2016年2月12日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・地政学 超入門


週刊ダイヤモンド ... 地政学 超入門
週刊エコノミスト ... マイナス金利
日経ビジネス ... チャイルショック
週刊東洋経済 ... 世界経済危機

 今週の経済誌はどの雑誌も視点の違いこそあれ、世界経済危機に焦点を当てました。そのなかで多少違った視点で特集を組んだのが『週刊ダイヤモンド』です。もちろんマイナス金利導入については巻頭で取りあげていますが、それよりも複雑化する世界の状況を「地政学」の視点で考えようというのです。世界経済危機の背景にある複雑化する国際社会をこうした視点から見るというのは非常に有益です。今週の1位はこれで決まりです。
 第2位は『週刊エコノミスト』のマイナス金利特集です。いろいろな要素が複雑に絡み合って先行きが見えなくなっている世界経済を「日銀のマイナス金利政策」を通してみてみようというわけです。
『日経ビジネス』は造語を特集のタイトルにしました。「チャイルショック」というのがそれです。「中国(チャイナ)」と「原油(オイル)」が絡み合った危機がどのように世界を覆っていくかを分析しています。
 そして、『週刊東洋経済』は真っ向から「世界経済危機」を特集に据え、さらに巻頭には日銀のマイナス金利政策を取りあげています。世界経済危機をあらゆる側面から取りあげた集大成の特集です。


   <第1位>       <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< この危機に備える学問

 1月29日、マイナス金利という未踏の領域に足を踏み入れた日本銀行。経済4誌はどこも緊急特集や本特集でこれを取り上げ、歴史的な事象の解説に大わらわだ。『週刊ダイヤモンド』は巻頭5ページにマイナス金利を取り上げた。
 さて、第1特集は先週の農業に引き続き、力の入った特集である。タイトルは「地政学 超入門」。2015年春にも「地政学」を取り上げた『週刊ダイヤモンド』だが、それをさらにパワーアップさせた編集となっている。さあ、地図と歴史を武器に、激動する世界を読み解こう! 
 日本では戦後その研究をGHQから禁止された地政学。しかし、複雑怪奇な国際情勢を理解するには地政学的なものの見方の重要度が日に日に増している。米露中では盛んに研究されており、いまや日本の弱みともなりつつある視点なのだ。地政学では、ある地域の政治、経済、軍事、社会的な動向には、その地理的な位置や形が大きな影響を与えていると考える。またその歴史は、地域や民族が持つ行動原理を知る上で欠かせない。地政学の"イロハ"は佐藤優氏がわかりやすく語る。「第3次世界大戦下」と言われる現代の解説と、ビジネスパーソンが読むべき地政学の入門著書なども教えてくれる。15ヵ国の地政学的分析が掲載されているPart3「この国が見ている世界」は必見。コンパクトに各国の地政学的理解が進む。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<< マイナス金利で、どうなる?

 今回の世界経済不安の特集はそれぞれの視点があって面白いが、なかでも『週刊エコノミスト』は「マイナス金利」に絞って特集を組んだ。それもあって分かりやすいメッセージの特集になっている。
 日銀が初のマイナス金利導入を決めたのは1月29日。すぐさま市場は反応し円安が進み、株価は乱高下しつつも高騰した。しかし、それも束の間、2日間大幅に上昇した株価は一転、2月2日には原油価格の下落を受けて全面安の展開となる、その後の連続的な下げは既に知られている通りである。
 年初からの世界同時株安や原油安に対抗するために黒田日銀総裁は「マイナス金利」という劇薬を投じたわけだが、今のところ既に賞味期限切れとなりかけている。だが、このマイナス金利が今後どのように推移していくかはいずれにしても注目を集めているところ。同誌では9人のプロに「このマイナス金利をどう評価するか」をコメントさせている。面白いのは今年の相場を新たに予想していることだ。昨年末の予測から1ヵ月で大きく状況が変わったということだろう。しかし、日経平均は2万円を越えるというプロの予想は現実に続落する株価を見ているとつい「?」がついてしまう。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< 中国経済減速と原油安の複合不況

『日経ビジネス』は新たな造語で特集を組んできた。その名は「チャイルショック」副題に<リーマンより怖い現実>とある。世界経済の得体の知れない不安をその構成要素である「中国(チャイナ)」と「原油(オイル)」を組み合わせたのだ。
 中国、米国、欧州、そしてASEANと地域ごとに現状と先行きを分析していて、特に資源産出国であるブラジル、ガーナなどの新興国の先行きを取材してレポートしている。
 最後にユーラシアグループが発表した2016年のトップリスク10を掲載していて、これがなるほどと思わせた。「1 同盟の空洞化」「2 閉ざされた欧州」「3 中国の存在感」「4 ISとその支援者たち」「5 サウジアラビア」「6 IT技術者たちの台頭」「7 予測不能なチーダーたち」「8 ブラジル」「9 少ない選挙」「10 トルコ」となっている。
 一言で言うと、世界の秩序がなくなってきているということで、何が起こるか分からない世界になってきたということである。経営が備えるべきリスクも多様化し、しかも負担は重くなってきているということだ。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<< リスクオフの蔓延

『週刊東洋経済』は黒田日銀のマイナス金利政策に巻頭14ページを割いた。そして第1特集「世界経済危機 リーマンショック以来の黄信号点灯」へと続く。
 緊急特集で大々的に経済危機を取りあげたわけだが、実際世間は年初から原油安、人民元安、世界同時株安と嵐のような様相に、誰しもが世界経済は大丈夫か? と不安におののいているのだから、当然の特集だ。
 この状況を読み解こうと同誌はまず巻頭で世界経済の「負の連鎖」を図解している。その上で世界的なリスクオフ(より安全な資産へと流れる相場の傾向)によって日本株はどうなるのか(パート1)。そして、これまでの世界経済の牽引役である米国の状況(特に最もリスクの高いジャンク債の影響)について触れている(パート2)。また、パート3ではこうしたリスクの火種とも言うべき、中国経済の減速と中東情勢(シリアに加えて、イランとサウジアラビアの対立など)にも言及する。
 こうしたリスクが重なって、複雑な様相を示す世界経済だが、先行きは読めないのが実態だ。