2015年4月28日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・人事部の掟

週刊ダイヤモンド ... 人事部の掟
週刊東洋経済 ... トヨタ! 進撃再開
日経ビジネス ... イオン 挫折の核心
週刊エコノミスト ... 世界株高の落とし穴

 5月のゴールデンウィークということで各誌合併号が組まれている経済誌ですが、以前のように華やかな特集はなく、普通の号と同じような特集が組まれています。そのなかで光っていたのは「人事部の裏側」を特集した『週刊ダイヤモンド』です。大手企業では人事部は出世コースと俗に言われていましたが。本当のところはどうなのか、今の採用はどのような本音でなされているのか。あるいは人事評価の実態はどうなっているのかなどと、尽きない興味がもたれているのも事実です。そうした人事部を丸ごと特集にし、そのために同誌初の人事部アンケートまで行なったそうです。これが今週の第1位です。
 今週は企業ものの特集も重なりました。ただその取りあげかたには違いがあり、『週刊東洋経済』が快進撃を続ける「トヨタ」を特集すれば、『日経ビジネス』が不振をかこつ「イオン」を特集するといった具合です。イオンは以前にも他誌が取りあげていたこともあり。内容で勝る『週刊東洋経済』が2位、『日経ビジネス』を3位としました。そして、『週刊エコノミスト』は世界株高の落とし穴を探る特集ですが、ゴールデンウィーク向けに「古本屋が熱い」といった第2特集も組んでいます。

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<<  人事部アンケートから見えるもの

 今週の『週刊ダイヤモンド』は珍しい特集を組んできた。「人事部の掟 あなたの異動・昇進・昇給はこう決まる!」だ。特集のキモは、従業員3000人以上の上場737社に対して行なわれた同誌"初"となる「人事部アンケート」だ。回答を寄せたのは212社。かなりの回答率だと思う。特集副題に「"伏魔殿"ニッポンの人事部を徹底解剖!」とあるが、各企業の奥の院的な存在がこれだけ回答を寄せてきたことに、人事部の抱える苦闘・課題を感じる。
 アンケートをひも解くと、「過去3年で見直した人事制度」は、「成果重視の色彩を強くした」が第1位。3位に「シニア層よりも若年層の処遇を厚くした」が入り、ベテラン社員の給与を若手にシフトする傾向が見て取れる。「深刻な課題」トップ3は、①グローバル人材の育成、②女性活用、③将来の幹部人材の育成。幹部候補社員に経験させるポスト1位に「海外現地法人」が入るなど、グローバル戦略が人事でも中心課題となり、人材採用・育成の苦戦ぶりが想像できる。
 回答企業が参考にしている企業として注目を集めるのが「日立」の取り組みだ。巨大企業が、世界中のグループ950社、32万人を統一評価基準で格付けする「グローバル・グレーディング」がそれ。評価基準を「人から仕事(職務・職責)」へと変更し、このグレーディングを従業員の処遇・異動・配置・選抜の目安とした。

第2位


 自動車業界の巨人、トヨタの躍進が止まらない。独走するトヨタの新時代とは何なのだろうか。今週の『週刊東洋経済』は「トヨタ! 進撃再開」と題して、充電を完了して再びアクセルを踏むトヨタ自動車の戦略を掘り下げる。
 4月19日、上海国際モーターショーの前夜祭にてトヨタは現地生産の新型ハイブリッド(HV)車を披露した。トヨタが日本以外でHV車を開発するのは今回が初めてだ。これはVW社に決定的に負けている中国市場でのシェアを増加させるための乾坤一擲の策だ。2017年にはさらに新工場を立ち上げる計画もあり、いかにトヨタが中国市場を重要視しているかがわかる。
 トヨタはリーマンショックによる需要激減の煽りを受け失速した後、過剰な生産力を整理し、物作り改革に努めてきた。その結果が実り営業赤字は回復。収益構造の根本からの改善に成功し、より安定した経営体制へと移行した。2013年には世界販売1000万台という前人未到の数字をたたき出し、さらに強くなろうとしている。
 世界各地に工場を広げて行った世界展開のフェイズを終え、技術革新やサプライチェーンの複雑化、不安定な為替等山積みの課題に対して、自動車産業のトップランナーとしてどのように対応して行くか。トヨタの新時代が始まっている。この会社の戦略を知らずしてもはやビジネスは語れない。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<<  完全に飽きられたイオン

 最近、規模の大きさに「復讐」される小売業が目につく。マクドナルドしかり。今週の『日経ビジネス』の第1特集で取り上げられているイオンも不振だ。特集のタイトルは「イオン 挫折の核心 〜セブンも怯えるスーパーの終焉」。イオンの不振に象徴される大手総合スーパーの生き残りを懸けた方向転換を追う。
 イオンの総合スーパー事業が前期、赤字に転落した。客離れが止まらないという。コストダウンに欠かせない全国規模の仕入やプライベートブランド優先の売り場づくりが強みの時もあった。しかし現在、地域の消費者の多様化した嗜好にフィットせず、特徴のない品揃えで完全に飽きられてしまった。イオンは「一番元気があった頃」に会社の有り様を戻すという。それは「1つの事業本部内に、仕入から商品企画、マーケティングなどのあらゆる機能があって、密接に連携し合い、顧客の変化を捉えたら、誰ともなく行動に移し、現場主導で売り場を作っていた」1980年代後半のジャスコの姿だ。好調のセブン&アイホールディングスも、低迷が続くイトーヨーカ堂の仕入を「セブン流」に変換するという。絶好調のセブンイレブンも危機感を持ち、セブンプレミアムに商品開発に地域による嗜好の違いを取り入れる。
 これら大手が地域密着の店づくりに大きく舵をきったことは、これまで地元スーパーの独壇場だったローカルブランド商品の品揃えで、熾烈な競争が始まることを意味する。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 2015年の10大リスク

 今週の『週刊エコノミスト』は、「世界株高の落とし穴」という特集タイトルのもと、現状の世界経済情勢におけるリスクを俯瞰する。切り口は国や地域だ。米国、日本、中国、欧州、ロシア、中東、ブラジルの個別の事情を掘り下げる。日本に関しては、安倍首相のブレーンの1人、浜田宏一・内閣官房参与が登場。金融政策に対する持論を展開している。そして、毎年「世界10大リスク」を公表して注目を集めるユーラシア・グループ社長イアン・ブレマー氏が、米国の影響力が低下し、主導国がいない「Gゼロ時代」における日本のあり方、日米関係、日中関係についてインタビューに答えている。2015年の10大リスクも誌面で確認できる。
 第2特集は「農業改革の化けの皮」。安倍政権が掲げる「強い農業」を目指す改革の裏側をレポートする。そして『週刊エコノミスト』はいち早くゴールデンウィーク向け企画も掲載した。「GWは古本屋が熱い!」がそれ。清澄白河、中央線沿線、神保町の古書店街の紹介から、全国の個性あふれる古書店を訪ね歩く古本屋ツーリスト・小山力也のマニアックな解説まで、いい感じの記事になっている。

2015年4月22日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・あなたの情報 いくら?

週刊ダイヤモンド ... あなたの情報 いくら?
週刊東洋経済 ... 買っていい株 ダメな株
週刊エコノミスト ... どうなる?上期相場
日経ビジネス ... ソニーが変われぬ10の理由

 このところ経済誌が面白い。何が面白いのか? それは一にも二にも切り口が面白い、ということになります。今週の経済誌で言えば、なかでも『週刊ダイヤモンド』の切り口がよかった。「情報」をテーマにしていたのです。最近ネットを見ていると自分が買ったものや自分が見たサイトに関連するような情報が即座に手元に来るようになっていて、それはスマホにも及びます。ビッグデータの活用でこれらの情報がいとも簡単に集められるようになり、私たちは丸裸にされていっているわけです。その内部を探る企画ですから、面白くないはずはありません。これが今週の第1位です。
 次には株の特集が続きます。
 まず、『週刊東洋経済』の特集で、買っていい株といけない株の特集ですが、これは何号か前で他誌でやっていた特集ですが、そこは切り口を変え、人気マンガとのコラボのような形の特集にしています。そして、『週刊エコノミスト』も金融商品の特集です。株に為替、商品先物などの上期予測を特集しています。
『日経ビジネス』はソニーを取りあげました。ソニーがなぜ変われないか?という割に重いテーマです。OB 60人の証言が効いています。

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第1位
■ 週刊ダイヤモンド■ <<<  ヒモ付けする人、される人

 仕事上いろいろなことを調べるが、ちょっと前に都心部のマンションとアニメについてパソコン上でネット検索した。なので、現在私のネット上には新築マンション等の不動産情報がとっかえひっかえ登場し、萌え系のアプリや書籍の広告が花盛り。かなりムカつく。インターネットやスマートフォンの普及により私たちの生活は便利になったが、その対価として個人情報は吸い取られ丸裸とも言える状態だ。
 今週の『週刊ダイヤモンド』は「あなたの情報いくら?」と題し、個人データに群がるビジネスの裏側を特集する。
 収集された個人データは、本人のあずかり知らないところでさまざまな企業にも利用され、実質的に企業間で共有している。そのうちの1社と会員登録したとする。それで自分の名前の下にすべての情報が一気にひも付けされることになる。スマホなら、通話アプリもSNSもメールもネット通販もウェアラブル端末からの情報も一気通貫だ。もちろん個人のアドレス帳もアルバムも、アプリによってはアクセス可能。われわれは自分達の思っている以上に情報を吸い上げられ、その価値に気づいた企業が個人データの獲得に躍起になっている。安倍首相も成長戦略の1つに個人データの有効活用を位置づけており、法改正も視野に入れている。個人データは21世紀の「新しい石油」とも言われる。では個人はどう対応するのか? 特集Part4でそのコントロール術が提案されている。
 東短リサーチ・加藤出氏が、金融市場のコーナー(25P)で韓国の激烈競争社会について執筆している。サムスン電子の昨年の平均給与は1110万円(トヨタ自動車は790万円/2014年3月期)。さらに福利厚生も厚く、一説には子供の学校の授業料は大学卒業まで会社が払ってくれるとか。......そりゃあ熾烈になりますよ。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< 上昇相場は2017年まで続く?

 4月10日、今世紀初めて日経平均株価が2万円越えの快挙を達成した。今週は『週刊東洋経済』と『週刊エコノミスト』の2誌が株式投資関連の第1特集を組んできた。『週刊東洋経済』のタイトルは「買っていい株 ダメな株」だ。あれ? 約ひと月前、『週刊ダイヤモンド』が第2特集で「買っていい株 いけない株」をやってたはずだ。なるほど、改めて株式市場への経済誌の注目度がうかがえる。
 一時的とはいえ日経平均株価が2000年4月以来、16年ぶりに2万円台に到達した。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、「12年末を起点とする今回の上昇相場は17年まで続くのではないか」と予測する。2万円を越えたことでいったん調整されるだろうが、今秋の日本郵政の株式上場や2017年4月の消費税再増税を考えると、2016年も株高維持の政策が取られるはずだからだ。
 今回の特集は、この好機に株式投資を始めようという人のための入門編だ。もちろん四季報の読み取り方も解説。そして目玉は三田紀房氏の投資漫画『インベスターZ』の選りすぐり場面で解説する投資の心得、基本編だ。
 さて、今秋の『週刊東洋経済』は<巻頭特集>「ネットフリックスがやってっくる」、ジャパネットたかた創業者・高田明氏、セブン&アイホールディングス会長・鈴木敏文氏へのインタビューなど、ほかにも読み物がいっぱいで楽しい。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 今年も5月売りはあるか

「世界経済の先行きには不透明感が漂う」--−--−。リーマンショック以降ずっとこのフレーズを見聞きし書いてきた気がするが、ただいま現在も世界経済は「不透明中」としておけば間違いあるまい。今週の『週刊エコノミスト』は、その不透明ななか投資家はどう動くのか、「どうなる? 上期相場 今年も『5月売り』はある?」で特集する。
 米国は今年秋にも経済正常化を目指して利上げに動くのではないかと予想されている。しかし、日本、欧州、そして中国は金融緩和政策を継続せざるを得ない状況。この先なにが起こるのか? 株式相場の格言「セル・イン・メイ(5月に売れ)」は起こるのか? 特集では世界マネー編、日本株編で分析する。


第4位
■ 日経ビジネス■ <<<  だから私はソニーを見限った!?

「ソニーが変われぬ10の理由」というタイトルの横に、斜め上を見つめて紺スーツでスタイリッシュにポーズをキメる男。今週の『日経ビジネス』の表紙だ。全身写真で表紙を飾っているその人こそ、平井一夫ソニー社長兼CEO。変われないソニーの、いまや象徴である。編集長インタビューに応じるのはソニーの代表として当然だが、表紙でポーズをとる姿にちょっと違和感を持った。......いや、もしかしたら平井氏は、あえて「ソニーが変われぬ10の理由」の横に自らをさらすことを選択したのかもしれないと、思ったりする。(もちろん違うだろうが)
 ソニーは苦戦している。いまやスマートなエリート社員ばかりで、往年の奇人変人の姿は見られないよくある大企業になったソニー。約20年も斬新な商品・サービスを世に送り出せていない。出井伸之氏、ハワード・ストリンガー氏と続いた「技術者軽視」の経営の帰結とも言われている。OBたちは「"普通の会社"に堕ちてどうする!」と警鐘を鳴らしてきた。しかし平井氏は「まずは普通の会社になってから再出発させたい」という考えだ。特集では「OB 60人が語る『だから私はソニーを見限った』」、平井社長への編集長インタビューなど、いまだ負のスパイラルから抜け出せていないソニーの「変われぬ理由」を掘り下げる。

2015年4月15日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・大手は子に従え

週刊経済誌の読みどころ20150415

日経ビジネス ... 大手は子に従え
週刊ダイヤモンド ... がん最前線
週刊東洋経済 ... 金融異変
週刊エコノミスト ... 相場を見抜く経済指標

 いいタイトルというのは滅多にでてこないものです。しかし、今週の『日経ビジネス』の特集タイトルは秀逸でした。「大手は子に従え」--------大手企業では画期的な製品が生まれないので、そこはベンチャー企業に任せてそのベンチャーと協業しようというそんな企画です。私も、元パナソニックの社員が立ち上げた社員数人のメーカーの経営者の話を聞いたことがあります。こんな話はアメリカのシリコンバレーの話だとばかり思っていましたが、近年、徐々に日本に広がりつつあります。これが今週の第1位です。
 第2位は『週刊ダイヤモンド』で、同誌の特集、がんの最前線レポートに注目します。いまやがんは治らない病気ではなくなりつつあり、最新の技術、医薬品が生まれてきています。その最前線には驚きの技術があふれています。
『週刊東洋経済』は超低金利のなかで、金融機関はいかに顧客を獲得するかの戦争に明け暮れています。メガバンクと地銀、それに加えてあたら行く免許を取った銀行などなかなかその模様は壮絶です。
 そして『週刊エコノミスト』は「何が有効な経済指標か」という視点で特集を組みました。イエレン・ダッシュボードの発言(米FRB議長)に端を発した指標論という感じですね。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  ベンチャーと大手企業との協業が始まる

「大手は子に従え」というタイトルは、言いたいことがストレートにしかもユーモラスに説得力を持って伝わってくる。画期的な製品が日本の大手企業から生まれづらくなっている現状。理由は、大手企業が旧来の枠組みから脱しきれず、イノベーションの壁にぶち当たっているからだ。そんななか、ユーザーニーズを素早く汲み取り、画期的な商品を繰り出すベンチャー企業が続々登場している。大手は技術と部品の供給者と化す。逆転する主従。大手はこのままなす術もなく転落していくのか? いや、その「逆転の構図」の中にこそ日本のモノ作りを再生するヒントがある。あえて「従」となり、ベンチャーとの関係強化のなかで自らの革新力を鍛え直し、協業で相乗効果を上げていく道がある!と本誌は説く。
 秋葉原にある「DMM.make AKIBA」。最新の試作制作ツールが完備され、多くのベンチャー企業が集うこのビルを、最近電機大手の経営幹部や技術者が日々訪れている。社内で通らなさそうなアイデアを形にしてもらったり、ベンチャーと協力したいが何から始めたらよいかと相談したり、と理由はさまざまだ。大手企業ではブランド力があるのでどうしてもアイデアの製品化は慎重にならざるを得ない。そういったなかで葬り去られてきた多くのアイデアをすくい上げて世の中へと送り出す役割をベンチャーが担う。日本の大手とベンチャーの相互補完は始まったばかりだ。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  がん治療の構造変化

 数年前、がんで入院した友人(女性)のところに見舞いにきた会社の同期(男性)が「自分もがんだ」と告白したという。人事に関わるため会社には言わず、普通に働きながら保険のきかない免疫療法で治療しているという。病気との戦いは人それぞれ。がんの治療も一昔前とは大きく変貌を遂げてきたようだ。今週の『週刊ダイヤモンド』が「もう神の手はいらない? がん最前線」と題して、がんの三大療法である「薬物治療」「手術」「放射線治療」の変化と最前線を追う。
 ガン専門病院として名高いがん研有明病院での前立腺がん手術の数が落ちている。理由は手術支援ロボット「ダビンチ」の導入が遅れたためだ。2012年に前立腺がんのダビンチによる全摘出が公的保険適用となったことで全国の医療機関で導入ブームが起こった。その結果として導入した病院としなかった病院で手術数に差が出たのだ。「重粒子線治療」は従来の放射線治療と異なり、まわりの細胞を傷つけずにピンポイントでがん細胞を照射できる。日本が先頭を走る分野で政府も力を入れるが、治療費は高額だ。そして注目される「がん免疫薬」。"さえない"中堅製薬会社だった小野薬品が世界の薬物治療の主役に躍り出た。その開発秘話も興味深かった。
 第2特集は「試練の住宅産業」。2025年、新設住宅着工数は62.3万戸との予測が出された。バブル期の2分の1。住宅産業の未来をよむ。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 水没状態の金利で争う金融機関

「金利水没」。先進国を中心とする世界的な低金利の状態を、みずほ総合研究所・高田創チーフエコノミストが表現した造語だ。「金利が水没する世界の中で、浮き輪のように唯一プカプカ浮かぶのが米国。しかし、金利低下で運用先に困った世界中の"運用難民"が、少しでも金利のある米国債という浮き輪に殺到している」(高田氏)。この異常な状況の中で、金融を支えてきたビジネスモデルが揺らいでいる。今週の『週刊東洋経済』は、「金融異変」と題し、金融業界の危機の芽をレポートする。
 法人融資の現場では、メガバンクと地銀の金利争いが起きている。貸出先に困った地銀が低金利を武器に東京に攻め込んでいるのだ。逆ざやに陥るメガバンクも少なくない。一方、アリババや楽天など決済を手始めに貸出業務に進出する異業種企業も増加中だ。資産形成ビジネスの中核を担うはずの証券会社は、顧客のニーズに応え信頼を得るに値する力をつけてきているとは言えない。消費者側にも、その銀行や生保会社が自分の金を預けるに値する機関かを見極める力が要求されている。
 ITっぽくないIT企業、「ほぼ日刊イトイ新聞」を取り上げた巻頭特集「僕たち、ほぼ上場します」も面白かった。NPOなのか株式会社なのか。糸井重里が独自の価値観と嗅覚で進めるビジネスはゆる〜くいいところを突いている。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< ダッシュボードに入れるべき経済指標

 今週の『週刊エコノミスト』は、「相場を見抜く経済指標 統計を疑え」という特集だ。得意のお勉強シリーズに分類されるだろうか。「目まぐるしく変化する景気や経済構造を知る手がかりとなる経済統計・指標--−--−。経済の姿を正しく捉えるために、その読み解き方を専門家が伝授する」とある。プロは数ある指標のどれをピックアップし、どう読んでいるのか、その一端を見せてくれるようだ。
 FRBのイエレン議長が、昨年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見の席で記者から「ダッシュボード(計器盤)に入れている雇用指標は何か?」との質問を受けた。その際に議長が挙げた9つの雇用関連指標は「イエレン・ダッシュボード」と呼ばれ、今後の金融政策を見通すうえで注目されているという。
 また、第一生命経済研究所の熊野英生チーフエコノミストは、「無数にある経済指標のうち1つだけ選べと言われたら、経済産業省の『鉱工業生産指数』を挙げる」と言っている。結局残すのは王道だ。久々に同志社大学の浜矩子教授も登場する。「エコノミストに騙されないためには、常に疑問を抱く感受性が大事」とのこと。

2015年4月14日

2015年4月 9日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・貧困の罠

週刊経済誌の読みどころ20150409

今週の第1位は『週刊東洋経済』

週刊東洋経済 ... 貧困の罠
週刊ダイヤモンド ... 世界経済超入門
日経ビジネス ... 日本を揺るがす新常態
週刊エコノミスト ... 土地投資の極意

 経済誌が春になって若干活気が出てきたような気がします。4月はいろいろなものが動く時期ですし、経済にもそれが現れている? のかも知れません。
 そんななかでいきなりくらいテーマですが、『週刊東洋経済』は特集で貧困の問題を取りあげました。6人に1人が貧困というインパクトは大きく、特に日本の場合、中間層が脱落して貧困層に落ちていくという話なので、くらくもなろうというものです。しかし、避けては通れない話でもあり、日本という国の作り方をもう一度考えなくてはなりません。その意味で1位にします。
 次に注目したのは地政学から世界をみるという特集を組んだ『週刊ダイヤモンド』です。レビューにも書きましたが、昔地政学ブームがあったことを社のスタッフは誰も知りません。でも、それはともかく今また地政学から世界を見ることの必要性が高まって気て、ダボス会議にも取りあげられたという話です。これが2位。
 3位の『日経ビジネス』は中国の「変化」を「新常態」という言葉を使って、取りあげました。そして4位のエコノミストも「残す街」「捨てる街」という切り口から、土地投資の極意を伝授する特集を組んでいます。当たり前と言えば当たり前ですが、街自体の選別が不動産価格にも影響して来るわけです。

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第1位
■週刊東洋経済■ <<< 6人に1人が貧困の時代

 順風満帆に見えた人生から一転して転落......。今の日本には病気や介護、転職、失業といった貧困への罠が多数存在する。どんなに安定した生活を送っていても、陥る可能性がある貧困。
 今週の『週刊東洋経済』が「貧困の罠」と題してその実態にせまる。
 ピケティが提唱する欧米中心の一部の富裕層がよりリッチになる格差構図と違い、大衆層の貧困化によって格差が進む日本。割合からして6人に1人が貧困状態にあるという。日本は他の国々と比べて貧困に落ちないための対策が不十分だ。最低限の社会保障制度は存在するが、「最後の命綱」は生活保護しかなく、"丸裸になってからでないと利用できない"から、一度陥ってしまうと貧困状態から抜け出しにくい。その社会構造が問題視されているのだ。本誌には貧困に喘ぐ現場の事例が数多く取り上げられていて、6人に1人が貧困状態という実態がこれほど身近なのかと心が痛い記事も多い。4月には生活保護の手前で支援を行う「第2のセーフティネット」=自立支援法の施行も始まった。また、福井県や富山県といった「低貧困」、つまり貧困のない地域もある。
 第2特集は国債財務報告基準IFRS導入企業の減損の謎を扱う。上場企業の導入事例が増えてきたところでの問題提起だ。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 地政学の時代、到来!

 このメルマガで扱う4大経済誌の表紙に「地政学」という言葉が登場したのは、私の記憶に間違いがなければ、昨年4月の『週刊エコノミスト』が最初だ。なぜ2014年? 答えは明快。2014年の世界経済フォーラム、いわゆるダボス会議において新たな専門委員会「ジオエコノミー」が立ち上がったからだ。その「ジオエコノミー」では、地政学と世界経済の相互関係を専門に研究するのだという。ここに「地政学」が公に復権を果たし、いまブームともなっている。
 今週の『週刊ダイヤモンド』はこの地政学で読み解く世界経済の特集だ。
 大昔で言えば、倉前盛通亜細亜大学教授(当時)の「悪の論理--−ゲオポリティクとは何か」(1977年:日本工業新聞社刊)がベストセラーになっていたという記憶があるが、近年「地政学」という言葉を久々に耳にしたくらい、日本人は"地政学オンチ"である。第2次世界大戦までは盛んに研究され東アジア最大の覇権を握る学問的な背景だった。しかし戦後GHQによりその研究は禁じられる。ヒトラーもまた地政学を研究し、愛したという史実がある。枢軸国の"禁断の学問"だったわけだが、米露中など超大国では当然ずっと研究されてきた。そして米国の覇権が弱まりつつある現在、米中露、EUはどう動き、それが世界経済地図をどう変えるのか、地政学の視点を外しては何も語れない。リーダー不在の世界秩序を「Gゼロ」と名付けた国際政治学者イアン・ブレマー氏へのインタビューも。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  ニューノーマルの時代に入った中国

 中国経済の歴史が転換期を迎えている。高速成長時代に別れを告げ、安定成長と構造改革を両立させる「新常態」の時代へと突入したのだ。ブレーキがかかる中国経済が世界を揺るがす途上で、いかに賢く稼ぐか。今週の『日経ビジネス』は特集「日本を揺るがす新常態」のなかで、失速中国でも稼ぐ鉄則を探る。ちなみに「新常態」とはリーマンショック以降の世界経済が新しい局面に入ったとして使われた英語の「New Normal」の中国語訳である。
 中国の習近平国家主席は新常態への構造改革のため、あらゆる反対を押し切り反腐敗運動を押し進めている。いままで汚職に染まっていた役人を階級の大小に限らず次々と検挙しているのだ。面白いのは、中国が「新常態」に突き進む必然をトマ・ピケティ氏に解説を求めているところだ。彼の解説によって中国全体の現状と問題点が見えてくる。
 そしてその失速化での商機だ。例えばコニカミノルタは環境汚染対策での規制で規格を変更せざるを得ない工場に対して、専用のプリンターを売り込んでいる。規制強化を逆手にとっているのだ。他にも日立製作所は中国向けATMの開発を現地で行ないそれをモデルにアジア諸国へビジネスの拡大を目論んでいる。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< あなたの家の場所は「残す街?」「捨てる街・」

 今週の『週刊エコノミスト』は「土地投資の極意」という特集だ。「かつての『土地神話』は消え、価値を生む土地と生まない土地が明確に差別化されるようになった」。東京都心の不動産が高値で取引きされる一方、地方ではタダでも引き取り手が見つからない物件が増えている。そこで個人も土地所有を「投資」と捉えて今後を見極めよう!という記事だ。相続や人口減少も関わるテーマだけに、中身はどの世代もチェックしておきたい内容だ。
「残す街」「捨てる街」の線引きが行なわれつつある「改正・都市再生特措法」。買った物件が「捨てる街」に入っていたら売却できないかもしれない。相続税対策でブームの賃貸住宅建設だが、人口減少で市場は将来確実に悪化する。時代の変動期である昨今、回避するべきリスクが多くてボーっとしてはいられない。

2015年4月 1日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・戦慄の人工知能

日経ビジネス ... 戦慄の人工知能
週刊東洋経済 ... 世界史&宗教
週刊ダイヤモンド ... 禁断の英語攻略
週刊エコノミスト ... 高値からの投資術

 今週の経済誌はどれも面白く読みました。そのなかで、いちばん興味を惹いたのはAIを特集に持ってきた『日経ビジネス』です。最近テレビでもこの種の特集番組は多いのですが、読むことによる認識というのはやはり大きいと思いました(こんなことを言っていると時代遅れになりそうですが......)。
 次に注目したのは『週刊東洋経済』の特集でした。世界史と宗教という特集は他誌が既にやっていますが、しかし、このての読み物には「なるほど」という安堵感や、今さら人に聞けないような事柄への理解が含まれていて、興味深いものです。
『週刊ダイヤモンド』の特集は英語学習法でした。これも定番的な特集ですが、NHKの英語とTOIECの2つに絞って新しさを出しています。
 そして4位の『週刊エコノミスト』ですが、「高値からの投資」と言う今までにない切り口で、これも久々に面白い特集でした。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  AIは人間の知能を超えるか!?

 1月に『週刊エコノミスト』が特集「自動運転・AI・ロボット」でAIを取り上げた。ついこの間の3月29日日曜日にはNHK・BSで「AIとIoTが変える未来」という番組が放映されていた。だからというわけではないが『日経ビジネス』も「戦慄の人工知能 AIが企業を動かす日」という特集を組んでいる。
 人工知能=AIの世界にいよいよ革命期が訪れているらしい。加速度的に性能は上がり、人間に匹敵する能力を持ち始め、AIに人間が支配される世界が映画の中だけの話に留められるか、ホーキング博士が注意喚起する。AIの進化が社会に恩恵をもたらす一方で、ある(多くの)部分の仕事を人間にとってかわるのは確実だ。AIは人間の仕事の中身を変え、その土台となる教育も変える。
 昨年12月にマイクロソフトがプレビュー版を公開した「スカイプトランスレーター」。使用言語の違う相手との会話をほぼノータイムかつ高い精度で通訳する人工知能を用いたソフトだ。ディープラーニングというコンピュータに自ら学ばせるという技術によって人口知能の精度は人間が「正しい」と感じるまでに上がったと言われている。まだ実用化されているものは少ないがこれが及ぼす影響は大きく、例えば米IBMが作り上げた「ワトソン」は「従来なら6日間の入院でプロの医師が検査を繰り返しても判明しなかった病名が、数時間で診断できる」と言われている。言語の壁が消え人手不足がAIで解消される......それは日本の強みとなるか!?


第2位
■週刊東洋経済■ <<< 日本人の世界史観とは

「混乱する世界 すべてのルーツを歴史にみる」。そんなコンセプトで組まれた特集を、『週刊エコノミスト』ではなく、今週は『週刊東洋経済』がもってきた。タイトルは「ビジネスに効く! 世界史&宗教」だ。
 まずは佐藤優氏が解説する「世界史の極意」。佐藤氏は言わずと知れた元外務官僚だが、彼は「資本主義・ナショナリズム・宗教、三つの要素が国際情勢を動かすエンジン」「この三つを押さえておけば国際情勢を自力で読み解くことができる」という。三つのバランスが崩れるとき戦争が起きるが、目下その状況。全面戦争を避ける現代の帝国主義を「新帝国主義」と名付け、取引外交の舞台裏も解説する。
 そのほか三大宗教マップ、日本人が持つイメージとは違う「歴史の主役を演じるイスラム教徒」、グローバリズム誕生の歴史などなど、ビジネスパーソンが押さえておきたい歴史を読み解くツボを第一人者が伝授する。
 さて、先週から巻頭ニュースリポートの次は第1特集、そして第2特集と、従来の構成(『週刊ダイヤモンド』と同じ)に戻してきた『週刊東洋経済』。第3特集「活況 ベンチャー投資の舞台裏」では、昨今のベンチャーへの過熱気味の投資合戦が取り上げられている。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 英語はいかにして学べばよいか

 世界でも英語がしゃべれない国民としてその名を轟かせるわれわれ日本人だが、なんと、年間9000億円とも言われる金額を英語ビジネスに注いでいる。なぜその効果が出ないのか? 今週の『週刊ダイヤモンド』は「禁断の英語攻略」と題して、「これまで明かされていない"禁じ手"を含めた、秘密の英語学習法に」迫るという。その取材対象は、費用対効果が最も高いと思われる"最短ルート"にして日本人にとっての2大英語学習法、そう「NHK英語講座」と「TOEIC」だ。
 一つ目は、勤務先や採用試験で一定のスコアを課されることの多いTOEICのスコアを短期間で効率的に上げることにしぼった「禁断のTOEIC逆解析」。長年TOEICを研究してきた達人による試験問題の解析は受験者必見だ。有名TOEIC塾への記者の入塾体験も面白い。そして90年間にわたって日本人の英語学習に最適化されたNHK英語講座の全貌と活用法。NHKの英語講座は、テレビとラジオを合わせて十数講座にのぼるが、これだけで英会話スクールを主催するまでになった達人の勉強法など、侮れない内容だ。そのほか、1回99円からの低料金にもかかわらずいまや既存の英会話スクールを脅かす勢いのオンライン英会話サービスの進化もたいへん参考になる。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 下げても慌てない投資術

「これから株を買っても大丈夫ですか?」
 そんな質問が熱気にあふれる個人投資家向けセミナーで講師に向けられるという。公的マネー主導の官製相場と用心されながらも、日経平均株価が順調に2万円超えを目指す展開のいま、用心深い一般市民の株式への関心も高まっているようだ。
 今週の『週刊エコノミスト』は「高値からの投資術 下げても慌てない」という特集を組んだ。まさに「日経平均2万円目前から始める」人のための株式投資指南特集。株価上昇に乗り遅れた感のある層に訴えかけるウィットの効いたタイトルだ。相場動向編・テクニカル編・銘柄選定編と、アナリストやストラテジストなど専門家がレクチャーする。ご興味ある方はご一読を。