2016年7月15日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・混沌を読み解く大経済史


週刊ダイヤモンド ... 混沌を読み解く大経済史
週刊東洋経済 ... まるごとわかるEU危機
週刊エコノミスト ... がんは薬で治る
日経ビジネス ... 永遠の欲望市場 不老


 今週は2誌が英国のEU離脱に関連する特集を組みました。
 なかでも『週刊ダイヤモンド』はストレートな影響論ではなく、歴史的な観点でこの問題を取り上げました。金利で見る16世紀と21世紀との比較などはなかなか説得力があり、面白く仕上がっていました。これが今週の第1位です。
 一方、『週刊東洋経済』はストレートにこの問題を論じています。どちらがい以下というのは多分に趣味的な要素も入りますが、わたしは『週刊ダイヤモンド』を選びました。ただ、どちらにも共通するのは、今が歴史的な転換点であるという認識と世界を俯瞰してみなければならないという視点です。こんな時代だからこそ大局観を持って見ていかなければならないという論点は説得力があります。この2誌で今週の1位と2位は決まりです。
 最近好調の『週刊エコノミスト』はガンの治療薬、なかでも免疫療法や国焦点を当てた特集を組みました。そのメカニズム。激しさを増す新薬開発の現場、医療費と国民皆保険の関係から製薬会社の株価にいたるまで幅広く取り上げています。面白い特集です。
『日経ビジネス』も同じ雰囲気を持つ特集ですが、こちらは、アンチエイジングに視点を当てた永遠の欲望市場に向けて、Googleの創業者ラリー・ペイジやFacebookの創業者マーク・サッカーバーグ氏などもこの分野に注目しており、巨額資金を注ぎ込んでいるようです。


  <第1位>        <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<<  長い21世紀の行方

 やはり今週は2大経済誌がEU分裂を第1特集として掘り下げてきた。『週刊東洋経済』=「まるごとわかるEU危機」に対し、『週刊ダイヤモンド』=「EU分裂は必然! 混沌を読み解く大経済史」。前者は世界経済のリスクに焦点を当て、『週刊ダイヤモンド』は繰り返される歴史との比較から大局的視点を読者に提供する。2者ともに共通しているのは、「現在世界は大転換期を迎えている」という立脚点だ。
「今、人類は数百年に1度しか起こらないような大転換期を迎えている。多くの識者が16世紀から続いた仕組みが壊れると予測している」という。その1人、『資本主義の終焉と歴史の危機』を著した法政大学教授・水野和夫氏は言う。16世紀に中世封建システムから近代資本主義システムへの転換が起こり、様々な変化の苦しみがあった。この転換期を歴史家フェルナン・ブローデルは「長い16世紀」と呼ぶが、20世紀終わり以降いま起こっているのは「長い21世紀」。新しいシステムを生み出すための長い苦しみの時期なのだ。
 格差拡大、中間層の減少、エリート層の堕落、大衆扇動などの動きは世界中で同時位起こっている。混迷のいまを生き抜くヒントはそこにあるか!?
 本誌巻頭では、鈴木敏文氏へのインタビュー「流通のカリスマ ラストメッセージ」を掲載。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< 次の衝撃に備える

 英国ショックで揺れた市場。その余震は未だ収まるところを知らないが、『週刊東洋経済』も『週刊ダイヤモンド』と並んで、今週EU危機を掘り下げてきた。タイトルは「まるごとわかるEU危機」。国際秩序を激変させたEU危機の本質に迫る。本当に怖いのはこれからか? 次の衝撃に備える情報に焦点を当てる。
 6/24のイギリスのEU離脱。その事件が世界経済に与えた影響は大きく、株価や為替相場は急変し、月が変わった今でも波乱は止まない。2008年のリーマンショックに勝るとも劣らない衝撃だが、日本は米国や中国に比べ、欧州との繋がりは細いため、直接的な影響は少ない。が、世界的なリスクオフの流れで円高が進んだ事は逆風だ。また、リーマンショック時は大規模な財政出動や金融緩和で危機を脱したが、現在は既にそれらを目いっぱい利用している状態での金融危機である。これを期に米欧の影響力が下がり、中国ロシアが強引な行動に出る場面も増えるだろう。EU危機は一過性のショックではなく、歴史の転換点なのかもしれない。目先にある日本市場だけにこだわらず、世界を俯瞰する視点が求められている。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 年間3500万円かかるがん治療薬

 先月『日経ビジネス』「社会保障 非常事態宣言」で取り上げられていた超高額がん治療薬「オプシーボ」。そこでは成人男性なら年間約3500万円かかる"日本の国民皆保険を破綻に導くかもしれない新薬"として薬効とともに紹介されていた。このオプシーボの開発で、小野薬品工業の株価は2013年からこの2016年4月までに約6.5倍に跳ね上がった。今週の『週刊エコノミスト』は、「ここまで来た免疫療法薬 がんは薬で治る」と題して、オプシーボをはじめ、脚光を浴びるがん免疫療法薬に焦点を当てて、その薬効や開発状況、そして注目株式銘柄に迫る。
 過去20〜30年使われてきた通常の抗がん剤は数十万円、分子標的薬は年間数百万、それが免疫療法薬になると年間数千万円となる。「(オプシーボのような)救命ボートは(若い)次世代に優先的に渡すべき」という日本赤十字社医療センター・国頭英夫医師の言葉に賛同する。もう十分に生きてきている後期高齢者の延命治療はしないという意見にもだ。社会保障制度存続のために新薬開発の意欲が削がれることは起きてほしくないことであるし、高額医療・薬品で日本が誇る国民皆保険制度が破綻するのも絶対に避けたい事象だ。


第4位
■ 日経ビジネス■ <<<  若さを金で買う

 美容医療の進化に伴い、しわ取りやたるみ解消、フェイスラインの改善など人々は理想の容姿を手に入れやすくなった。遺伝子の解明が進んだことで、老化のメカニズムも徐々に明らかになり、抗老化(アンチエイジング)という永遠に途切れる事の無い人々の欲望に夢と機会を見いだした起業家達は、老化研究に多額の資金を投下し始めた。そのような状況を『日経ビジネス』が「永遠の欲望市場 不老」として特集する。
 このビジネスには危険もつきまとう。あるいは倫理観が必要になる。宗教などとの葛藤もあるだろう。しかし人間の追う好奇心と欲望は時に理性を凌駕する。若さは一体どこまでかえるのか。
 慶応義塾大学医学部の倫理委員会は6/27、「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)」という物質を人間に投与する研究を承認した。NMNは老化や寿命の制御に関わる遺伝子を活性化させると考えられており、マウスへの長期投与実験で興味深い結果が得られつつある。これを人間に投与しようというのだ。マウスではNMNを投与した場合平均寿命がメスで16%、オスで9%も伸びたという結果がある。とはいえ老化メカニズムはまだまだ未知の部分が多く、研究者、投資家にとって大きなフロンティアとなっている。米Facebook創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏や、米グーグル創業者であるラリー・ペイジ氏等、多くの著名な起業家がこのビジネスに注目している。