2016年3月31日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・金融緩和中毒


週刊東洋経済 ... 金融緩和中毒
週刊ダイヤモンド ... 三井・住友 名門烈伝
日経ビジネス ... 発表!TPP時代に勝てる農産物ジャパン
週刊エコノミスト ... 世界史に学ぶ 金融政策

 今、ヘリコプターマネー論が台頭していると言います。政府や中央銀行が国民に直接お金を配るというアレです。著名な正統派論客までその「極論」を語りだしたほど、現在の金融政策が行き詰まりを見せているという事なのでしょう。『週刊東洋経済』がマイナス金利の影響が懸念される金融の今をとことん掘り下げる特集を打っています。読みごたえがあって面白く、今週の第1位はこれです。
『週刊ダイヤモンド』が1月に「三菱」の特集を組んだ時から、次は三井か? と思っていました。人気のNHKの朝ドラの主人公が三井家出身だからですが、ちょっと手を変えて、三井、住友、そして地方財閥をまとめた特集を組みました。こうした歴史にまつわる読み物は単純に面白いネタが一杯です。これが第2位。
 今年の2月にTPPの協定に各国が署名をし、いよいよ新しい貿易構造が生まれようとしていますが、いちばんの課題である農産物を『日経ビジネス』が取りあげました。大打撃を受けると捉えるのではなく「世界に通用する」日本の農産物をキーワードに攻めていこうという特集です。
『週刊東洋経済』とは異なる切り口で金融政策を特集したのは『週刊エコノミスト』です。その切り口とは「世界史に学ぶ」。現在の状況は大恐慌後に似ていると言う事ですが、そのあとに起こったのが第二次世界大戦であるだけに、ただ事ではありません。


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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<< これから起きる世界危機

 国債の大量買い入れやマイナス金利の導入で主要国の金融政策は未踏の領域へと船を漕ぎ出した。果たして日本の金融経済は中央銀行抜きには維持できないのか。今週の『週刊東洋経済』は「金融緩和中毒」と題して緩和依存症に陥った経済の病理を解剖する。ショルダーフレーズは「効かないけどやめられない」。
「主要国経済は日本化している」−−−。3月22日に開かれた日本政府の第3回国際金融経済分析会合で経済学者ポール・クルーグマン氏が語った言葉だ。政策金利はどんどん下がっているにもかかわらず、GDP成長率は上向くどころか低下している現状が日米欧を襲っている。バブル崩壊から低成長が続き、そしてマイナス成長へ。長期低迷を続ける日本経済の道のりをいま他の先進国がたどっている。これが日本化と言われたゆえん。一方で金融緩和の魔力にとり憑かれ、「まだ政策手段はある」と声高に叫ぶ人間も少なくない。
 特集では、小幡績、野口悠紀雄、越智道雄、浜矩子の4人の気鋭の教授が「これから起きる世界危機」を徹底解説する。


第2位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 「あさが来た」で注目された大財閥

 1月に「三菱 最強伝説」という特集を組んだ『週刊ダイヤモンド』。新年度(4月2日号)の第1弾は「日本をつくった27大財閥の素顔 三井・住友 名門列伝」だ。かつて日本経済の土台をつくった日本全国の財閥。そのDNAは今も三井、住友を始めとする全国の財閥に脈々と受け継がれている。本誌ではその中でも近代日本に大きな影響を与えた全国27の名門財閥に焦点を当て、その素顔を掘り下げる。江戸期の名門商家が時代の風を読んで財閥化していくNHKの朝ドラ「あさが来た」も好調のうちに最終回を迎えるようだ。
 三井・住友の両財閥は戦国・江戸時代から300年以上も続く大財閥。経営規模でこそ三菱の後塵を拝しているが、それでも巨大な企業経済圏をそれぞれ形成している。その三井と住友だが、経営の形は大きく異なる。住友精神を遵守する血の結束で結ばれた住友に対し、三井は緩い関係で繋がり、個人個人が力を発揮するといった形態だ。
 三井・住友のような東京創業一族に目が向きがちだが、地方経済に強い影響を与えてきた「地方財閥」の数も多い。彼らの多くはかつての老舗が大地主となり、そして銀行経営に乗り出した人々だ。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< 世界と戦う日本の農産物

 アメリカ大統領選のニュースで忘れがちだが、日本を含む参加12ヵ国が2016年2月、TPP協定に署名した。この4月からは承認案などが国会審議入りし、2017年以降にも発効する見通しだ。遂に日本の農業界は世界の農林水産物と真正面から競う新時代に突入する事になるが、日本には世界の中で優れた実力を持つ農林水産物が数多くある。今まで放置されてきた諸問題にもメスが入りつつあるいま、日本の農業は十分世界と戦う力を持つのか。今週の『日経ビジネス』は、「発表!TPP時代に勝てる農産物ジャパン」と題して、その検証を行う。
 自民党農林部会長の小泉進次郎氏は農政改革へのアプローチを熱く語る。その主張自体は単純明快で、日本が成長を持続するためには農業を「成長産業」にすることが必要ということと、そのためには、古い農政の下、放置されてきた諸問題をまとめて解決することが不可欠ということだ。
 本誌ではサッカーのポジションにたとえて、11種類の農林水産物を「農作物ジャパン」としてピックアップ。その中にはいちごの「あまおう」や十勝産のチーズなどがある。それぞれの強みとどのように海外で戦っていくかを解説する。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 歴史的にも例を見ない金融状況

『週刊東洋経済』が4人の学者による徹底解説で世界金融危機を占うなら、『週刊エコノミスト』は歴史に学んで解を探る。
 今週の『週刊エコノミスト』は「世界史に学ぶ金融政策」。なにせ、世界の主要各国の長期金利の利回りがこれほど広い範囲でマイナスやゼロに陥ることは有史以来前例がないのだ。世界の中央銀行の成り立ちや金融政策の歴史を改めて振り返り、現政策の有効性を検証していこうという切り口も重要だ。恐慌のあとは戦争という歴史はこの時代を生きる者として辿りたくはない過去の道だし。
 日本銀行が設立されたのは1882年。遡ること約200年前の1668年に世界初の中央銀行スウェーデンリクスバンクが設立された。イングランド銀行はスウェーデンより遅い1694年。米連邦準備制度理事会は日本よりも遅い1913年の発足だ。特集はこの「金融政策年表」で始まる。

2016年3月24日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・日本ご当地まるごとランキング


週刊ダイヤモンド ... 日本ご当地まるごとランキング
週刊エコノミスト ... 会社で役立つ経済学
日経ビジネス ... 中国にはネットで売れ
週刊東洋経済 ... 追い込まれる銀行

 まるでテレビ番組を見ているかのような企画を繰り出したのは『週刊ダイヤモンド』です。日本の都市をユニークな視点で切り取りいろいろなランキングを作りました。地方創生に乗ったという企画でしょうか、切り口が面白くつい読みふけってしまいました。例えば、なかに「語源遺産ベスト10」というコーナーがあり「地団駄を踏む」は島根県、「独り相撲」は愛媛県、「やぶ医者」は兵庫県など、と解説がしてあり、つい読んでしまいます。この企画が売れるのかどうかは分かりませんが、私的には面白くこれが今週の第1位に推します。
 最近好調の『週刊エコノミスト』は「会社で役立つ経済学」というお勉強特集です。ただフツーのお勉強ではなく、人気経済学者ランキングや弘兼憲史インタビューやMBAは本当に必要?などヒマネタも盛り込み、読ませる工夫を施していて好感が持てます。という事でこれが今週の第2位。
『日経ビジネス』は中国でのネット通販市場の急拡大を取りあげ、日本企業への対応を求めています。海外企業に比べ、日本企業のECへの遅れが際立っています。
 第4位は『週刊東洋経済』ですが、マイナス金利下の銀行を特集しました。中身は面白かったのですが、先週『週刊エコノミスト』がマイナス金利特集をやっているので、少し損をしましたね。


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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 福岡で人口が増えている理由

 春である。新学期とともに全国では転勤や入学などに伴う「民族大移動」が発生する。また、3月26日には遂に北海道新幹線も開業。いまどの「ご当地」が魅力的なのだろう。
 というわけで、今週の『週刊ダイヤモンド』は「ニッポンご当地ランキング」と題して、先月発表された国勢調査結果も合わせて、さまざまな視点から、いまの日本の各都道府県、市区町村をランキングする。
 5年に一度の国勢調査で5年前に比べて97.5万人の人口減少が発表された。これは1920年の調査開始以来始めてのことである。全国的に見ると東京や愛知といった大都市圏の人口が増加、人口流入が如実に現れる結果となっている。一方で人口が増加した都市は勢いがあると取ることができる。その一例として福岡市を紹介する。人口減少する自治体が多いなか、増加数と増加率共にトップとなり、人口も全国5位に浮上した。要因の一つとして、東日本大震災で福岡市へと避難した人がそのまま移り住んだという理由もあるが、若い世代に向けた就職先の企業や専門学校の誘致の効果が現れたのが大きな原因と見られている。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 伊藤元重さんが第10位

 今週の『週刊エコノミスト』は経済学の特集「会社で役立つ経済学」だ。新入社員から経営者まで、会社の抱える問題に解決の糸口を与えてくれる道具として、身近な事例を挙げながら役立つ知識を伝える。主に春の新社会人向け入門編といったところか。
 例えば、SMAP解散騒動を日本の労働市場の縮図として、「ゲーム理論」で説明する。外部市場がない芸能界では村八分が抑止力として働いたというわけだ。一方、小林幸子さんの場合は、独立トラブルで村八分にあったものの、ユーチューブなど外部メデイアという新市場を開拓し復活を果たした。「人気経済学者の検索ランキング」というのもあって、ヤフージャパン検索第1位はトマ・ピケティ氏。日本人ではわが『CEO社長情報』でも連載をお願いしている伊藤元重さんが10位に入った。全世界を対象にしたGoogleトレンドでは1994年に「ゲーム理論」でノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュ氏だった。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< 中国のECで遅れをとる日本

 中国でのネット通販市場の拡大が止まらない。経済自体は減速しているものの、内需の巨大さはいまだ健在だ。今週の『日経ビジネス』が「中国ではネットで売れ」として特集する。
 中国のEC(電子商取引)市場規模は100兆円を超える見込みで、消費に占める比率も高い。その市場に熱い視線を送るグローバル企業が、ネット通販の核に中国攻略を据え始めた。中国に向けたECに世界のトップブランドが殺到している。
 中国農村部でEC最大手のアリババが手がける「農村タオバオ」というサービスがある。パソコンの普及率が低い農村部で、ネット注文のサポートをするサービス拠点が受けているのだ。ECの波は中国未曾有の成長猶予であった農村部にまで達している。また、中国特有の爆買いとのシナジーも強く、ネスレやラコステといった企業も中国でのEC強化に腐心している。一方で日本の中国進出企業は、いままで実店舗の進出を重視していた結果、ECへのかじが上手く切れておらず、苦戦を強いられている。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<< 銀行にマイナス金利が直撃!

 日本銀行は、1月29日、遂に「マイナス金利政策」を掲げた。今週は先週の『週刊エコノミスト』に続き、『週刊東洋経済』が「マイナス金利が直撃 追い込まれる銀行」と題して、マイナス金利の影響をレポートする。
 マイナス金利の導入は、日銀に預金を預けていた地銀もメガバンクも追い詰めている。地銀でいえばなんとかして預金を貸出しや投資へと回すために営業員は躍起だ。一方で大規模で盤石なメガバンクも焦燥に駆られている。彼らにとって最大にして唯一とも言える成長戦略が海外への拡大だが、その海外経済に変調が起きているからだ。三菱は米国の信用コストと規制対応コストの上昇の煽りを受け、三井住友は頼みの綱だったアジアの成長低迷により二の足をふむ。みずほは組織再編が吉と出るか凶と出るか。足元をマイナス金利政策で揺らされ、目先の海外も揺れ動き、メガバンクは対応に追われている。

2016年3月16日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・キレる老人


週刊東洋経済 ... キレる老人
日経ビジネス ... 同族だから強い
週刊ダイヤモンド ... 全国 病院"改革"ランキング
週刊エコノミスト ... 直撃! マイナス金利

 この現実に社会は耐えられるか、というキャッチフレーズで始まる『週刊東洋経済』の特集は「キレる老人」。老人問題のひとつの本質をついた特集です。「4人に1人が高齢者の日本で自分をコントロールできない暴走老人が増えている」と、同誌の特集の扉に書かれているように、危険運転や自分勝手な行動が新聞、テレビ、ネットで話題になる事も多く切実さを増しています。なぜそうなるのか、医学的な分野から現実の対処法までを網羅しています。これが今週の第1位です。
 第2位は『日経ビジネス』です。同族経営の「良さ=強さ」に焦点を当てた特集で、なかなか読ませます。第3位にした『週刊ダイヤモンド』の「病院ランキング」も中身の濃い特集だったのですが、視点の面白さという事で、『日経ビジネス』を2位にしました。『週刊ダイヤモンド』は定番的な特集だったので、3位です。
『週刊エコノミスト』は「マイナス金利」が金融機関(得に地銀、ゆうちょ、信金+生保)にどう影響していくかを特集しています。


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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<< 存在の耐えられない「重さ」

 首都圏の鉄道で多発する鉄道員への暴力事件の主役は実は若者ではない。5年連続で60代以上がその件数のトップを走る。「高齢者のめちゃくちゃな要求なんて日常茶飯事(駅員)」で、人に注意されたり、何かを教えられたりするのを嫌がり、自己中心的な振る舞いでトラブルを引き起こす。鉄道だけではない。病院でも街中でも家庭の中でも、自分をコントロールできない"暴走老人"が目につくのだ。『週刊東洋経済』がこの現状を「キレる老人 この現実に社会は耐えられるか」で特集した。
 本特集が言うところの"キレる老人"問題は、主に認知症発症以前、病理による弱体化以前の、元気な「前期高齢者」に重なる。前期高齢者とは65歳以上74歳までを指すため、団塊の世代がどっぷり重なり、戦後生まれの新しい活動的な前期高齢者が引き起こす現代の「老害」とも言えそうだ。悲しいかな、どんなに元気そうでも、歳をとると生物的に前頭葉を中心に脳全体の萎縮が始まる人も出てきて、脳や心が激変→暴走してしまう人もいる。怖いのは、65歳以上ほど「自分の運転に自信をもっている」率が高まるという調査だ。どうやら客観的な判断力も老化とともにがんがん落ち、自己評価は高まる方向らしい。いやほんとに怖しい。我が身を振り返って頭をフルフルしてしまった。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< 同族経営批判は的外れ?

『日経ビジネス』は特集に「同族企業だから強い」というちょっと視点の面白い特集を組んできた。「同族経営」は批判の対象になることはあっても「評価」の対象にはならないと思っている経営者は多いと思う。実際それで失敗した会社も多い。しかし、同誌は現代のような不透明な時代を乗り切るためにはこうした同族の力が必要だと説いている。
 もちろん日本にも老舗と呼ばれる同族企業は数多い。また近年起ち上げた会社でも同族的な会社はそれなりに存在する。特集では「虎屋」「柿安」「鈴与」「ジャパネット」など日本の同族で成功している企業が紹介されているが、読むべきは3章の「欧州から日本への警鐘」の項ではないだろうか。
 スイス・ローザンヌにある国際経営開発研究所(IMD)でファミリー企業向けプログラムを担当する教授の「このままファミリー企業を軽視し続ければ、日本は危ない」という言葉を紹介しながら、その警鐘の理由を解き明かす。また同時にパテックフィリップ、独自動車部品大手シェフラーなどの同族経営での成功の秘密を紹介している。


第3位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 医療改革待ったなし

 世界に冠たる日本の国民皆保険制度。しかし医療費が膨張を続け、財政を圧迫し破綻寸前だ。国はあの手この手で医療制度改革を打ち出している。今週の『週刊ダイヤモンド』は「全国 病院改革ランキング」と題し、医療とカネに横たわる"不都合な真実"を掘り下げる。
 日本の医療費はいまや43兆円まで膨張している。厚生労働省による2010年の推計によれば(今はもっと増えているだろう)、1人当たりの生涯医療費は2400万円。そのうちの半分を70歳までに使い、残る半分が70歳を過ぎてから使われる。高齢になればなるほど医療費がかかり、今後団塊の世代が高齢化すると医療費はさらに急激に増加するはずだ。彼らが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」が爆発する前に、医療改革は待ったなしなのだ。
 現在、医療費43兆円のうち49%に当たる21兆円を保険料、13%の15.4兆円を患者負担、残りの39%は税金、つまり国が資金調達して賄われている。われわれの税金であり、将来の世代にツケを回す国債による資金調達ということだ。しかし大票田の高齢者が相手なだけに、改革は遅々として進まない。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 地銀以下に影響大!!

 2月に導入されたマイナス金利。ちまたでは金庫がバカ売れしていて、個人のタンス預金がさらに広がった感がある。
 そんななか、マイナス金利の開始後約1ヵ月たち、『週刊エコノミスト』が「直撃! マイナス金利」と題して金融業界への影響を追跡した。とくに影響が大きいのは副題にもある「地銀・ゆうちょ・信金+生保」。地銀の収益が予想以上に下降し、ゆうちょは予定していた投資信託の販売中止を余儀なくされている。
 特集では、目玉として147銀行・信金の影響度を試算した「影響度ランキング」を掲載している。

2016年3月12日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・FinTeckの正体


週刊ダイヤモンド ... FinTeckの正体
日経ビジネス ... 経営者本田圭佑が米国に進出するワケ
週刊東洋経済 ... 緊急点検 企業業績
週刊エコノミスト ... 商社の憂鬱

 ビットコイン騒動の時はそれほどには感じませんでしたが金融業界もITベンチャーの波が確実に押し寄せてきていて、最近では「フィンテック」という言葉が流行りのように飛び交っています。経済誌でも何度か取り上げられていますが、今週の『週刊ダイヤモンド』が大きく特集しました。フィンテックという言葉はアメリカのシリコンバレーのベンチャーキャピタルがお金を集めるために掲げたマーケティング用語という見方もありますが、それでも動きがあるのは事実で、どんな動きか興味を持ちます。同誌は取材力を活かして、この特集を仕上げていて、今週の第1位はこれです。
 第2位は「経営者」という視点でサッカーの本田圭佑選手を取り上げた『日経ビジネス』です。ただ、特集のタイトルに持ってくる割に本田に割く中身が薄く、サッカーファンなら知っていることが書かれていて少し残念でした。
『週刊東洋経済』は同社のメイン商品『会社四季報』と歩調を合わせて企業業績と、いまどの株を買うべきかという定番的な特集でした。これが第3位です。また、『週刊エコノミスト』は特集で総合商社の懸念材料を分析してフィーチャーしました。業績を下方修正している会社が多く、そのあたりは『週刊東洋経済』にも出ていますが、とにかく何が原因でそうなっているのかがよくわかります。


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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 金融業界にもITベンチャーの波

 最近の流行言葉になってきた感のある「フィンテック」。このフィンテック現象を取りあげたのが『週刊ダイヤモンド』だ。タイトルは「FinTechの正体」と大仰だが、べつに裏を暴いた特集というわけではない。
 伝統的な金融産業とデジタル技術との融合であるフィンテックによって、旧来からの金融業界を取り巻くビジネスはどう変わってゆくのか、その現象を取材してレポートする。
 例えば同誌が取りあげているのがクラウド会計ソフト「freee」。石川県金沢市でこの会計ソフトを利用して北國銀行が地元企業や商店と会計情報を共有しようとしている。これは企業・店の銀行口座やレジ等から自動で会計情報を取得し、会計事務の手間を削減するサービスだが、これにはユーザーの許諾を得れば財務データを銀行と共有する機能がある。北國銀行では地域の店舗の財務状況をリアルタイムで把握でき、タイムリーな融資の提案が可能となるというわけだ。年1回の決算情報ではこのようには行かない。しかし、デメリットもある。財務データを共有するという事は企業に取っては銀行に対して経営状況が丸裸にされているも同然。そこで北國銀行はまず取引先に会計事務効率化をうたい「freee」を紹介して回たという。取引先の生産性改善も期待でき、業種も問わない。そこからさらに任意でのデータ共有を提案していった。「freee」を通じて信頼関係を築いてからさらに踏み込んでの関係に結びつけると言う形で成功したモデルといえよう。
 特集では他にもベンチャーのこの分野への参入状況や、メガバンクの動向など、細かく紹介している。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<< ビジネスマン本田圭佑の真実

「スポンサーとしてカネを出し、企業イメージを上げる。」そんなスポーツとビジネスの関係性は一変した。米国を中心にマネジメント手法や技術をビジネスへと還元する動きが活発になっている。このうねりをいち早く感じ取り、経営者として米国へと渡ったトップアスリートがいる。本田圭佑、その人だ。
混合の『日経ビジネス』はその本田を巻頭にあしらい、とにかく「スポーツ」をキーワードに特集を組んだ。
 巻頭の経営者・本田圭佑の項は、インタビューも交えて実質3ページと特集タイトルに謳ったわりには少々物足りない。本田が2012年から始めた小学生対象のサッカースクールは50を数え、中学生のクラブチームを3つ持ち、4月からは高校生のユースクラブも誕生する。本田はいまや日本最大級のサッカースクールの経営者であり、オーストリアプロリーグ3部に属する「SVホルン」の実質的オーナーである。
 その本田がこの度米スポーツビジネスに進出しようとしている。一現役選手がここまで本格的にビジネスに参画するのは異例であり、「誰も成し得ていない事に挑戦する」という人生哲学に基づき、挑戦を続けている。米国のサッカー人口は世界第2位だが、四大スポーツと呼ばれる野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーの人気に押されている。そこで「米国でスクールを展開して、将来的にそこからサッカー選手でビッグスターを生み出し、サッカーに対する見方を変えたい」というわけだ。他にスポーツマネジメントと経営との関係やビジネスとしてのスポーツを取り上げるが、少々無理があり散漫になっている。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<< 勝てる会社を探そう!

 東洋経済新報社の看板出版物の1つ『会社四季報』春号の発売(3月14日)に合わせ、『週刊東洋経済』は「緊急点検 企業業績 沈む株・浮かぶ株」を特集した。
 今年に入って、日経平均株価が1日で大きく乱高下する日が増えている。年初から2月29日までの2ヵ月間での変動幅(高値と安値の差)を見ると、1日平均427円。昨年が222円、一昨年が169円だから、短い期間とはいえ変動幅の大きさが際立つ。そこには為替変動や資源価格などの外部要因が背景としてよく語られる。が、それ以上にプル型投資信託など先物取引を利用したファンドが規模を急拡大したことが上げられるという。先物主導で現物にも売り・買いが入るため、変動幅が大きくなってしまう。これでは個別企業の景況感がどれほど良いのか・厳しいのか、株価の動きから判断するのは難しい。そこで、『会社四季報』最新情報をもとに、本誌が全体のトレンドを分析するとともに、「勝てる会社」を探そうじゃないか!という特集なのである。
 マイナス金利、円高転換、しぼむ外需......。企業の2016年度増益シナリオに黄信号が灯ったなか、840社の理論株価を総点検する。
巻頭特集の一つに鈴木敏文氏へのインタビューが掲載されている。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 三重苦にあえぐ総合商社

 ちょっと前まで不振の他業界を尻目にわが世の春を謳歌していた総合商社がいまや「憂鬱」なのだという。今週の『週刊エコノミスト』は特集でその総合商社を取り上げる。特集タイトルは「商社の憂鬱」だ。
 なぜ、商社が憂鬱かといえば、資源安、中国経済の減速、そして新興国の経済失速が背景にあるからで、これら全てと深く関わりのある商社は必然的に大きなリスクを背負っているというわけだ。いわば三重苦である。
 例えば、三菱商事でいえば、このところ進めてきた原油や金属資源に対する投資が市況の急速な悪化によって損失処理を迫られている。場合によっては赤字決算になってもおかしくはない。
 快進撃を続けてきた伊藤忠もリスクを抱えている。それが中国最大の国有コングロマリット中国中信集団(CITICグループ)、タイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループとの資本提携だと同誌は説明する。伊藤忠とCPとが6000億円ずつ出資してCITICの中核会社の株式を取得(昨年1月)する交渉が成立したが、いまやそのプロジェクトが足踏み状態で、相当に高くつく可能性がある。
 現在の商社の状況を理解するには手っ取り早い特集だと言えよう。

2016年3月 3日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・アマゾン 12兆円の巨大経済圏


週刊東洋経済 ... アマゾン 12兆円の巨大経済圏
週刊エコノミスト ... アメリカ大失速
日経ビジネス ... 味の素 〜トップ10入りへ最後の挑戦
週刊ダイヤモンド ... 塾・予備校 入試改革で先手を打つ!

 どうも、最近の傾向ですが雑誌の勢いに差があります。タイトルによく現れていて、例えば『週刊エコノミスト』などは勢いがあるいい例ではないでしょうか。ただ、内容の厚みや視点の多様さで言えば、まだ十分でなく、今週で言えば『週刊東洋経済』が組んだ「アマゾン」の特集などには及びません。海外のIT企業ものに強い『週刊東洋経済』ですが、今週号ではアマゾンを大解剖し、米国のみならず、アマゾンジャパンに加えて欧州に広がるアマゾン恐怖症までを取りあげています。これが今週の第1位です。
「アメリカ大失速」という分かりやすいタイトルで特集を組んだのは『週刊エコノミスト』です。アメリカの利上げ、年初からの世界同時株安など世界経済の不安要因とその結果としてのアメリカの景気後退についてレポートしています。これが第2位。
『日経ビジネス』は味の素を取りあげた、いわゆる企業特集です。なぜ、味の素か? 「真・世界企業への焦燥」というシリーズタイトルが打ってあり、これから日本のグローバル企業の模索ぶりを取りあげていくようです。
 第4位の『週刊ダイヤモンド』は「塾・予備校」の特集です。小学校へのお受験から大学受験まで受験の動向と塾・予備校業界の群雄割拠ぶりを取材しています。


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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<< プライム会員がお得だそうな

 われわれの日常生活のなかにいつの間にか深く浸透して来た感のあるネット通販。そのなかで世界に年間3億人の利用者を抱え、40億個もの荷物を扱う超巨大企業となったアマゾンは文字通り「帝国」である。このアマゾンを徹底して解剖すべく『週刊東洋経済』が特集を組んだ。「アマゾン 12兆円の巨大経済圏」がそのタイトルだ。
 昨年7月には、時価総額で米小売りの最大手、ウォルマートを抜き去った。ネット通販としても世界中のライバルを寄せ付けず、高いシェアを誇っている。しかしその一方でアマゾンの利益は驚く程低水準にとどまっている。それにはアマゾン創業者であるジェフ・ベゾス氏の経営哲学が深く関係している。米ナスダック上場時に「すべては長期的な価値のため」として短期的な利益を追わないと宣言したベゾス氏。今もなお将来に向けて巨額の投資を行ない、心臓部である物流とITシステムを強化し、インフラの構築を進めてきた。
 また、アマゾンの成長力を牽引するのが年会費サービス、「アマゾン・プライム」だ。お急ぎ便や日時指定分の他、1時間で商品が届く「プライム・ナウ」というサービスを利用する事ができる。
 アマゾンジャパンは日本で2番目となる巨大物流倉庫の建設を目論んでいる。プライム会員数の伸び率も高く、アマゾンの勢いは止まらない。
 巻頭特集の一つ「玉塚ローソン 3年目の反攻」の中の「ユニクロ盟友たちのコンビニ戦争」も興味を惹いた。玉塚氏と共にユニクロで活躍し、ファミリーマート社長に就いた澤田貴司氏と柳井正氏との3角関係?が面白い。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 消費も減速中のアメリカ

 昨年12月末に、実に9年半ぶりに利上げを実施した影響が徐々に現れてきたと言うべきだろうか、米国では製造業の不安が続いている。
『週刊エコノミスト』はこの状況にスポットを当てて「アメリカ大失速」という特集を組んだ。発端は中国経済の減速だが、それによって米国の輸出が落ち込み、原油安、そしてドル高が逆風となっている状況で、特に石油ガス企業の落ち込みが大きく、エコノミストの間では、景気後退議論が盛んに行なわれている。
 特集の「企業業績」の項では、特にグローバル展開をする製造業に業績悪化が顕著で、アップルのように、製造のほとんど全てをアジアでのOEMで行なっている企業にはこうした影響がもろに出ていると、同誌は伝えている。さらに、米国のGDPの70%を占める個人消費に関しては減速が著しく、既にピークアウトの動きとレポートしていて、これが米国にとっての大きな心配材料となる。
 この他、日本への影響として米国で稼いでいる企業の業績をスクリーニングし、また、日本で販売されている米国系投信についても言及している。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< 国内一流、グローバル二流

 なぜ、この時期に? と、ちょっと首を捻るが『日経ビジネス』の特集は「味の素」である。シリーズ<真・世界企業への焦燥>と副題がついていることから、これから同種の企業をシリーズで追いかけていくのかもしれない。
「味の素」等を130ヵ国以上で販売する味の素はグローバル企業であることには違いない。海外事業も好調で、過去最高益を見込んでいるという。しかし、最強を自負するアミノ酸技術は潜在力を生かせず伸び悩みで、経営陣の危機感は強い。規模も世界最大手であるネスレの10分の1程度だから「国内一流、グローバル二流」と揶揄されても仕方ない。海外には古くから進出している同社はライバルの日本企業からは羨望の眼差しで見られている。販売地域も多く国内の他の大手メーカーからは羨望のまなざしで見つめられるが、経営陣の現状認識は大きく違い、その状況を脱するために改革を進めているという。そこに同誌はスポットを当てた。
 西井孝明社長は「食品業界グローバルトップ10企業と比べたら、収益性から企業価値、さらには経営の考え方まで、圧倒的な差が開いている」と、述べる。世界の食品メーカーでの味の素の立ち位置は16位。収益性も一桁で低迷し、収益の安定性も少なく、人材を受け入れる体勢も未整備、とトップ10企業に必要な物はまだまだ足りていないからだ。確かな技術力を生かして2020年に世界トップ10入りを目指すための構造改革をレポートする。


第4位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 教育改革の模索が続く

 2020年に大学入試改革が予定されている。このまま行けば現在の中学一年生から新テストが実施される事になる。大学入試が変われば、進学校や塾・予備校も変革を余儀なくされる。
 そうした親のニーズがあるのだろう。『週刊ダイヤモンド』の特集は「塾・予備校 入試改革で先手を打つ!」と題して、足元の受験事情に対応しつつ、2020年に向けての変革を進めざるをえない塾業界の内側を取材してレポートしている。
 リーマンショック以降、産業界は予想外のグローバル化の進行によって、高度なコミュニケーション能力を持つ人材の必要性が急激に上昇した。その意向を汲み取って設置された教育再生実行会議。現状の「知識偏重型の1点刻みの大学入試」を改め、「思考力」「判断力」「表現力」を問う多面的な評価を軸とする予定だ。
 文科省は一連の改革を「高大接続システム改革」と呼んでいる。大学入試にとどまらず、高校、大学での教育内容も含めた改革であるということを意味しているのだ。例えば高校の授業での「アクティブ・ラーニング」の導入。現在主流である板書形式の授業ではなく、生徒同士が互いに問題の解き方を議論し発表することで、生徒自らが主体的に学ぶ姿勢を身につける力を養うというものだ。