今週の第1位は『日経ビジネス』・・・黒霧島5000日戦争

日経ビジネス ... 黒霧島5000日戦争
週刊東洋経済 ... 中国暗転
週刊ダイヤモンド ... 「宗教」を学ぶ
週刊エコノミスト ... 世界低成長の異常

 今週の注目は全経済誌そろって「日銀の追加緩和」を取りあげたことでしょう。大特集にした雑誌はありませんでしたが、全誌が緊急特集的な扱いで取りあげています。そんななか、ユニークな特集を組んだのが『日経ビジネス』です。なんと、焼酎の大メーカーとなった「黒霧島」の霧島酒造を取りあげ、どのようにしてデフレ下で売上を急増させ、一地域ブランドを全国ブランドにしたかを紹介しています。これが今週の第1位です。
『週刊東洋経済』は巻頭にたくさんの特別企画やレポートを掲載していますが、今号も「孫正義の挫折と逆襲」といった企画を入れています。いつまで続くか、楽しみです。で、特集は「中国」です。高成長の終わりと日本企業の商機について取りあげています。これが第2位です。
 第3位は『週刊ダイヤモンド』です。同誌も通常とはちょっと変わって、「宗教問題」を真正面から取りあげました。イスラム国の存在が象徴するように、いまや世界全体に大きく関わりが生じているこの問題。この種のテーマも今やビジネスマンにとっては欠くことのできないテーマであるとのメッセージなのでしょう。
 そして、第4位は世界の低成長の異常を特集した『週刊エコノミスト』です。「黒田ショック」を取りあげた巻頭特集と併せて読むのがいいでしょうね。

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第1位
■日経ビジネス■ <<< 実は日本全国どこでも買える焼酎は少ない

 1990年代以降のデフレ下で最も事業拡大に成功した最強の国内製造業は?・・・その一つは、霧島酒造株式会社!が正解! いまや日本中の居酒屋で手にすることができるようになった芋焼酎「黒霧島」の製造元だ。癖のない焼酎初心者も美味しく飲める芋焼酎なのである。今週の『日経ビジネス』が「記録ずくめの最強メーカー 黒霧島の5000日戦争」として「老舗蔵元の『反常識』経営」を特集した。2週前の『週刊ダイヤモンド』の酒特集に続き、酒ビジネスが熱い。
 この会社、大正5年に創業し、以来80年の間、宮崎県の中だけで商売をしてきたという。そのため70年代の焼酎ブームにも80年代の焼酎ブームにも乗っていない。「いいモノだけを造る」信念の頑固一徹な二代目が急逝し、1996年に40代の2人の兄弟が社長と専務として後を継いだところから霧島酒造の5000日戦争が始まった。2人が継いだ時、販促もマーケティングもしていなかった霧島酒造は、頼みの県内の市場の盤石さも失いつつあった。彼らがとった戦略は「県外市場でも勝てる新商品づくりに経営資源を集中させる」ことだったという。
 特集では、黒霧島の全奇跡をストーリー仕立てで振り返り、「全国制覇を支えた戦術」として、戦略立案、商品開発、営業販売、生産体制、設備投資を掘り下げる。今夜は芋焼酎が飲みたくなるような特集だった。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  中国はいま「ニューノーマル」

 中国に関する特集は2週前の『週刊エコノミスト』による「中国大減速」に続くものだ。『週刊東洋経済』のタイトルは「中国暗転 高成長の終わりと日本企業の商機」。成長が鈍化する中国経済の分析と、日本企業がいま何をするべきかを探る。
 リーマン・ショック後、「ニューノーマル」という言葉が登場したが、いまの習近平中国の経済を表わす言葉としてこの「ニューノーマル=新常態」が復活したようだ。これまでのような高成長と決別し、中国の市場としての価値を高め、過剰投資や産業構造のゆがみを是正してゆく。習近平主席による大々的な反腐敗キャンペーンもその一つ。習主席の豪腕指導者ぶりが国民意識の変革を促す。
 特集では「アリババだけじゃない! 世界が認めた中国の成長企業」、「新常態」時代に伸びる企業を探る「中国民営企業ランキング(注目業界トップ10)」と、中国ビジネスに関わる方がチェックしておきたい記事も多そうだ。また、2005年の進出以来苦戦してきたシンプル路線の「無印良品」が近年ウケているらしい。2013年で100店舗を超えたという。無印良品の大攻勢は中国市場の成熟を示すものだろう。


第3位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<<  経済の裏の宗教

 連日メディアをにぎわす国際ニュース。この背景にはたいて宗教の存在がある。「世界は宗教を中心に動いている」。無宗教国家である日本人にはこれがなかなかピンとこない。現代社会・経済を読み解く鍵として欠かせない世界の宗教問題を『週刊ダイヤモンド』が今週第1特集で取り組む。題して「ビジネスマンの必須教養『宗教』を学ぶ」だ。
 まず元外務省国際情報局主任分析官だった佐藤優氏による「生きている宗教」の基礎知識から。イスラム教ハンバリー派=イスラム原理主義の歴史を受け継ぐイスラム国、米国(ピューリタン)とイスラエル(ユダヤ教)が共有する「選民思想」、カトリックとプロテスタントが生む欧州南北問題、そして中国政府の宗教観と、現代の政治・経済・社会を読み解く4つの鍵を提示する。これは読んでおくべき。国内の新聞には出てこないイスラム教「ハンバリー派」や、米国プロテスタントの一派「ユニテリアン」的な思想への言及は、私の勉強不足を補強してくれた。
 第2特集は「メキシコ大躍進」。麻薬組織にからむ非道な事件報道があったばかりだが、タイを超える自動車生産拠点として注目されている。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 黒田腕力緩和の行方

「日銀追加緩和の限界(週刊ダイヤモンド)」「日銀追加緩和サプライズ(週刊東洋経済)」「黒田ショック 奇襲緩和の限界(週刊エコノミスト)」「日銀緩和、官邸もサプライズ(日経ビジネス)」と、4誌ともに黒田日銀総裁のハロウィン緩和をぶち込んできた。なかでも第1特集扱いとしたのは『週刊エコノミスト』だ。表紙にデカデカと「黒田ショック」の文字が踊る。経済誌の懸念をよそに、方々でバブルへの期待が沸々とするのを感じる。実体経済はいまのところ、「世界低成長の『異常』」であるにもかかわらず。そんなわけで、『週刊エコノミスト』の今週の特集は表紙では小さい扱いとなったこの「世界低成長の『異常』」だ。
 景気停滞と金融バブルが共存する世界経済。その状況を『週刊エコノミスト』は「世界低成長の『異常』」と表現した。前日銀副総裁・西村清彦東京大学教授が指摘する「複合危機」が先進国を中心に生じている。その中身は①金融仲介機能の低下と中産階級層への打撃、②ICT(情報通信技術)の進歩、③人口構成の変化だ。米国も欧州も日本も、中間層が脱落して消費が減退。個人消費の主役が先進国から消滅しつつあるような状況だ。


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