREIT(不動産投資信託)を、第3部では個人で行なう不動産投資を紹介した。
 ただし、同誌がミニバブルと表現しているように一過性の上昇という考えが強い。現に、銀行の不動産向け融資が一部で緩くなっているなど、平成の土地バブルやサブプライムローンの住宅バブルを彷彿とさせる動きもある。3度目の正直といくかどうかは定かではないが、東京の再開発を紹介した「東京未来予想図」や「沸騰するREIT市場前解剖」は読んでおいても良いだろう。特に利回りが異様に高いREITに関しては、超入門講座なるものが掲載されており、素人投資家にはちょうどいい読み物かもしれない。
 今週は第2特集「過熱する食料争奪戦」、第3特集「意外な? 自民のエネルギー戦略」と幅広い内容となった。「過熱する食料争奪戦」は商社の食料戦略を描いた。『日経ビジネス』では"脱・資源"をどこも主張していたが、食料も立派な"資源"。投資先が変わったに過ぎないとも言えてしまう。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<<  商社の黄昏?

「『総合商社の夏』は終わった」の一言から始まるのが『日経ビジネス』の特集「商社の異変」である。資源バブルの恩恵をうけ、ここ10年で巨大な利益をほしいままにした「総合商社」の風向きが変わってきたという特集だ。2012年3月期には軒並み過去最高益を計上した総合商社だが、資源価値が落ち着きをみせたことにより、2013年3月期は最終減益となる見通し。だが、なにもそれだけが"冬の時代"を予感させているわけではない。
 同誌が取りあげたポイントは資源依存が総合商社を蝕んでいたという事実。権益ビジネスによって本来以上の利益をあげられるため、地道で泥臭い仕事がおざなりになってしまった。ある種の麻痺が異変の原因なのだ。
 本特集では、大手5社の次なる動きを紹介した。病院経営に資本参加した三井物産や伊藤忠商事の青果世界最大手「ドール」の一部事業の買収など、方法は違えど目指すは資源依存からの脱却。そして最後に、「未来の商社をどう作る?」という5社トップへの質問記事が掲載されている。一見すると似たり寄ったりの回答ではあるが、ニュアンスに企業が表れてはいる。
 それにしてもボブ・ディランじゃないけれど" The times they are a changin' "ですね(古いか!)。
 第2特集は「アップルを包囲せよ」。「iPhone 5」の不調により、「iOS」を擁するアップルの一人勝ち時代は終わりを告げた。そしてやってきたのは、OSによる勢力争い。双璧をなしていたグーグルの「Android」はもちろんのこと、ウェブブラウザで厚い信頼を得ているモジラの「Firefox」、そしてサムスンやインテル主導で作られる「Tizen」。この4つの派閥に世界的メーカーや携帯電話会社が散らばる。三国志を彷彿させるこの争いの勝者は誰になるのだろうか。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  中国の破壊力

 中国からの"影響"というと、いまの季節はPM2.5や黄砂が真っ先に浮かぶ。行き交うひとの顔はマスクや眼鏡で覆われ、環境基準値を気にかけて生活をしている。
だが、経済成長に公害は付きものと感じてしまうのは、高度経済成長のまっただ中に身を置いていたからだろう。昔の日本も同じようなものだったとつい思ってしまう。でも、その頃の日本のパワーはすごかった。
 いまの中国がそうだ。経済が落ち込んできていると言いつつも、その力はやはりとどまることをしらない。そこで『週刊エコノミスト』は、「中国の破壊力」と題した特集を持ってきた。
 家電やスマートフォンなどの電機産業において、日本を背負ってきた大企業が完膚なきまでに倒されていくのは知れ渡っているが、その他の分野においても例外ではないことを特集では伝えている。この特集の読みどころは、知的エリート層の大きさを紹介しているところだろう。「巨象の頭脳」と題し、精華大学と北京大学で教鞭をふる紺野大介ETT理事長が実体験も含めて語っている。 
 米トップ大学学長が学生をハンティングにくるわ、特許収入52億円の教授はいるわ、と教育においても圧倒的な差がついていることを同誌は解説している。


第4位
■週刊東洋経済■ <<<  いまを知るキーワードはたくさんある

 どの雑誌にも恒例と称される企画がある。春の経済週刊誌においては、さしずめこの企画が「恒例」と言えるだろう。「日本経済入門」企画である。今週号の『週刊東洋経済』はその特集を組んだ。題して「入門 日本経済」という。
 まあ、見ててご覧なさい。次か、その次あたりで『週刊ダイヤモンド』もやりますから。
 ところで、恒例でもマンネリにならないようにするためにはさまざまな工夫が必要だ。今号の同誌は、その意味で「ニュースの旬」に目を付けた。日々流れるニュースは膨大で、とてもそのすべてを把握できるものではない。理解しようとしても、出遅れを取り戻す前に次の問題が起きる。
 そこで同誌は、日本経済において、押さえておきたい20のテーマと40のキーワードを選んでその解説に徹した。金融政策や賃上げなどのアベノミクスにまつわるテーマから、TPP、ユーロ危機、原発再稼働といった、知ってはいるが大雑把になりがちなテーマまで幅広い。こういった類のものは広く浅くになりがちだが、テーマに沿った論客へのインタビューがポイントとして効いている。黒田東彦日銀新総裁の先輩にあたる榊原英資元財務官のインタビューは、とても平易に新総裁ひいては日本銀行を説いていた。その他にも、シェール革命やスマートフォンなどもさわり程度に。全体として、そつなくまとまっているが、困ったときの"入門"頼みな気もしないでもない。
 第2特集は、「採用&就活はこうなる!」。2014年卒ランキングや過去のデータからトレンドを分析した。大企業志向や内向き志向といった安定を求める傾向が見えてくる。


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