2015年12月23日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・2016大予測


週刊東洋経済 ... 2016大予測
週刊ダイヤモンド ... 2016総予測
日経ビジネス ... シェアリングエコノミー
週刊エコノミスト ... 世界経済総予測2016

 年末というのは書店で売っている週刊誌は取次の関係で合併号となります。ただ予約購読がほとんどの『日経ビジネス』だけが合併号ではありません。他の3誌が派手に来年の「予測」特集を打つなか、同誌だけがフツーの特集です。今週の同誌の特集はそれなりに面白いのですが、やはり派手さで負けている。特に『週刊東洋経済』と『週刊ダイヤモンド』は200数十ページの分厚さとあって力の入れ方もひとしおです。
 この両誌、企画テーマがほとんど一緒なのでどちらも甲乙つけがたいのですが、ま、切り口で『週刊東洋経済』を1位にします。「まさかのシナリオ」という項目やインタビューに面白さがありました。
 第2位はしたがって『週刊ダイヤモンド』です。『週刊東洋経済』にはない「地方創生」にスポットを当ててページを割いている点に注目しました。
『日経ビジネス』はそんなわけで少々損をしていますが、特集は世界で大流行していて日本では普及していない「シェアリング」というビジネスを取り上げました・日本では様々な法規制が働き壁になっています。
 最後の『週刊エコノミスト』は先週の「日本経済総予測」に続いて「世界経済総予測」となっていて、米中の激突や混迷する欧州、資源国の今後を予測しています。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<<  2016まさかのシナリオ

『週刊東洋経済』と『週刊ダイヤモンド』はどちらも年末恒例の「予測もの」だ。ページ数と項目数で圧倒するのは168ページ、108項目の『週刊東洋経済』だ(『週刊ダイヤモンド』は166ページ、76項目)。
 内容は「日本経済・政治」「世界経済」「ビジネス」「テクノロジー」「生活・カルチャー」などと網羅的だが、「2016年に買える株」という項目があるのが四季報を出している同誌らしさといえば言える。ユニークなのは「まさかのシナリオ」で<米中武力衝突>であるとか、<東京でテロ><消費増税再度の見送り>などが盛り込まれていて面白い。これこそが予測なのだと思うのだが。
 またキーパソンへのインタビューとして、ラグビー日本代表主将だったリーチ・マイケルや外国人のお笑い芸人厚切りジェイソンなどがあって興味を引いた。実際には予測といっても断言しない見通しレベルの話がほとんどだが、それでもこれだけバラエティに富んだ「見通し」が書かれている号は手元に置いておきたいと思うだろう。


第2位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 来年の地方経済の行方は?

 こちらも年末恒例の「総予測」なにせ20年以上続くいつもの大特集だ。最初同士がやり始め、のちに『週刊東洋経済』が続いた。であるから、内容はどっこいどっこいと言って良い。毎年同じことを繰り返し掲載しているわけだから、マンネリ感も否めない。
 さて今年の特集。内容は8つのテーマに分かれている。「経済」「産業」「国際」「政治・社会」「働き方」「消費」「スポーツ・文化」などの切り口などは両誌共通のテーマといってもいい。しかし、それなりに工夫をしている点もある。それは「地方」をテーマにしたことだ。16ページを使って、石破茂地方創生担当相へのインタビューから各地の村おこしの現状レポートまでを扱っている。これは『週刊東洋経済』にないテーマでもある。
 また、綴じ込みの特別付録として「ゼロから始める経済ニュースの読み方」なども付いていて、お得感を演出している。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<< 日本で広がらないシェア

「シェアリングエコノミー」と呼ばれる新たな経済活動が、世界で猛威をふるっている。個人の遊休資産や時間を他人のために活用し利益を得るという従来に無いビジネスモデルを『日経ビジネス』が特集した。タイトルもそのままの「シェアリングエコノミー」。特に2大巨頭である米Uber(ウーバー)と米Airbnb(エアビーアンドビー)の勢いが凄まじく、この2者を中心に取材している。
 例えばUberは「相乗り」のサービス。空いた時間に自家用車でタクシーの様に客を運び、金をもらう。呼びたい場所や行き先等はスマホアプリで管理されており、料金はタクシーより3~4割ほど安い。一方、米Airbnbのサービスは「民泊」。ホテルをインターネットで予約する様にホストの家や部屋を予約し、泊まる事ができる。世界中で広がっているこれらのサービスだが、日本で行う場合、前者は道路運送法違反、後者は「旅館業法」という規制が壁となっていて、どちらも日本では苦戦していて、規制緩和の目処は立っていない。
 果たして日本はこの新しいサービス体系に対応する事ができるのだろうか。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 米中激突で世界経済はどう動く?

『週刊エコノミスト』の特集は「世界経済総予測」と先週筆者が予測した通りの内容になった。
 特集は3部構成で、第1部は「米中激突の時代」。米国の利上げと中国の経済減速とが世界経済にどういう影響を与えるかは経済誌が何度も扱っていたテーマ。それを予測という形でもう一度まとめなおした。
 そして、第2部は「混迷する欧州」、第3部は「新興・資源国ショック」と続く。世界経済の不安要因の一つに挙げられるのがテロの脅威だが、フランスの経済学者ジャック・アタリ氏へのインタビューや、「地政学リスク展望」と題して米シンクタンク、ストラトフォーのリバ・バラ副社長へのインタビューなども掲載されている。

2015年12月17日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・知らぬと損するフィンテック


日経ビジネス ... 知らぬと損するフィンテック
週刊ダイヤモンド ... 老後リスクの現実(リアル)
週刊東洋経済 ... ストレスチェックがやってきた!
週刊エコノミスト ... 日本経済総予測2016

 先週第1位にした『週刊エコノミスト』の特集「フィンテック」を今週は『日経ビジネス』が特集しました。本来的には二番煎じに映るわけですが、多様な事例の紹介で面白い特集に仕立てました。特に、日本では「六本木:ジーンズ派(IT系)」と「大手町:スーツ派(銀行系)」の融合が進まず他の国に遅れをとっているというくだりは日本の現状をよく表していました。これが今週の第1位です。
『週刊ダイヤモンド』は特集で老後リスクの現実にキチンと目を向けました。今風に言う「リアル」を見ようというわけです。この手の特集はいつも戦々恐々風が多く、現実であっても読むのがつらい。そこをこの特集は上手く救ってくれています。現実は厳しいことは分かっていても、そこを客観的に分析して目を向けようという視点は大切だと思います。よってこれが第2位です。
 第3位の『週刊東洋経済』は12月から従業員50人以上の法人で義務づけられた「ストレスチェック」を特集しました。企業におけるストレスは今や大問題には違いありませんが、この特集を読むとこうしたチェックがそれほど簡単ではない現実が浮き彫りにされています。
 そして、『週刊エコノミスト』は他誌よりも一足早く「日本経済総予測」を特集しています。

   <第1位>       <第2位>       <第3位>       <第4位>

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第1位
■ 日経ビジネス■ <<< 銀行のサービスがはがされていく?

 先週『週刊エコノミスト』が特集したフィンテック。提供者側の動きにフォーカスした業界特集だった。今週の『日経ビジネス』もフィンテックを特集。こちらは利用者側から「この新潮流にどう乗るか!?」に焦点を当ててレポートしている。特集タイトルは「知らぬと損するフィンテック もう銀行には頼らない」だ。
 さてフィンテック。Finance Technologyからくる造語である。例えばウェブサイトやSNSを通じて消費者でもある個人に対し、広くビジネスモデルを説明し、そこから資金を募るクラウドファンディングもフィンテック。あるいは、前年度が赤字でも昨日の売上が50万円あれば即融資を受けられるトランザクションレンディングもフィンテック。アマゾンやヤフー、楽天などのEC事業者が自社のショッピングサイトに出店している企業に融資するサービスだ。厳重な審査を必要とする銀行等の融資に比べてフィンテックは審査の基準も低く、魅力的なアイデアさえあれば手元資金がゼロでも融資を受けられる。
 ほかにもクラウド型の会計ソフトを手がけているfreeee。大企業の最高財務責任者の職務を人工知能に学ばせ、それを中小企業や個人に安価で提供している。会計係を雇うこと無く会計処理が行なえることの意味は大きく、コスト削減や時間の節約等効果は大きく、利用が広がっている。事例は拡大する一方だ。
 フィンテックは、農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ第4の波と言われている。欧米勢は果敢に新サービスを展開し、日本でも中小企業がそれを手に飛躍し始めた。この新潮流にどう乗るか!? フィンテックの先進国・米英のフィンテック革命からも目が離せない。


第2位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 働き続けることが下流にならないコツ

「高齢者」がからむ自動車事故や無理心中、「下流老人」に「介護離職」などなど。「高齢社会ヤバいな」と現役世代を戦々恐々とさせるニュースを毎日のように目にする。いや、ちょっと待て。そこまで悲惨か!?
 今週の『週刊ダイヤモンド』が「悲惨でも楽園でもない等身大の」老後を考える特集「老後リスクのリアル」を組んだ。この視点は重要です。不安に怯えることなかれ。
 老後の三大リスクは「金」「健康」「孤立」。金融機関が吹聴する「老後資金は1億円必要」なんていう「老後不安商法」に惑わされ始めると、30代でも老後のために人生の楽しみを失いかねない。これらの三大リスクに対して最も効果的な解決法といわれているのは歳をとっても「働くこと」だ。本誌でも特集最終章で「高齢者雇用のリアル」を取り上げている。働けば「金」と「孤立」から離れ、一定のリズムで生活をできることから「健康」もある程度保証される。現実的にそううまくいくか?との疑問は今の40代50代が70代になる頃には就労環境も変わっているだろう。心と体の健康が結局どの世代も鍵になる、と現役続行派の私は思います。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<<  あなたに復活力はありますか?

 今週の『週刊東洋経済』特集は「ストレスチェックがきた!」。12月1日から義務付けられた「ストレスチェック制度」を掘り下げる。この制度は常用従業員50人以上の事業所で、年に1度、社員を対象にアンケートのような調査を行ない、ストレスの度合いを計測。その結果を本人にフィードバックし、メンタルヘルスに対する意識を高め、うつなどへの重症化を阻止できるよう対策を講じる制度だ。
 昨年度、精神疾患での労災認定は史上最多の497件に上った。これは10年前の約4倍であり、いかにメンタル不調に悩むサラリーマンが増えたかがうかがえる。メンタル不調者は企業にとって"ロー・パフォーマー"。従ってこれまでメンタルヘルスへの企業投資は進んでこなかった。このストレスチェック制度によってメンタルヘルス対策費の投資としての側面が理解され始めた意味は大きい。
 また、メンタルに問題なさそうな人材が密かに不調を抱え、本来あるべき生産性=「プレゼンティズム」を発揮できていないケースがけっこうあると認識され、病気による遅刻や休職といった「アブセンティズム」よりも社会に与える損失が大きいことがわかってきた。本来あるべき生産性を発揮するにはストレスからの復活力=レジリエンスが欠かせない。復活力の実例として元中日ドラゴンズ・山本昌氏が登場する。
 ストレスをいかにマネジメントするかはもはや社会のメジャーな課題なのだ。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< このところいつも経済不透明

 今週の『週刊エコノミスト』は「日本経済総予測2016」。マスコミ的常套句は、経済に関してここ何年も「世界経済の不透明感が強まるなか」が常連。どこまでもいつまでも不透明。で、そんななか、今年も総予測もの第1弾は『週刊エコノミスト』だ。「世界経済の不透明感が強まるなか、2016年の日本経済はどうなるのか。マクロとマーケットの両面から展望」してくれる。
 前半は「マクロ編」。2020年東京オリンピックに向けて"勝負の年"となる2016年を展望する。後半は「マーケット編」。投資関連情報に力を入れる『週刊エコノミスト』らしい、推奨有望銘柄・為替予測・長期金利予測を専門家がコンパクトに7ページでまとめる。
 来週は「世界経済総予測」で攻めてくるかも。

2015年12月10日

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・銀行の破壊者「フィンテック」


週刊エコノミスト ... 銀行の破壊者「フィンテック」
週刊ダイヤモンド ... 無敵の手帳術&情報管理術
週刊東洋経済 ... TPPで激変する日本の食
日経ビジネス ... 謝罪の流儀

 最近、『週刊エコノミスト』が元気です。MRJを3週間前にいち早く取りあげたのに続いて、今週は「フィンテック」を特集に取りあげました。フィンテックとはIT技術をベースにした金融の新サービスです。これによって既存のサービスが劇的に浸食されていっているその現状と可能性を浮き彫りにしています。これが今週の第1位です。
『週刊ダイヤモンド』は年末ということもあり手帳とそれにまつわる情報管理の特集です。私自身は紙の手帳を使わなくなって久しいのですが、年間1億冊市場は健在のようです。糸井重里さんの『ほぼ日手帳』など55万冊のベストセラーなのだとか。
 第3位はTPPの影響を「日本の食」にフォーカスして、それがどう変わるかを取りあげた『週刊東洋経済』です。残念ながら先週『週刊エコノミスト』が特集していて、周回遅れの感があります。
 第4位の『日経ビジネス』は今年が『企業の不祥事=謝罪』の年だったとして、その対応でどのように違ったかを特集しています。しかし、考え落ちのところがあって、それほどインパクトはありません。

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第1位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 金融業界を大きく変える新サービス


 特集タイトルの「フィンテック」ってなんだ? それはIT技術を駆使した金融の新サービス群のことを指す。NHK朝の連ドラ「あさが来た」では、江戸から明治に移行するにつれ「両替商」から「銀行」への商売替えが進んでいくようだが、現実でもシリコンバレーから世界の金融ビジネスを大きく揺るがす"革命"が進行中。今週の『週刊エコノミスト』が「銀行の破壊者(フィンテック)」と題して特集する。
「ロボット・アドバイザー」なる投資助言サービスが米国で急拡大している。パソコンやスマホ上で「年齢」「年収」「希望する利回り」など簡単な質問に答えるだけで、適切な資産ポートフォリオを提示してくれるものだ。手数料は従来の運用サービスに比べて10分の1程度。すでに運用資産が30億ドルを超える企業も登場した。日本でも動きはある。10月、みずほ銀行がロボ・アドバイザーサービスを無料で提供し始め、「お金のデザイン」という専業ベンチャーも登場している。
 日米欧の有力金融機関は、提携や協業できるフィンテック企業を探すべくシリコンバレーに殺到する。が、駐在員が2〜3年で入れ替わる日本の大手金融機関はやっぱり苦戦。シリコンバレーはカリスマ起業家の閉鎖的なインナーサークルが強力で、その信用と人脈が第一となる。
 金融・IT関係者以外も読んでおかないと置いていかれる特集かもしれない。


第2位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 年収の高い人間は手帳を2冊持つ

 スマホ所有率の高まりとともに手帳は廃れていくのかと思いきや、紙の手帳のマーケットは拡大しているそうだ。その数、なんと年間1億冊! しかも、本誌副題によれば「年収1000万円以上は2冊持ち!」なんだそうな(笑)。今週の『週刊ダイヤモンド』第1特集は「無敵の手帳術&情報管理術」。デジタルにはない手書きの良さ・効用が注目されている手帳の世界を、選び方、新潮流、達人の情報管理術など、濃厚に特集する。
 なんと、日本の手帳の歴史は、1862年福沢諭吉がパリから持ち帰ったのが始まりだという。それから150年。大蔵省印刷局の「懐中日記」から近年の有名人が考案した手帳まで、手帳評論家・舘神龍彦氏の「手帳進化論」が面白い。では実際どんな手帳が売れているのか? 本誌は4大手帳売り場のランキングを紹介する。渋谷ロフト1位は、ここでしか店頭販売していない「ほぼ日手帳」。丸善丸の内店1位は「能率手帳ゴールド」。銀座伊東屋は「伊東屋オリジナル手帳」。そして、1万3500アイテムを揃える日本最大の手帳売り場Amazonの1位は「ジブン手帳」。コクヨ製品だ。これ、発売3年だが、「自分の生きた証を残せる」とフェイスブックなどSNSで話題となり、使用者全体の5割がネット経由で存在を知り購入に至っている。趣味に特化した「ワナドゥ手帳」(ロフト)など、新潮流を見に手帳売り場に行ってみようかな。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<<  TPPで日本の食はどうなるのか

 先週『週刊エコノミスト』が特集したTPP。今週は『週刊東洋経済』が「食」に絞って特集を組んだ。題して「TPPで激変する 日本の食」。「『影響は限定的』なんて本当か!?」と、日本の消費者や生産者が直面するであろうメリットとデメリットを「食」に限定して徹底解説を試みる。
 TPPは太平洋をぐるりと囲む12ヵ国で統一経済圏の形成を目論むものだ。12ヵ国のGDP合計は3500兆円。実に世界の約4割を占める巨大な経済圏だ。この史上最大の圏内貿易自由化で、日本は輸入する9018品目のうち、95.1%の関税が取り払われることになる。TPPへの不安を一番募らせているのは農業従事者だ。ただでさえ急減している小規模農家の減少に加速がつくことは間違いないと思われている。そこに海外から輸入食糧品が入ってくるわけだから、日本の「食」の未来予想図が特集されることもうなずける。特集では品目別の影響予想のほか、遺伝子組換え食品や成長ホルモンの添加など、食の安全への懸念にも迫る。


第4位
■ 日経ビジネス■ <<< お詫びの仕方で天と地との差

 1月スカイマーク、2月日本マクドナルド、3月東洋ゴム、7月東芝、10月旭化成。この並びはいったいなんだろう? そうです、2015年にニュースとなった主な謝罪会見です。
 今週の『日経ビジネス』特集は「謝罪の流儀」。「炎上の旭化成、火消しのトヨタ」という副題もついている。特集扉には1月から11月までの毎月、企業・団体による謝罪会見お詫び写真が整然と並ぶ。頭を下げる企業のトップの姿が日常風景となった1年だった。有事の対応を誤ると企業価値は一瞬にしてしぼむ。ましてやソーシャルメディアが普及した現在、従来の危機管理手法は通用せず、かえって「炎上」してしまうこともある。その事例として「炎上」した傾きマンションの旭化成と、新任広報担当アメリカ人女性役員の麻薬密輸容疑(不起訴処分)で即座に社長が会見し短期間で事態を収束したトヨタを取り上げ、「いま」通用する3つの「謝罪の流儀」をまとめた。
 警察の捜査段階でのトヨタの社長会見はリスクマネジメントのプロや企業の常識からすると「あり得ない」ものだったようだ。広報や法務など専門分野からみたリスクより社会への説明を重視した決断は、「自分たちの常識が通用しないことを、トップも各部門も思い知らされていた」過去の経験がものを言ったのだろう。

2015年12月 3日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・おらが村のインバウンド


日経ビジネス ... おらが村のインバウンド
週刊エコノミスト ... そうだったのか! TPP
週刊ダイヤモンド ... 暴れる地球 気候変動の脅威
週刊東洋経済 ... 資産価値をどう守る? これからのマンション選び

 世は地方創生で盛り上がっています。インバウンドで盛り上がっています。その盛り上がる2つに関連性があり、しかも可能性があると特集のテーマに掲げたのが『日経ビジネス』です。つまり、地方に外国人観光客を呼び込む、そんな動きを実例と共に取り上げ、その成功するポイントを紹介しています。記事を読むと、なるほど日本人が見過ごしていたり無視していた日本人社会特有の活動や行事が、外国人には新鮮に映るということがおぼろげながら分かってきます。こうした成功例が地方に広がれば、まさに一石二鳥でしょう。そんなわけでこれが今週の第1位です。
 もう一つ、タイトルではそれほどピンとこなかった特集で読んでみるとなるほど工夫が凝らしてあり面白かったのが『週刊エコノミスト』です。特集のタイトルは「そうだったのか!TPP」と借り物ではありますが、上手く分かりやすく作ってある、これはこの雑誌の行き方の一つになるのではないか知らん、と思いました。
 第3位は『週刊ダイヤモンド』の異常気象特集です。異常気象が常態化してきた現在の状況を分析して、例えば100年で3度も気温が上昇している東京がどれほど異常な常態かがよくわかります。
 そして、『週刊東洋経済』はマンション特集です。杭打ちの偽装に端を発したマンションの問題を中心に、これからのマンション選びについて取材しています。

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第1位
■ 日経ビジネス■ <<< インバウンドは地方へ

 訪日観光客増加の勢いが止まらない。2020年の東京五輪に向けた年間2000万人の目標は既に射程圏内で、既に4000万人説が出始めている状況だ。訪日観光客による「爆買い」によって関連企業も好決算に沸いている。しかもこういった効果は今まで、都心に限定されていたが、それが今、地方に波及し始めているのだ。
 そんな状況を『日経ビジネス』が今週号で特集した。題して「おらが村のインバウンド」。
 日本人にとっては何気ない田舎の日常風景であっても、外国人にとっては新鮮な観光場所となる。観光資源が無いと嘆いていた村に外国人を呼び込むことが地方創生の原動力となるか。
 実際に外国人の呼び込みに成功している企業や地域はどのような手段を取っているだろうか。たとえば飲食店検索サイト「ぐるなび」は「H.I.S.ANAナビゲーションジャパン」が運営する旅行予約システムを利用し、「食」をテーマにした地方旅行を提案している。言語が通じず苦労することが多い外国人客に対して、対応の整った店を厳選して紹介することを可能にしている。
 また、企業でなくともこういったツアーにより人を呼び込んだケースもある。京都府北部、天橋立がある宮津市の旅館「酒鮮の宿 まるやす」のオーナー、古田豊弘さんは地元の酒蔵に声をかけ、酒蔵をワイナリーに見立てた酒蔵巡りツアー「丹後天酒まつり」を企画。地酒の知名度も上昇し、外国人観光客が頻繁に訪れるようになった。地方創生の真髄がここにあるのかもしれない。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 実はメリットが薄いTPP

 この企画は意外に面白かった。『週刊エコノミスト』の特集「そうだったのか! TPP」のことだ。特集の扉ページに副題として<期待はずれの政治ショー 経済へのメリットは薄い>とあるように、そのメリット・デメリットを解説している。
 例えば<こう変わる日本の産業>の項では、「自動車・自動車部品→現地生産で薄まる関税の重み」「外食→牛丼値下げ期待できず」「衣料品→価格に影響なし」といった具合で、ご丁寧にも別のページではスーパーのチラシ風にレイアウトして「カレー816円→672円」「競走馬540万円→200万円」「ナポリタン1188円→1057円」などとしてその理由を解説している。もちろん懸念される農業の問題からTPPで上がる株・下がる株まで満載である。


第3位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<< 30年に一度が10年に一度

 11月30日からパリで安倍首相、オバマ大統領、習近平国家主席ら世界の要人が参加してCOP21(気候変動枠組み会議)が始まった。今週の『週刊ダイヤモンド』は、COP21に時期を合わせて「暴れる地球 気候変動の脅威」を特集する。スーパー台風や集中豪雨、火山の噴火に地震と、近年極端な気象現象が頻繁に起きるようになり、地球気候の暴走を誰もが感じ始めているだろう。特集では国内外で起こっている異常気象の実態を3人の人気気象予報士が解説。そして気候変動がわれわれの生活やビジネスにもたらすメリット・デメリットに迫る。
 今年9月の豪雨による鬼怒川の堤防の決壊、2014年の関東甲信での大雪や広島市の豪雨と土砂災害。気象庁が「30年に1回以下」と定義する「異常気象」が毎年のように起こる。日本ではこれまで温暖化一辺倒の報道ばかりだが、11月にはNASAが「南極の氷が増加」と発表。産業革命以降の人間による二酸化炭素排出量増加だけがこの極端現象の原因と考える人はさすがに減り、近年では「温暖化」なのか「寒冷化」なのか、専門家の論争も真っ二つだ。その辺の論争がコラムにまとめられていて興味深い。気候変動によって発生するリスクをビジネスチャンスにする企業もレポート。トヨタ自動車など巨大企業のほか、ウェザーニューズ社のグローバル展開にも焦点を当てる。
 巻頭「ダイヤモンドレポート」で取り上げるのは「電子領収書が問う総額1兆円のムダと日本の"紙信仰"」。経費のデジタル領収書化で経理部門の人件費が70%削減だそうです。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<<  自分のマンションは自分で守る

 今年10月、横浜市都筑区の大規模マンションの1棟で発覚した建物の傾き。難しい地盤に打ち込まれた杭データの偽装が元凶だった。今週の『週刊東洋経済』は、「資産価値をどう守る? これからのマンション選び」と題して、購入から管理、修繕まで、マンションの新常識を徹底検証した。
 そもそも杭問題で話題となった三井不動産レジデンシャルは、定期的な検査や補修を行なうアフターサービスや欠陥に対する手厚い補償等品質にこだわりを持っていることで知られ、人気のブランドだ。そんな三井不動産でも防げない欠陥には業界の構造である"まず価格ありき"という思考がある。マンションの収益構造のモデルにおいて特徴的な部分は二つ。一つがデベロッパー側の販売促進費の多さ。モデルルームや広告等、総事業費の約7%を占める。一方でゼネコンの設計・管理費は1.5%と事業構造そのものから設計や管理が軽視されている。二つ目は下へ下へとひずみが集中する構造だ。一次、二次、三次の下請けを含めると一つのマンションに関わる企業の数は500以上。本来元請けの責任である品質の確保も下へ下へと回され、品質検査に約6割の下請けが関与しているのが実態だという。
<巻頭特集>は「企業もカネも群がる AIの破壊力」。グーグル、フェイスブックに続き、国内でもドワンゴ、リクルートがAI研究所を設立するなど、本格化するAIブームを追う。