2016年5月27日

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・経済は物理でわかる


週刊エコノミスト ... 経済は物理でわかる
週刊ダイヤモンド ... 学閥の王者 慶應三田会
日経ビジネス ... データ資本主義
週刊東洋経済 ... セブン再出発

 どうしたことか、『週刊エコノミスト』の特集が最近面白い。万年4位的な位置づけだったのに、2週連続でトップです。今週号のタイトルもよくて「経済は物理でわかる」と明快です。分かったようで分からなかった経済学の理論がビッグデータによって明確に分かるようになってきたという話を事例を交えて解説してくれます。これが文句なく今週の1位です。
 今までにない企画という意味で秀逸だったのが『週刊ダイヤモンド』の「慶應三田会」の特集です。ビジネス界に隠然たる力を持つ勢力と言うことなのでしょう。(慶應の)評議員選挙になると評議員を目指す企業トップが指令を出し部下が票集めに奔走する光景はよく見られ、いい点だけでなく悪い点もいっぱいあるようには思いますが、中身は面白い、ということで今週の第2位です。
『日経ビジネス』はIoTのシリーズ特集で今週は「データ資本主義」と題しています。データ取引所構想など、ビッグデータは今後のキーワードになっていくでしょう。
 セブンの特集を組んだ『週刊東洋経済』は先週『週刊ダイヤモンド』が同様の特集を打っただけに損をしました。


  <第1位>       <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 人の気持ちも測ることができる経済学

 コンピューターとビッグデータが、ビジネスだけでなく経済学も変えようとしている。アダム・スミス以来、経済学は経済活動の科学的な解明に苦心し、物理学の手法をなぞり数式を取り入れ法則を見いだそうとしてきた。しかし経済は変動要因が無数にあり、再現性に乏しく、「主流派経済学の数式モデルは、理論上の証明はできても現実世界には適用できない」との声も多い。しかしいま、この役立たずな(失礼!)経済学が、ビッグデータとコンピューターの発展で、モデルではない経済実態そのものの分析と理論の構築へと向かう時代が到来した。
 今週の『週刊エコノミスト』はその先端を「ビッグデータ革命 経済は物理でわかる」で特集する。
 とにかく特集プロローグだけでも読んでおきたい。日立製作所が開発した人工知能「H」によるビッグデータ解析の実績がすごい。1つは客と従業員の動きを解析し、店内の要所に従業員がとどまる時間を長くすることで15%売上げを増やしたホームセンター。もう1つはコールセンターオペレーターの動きや会話をセンサー分析し、休憩中の会話が活発であるほど受注率が上がる法則を解明。同世代の休憩時間を合わせるようにして生産性を最大20%上昇させている。
 休憩中の会話! なんてこったい。コンピューターが人の気持ちを教えてくれるとは。


第2位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 文字通りの学閥

 慶應義塾のOB組織である「三田会」。企業トップ人事の内幕を知ると、この慶應人脈に繋がる事が少なくない。日本経済の裏に三田会あり。と書くとちょっと大袈裟かもしれないが、その強大な力を分析したのが今週の『週刊ダイヤモンド』である。特集タイトルは「学閥の王者 慶應三田会だ。
 全ての三田会を包括する連合三田会の公表データによると、三田会全体の会員数は約35万人だという。公認団体の数は862にも及ぶ。三田会の特徴は寄付活動の集金力だ。14年度の慶應の寄付金収入は86億円。ライバルである早稲田大学の2倍以上もある。創設者の福沢諭吉の「社中協力」という理念が根強く浸透しているわけだ。その繋がりは寄付だけにとどまらず、卒業生同士の交流にも及ぶ。そしてその繋がりは時に経済界を動かす。14年、サントリーホールディングス社長に就任した新浪剛史と彼を指名したサントリーホールディングス会長佐治信忠が出会ったのも三田会の会合。卒業生同士の繋がりが後の大きな業界の人事に関係するのだ。
 また、不動産業界関係者が集う「不動産三田会」では、毎月一度物件の売買やテナント募集等に関する情報交換のための会合が開かれており、会員同士での取引が盛んに行われている。中にはこの不動産三田会内での取引だけで事業を成立させている業者もいるとは、いやはや。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< 東京データ取引所構想?


 loT(モノのインターネット)の進展によってあらゆる「データ」が手に入るようになった今、そのデータ自体が一つの資本として扱われつつある。
 今週の『日経ビジネス』は特集「データ資本主義」と題して、この問題を追求する。さてそのデータだが、株式や通貨のように、取引所を介して流通させる構想も進んでいる中で、その波に上手く乗れるか否かの競争が始まっている。分水嶺は、データを的確に選ぶ「調達力」だ。
 ただ闇雲にデータが大事だと言っても始まらない。あらゆる企業にとって今後データが大事な物となっていくのは事実だろうが、的確にデータを調達するにはまずはしっかりとデータを用いたビジネスモデルを思い描く必要がある。
 日本初のクルマ向けラジオ放送である「アマネクチャンネル」を放送する「アマネク・テレマティクスデザイン」はその一つの実例だ。アマネクチャンネルはクルマの通行履歴を過去と現在で比較し渋滞情報を把握したり、エリア事にピンポイントで転向や災害リスクの高い場所を割り出しドライバーに伝えるといった情報を提供している。クルマの位置情報と交通情報や気象情報をリンクさせ、消費者に提供している。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<< 会社は誰のものか

 鈴木敏文氏の退任で先週は『週刊ダイヤモンド』が「カリスマ退場」を特集し、今週は『週刊東洋経済』が同様の特集を組んだ。「セブン再出発」がそのタイトルだ。
 ホールディングスの井阪次期社長へのインタビュー、伊藤家と鈴木氏との関係、今後の展望と内容についてはさほど変わり映えはしないし、さんざん経済誌では書かれつくしていることなので、損をしている。強いて言うなら、ガバナンスとは何か、社外役員の判断などへの言及が多少の目新しさであり、宮内義彦オリックスシニアチェアマンやライフコーポレーション会長の清水信次氏へのインタビューなどが面白かった程度である。
 ただ今回の騒動を見るだに、会社は誰のものかという印象を改めて強く持った。創業家と中興の祖、物言う株主、社外取締役と指名・報酬委員会など。これらが複雑に絡み合った出来事であったことは間違いない。
 それより、巻頭特集の一つ「BABY METALという戦略」が面白かった。