2016年8月23日

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・天皇と憲法


週刊エコノミスト ... 天皇と憲法
日経ビジネス ... 世界を変えるポケモンGO
週刊ダイヤモンド ... 勝者のAI戦略
週刊東洋経済 ... 新・出世の条件


 週刊誌は良くも悪くも「今」を切り取ります。しかし、その「今」にもいろいろな側面があります。8月の「今」を切り取った『週刊エコノミスト』7月の「今」を切り取った『日経ビジネス』。大きな流れの中の「今」を切り取った『週刊ダイヤモンド』。そしてなんとなく「今」を切り取った『週刊東洋経済』。ところが、すぐ今の情報が新鮮だから素晴らしいとは限らないのが雑誌の難しいところで、それに切り口や内容の多様性が絡み合って一つの特集が完成します。ま、当たり前のことですが。
 前口上が長くなりましたが、すぐ前の「今」を特集した『週刊エコノミスト』が取りあげたのは天皇と憲法という重いテーマです。このテーマを経済誌に持ってきたのは英断でしょう。同誌のいいところは、切り口が明確でストレートな点です。それが、いい面に出る時と悪い面に出る時とがありますが、今号はいい面に転んだと思います。今週の第1位はこれです。
 ちょっと前の「今」のテーマであるポケモンGOのビジネスとしての可能性を『日経ビジネス』が取りあげていますが、これもそれなりに読めました。記事の多くは知っていることだけで少々残念でしたが。でも順位をつけるとしたらこれが第2位です。
 第3位は「AI」をテーマに取りあげた『週刊ダイヤモンド』です。AIに本気になってきたトヨタやリクルートがAI開発でいい人材が集まってきているのは日本が世界に先駆けて超高齢化社会が訪れるからで、その実証実験の場として研究者が注目する、ゆえに人が集まると言うのはなんとなくわかります。
 第4位の『週刊東洋経済』は特集がいい時と悪い時のバラツキが最近目立ちます。今週の「新・出世の条件」は悪い方に転んだ?かな。
 前口上の通り情報の新鮮さがすべてではないものの、今週は結果として情報の新鮮さでそのままランクがつくというオチになりました。


  <第1位>        <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  日常的に目を向けていない事柄

 天皇陛下が8月8日にビデオメッセージの形で生前退位のご意向を述べられた。時間にして11分、1800字の文章だった。その文章はお人柄を彷彿とされるよく練られた言葉で多くの人々の心に染み渡ったと思われる。
 この時期に、われわれが考えなければならない生前退位について特集を組んだのは『週刊エコノミスト』である。特集のタイトルは「天皇と憲法」。経済誌が取り組む特集としては少し異質だが、同誌らしさが滲みでているとも言える。さて、その内容だが、第1部は天皇にまつわる事柄、第2部は憲法となっている。第1部ではノンフィクション作家の保坂正康氏、米歴史学者のハーバート・ビックス氏、漫画家の小林よしのり氏などそれぞれが「天皇」についての意見を述べている。同時に、「日本国憲法や皇室典範で天皇はどのように位置づけられているのか」といったそもそも論から82歳の天皇陛下の年間スケジュール表や天皇家の台所事情まで多様に天皇家が描かれている。
 そして第2部の憲法。先の参院選でいわゆる改憲勢力が3分の2以上の議席を獲得したことで、憲法改正に向けた議論が本格化していくと言われているわけだが、全体を通じて「正しい改憲議論」をするための問題点を整理している。その意味で一読しておくといい。特に自民党の「憲法改正草案」について学習院大学大学院教授の青井未帆氏が現憲法と比較しながら指摘する問題点はなかなか読みごたえがあった。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< 人を動かす

 7月22日、「ポケモンGO」が日本に上陸。なかなかアプリをダウンロードできないほどの熱狂的な支持を得て、以来代々木公園や鳥取砂丘など、人が集まり風景が一変した"名所"が全国各地に生まれた。多くのユーザーを外に連れ出す「ポケモンGO」の威力を、今週『日経ビジネス』が特集した。
「ポケモンGO」を支えるインフラは、2013年からサービスを開始した「イングレス」という"陣取りゲーム"が作り出した"資産"を有効活用している。イングレスはポータルと呼ばれる現実世界のあらゆるスポットを奪い合う内容で、実際にその場所へ行かないとゲームに参加できない。世界200カ国、累計1500万ダウンロード、プレーヤー移動距離地球6450周分(2016年1月現在)という人気ゲーム。わがパートナーもプレーヤーの1人で、今もたまにイングレスからミッションが来て街に出る(笑)。初期のイングレスプレーヤーが地道に登録したポータルが、ポケモンGOのポケストップにも使われ、そのおかげで鳥取砂丘はポケストップの名所としても注目されるに至った。このイングレスを開発したナイアンテック社と任天堂、ポケモン、この3社によるプロジェクトが巨大なヒットを生み出したのだ。特集では、老若男女を問わず「人を動かす」ことができる「ポケモンGO」に熱視線を送る自治体や企業の動き、その可能性を分析する。


第3位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 10億ドルをAIに投資するトヨタ

 今週の『週刊ダイヤモンド』は「勝者のAI戦略」と題して「AI」関連情報が第1特集。大企業からベンチャーまで、世界中の多種多様な企業がAIに商機を見出そうと群がっている。いまや"AIブーム"と言える状況だ。特集では、実際のところ、AIの技術進化、実用化はどこまで進んだのかを紐解くと同時に、AI産業で覇権を握るためにどのようなアプローチが必要なのか、その戦略を探る。また、AI革命で本当に消える職種は何か? 独自の試算で迫る。
 トヨタがAI分野へ傾斜している。ドリームチームとも言えるような人材をスカウトし、AI開発拠点としてシリコンバレーにTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)を設立した。2020年までに10億ドルを投資すると、その本気度が注目されている。TRI・CEOブラット氏は、自動運転はもちろん、高齢化社会の本格化をいち早く迎える日本をパーソナルロボットの壮大な実験場とも想定しているようだ。情報産業リクルートも人工知能研究所を設立し、グーグルリサーチ出身のCEOをスカウト。その人物は「グーグルで収集できるデータよりも、リクルートで収集できるデータの方が解析のしがいがある」と言う。日本がAI実証実験の先駆地域になるかもしれない。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<<  課長止まりの人の振る舞い方
 
 先号の『日経ビジネス』で50代激励企画ともいえる特集を組んでいたが、今号では『週刊東洋経済』がビジネスマンの働き方特集を組んできた。「新 出世の条件」がその特集タイトルだが、サブタイトルに<役員になる人、課長止まりの人>とついているように昔のような年功序列と違う今は、働き方によって人生も大きく異なってくるということなんだろう。
 で、内容はというと一言で言えばいろんなことが書いてある。カルロス・ゴーンが日本人リーダーの育成に本腰を入れ始めたとか、サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏の説く「ダイバーシティこそ新しい価値の源泉」とか、伊藤邦雄一橋大学院教授の説く「ガバナンス改革」とかミドル向け企画が満載でちょっと息苦しいくらいである。
 課長で終わらないためにどうするか。課長で止まらない人は余りそんなことを考えはしなかったんじゃないかな、とふと思った次第です。元三井物産広報室長で芥川賞作家の磯崎憲一郎氏の言葉が印象に残った。
「ワーク・ライフ・バランスとよく言うが、ワーク・ライフ・シナジーの方が人生はうまくいくんじゃないか」という言葉が。