今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.2.26

今週の第1位は『週刊東洋経済』

週刊東洋経済 ... 2030年 あなたの仕事がなくなる
日経ビジネス ... アベノミクス
週刊ダイヤモンド ... 新・株入門
週刊エコノミスト ... リフレの正体

 今週はマクロがらみの特集が多い経済誌でした。なぜかといえば、アベノミクスに尽きるわけですが、景気が良くなる気配がでるとみんな強気の特集を組みたがるというわけです。そのなかで、『週刊東洋経済』だけは、2030年の日本を想定し、グローバル化と技術革新が進む中で我々の仕事はどうなるんだろう? という問題提起型の特集を組みました。視点もよく、これが今週の第1位です。
 第2位は『日経ビジネス』です。それほど充実した特集ではないのですが、コンパクトに「アベノミクス」の現状の評価と今後の問題点とを指摘していました。また、円安や消費に関連する企業の経営者を出して語らせているのもわかりやすくてよかったですね。
 同じ、アベノミクスの影響でも強気にもっていったのは『週刊ダイヤモンド』の株特集でしょう。いよいよ個人投資家の出番がめぐってきたということで、例によって割安の株はどれか、などと試算しています。
 そして、『週刊エコノミスト』は第4位です。『日経ビジネス』がアベノミクスと題したのに対して、同誌は「リフレ」をキーワードにしました。歴史的な観点や海外の視点など多彩な内容でしたが、いま一つ散漫な感じがしてちょっと残念でした。

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第1位
■週刊東洋経済■ <<<  技術が上がって仕事がなくなる

 20XX年というSFのような書きだしで始まった『週刊東洋経済』の特集は、グローバル化とIT技術の革新により「仕事」が奪われていく様を描いていて面白い。タイトルは「2030年あなたの仕事がなくなる」だ。
 実際には、みんなが心の奥底で感じていることかもしれないが、進歩によりすべての人が恩恵を得るわけではなく、現実は数%の上位層に限られる。グローバル化は労働生産性を均等化し、技術革新は労働者の置き換えをする。このなかで特に中間層が「仕事」が奪われることとなり、実際に欧米では資格職があぶれている。
「日本でも中間層の仕事は消え去るか」と題したリンダ・グラットンと渡邊正裕の対談は、それゆえに興味深いものだった。『ワーク・シフト』の著者グラットンは、グローバル化を前提とした未来の働き方を説くのに対して『10年後に食える仕事 食えない仕事』の著者でMy News Japan 編集長渡邉は外国人と競合しない働き方を説く。グローバル化に対する考えの違いは、安易な同意や譲歩などは決して起こさない。二人は単なる予測をしているのではなく、国を背負って話しているのだ。そして、渡邉氏による日本版「ワーク・シフト」の予測が続く。
 その後、今後注目される仕事や働き方を紹介する。「10年後にセクシーな職業」といわれるデータサイエンティスト。フリーエージェントやノマドという働き方など明日の日常を紹介している。
 第2特集は打って変わって「ヤンキー消費をつかまえろ」というキャッチーな内容。地元を愛し、仲間と絆を愛する新保守層を「ヤンキー」と名付け、属性分けする。新消費層はここにあるのかもしれない!?


第2位
■ 日経ビジネス■ <<<  銀座のクラブはプチバブル

 経済誌各誌が毎週「アベノミクス」を追いかけている。今週は『日経ビジネス』が第1特集のタイトルそのものを「アベノミクス」としてきた。もう1誌、『週刊エコノミスト』は「リフレの正体」として、「安倍首相が信奉するリフレ政策 大解剖」と銘打った大特集を組んできた。
『週刊エコノミスト』に比べて、『日経ビジネス』のボリュームはいかにも少なく、現状の評価と顕在化する問題点を指摘する内容だ。しかし、消費税増税について、鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長、原田泳幸日本マクドナルド会長兼社長、似鳥昭雄ニトリ・ホールディングス社長を並べて賛否語らせている。また、「賃金は上がるのか?」のパートでは、新浪ローソン社長、宮原経団連副会長(日本郵船社長)が持論を展開する。新浪社長は、全従業員19万人のうちの正社員3300人の賃上げを発表して安倍首相からほめられたばかりだ。一方の宮原さんは「賃上げは1年待つべき!」という慎重派。短い特集の中に著名経営者を並べ、図解も豊富なので、流れの把握にはいい。
 一番「ほう」と思ったのはプロローグに書かれている証券会社や銀座の「ナマ」の声だろうか。マネックス証券ではIDやパシワードの再送依頼が昨年11月の1.9倍、口座開設数は1.7倍に増えているそうだ。銀座のクラブでは「女の子を増やした」と明かすママの声もある。やっぱり"プチバブル"はすでに起きている?


第3位
週刊ダイヤモンド■ <<<  お買い得267銘柄一挙公開

『週刊ダイヤモンド』はちょうど1ヵ月前に「円安に乗る! 株・投信・外貨投資」と大きく円安特需を紹介したが、今号の第1特集では「新・株入門 スラスラわかる!賢い投資術」として株をクローズアップした。この手の特集は評価しづらい。積極的な投資家にとっては価値はないかもしれないが、小・中級者や知識として学びたい向きには丁寧な特集ともいえるからだ。ま、そこはそれ、同誌特有の木目の細かさで解説を施しているところに価値はあるのだろう。株をとりまく現状から今後の動き、割安株やROEの解説、スマホアプリの性能一覧まで。「株投資 四つの"落とし穴"」としてポイントも押さえている。これでまた、プチ・リッチなランチ費用を株で稼ぐスマートっぽい若手社員が増えるかもしれない。
 また、後半の「お買い得267銘柄一挙公開」、「東証上場1781社の試算株価」は相変らず使い勝手の良さが売りだが、もうン十年も前から試算株価を見ている人にとってはマンネリ気味の一覧表ではある。ボリュームのある特集だし、アベノミクス頼みで株を始めようと考えている人にとっては確かに"新・株入門"だ。
 第2特集は「あなたの街の時限爆弾 ハコモノが地方を潰す」。笹子トンネル事故やアベノミクスにより公共事業バブルへの気運が高まっている。今一度、ハコモノを考えるべきタイミングだろう。ハコモノ削減に注力する神奈川県秦野市の取り組みを古谷義幸市長インタビューと共に紹介している。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  暴かれないリフレの正体

 これだけ言葉が独り歩きしだすと、「リフレの意味」なんて恥ずかしくて聞けないという人も多いだろう。特集のタイトルを「リフレの正体」とした『週刊エコノミスト』がそんな人たちを狙ったとは言わないが、このデフレから脱却するための緩やかなインフレ策はエコノミストの意見を二分している。当然、過去には結果を出したと言っても、時代は大きく違い、まだ結果のでない政策にあまり踊らされても仕方がないのだが。タイトルに「正体」と付けた同誌のことだから、暴くのかと思いきや、善し悪し二分する論を載せ、なんとなくつじつまを合わせた感じだ。
 企業の視点で迫った『日経ビジネス』と、エコノミストの視点で迫った同誌がなんとなく棲み分けになったのが救いか。また本特集は案外ボリュームがあり、歴史から読み解いたり、海外の支店もふんだんに入れている分、レフレを理解するには適していると言えるだろう。 
 リフレの正体については、様々な見解の中から読者が見つけ出すしかないが、「リフレ政策では良質の求人増は期待できない」という記事が気になった。インフレ誘導で失業率が下がり、雇用が改善するのは短期的であるとした上で、労働条件でのミスマッチを指摘しているのだが、それ以上にミスマッチの要因が存在する就職戦線をリフレと絡ませなくったっていいのではないかと感じた次第。


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