今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.06

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... もう騙されない保険選び
日経ビジネス ... 定年パニック
週刊東洋経済 ... 円安の罠
週刊エコノミスト ... 世界同時株高

 情報においてはネットが幅を利かせる時代ですが、それでも雑誌を読む時には、新しい発見を求めます。世紀の大スクープでなくとも、「へぇ」とか「ほぉ」とかいう情報があると楽しいものです。
 今週は『週刊ダイヤモンド』が保険の特集で、そんな記事を掲載していました。今全国で急速に増えている来店型の保険ショップには、とんでもないからくりがあったことを同誌は暴きました。業界の人は既に知っていることだったかもしれませんが、普通の人は知らないものですね。というわけで、詳しくは同誌をお読みいただきたいのですが、これが今週の第1位です。
 第2位はこの4月1日から本格化する「定年延長」の問題に切り込んだ『日経ビジネス』です。サブタイトルの<会社に姥捨て山を作らない方法>とあり、冒頭のリードのタイトルにも「アナタは『元部長』を有効活用できますか」とあるように、深刻なテーマとして描いています。
 第3位と第4位はどちらもアベノミクスがらみの特集です。で、まずは「円安の危険性」を前面に出した『週刊東洋経済』が第3位。本来第1特集だったと思われる「ネット炎上の処方箋」やユニクロのサービス残業の実態を扱った記事などもあり充実している分こちらに軍配を上げました。
 第4位の『週刊エコノミスト』は世界同時株高をテーマに世界の株式市場をウォッチしています。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<<  公平・公正が売りの保険代理店の商法

「もう騙されない保険選び」と念を押した『週刊ダイヤモンド』。その言葉には、同誌が昨年4月に掲載した特集「騙されない保険」では、食い止められなかった事への自戒が込められているのだろうか。
 特集で注目すべきは、トップにある「来店型の保険ショップにご用心」。最近増えてきた来店型保険ショップには驚くべきからくりがあったというのがその内容。相談無料で商売が成り立つのは、商品販売による手数料があるからで、それ自体は当たり前で特に問題はないが、その背後に高額なインセンティブが存在するというのである。それも最高でなんと127%にもなる。意味の分からない名称のインセンティブが乱立した結果だ。さらに条件によっては「マッチング・ファンド」なる"退職金"も用意される。来店型の保険ショップはどの保険がその人にとって適切かを、公平・公正な立場から推薦してくれるのが最大の売りであり、だからこそ伸びてきた業態である。ところが、その裏にそんなスキームが存在したとは。今度、保険を勧められたら、内容と共に手数料も聞いてしまいそうだ。
 ことほどさように特集全編にわたって現状の保険への注意喚起がなされているが、結局のところ大切なのは「自分に合った保険選び」をすること。使い古されてしまったが、真を突いた言葉だということがしみじみ分かる。自分で選んでいるようで選ばされていたり、選択肢を狭めていたり。だからこそ、騙されてはいけないのだ。この特集を機に、自分の保険を見直してみてはどうだろうか。

第2位
■ 日経ビジネス■ <<<  40歳定年が幸せへの道?

 来年度から希望者の定年が65歳になる。産業界には賛否両論あるものの、否が応でも制度や働き方が変わってくるのは事実。そこで『日経ビジネス』は「定年延長パニック」と題し、実例を交え新しい会社と社員の関係を紹介した。サブタイトルは<会社に"姥捨て山"を作らない方法>だ。
 定年延長は人件費増加に直接的な影響を与える。その際、無闇に減給をすれば意欲の低下は目に見えている。かといって5年分の人件費を上乗せできるほど体力がある企業ばかりでもない。必要なのは工夫である。再雇用でコースを選択できたり、若手とコンビを組ませOJTの様な形をとらせたりする。自社に合ったシステムが企業を伸ばすのだ。ただし、相も変わらずボリュームが少ないので「人件費と意欲」のみへのアプローチとなったのは残念だった。
 また、もう1つの選択「40歳定年幸せ説」なるものを展開した。今後65歳を超えて70代まで働くようになる日本で、60歳定年では次のチャンスがない。40歳を定年として、よりブラッシュアップしたスキルで次の仕事を持つというものだ。面白い考え方ではあるし、1つの形なのだろう。ただし、誌面後半に書かれるメリットは詰めの甘いものだった。コラムではなく特集になる日を期待したい。
 ちょっと気になったのは、使われている言葉「意欲の低下」についてである。意欲(モラール:morale仏語)という言葉を使いつつ、同時に「モラルハザード(倫理の欠如)」という言葉も使っているのだ。そもそも「モラルハザード」を「倫理の欠如」と訳すのは日本特有(英語では誤用に近い)である。バブル崩壊後の金融関係の事件から使われ始めたように記憶しているが、同誌の特集の内容ではモラール(士気)の低下で、統一した方が良かったのではないだろうか。


第3位
■週刊東洋経済■ <<<  だから円安は危ない

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「円安の罠」。『週刊エコノミスト』の特集「世界同時株高」と基本的には扱っているテーマは同じ。このところこの手の特集が多いのはアベノミクス特需の一言に尽きるだろう。同誌は、円安がもたらすであろう「危険性」にスポットを当てている。特集の冒頭では河野龍太郎氏の「アベノミクスのような極端な政策をとってはいけない」という言葉を紹介し、そのすぐ後には野口悠紀雄氏の「円安は、今の日本経済にとってはデメリットの方が大きい」というコメントを引用したりしている。もちろん同誌は日常生活における影響も取りあげるなどしているが、残念なことには、ページ数がちょっと少なかった。
 第2特集の「ネット炎上の処方箋」がしっかりとしていたところをみると、こちらが本来の第1特集だったのかもしれない。一個人の批判や非難という火種が、ソーシャルメディアの普及により大きな問題になり、「炎上」という言葉で代表される事態の悪化がよく目につくようになってきた。
「炎上マーケティング」などと言って、故意に行なうケースすら存在するが、企業としてはそうはいかない。正しいソーシャルメディアとの付き合い方が求められる。というわけで、特集では組織毎の対応や、理由の分類など今まで軽視されがちであった「炎上」への取り組みを紹介している。ただし、ここで示された解答を鵜呑みにしてはいけない。そんなことをすれば、次の特集では失敗例としては掲載されてしまう。自社に求められる距離を把握して、適した対応が必要とされる。もはや、ソーシャルメディアは、社員の顔まで透かしているのだ。
 加えて単独の記事だが、「ユニクロ疲弊する職場」がいいレポートだった。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< リフレの次はグレートローテーション

 今週の『週刊エコノミスト』は「世界同時株高」にスポットをあて、最近世界の市場関係者の間でよく使われる「グレートローテーション」の到来による株高の流れを説明している。先週「リフレ」特集もそうだが、次から次へと新語がでてくる。因みに「グレートローテーション(大転換)」は、リスク回避からリスク許容への転換を指す言葉。金融緩和により、安全資産であった債券では本来の利益をあげられず、リスク資産である株へ移行する傾向が出始めているのだ。日本もその恩恵にあずかれるか!? というところなのだが、残念なのは明確な方向性が得られないところだろう。まぁ、確実に勝敗が分かったら仕事にはならないからね。
 そういう意味で、はっきりしているのは新興国市場である。同誌は「ポストBRICs」として東南アジア諸国のいわゆるVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)やトルコ、アフリカで成長著しいナイジェリアの上昇率をあげ、市場としての伸びしろの存在を示した点が面白かった。高い成長は各国からの資本が流入しているためである。人口増加などを考えれば必然的な流れでもある。 
 ただし、BRICsがそうであったように、これらの国もいずれまた成長のピークを迎える。それよりなにより、日本の経営者が目指すべきは、株高よりももっと大きな産業のグレートローテーションを起こすことだと思うのだが。


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