今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.1.22

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 倒産危険度ランキング
週刊東洋経済 ... 65歳定年の衝撃
日経ビジネス ... エネルギー国富論 シリーズ動き出す未来③
週刊エコノミスト ... 沸騰! 東南アジア

 今週の経済誌は読みでのある特集が多いという印象です。各誌経済誌らしく独自性をもった切り口を試みていました。そのなかで、頭一つ抜け出た感のあるのは『週刊ダイヤモンド』の「倒産危険度」でしょうか。アベノミクスに沸く市場に冷や水をかけるわけではありませんが、現状の経済の実態からいえば、タイムリーな特集でしょう。とくに家電などの大手企業の状況は気になるところですから。これが今週の第1位です。
 タイムリーさでいえば、次ぎにくるのは『週刊東洋経済』でしょう。今年4月に改正高齢者雇用安定法が施行され、 企業は希望者全員を「65歳まで」雇用しなければならないその目前で、65歳定年制を特集で扱いました。人事も給与も採用も変わると副題にありましたが、それより何より働き方が大きく変わってくるでしょうね。
 『週刊東洋経済』とどちらを2位にしようかと迷ったのが『日経ビジネス』です。地味ですが、エネルギーの特集です。それもよくあるエネルギー源の開発ではなく、エネルギー消費を日本特有の技術で抑え、その技術を輸出して国を富まそうというのです。日本は1970年代の石油ショック時に、エネルギー効率を飛躍的に高めて乗り切った実績があるという論理展開とケーススタディーの取材に、説得力がありました。
 決して面白くないわけではないけれど4位は『週刊エコノミスト』です。チャイナ・プラス・ワンで注目が高まる東南アジアの特集でした。実際いま世界がこのASEANという成長センターに注目しているわけですから。

第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 危ない会社は相変らず多い

「なぜ倒産特集なのか――」。
 特集の本文はこの自嘲気味の一文で始まっている。テレビや大手新聞の報道では、円安・株高でにわかに景気回復への期待が高まっているかに見える。が、本当にそうだろうか。多くの一般人が「そんなに単純なものではない」と感じ、明日に不安を抱いている。現に大手家電の大赤字、中小企業にとって平成の徳政令と言われた「中小企業金融円滑化法」の期限切れなど、年度末に向かって厳しい状況が目前に迫ってもいるのだ。
 今週の『週刊ダイヤモンド』による「倒産危険度ランキング」は、そういった経済の実態・実感を突いたタイムリーな特集だ。金融関係者のみならず、目にしておくべき内容ではないだろうか。
 プロローグは「日本の倒産 最新事情」と題し、ここ数年減少基調にある倒産件数の裏側を図解する。電機業界の迷走、中小企業金融円滑化法による倒産の延命、地方経済の疲弊が見て取れる内容だ。そしてPart1.「大企業から壊れる! ドミノ危機の正体」、Part2.「判明! 危険度ワースト40」、Part3.「地方が壊れる! 中堅・中小の窮地」、Part4.「最新版 倒産危険度ランキング」と続く。いまこのとき、会社存続のために奔走する経営者・会社員が大勢いる。この身も引き締まる思いだ。


第2位
■週刊東洋経済■ <<<  65歳定年にまつわる人事部長の本音

 4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は希望者全員を「65歳まで雇用」しなければならない。年金支給が段階的に65歳からへと先延ばしされるためだ。いわば財政失策のツケ。その対応策として、経団連に加盟する企業のうち、3割台の企業が新卒採用を減らすといわれ、 若者の雇用機会をさらに狭めている。『週刊東洋経済』は一歩先んじて、この定年延長を特
集した。題して「人事・給与・採用が変わる! 65歳定年の衝撃」だ。
 特集は、何が変わるのかがわかる「65歳のリアル 人事・給与が激変」、企業の先進事例が紹介される「企業の格闘、個人の奮闘」、ハローワーク活用術など個人の対応策が書かれた「いくら必要? おカネと仕事」の三部構成になっている。
 必読は「人事部長 覆面座談会」と識者へのインタビューだろうか。覆面座談会は4業種の人事部長によるものだが、「日本企業では、言われたことを川の流れに沿ってやっていくうち、どこかに着いていた。が、今後はどこの山にどうやって登るか、自分で考えなかればならない」「グローバル化で社員のダイバーシティ(多様性)が進むと、日本人の職場はどんどんなくなる」「定年という概念自体、どこかへ飛んでいってしまうだろうね」などなど、現場で対応する彼らの予測が最もドラスティックでしかも現実的と思えた。意欲の小さい者には甘くない未来だ。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< エネルギー消費を半減にする技術

 今週号もシリーズである「動き出す未来」を軸に特集を組んだのが『日経ビジネス』。そのタイトルは「エネルギー国富論」だ。3.11以降、原発の停止によって、空前のエネルギー危機に見舞われているが、これを視点を変えて、エネルギーの効率化革命に繋げようというのが同誌の特集の趣旨である。
 よく他誌が取りあげるシェールガスなどのエネルギー革命と違い、何とも地味ではあるが、日本は1970年代に石油ショックがあり、原油価格が8倍になるという危機に直面した経験を持っている。その経験を生かして、当時のようなエネルギー消費の劇的な効率化を図れば、逆にその技術を輸出することで国も栄えるというわけだ。
 実際記事の冒頭ではオムロンの工場が電力消費を前年の半分にしたというケースやリチウムイオン電池をコストが格安になるナトリウムイオン電池に置き換えるトヨタなどの例が紹介されている。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 東南アジアに見る未来

 昨秋中国で勃発した反日暴動以降、チャイナプラスワンの有力候補として東南アジアへの注目度は高まっている。その前からも期待と進出熱は高まりを見せていたわけだが、年末の『日経ビジネス』「沈まぬアジア」特集に続いて、今週の『週刊エコノミスト』でも「沸騰! 東南アジア」と題する特集を組み、経済週刊誌上でも東南アジアの存在感は増している。本文副題の通り、「いま世界が注目する成長センターASEAN」が熱いのだ。
 ASEANに対する日本からの投資は、タイを中心に累積8兆6000万円。実は中国(6兆4600万円)よりも多い。M&A情報の専門誌『マール』編集長・丹羽氏によれば、「これまでASEANは生産拠点という位置づけだったが、これが変わった。販売やサービス・物流を含めた独自ネットワークが必要な業種にまで日本企業が進出している。このため、現地にすでに物流や販売網を持つ企業のM&Aが増えていると考えられる。ASEANの成長を取り込んでいこうという企業の動きは加速するばかりで、円安が進んでもこの流れは変わらない」という。加えてアジア開発銀行による「大メコン圏(GMS)構想」がこの地域のインフラ整備をさらに推進するだろう。
 特集では、『週刊エコノミスト』得意の専門家によるASEAN各国分析を中心に、ASEANの歴史も亜細亜大学アジア研究所・石川幸一教授によって解説されている。


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