2016年12月31日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・2017 総予測


週刊ダイヤモンド ... 2017 総予測
週刊東洋経済 ... 2017 大予測
週刊エコノミスト ... 世界経済総予測 2017
日経ビジネス ... 私の経営リレー論 次の次まで考えろ

 年末です。というか本日は大晦日です。今年もお世話になりました、というのは私からのメッセージではなく、雑誌はおおよそその種のメッセージを年末の特大号に込めます。
 経済誌もその例に漏れず、恒例企画が目白押しとなります。そのなかで2大老舗経済誌である『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』は恒例の「総予測」ものを特集しました。
 中でも『週刊ダイヤモンド』は特集だけで174ページのボリュームと、丸ごと1冊特集で埋め尽くした読み応えがある1冊でした。これが今週の第1位です。
 第2位はやはり「予測もの」を組んだ『週刊東洋経済』です。内容が充実している点においては間違いありませんが、ボリューム感と作り方で2位となりました。でも両方を読むことをお勧めします。
 第3位の『週刊エコノミスト』は2号前から総予測ものを続けていて、今号は「世界経済の総予測」に絞った特集です。同誌は雑誌そのもののボリュームが少ないこともあり、致し方ありません。
『日経ビジネス』は経営者のバトンタッチのタイミングはどうあるべきかを検証した特集ですが、ちょっと地味すぎる特集のような気がしました。


  <第1位>        <第2位>       <第3位>       <第4位>


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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<<  174ページ+付録の豪華特集

 この時期は世の中の週刊誌はどれもが合併号となり、経済誌もいわゆる恒例企画が目白押しとなる。今週は『週刊ダイヤモンド』が「2017 総予測」、『週刊東洋経済』が「2017 大予測」と言うわけだ。総予測と大予測では何が違うのかと言うような野暮は必要ない。細かく言えば中身は違うが本質的には一緒である。私は両方読むことをお勧めする。
 その中で差を見つけるとすると、『週刊ダイヤモンド』が特集タイトル通りに「予測」を律儀に守っているところだろうか。読んでいて分かるのだが、各項目の記事のタイトルが予測の結果を表していて、それが分かりやすさとなっている。同誌のページ数にも注目したい。174ページと言うボリュームで、かつ、綴じ込み付録として「明治維新150年 学び直し日本近代」がついているのだ。このボリュームは相当なものだ。
 同誌の内容で他誌と違う点で注目したいのは「働き方」で一項目立てているところ。14ページを費やして、まず政府の政策、前厚労事務次官村木厚子氏へのインタビュー、そして長時間労働、過労死をはじめとした今年話題の言葉が次々と並び、蓮舫民進党代表のインタビューと上場企業の女性役員らの「働き方」まで紹介されている。
 

第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  来年のガイド役になる特集

一方の『週刊東洋経済』だが、総ページ数は142ページと『週刊ダイヤモンド』よりはボリューム感に欠けるものの充実したないようであることには違いない。
 その特集「2017 大予測」だが、冒頭に2017年の総論としての予測がなされ、そのなかで「私たちは道なき道に足を踏み入れる」と言う見出しで世界も日本も後戻りできない道に足を踏み入れていることを強調し、この特集をそのためのシェルパ(ガイド役)であると位置づけているところがいかにも同誌らしい。
 続けていわゆるビッグ・インタビュー企画を並べる。小池百合子氏、カルロス・ゴーン氏、栗山英樹氏,ジャック・アタリ氏と続き、『週刊ダイヤモンド』にもインタビューは多くあるものの、それより踏み込んだ感じはある。
 そして世界はどう動いていくか「混沌へと向かう未来」を描いている。それなりにまとまった企画である。


第3位
週刊エコノミスト■ <<< 世界は不透明感に満ち満ちている

『週刊東洋経済』の特集、特に世界経済の内容に近い企画が『週刊エコノミスト』の特集「世界経済総予測 2017」だろう。トランプ氏の米大統領就任から始まる来年一年の現象を「不確実性の高まる1年」になると予測しているのだ。
 2017年は欧州でオランダ、ドイツなどの総選挙、フランスの大統領選など大きな選挙が多く、いずれも保護主義を標榜する反体制派の躍進が予想されていることから不透明感はますます高まっていくだろう。
 こうした世界の一連の動きを地域と国別に分け、この1年を予測しているので、関係が深い国の動向を掴んでおきたいいいだろう。
 それに加えて「あまちゃん」で一躍スターダムにのし上がり、しかしその後萎んでしまった女優ののん(能年玲奈)のインタビューが掲載されている。最近のヒットアニメ映画「この世界の片隅に」に主演して再び注目を集めている女優の話が面白い。


第4位
■ 日経ビジネス■ <<<  次の次の経営者を決めるのは誰だ

 こうした中で『日経ビジネス』は,相変わらず独自路線の特集を組んでいる。前週の「次代を創る100人」はいい企画だったが今週の企画は地味である。少なくとも合併号の感覚ではない。2号分作りましたと言う感覚ではないのだ。
 ま、それはともかく今週号の特集タイトルは「私の経営リレー論 次の次まで考えろ」というもので、編集会議で周知を合わせ「どうしたら読者に受け入れられるだろう」と絞り出したタイトルではないような気がする。
 内容は日本のトップ企業57社、過去30年の社長交代のデータを分析し、どういうタイミングでバトンタッチをするのが「企業価値を伸ばす」のに適していたかを検証している企画である。
 経営者のバトンタッチの難しさはセブン&アイホールディングスの一件をとってもよく分かるが、しかし正答はないだけに難しいテーマなのだろう。タイトルに「次の次まで考えろ」と言う結論を入れたのが、その難しさをいみじくも物語っている。
 それにしてもあまりに当たり前のタイトルで正直「つまらない」。

2016年12月22日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・次代を創る100人 2017


日経ビジネス ... 次代を創る100人 2017
週刊東洋経済 ... ビジネスマンのための近現代史
週刊ダイヤモンド ... 知らなきゃ損する夫婦の法律相談
週刊エコノミスト ... 日本経済総予測2017

 この時期の週刊誌は忙しいものです。年末年始は休みとなるため、通常の進行ができず、合併号もその次の年明け第1号も年内に作らなければなりません。しかも特大号なのでページ数も多く、それらしい企画にしなければなんとなく読者も納得しないものです。
 特大号(合併号)の本命は来週ですが、先陣を切って『日経ビジネス』が「次代を創る100人」と言う人もの特集を組みました。2017年注目の100人と言うわけです。日本人だけでなく外国人も多く99番目が安倍晋三首相、100番目がドナルド・トランプ次期米大統領となっています。それぞれの人物をゆかりのある有名人が評している形で面白さは膨らみます。今週の第1位はこれですね。
 第2位はと言うと『週刊東洋経済』です。特集は同誌得意の歴史物で、「近現代史」をビジネスマン向けに解説しています。ナショナリズム、ポピュリズムの台頭、あるいは保護主義と言葉は違えど、今の世界の動きのなかに共通するものの正体を見極めようと言うのが狙いです。お勉強もの好き、現代史好きにはいい企画でしょう。
『週刊ダイヤモンド』は「夫婦の法律相談」と言う企画です。社会の最小単位である家族の法律にまつわる事柄を解決策付きであまねく紹介しています。これが第3位です。
『週刊エコノミスト』の特集は年末恒例企画の1つである「経済予測」です。来週は他誌も同じような企画になるのでしょうね。


  <第1位>        <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 日経ビジネス■ <<< エネルギーのある人100人

 雑誌は年末に恒例特集を組む。経済誌がよく企画するのは「来年の予測もの」である。この中で『日経ビジネス』のみが、毎年予測ものではない特集を組んでいる。今年もその例に漏れず、ちょっと面白い特集を組んできた。それが「次代を創る100人」と言う特集である。
 今年はイギリスのEU離脱、韓国の大統領問題、そしてトランプショックなど様々な事件が世界に混沌をもたらした年だった。正念場を迎えた世界の不安を希望に変えられるのは、人のエネルギーしかない、と巻頭のリードで謳っている通り、希望のもてそうな100人をいろいろなカテゴリー別にピックアップした。ただし、このカテゴリーはちょっと分かりにくい。
 例えば、こんな具合だ。
「天才」「技術者」「冒険者」「挑戦者」「女城主」「再挑戦者」「二刀流」「クリエイター」である。分かるものとそうでないものがある。「女城主」は主に女優や女性起業家で、もちろん来年の大河ドラマのタイトルにちなんでのものだ。「二刀流」は異なる二つの肩書きを持つ人物がピックアップされている。
 これらの中でピックアップされた人物のコメントを書いているのが、また別の有名人である。例えば、羽生善治についてコメントするのは鈴木敏文、本田圭祐は池上彰と言う具合。こうしたコメンテーターも多士済々でお笑いのダンディ坂野まで登場する。その人との関係を想像すると言う意味ではコメンテーターの名前も目次に入れてほしかった。いずれにしても選び抜かれた100人の「2017年を動かす人物」を、これまた著名な100人がコメントすると言うのは、何というか「お読み得」なんだろうな。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  グローバル化が生んだ新帝国主義

 英国のEU離脱決定に米国大統領選でのトランプ大統領候補の勝利。さらに欧州各国で存在感を増す大衆迎合のポピュリズム政党。後の時代から見た2016年はもしかしたら歴史の転換点だったのかもしれない。『週刊東洋経済』はこうした一連の動きを近現代史の視点から取りあげ特集に仕立て上げた。題して「ビジネスマンの近現代史」である。
 実際世界全体の動きとして、政治家達はグローバル化の弊害を訴え始めている。それはあたかも第二次世界大戦前に保護主義の動きが台頭してきた当時を彷彿とさせる。これらの時代の動きの末にどのような世の中になるのか、世界史を読み解きながら現代への教訓を探ろうというわけだ。
 読み解き自体はある意味で単純だ。近年進行しているグローバル化に対しての反動ともとれる帝国主義的傾向を「新帝国主義」と同誌はまず定義する。先の米大統領選で「米国第一」を唱えて当選したトランプ次期大統領はそのいい例と言うわけだ。冒頭に上げた出来事の裏にはこの「新帝国主義」が存在する。ではこれはなぜ生まれてきたのか。そこでスポットを当てたのが民族である。そもそも近代国家の地盤には民族が主体となっている。ところがソ連崩壊から始まった新自由主義の蔓延によって世界のグローバル化が進み、一人一人が原子的な個体に分解されるようになった。つまり新帝国主義とはこうした事象に対しての激しい抵抗なのだ。面白いのはグローバル化が蔓延することで抑圧されてきたこの民族意識が、やはりグローバル化によってもたらされたインターネット等のツールを最大限に利用し、逆流して発生したという点である。果たしてグローバル化の功罪は?


第3位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 夫婦の間だけでないトラブル解決法

 今週号の『週刊ダイヤモンド』の特集は「知らなきゃ損する 夫婦の法律相談」である.この特集にピンと来ない人はもちろんいるだろうが、経済誌がこうした特集を組むと言うことは、相当悩んでいる人が多いのだろうということだ。  
 実際、2006年に解説された日本司法支援センター(法テラス)にはこの10年で300万件以上の相談が寄せられており、法律相談のポータルサイト「弁護士ドットコム」にも05年設立以来140万件超の相談が寄せられているのだとか、すべてが夫婦のトラブルではないものの、読み進めていくとわれわれの周りのトラブルの多くは夫婦で解決しなければならないものか、または夫婦をはじめとする親族間の争いによるものだと言うことが分かって来る。
 あるなあ。
 ママ友同士の金の貸し借り、欠陥住宅、騒音問題、自治会への加入、家賃、公園での子どもの怪我、子どもへのイジメ......。夫婦の法律相談と言えば、離婚問題と相続問題かと考えていた人には思わぬ役に立つ特集かもしれない。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 来年は消費が好調になる?

 年末恒例企画で押してきたのは『週刊エコノミスト』である。タイトルは「日本経済総予測2017」。毎年同じ企画ではあるが、その年々で打ち出し方も違う。今回(つまり来年)のそれはトランプノミクスの影響だろう、同誌の冒頭の記事もそのことから入っている。野村証券グループが12月の13〜14日に開いた資産運用フェアには2012年以降過去最高となる約1万4300人が訪れたと報じている。
 大規模なインフラ投資や大型減税を行なうだろうと予測されるトランプ次期大統領に対する期待感の表れと言うことなのだろう。実際トランプ相場で株価は上昇しており、2万円台にもあと僅か。14日には米連邦準備制度理事会が1年ぶりの利上げを決めたこともあって、およそ10ヵ月ぶりの円安水準となっている。
 ずっと読み進めていくと、割に景気の良い言葉が並んでいると感じさせられる。例えば「内需」の項では<補正予算と五輪で公共投資増 節約疲れで消費改善へ>と消費は上向く見通しを掲げているのだ。
 こうした経済予測とは別に同誌は産業がどのように推移していくかも取りあげている.そのキーワードはシェアリングエコノミーとロボットと言うことになるようだ。シェアリングエコノミーは日本の婆アイいろいろな規制がありなかなか広まらないと言われているが、しかし、タクシーのシェアができないならお店の配達を登録した配達員が届けると言うような新たなサービスも生まれているようだ。
 ま、来週には『週刊エコノミスト』や『週刊東洋経済』も同様の特集を組んで来るだろうから読み比べも一興ではある。

2016年12月14日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・労基署が狙う


週刊ダイヤモンド ... 労基署が狙う
日経ビジネス ... 謝罪の流儀
週刊エコノミスト ... 粉飾 ダマし方見抜き方
週刊東洋経済 ... 三菱商事VS伊藤忠

 電通の長時間労働事件だけの問題でなく、今労働基準監督署はあらゆる分野の長時間労働の是正に最大限の注意を払っているそうです。それも特に今まで目を向けられていなかった分野。つまりエリートと呼ばれるホワイトカラー層の分野だそうです。投資銀行やコンサルタント、アナリストに公認会計士、はたまたマスコミと、言わずもがなの長時間労働が横行している業種への目が厳しくなっているのだとか。これを取りあげたのは『週刊ダイヤモンド』です。どんな「目」かは特集を読んでいただくとして、これは一読をお勧めします。と言うことで今週の第1位です。
 次に面白かったのは『日経ビジネス』で、テーマは「謝罪=不祥事」。不祥事が起こると企業は謝罪をしますが、その仕方でその企業に対する世間の目は辛辣にも温かくもなると言うお話です。実際最近ではネットで炎上した事件がテレビに取り上げられ、世界的に問題になるような事件もあります。事件が起きたときの対応と謝り方は決して間違えてはならないことだと言えます。これが第2位。
『週刊エコノミスト』は企業の粉飾の問題を特集しました。粉飾が普通の人に見分けられるかはともかく2011年のオリンパス事件や昨年の東芝事件などから、どうやって粉飾をしたか、またどうやって見抜くかを記事で掘り下げています。
 第4位の『週刊東洋経済』は商社の現在の2強と言われる三菱商事と伊藤忠商事の特集です。


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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 「かとく」のターゲットはエリート層

 通称「かとく」と言うのだそうだ。正式名称は「過重労働撲滅特別対策班」。つまり長時間労働の特捜部隊と言うわけだ。なにも長時間労働で労働基準監督署から睨まれているのは電通だけではない。昨今は大手企業のホワイトカラーがどうやら「かとく」の重点ターゲットとなっている。
 今週の『週刊ダイヤモンド』は「労基署が狙う」と題して、エリートと言われる業界の長時間労働を重点的に取り締まりはじめた動向を"労基署ショック"として取り上げた。
 これまで労基署の重点ターゲットといえば、建設現場やトラックの運転手といったブルーカラーが主だった。しかし、これらの業界は働き方改革や過労死防止法の施行、裁量労働制の緩和に向けた動きなど、長時間労働の是正の機運が高まっている。
 そこでというわけではないが新しいターゲットとしてホワイトカラーの特にエリート業界にターゲットが拡大したというわけである。投資銀行マン、コンサルタント、アナリストや研究員、公認会計士、新聞記者といった、深夜労働が当たり前だった職業が労基署から狙われているようだ。この取組み自体は正しいが、長時間労働に依存したビジネスモデルで成り立っている業界もあり、過渡期のジレンマは大きそうだ。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< 企業の不祥事、加速的急増中

 この近年「謝罪」が企業社会を覆っている。謝罪=不祥事というコンテクストで言えば、それだけ不祥事が多いとも言える。しかし、最近の不祥事は予期せぬことが発端となって起こるのも特徴で、それだけ企業も難しい対応を迫られることにもなる。
 こうした最近の不祥事=謝罪の動向にスポットを当てたのが『日経ビジネス』である。特集のタイトルである「謝罪の流儀」よりも、サブタイトルの<一夜明ければ社会の敵に>の方が、より実態を表している。
 同誌の特集は謝罪カレンダーから始まるが9月の電通の項は、「デジタル広告で広告主に対して過剰請求や虚偽の報告をしていた」件で、その後長時間労働による裁判所の裁定が出た問題もあり、電通にとっては大変な1年だったことを思い出すことになった。それにしても巨人の賭博、軽井沢のバス事故、三菱自、スズキの燃費不正問題、東京都の盛り土問題など、確かに枚挙にいとまがない。
 そんな中で同誌が冒頭に取りあげたのが福岡市の陥没事故問題で、その対応の素早さと情報の提供の仕方など、なぜうまく乗り越えることができたのかを分析している。同誌の特集の要点はズバリ「ネット上での拡散」。PCデポベッキーも北九州のスペースワールドでの魚の氷漬け事件も、ネットの、炎上とテレビでの拡散が相乗要因となったとしている。さらに同誌が取りあげたのが「内部告発」、そして「口だけ謝罪」の危険性など。読者が思わず頷く内容である。一歩対処を間違うと大変な事態に陥るという意味で難しい時代にはなった。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 騙し、騙される裏にある企業風土

 オリンパスの不正決算が発覚したのは2011年、東芝の粉飾決算は2015年であり、どちらも記憶に新しい。日本の上場企業の粉飾決算はこうした大きな問題が起きてもなかなかなくならない。今年1〜10月に開示された不適切会計・経理の件数は49件と過去最多であったという。不正会計や製品のデータ偽造など、劣化する日本企業の粉飾を見抜く視点はないものか。
『週刊エコノミスト』はそうした視点に立ち「粉飾 ダマし方見抜き方」と題して特集した。企業会計のスペシャリスト会計士らによる数字の見方や、監査の精度向上に期待されるAIの活用など紹介する。
 この特集を読めば、会計士ですら見抜けない事例も多々あることがわかる。個人も含めた投資家は金融や財務に関するリテラシーを高めるのはもちろんだが、われわれ一般人は、粉飾につながるダメな経営者・企業風土を感じる感性を磨くことこそ重要と思った次第。
 オリンパス事件で社長を解任されたマイケル・ウッドワード氏のインタビューを取ったことは評価できる。氏は「どんなに規制を設けても企業文化の風土が変わらないとダメ」と説く。当たり前のことではあるのだが。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<<  商社2強時代の勝者

 総合商社の2強と言えば、三菱商事と三井物産。これまではそれが常識だった。しかし、いまや三菱商事と伊藤忠商事が"新2強"として君臨している。勢力図は塗り変わったのだ。
「長年変わらないままであった財閥系商社優位の地図を塗り替え、新たに伊藤忠、三菱の商社2強時代が始まっています」とは、当のご本人、伸ばしてきた伊藤忠・岡藤社長の言葉だ。なぜいまこの2社が強いのか? 
 今週の『週刊東洋経済』がその構造を解き明かす。タイトルはずばり「三菱商事VS伊藤忠」だ。
 特集では、伊藤忠商事・岡藤正広社長、三菱商事・垣内威彦社長へのそれぞれ4ページにわたるインタビューを掲載。それぞれの戦略や5大商社の未来を大胆予測する。
 また、主力の戦場であるコンビニ業界での両社の帰趨。また大同団結に動いている建設資材分野での動向など、あらゆる分野に手を広げている商社であるが故に、「競合」という観点からも興味深い分野が目白押しである。

2016年12月 7日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・情報の裏側


週刊東洋経済 ... ググるだけではカモられる 情報の裏側
日経ビジネス ... おのれ!間接部門 彼らが仕事を"邪魔"する理由
週刊エコノミスト ... 息子、娘を守れ! ブラック企業
週刊ダイヤモンド ... 商社の英語 門外不出のサバイバル習得法


 みんながなんとなく感じていることですが、「ネットに氾濫する情報は危ない」。しかし何かそれに対して自分で対処しているかと問われれば、多くの人が「いいえ」と答えるでしょう。今週の『週刊東洋経済』はますます世の中に溢れるようになった情報の問題を扱います。トランプ勝利を読めなかったマスコミ、SNSで拡散する偽情報と「いいね」、そしてスクープされたDeNAのキュレーションサイトの信憑性の危うさなど、情報が満載です。これは考えさせられることばかりで、今週の1位は『週刊東洋経済』で決まりです。
『日経ビジネス』の特集は間接部門を扱ったものです。電通の過労死事件に代表される労働の長時間化の背景にはもう一つの見方があるとして、間接部門が自らの存在意義のためにつくりだすさまざまな「仕事」があるのではないかという問題提起をしています。なるほどそういう視点はあまり意識していませんでしたが、そういう側面がないとも言えません.新しい視点の問題提起に敬意を表してこれが今週の第2位です。
 同じ「長時間労働問題」でもストレートに扱ったのが『週刊エコノミスト』の特集で、これは働き方に絞ってどうすれば働き方改革はできるのか、どういう手法があるかを考えています。
 さて、『週刊ダイヤモンド』はときどきテーマに取りあげる「英語もの」ですが、今回の切り口は「商社の英語」。世界で活躍する商社マンはいかにして英語を勉強したか。でもそれほど斬新な提案はないような気がしました。


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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<<  情報でカモられないためのスキル

 新聞や雑誌、本をたくさん読んできたアナログ世代である自分も、目に触れた知らない言葉や不確かな記憶を確かめようと一日に何度もググる。スマホの登場以来、情報収集環境はガラリと変わり、受け取るネット情報も玉石混淆きわまりなく、ネットリテラシーの育成はいまや学校教育の一大課題の1つなのでは? とも思う。
 今週の『週刊東洋経済』は、「ググるだけではカモられる 情報の裏側」と題して、ネット情報の荒波を泳ぎ「不適切な情報操作」から身を守るスキルを特集する。
 グーグル検索で常に上位にくるDeNAが運営する健康・医療情報のまとめサイト「WELQ」が、掲載記事の信頼性に問題があったとして公開を停止した。トランプ氏や米大統領選に関するFacebookの偽ニュースサイト問題も記憶に新しい。検索上位にくる情報、大量のフォロワーを抱えるインスタグラムやツイッター、カカクコムやグルメサイトのレビュー、これらは信用できるのか? 現状を俯瞰すると同時に、情報賢者の対策を紹介する。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< 無理に仕事を創り出す間接部門!?

 学校では報告書などの「雑務」が教師の時間を奪っているという。それと同じようなことが企業でも加速し、間接部門が"モンスター化"したとまで言う直接部門のビジネスマンもいる。「頼むから仕事に集中させて」そんな不満を持つ社員が増えている。
 今週の『日経ビジネス』が「おのれ!間接部門 彼らが仕事を"邪魔"する理由」と題して特集した。
 総務・法務・人事・経理といった間接部門は会社がきちんと回っていくために必要不可欠な存在。しかし、実情に合わないルールを導入する、形骸化した古い仕組みに固執するなど、営業や開発といった直接部門から見たら「存在意義を示すために無理に仕事を作っているのでは?」としか思えないケースも発生している。直接部門と間接部門の不協和音という"古くて新しい"課題が、いま再び蒸し返されている背景は何か?


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 働き方改革は成功するのか

 2015年末、電通の女性新入社員が過労自殺した問題は、今年大きくクローズアップされ、長時間労働を許容し続けてきた日本の企業体質に一石を投じたかたちとなった。電通では過去にも入社2年目社員が過労自殺するなどもあり、繰り返し超時間労働の是正を求める勧告を労働基準監督署などから受けて来た。今回、「自浄能力なし」との判断により本社と3支社が労働基準法違反容疑で家宅捜索されるに至ったのだという。
 今週の『週刊エコノミスト』は、「息子、娘を守れ! ブラック企業」と題して、経営側からそして労働者側からの真の「働き方改革」を問う。『男性漂流〜男たちは何におびえているのか』などの著者で、十数年にわたり20代前半から60代後半の男性300人以上に継続取材を続けてきたジャーナリスト・奥田祥子氏、自称働き方評論家で千葉商科大学専任講師・常見陽平氏、この2人の担当記事が、働く側と経営側の問題点をえぐり、面白かった。


第4位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< この英語習得なら、自分にもできる!?

 今も昔も商社マンの常識は「英語がデキない商社マンは人間以下」と言われるそうだ。しかしその実、6大商社の内4つの商社については採用の段階で語学スキルを考慮していないことも分かっている。就職活動で測られる英語力の基準となるTOEICのスコアは言うなれば身長や体重といった"ガタイ"。商社マンに必要なのはビジネスで生きる英語だ。
 というわけで、商社マンの英語習得法には多くの人が悩む英語習得術のヒントになるものがある、と踏んだのだろう。『週刊ダイヤモンド』は今後で「商社の英語」という特集を組んだ。彼らに学ぼうというわけだ。
 そもそも我らは日本人。はじめから英語がぺらぺらだった人間は少なく、多くは努力の末に英語を習得している。商社マンが学んだ「ビジネスで生きる英語」とはなにか、その習得法とは? 同誌は50人の商社マンにアンケートを取り、英語習得にかけたコストやその習得法をまねしやすいかの難易度、実際にどれほど英語力が上がったか等をグラフにまとめた。企業ごと、年代ごとに特色はあるが、全体的に一定の傾向を見いだす事ができる。例えば英語初級者程短期集中の講座や勉強で力をつけていたり、コストをかける事に躊躇していない人が多いなどはその顕著な例。
 それなら自分にでもできそうだ、と思った人はぜひ一読をお勧めする。