2016年9月 3日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・金融エリートの没落


週刊ダイヤモンド ... 金融エリートの没落
日経ビジネス ... 今こそ 明るい未来予測
週刊東洋経済 ... 不滅のリーダー 松下幸之助
週刊エコノミスト ... マーケット怪奇現象


 学生たちの間で相変らず根強い人気のある金融機関ですが、今週の『週刊ダイヤモンド』はそんな傾向に水を差すような特集を組みました。学生の人気企業と実際の経営の強さとはまったく別物だと言うことは当たり前です。それでも、金融機関には安定性があり、多くの学生たちが志望します。でも現在においても、また将来的に見ても金融機関はあまりおすすめの業界ではないと言うこの企画はわかっていた「当たり前の予測」を露わにしてくれました。そういう意味で今週の第1位です。
『日経ビジネス』は現代社会が抱える多くの不確定、不安定な要素の下でも考え方や戦略一つで成功できるというケーススタディを集めた特集を組みました。面白いベンチャー企業の例がいくつかありました。
 経営の神さま松下幸之助で特集を組んだのは『週刊東洋経済』です。幸之助だけでなく、よく出てくるのは他に稲盛和夫と言う場合もありますが、こうした経営者(あるいは経営)論はたまに読むと面白いですね。
『週刊エコノミスト』はマイナス金利下で起きている様々な現象をマーケット怪奇現象と名付け、それを特集しました。ちょっとタイトルに無理があった? かな。

  <第1位>        <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 昔エリート、今は?

 就職人気ランキングと言う恒例の企画がある。いろいろなところが出しているが、共通しているのは人気ベスト10に金融業界が多いという点だ。
 なぜか? 「給料が高い」「銀行に入れば安泰」といったイメージがあるからだ。しかし、それは最早幻想であるというのが、今週の『週刊ダイヤモンド』だ。特集タイトルは「金融エリートの没落」。確かに、メガバンク、外資系投資銀行、大手証券。これらはかねてから金融業界のエリートと呼ばれてきた。だが、マイナス金利の導入や相場の低迷によって本業が崩壊、混乱し、しかもフィンテックを筆頭とした金融とテクノロジーの融合に選って既存の金融機関の存在自体が脅かされつつもある。はたして金融エリート達の行く末とは。
 金融エリートと言う言葉、それは最早幻想であると同誌は主張するのだ。実際にいろいろなデータがその実態を教えてくれる。給料はリーマンショックでガタ落ちして以降戻っていない。世界の企業時価総額ランキングでも圏外へと落ちている。かつての銀行のイメージである大きな社会的な地位も、カネ余りの今の時代ではむしろ営業をする側であり、また国民の怒りや不満のはけ口にもされがちであり社会的な地位は低下していると言える。
 そして最も影響が大きくのしかかるのはマイナス金利の導入である。既に預金金利が下限いっぱいだったにも関わらず、貸出金利の底が抜けたため、利ざやは減る一方。頼みの綱の手数料収益も、金融庁が監視を強化したため思う様には伸びていない。収益が出ず、お手上げ状態の銀行を同誌が描き出す。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< 悪条件にめげない

 VUCAの時代と言われて久しい気にさえなるが、われわれを取り巻く環境は一向に好転しない。と言うよりは、こうした人口減少、市場成熟、財政悪化、デフレ未脱却に地方衰退等、不安な未来を示唆する要素はますます累積的に増えている気に冴えさせられる現在だ。だが、こんな状況であっても「明るい未来」を予測する専門家や経営者は存在する。と言う理屈の下に今週の『日経ビジネス』が描き出したのは「明るい未来」である。特集タイトルは「今こそ 明るい未来予測」。
 同誌はまず、いろいろな困難な状況に対して「一発逆転シナリオ」を描き、他社が思いもつかない大胆戦略に乗り出している企業を取材する。
 最初のケーススタディは日本のベンチャー企業の例。世界の貧困ランキング13位に入るアフリカ中南部の秘境国ザンビアに乗り込み、国内物流網の整備を請け負おうとしているエアロセンスというベンチャーがそれだ。彼らはまともな道路も整備されていないこの国で、ドローンを用いて物流網を構築しようとしている。治安や政治、衛生、経済等あらゆる面で不安定であり、一般的には中長期的な発展は望めないと思われるこの国の経済を、画期的な空中物流網で活性化させ、それを軸に国の急成長を見通すのだという。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<<  神さま、仏さま、幸之助さま

 困ったときの神頼みと言うわけでもないだろうが、ときどきこんな特集が経済誌を飾る。それが『週刊東洋経済』の今週号だ。特集タイトルは「不滅のリーダー 松下幸之助」。
 ただし、内容は、べつに目新しいものではない。松下語録がある。「経営は当たり前が難しい」「世間は自分より正しい」「素直な人は成長する」など、当たり前の言葉が心を打つのは幸之助がパナソニックという世界的な企業を一代で育て上げたからに他ならない。そしてこの語録や幸之助哲学に心酔した経営者の「どこに惹かれたか」という項。幸之助の教え子とも言うべきパナソニックの元経営者たちが語る幸之助像。そして、松下政経塾にPHP研究所。
 有名な水道哲学の解説、事業部制を初めて敷いたその歴史も簡潔にまとめられ、紹介されている。
 松下幸之助をもう一度見直す、あるいは幸之助を知らない世代の人も多い現代にはたまにはこの種の特集はいいのかもしれない。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  マーケットの怖〜いお話?

 現在の市場にはいろいろな怪奇的現象が多く存在するのだという。そんな現象を一つひとつ取りあげて解説するのが今週の『週刊エコノミスト』である。特集のタイトルは「マーケット怪奇現象」。多少おどろおどろしいが、表紙には8つの怪奇現象と4つのマーケットの裏側を解説している旨が書かれている。
 背景となるのは今年1月に日銀が決定した「マイナス金利政策」だ。このマイナス金利が打ち出された後、多くの人の予想を裏切って円高が進行した。こうした金融緩和がもたらした異変とはどんなものか、その実態を明らかにしようと同誌は試みる。
 まず怪奇現象の第1弾は「ハイブリッド社債」8月24日ソフトバンクグループが同社としては初めてこのハイブリッド債の発行を発表した。国内で発となる個人向けで利率は年利2.9〜3.1%と高く100万円から買うことができる。既にこうした社債が格付けが低いにも拘らず数時間で売り切れてしまうという実績もあるが、リスクが高いことでも知られ、これがどう推移していくのか大変注目されている。こうした現象を同誌は「怪奇」と名づけたわけだが、まぁ、それほどでもないのではないかという印象もある。