2016年5月12日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・カリスマ退場


週刊ダイヤモンド ... カリスマ退場
週刊エコノミスト ... AIの破壊と創造
日経ビジネス ... 強い会社は会議がない
週刊東洋経済 ... 生涯未婚

 週刊誌の特徴は即時性に欠ける分、掘り下げ方や視点の独自性が重要なファクターになるというのは当たり前の話ですが、今週の『週刊ダイヤモンド』にはそれらしさが備わっていて、多分に感傷的だが良い読み物になっている感じにさせられました。一連のセブン&アイの鈴木敏文氏の退任にまつわる話を取り上げ、それをクーデターと位置付けました。クーデターを起こした人たちの名前を書かずに静かな主謀者なきクーデターというようなニュアンスで書かれていましたが、中心で踊った人はいたのでしょう。ツッコミが甘い面もありますが、面白く、これが今週の第1位です。
 次に面白いと思ったのは『週刊エコノミスト』です。実はどれもそれなりの面白さがあったのですが。外連味がないというか、こうしかできないというような潔さがあるせいか、他の3誌の中ではちょっと抜きん出た感じがしたのでこれを2位にしました。同誌の特集のテーマはAIです。いろいろな分野別にAIの現状がわかりやすくまとめてあったので、読みやすく好感が持てました。
 第3位は『日経ビジネス』で、特集は「会議の少ない会社はいい会社」といった提案型の企画です。現代のように何が突然起こるかわからないような不確実性の高い社会では会議のようにじっくりと議論をして判断しても、結論が正しい方向には向かないという傾向にあるといい、実際の先端的な企業の会議や判断の例をケーススタディとして並べています。
 そして最後の『週刊東洋経済』は「生涯未婚」と題して、結婚しない・できない人たちの現実と現代社会が向かう大きな流れを描き出しています。それにしても、近未来の日本の社会は人間という種にとって不安定さが著しく増した社会であることは否めないようです。心配です。


  <第1位>       <第2位>       <第3位>       <第4位>


dia20160512.jpgeco20160512.jpgnikkei20160512.jpgtoyo20160612.jpg


第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< クーデター成功?

 日本にコンビニエンス・ストアという新しい業態を根付かせ、セブン&アイを6兆円規模の巨大流通グループに成長させた流通界のカリスマ、鈴木敏文氏が、4月7日、セブン&アイ・ホールディングス会長退任を決算会見の場で自ら発表した。連休明け最初の『週刊ダイヤモンド』第1特集は「カリスマ退場」と題して、この退任劇とカリスマ退場で始まる流通業界の大異変をレポートする。
 ダイエーを立ち上げ流通業界のトップにのし上がった中内功(実際は「エに刀」)氏。西武百貨店、西友、ファミマ、パルコなど巨大流通グループを率いた堤清二氏。かつて一時代を築いた流通業界のカリスマ2人は、時代の変化に対応しきれず晩節を汚して姿を消していった。「鈴木敏文だけは違う」とついこの間まで誰しもが思っていた。しかし社内のクーデターが彼を退任に追い込んだ。退任会見で異常だったのは、傍目には後継者と目されてきた人物を徹底的に非難する会見まで開いて。絶大な権力を持ち続け、変化に対応し続け、帝国を築いた末になぜ"裸の王様"となってしまったのか? カリスマ退場後のグループの行く末も占う。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<< AIは何をどう変える?

 AI=人工知能は3度目のブームを迎え、ビジネスの現場を一変させようとしている。今週の『週刊エコノミスト』が「AIの破壊と創造」という特集を組み、AIの革新的な進化をかなり細かく分野別に紹介している。囲碁から景気判断、フィンテックから宇宙、物流、医療、ファッションと続く。この種の特集はお勉強特集だから、きっちりと項目事にまとめられている方が分かりやすいし読みやすい。
 それでもオジサンは知らない対話型AI「りんな」(マイクロソフトが開発したアプリ)であるとかグーグルが開発を進める自動運転車が意味するところだとか、上手くまとまっている印象だ。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< VUCAの時代

 テロからパナマ文書の流出まで突然わき起こる出来事に左右される不確実性の高い社会になっている。こうした状況下では全員合意型の会議にどれほどの意味があるのかと言う疑問を投げかけたのが『日経ビジネス』だ。特集タイトルは「強い会社は会議がない」。
 まず同誌は現在の状況をVUCAの時代だと言う。即ち、V(Volatility:変動)、U(Uncertainty:不確実)、C(Complexity:複雑)、A(Ambiguity:曖昧)の頭文字を取ったもので、1990年代に生まれた軍事用語だが、2010年代に入り解析不能案経営環境を示す言葉として流行っていった。こうした状況下ではアイデア即実行、現場の判断、そしてダメなら朝令暮改よろしく即撤退が必要なのだとか。
 で、その会議だが、同誌によれば1社あたり年間30万時間というのが海外のグローバル企業の時間だという結果を米系コンサルティング会社が発表した。日本企業では30万時間どころではすまないというのが同誌の予測である。では、どうするのか。米ステラモーターズでは重大な投資判断は10秒であり、米グーグルでは現場レベルの会議は4半期に2回だと説く。日本企業の例も。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<< 見たくない現実

『週刊東洋経済』がまた暗いテーマの社会問題に挑む。これまでの"絶望シリーズ"と言いたくなるタイトルを並べると、「絶望の非正規」「介護離職」「キレる老人」などがあり、今週は特集として「生涯未婚」を取り上げている。経済週刊誌の特集としては、重い。収入が低く立場が安定していない非正規社員が結婚しづらい現実は以前の同誌の特集「絶望の非正規」でも掘り下げられていた。今回はそれをさらに踏み込む。
 日本人の未婚率は上昇の一途だ。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、50歳時点で1度も結婚していない「生涯未婚者」は2010年、男性で5人に1人、女性で10人に1人だった。そして今後10年でこの数字はさらに上昇し、男性が3人に1人、女性が5人に1人となる見通しだという。また、女性の68%が「男性の年収は400万円以上」を希望しているが、その条件を満たす男性は全体の25.1%しかいない。しかし、適齢期(18〜34歳未婚)の男女は9割が「いずれ結婚したい」と答える。これらの数字を見ていると、ボタンのかけ違いを超えた空虚な景色しか見えない。また、正社員であれば結婚に近づくというのも幻想だ。いま、正社員は「従来型の正社員」と「周辺的正社員」に2分し、「従来的正社員」は急減しているのだという。「周辺的正社員」とはつまり、とうてい勤め続けられないようなブラックな職場にいて数年で辞めていく労働者のこと。この層が若者世代に非常に分厚い層を形成し、その増加と未婚率の上昇は相関関係にあるという。あまり見たいとは思わない重大な現実がここにある。