2015年3月25日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・2000万人の貧困

 なるほどと思った特集があります。2000万人の貧困と題した『日経ビジネス』です。その「なるほど」の元は、<日本の貧困は中間層の没落による貧困の拡大だ>という視点です。富裕層が増えて格差が拡大したのではなく、中間層の没落という視点は言われてみればその通りですが、加えて<だから必要なのは福祉ではなく、投資だ>という視点はその「なるほど」を拡大させました。1億総中流化という言葉が示していたように、みんながそこそこの生活をしている間はよかったのですが、生産年齢人口が減ってきている今日では、それが維持できません。これからますます人口が減り、すると福祉は追いついていきません。詳しくは同誌をお読みいただくとして、これが今週の第1位です。
 次に面白かったのは『週刊ダイヤモンド』の特集「叱れない上司 叱られたい部下」です。単なるレトリックではなく、そこに真実があるような気になりつい読んでしまいました。
『週刊東洋経済』はお得意の決算もので今3月期の見通しを軸に、過去再公益企業をピックアップしました。その数なんと533社とか。これらの企業に共通する強さの秘密を探っています。
 最近の『週刊エコノミスト』はキーワードものとでも言うのでしょうか。有望な市場、有望な技術をピックアップし、解説すると言う手法を取ることが多いようです。今週は水素と電池です。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  国民の6人に1人は貧困

 1月のピケティ氏本人の来日によってピークに達した「ピケティブーム」。世間に格差論議を巻き起こした。が、日本における格差はピケティ氏が論じた富裕層の占有とは違う。日本では中間層が没落し、貧困が拡大していることに問題がある。このままでは国の衰退は必至だ。
 今週の『日経ビジネス』は「2000万人の貧困」と題し、日本を立て直すためは、「福祉」の視点からでなく、「投資」の視点で貧困を捉え直す必要を説く。
 2014年7月に厚生労働省がまとめた「国民生活基礎調査」によれば、2012年時点で「相対貧困率」16.1%。月に10.2万円以下で生活している人が約2000万人いることになる。実に国民の6人に1人という計算だ。
 都内のとあるネットカフェは長期滞在を想定した経営をしており、8割以上の客が1ヵ月以上滞在している。ホームレス数の激減で目に見える困窮者は少なくなった。しかし実態はネットカフェや無料低額宿泊施設、家庭の中に潜伏して見えにくくなっただけだ。
 貧困化する前に"投資"する企業も現れた。従業員の奨学金返済を肩代わりする「奨学金返金救済制度」を導入するオンディーズ(東京都港区)だ。退職するまで奨学金の返済分を給与に上乗せしている。従業員の貧困化対抗策であり、会社にとっては有能な人材確保への投資だ。国立社会保障・人口問題研究所の試算では、「貧困対策は1人当り7000万〜1億円の便益を生む」そうだ。高校中退者への職業訓練など、「貧困投資」はペイする。介護やリストラ、離婚で、あっという間の「まさかの貧困」に陥る現実。国も企業も導入できる対応策は多々ある。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 叱り上手になる方法

 2014年8月にスタートしたテレビ東京の深夜番組「吉木りさに怒られたい」が話題を呼んでいるらしい。午前1時からの5分間番組だが、DVD化、書籍化も果たし、4月からはシーズン5が始まろうとしている。そんなに叱られたい需要が高まっているのだろうか。今週の『週刊ダイヤモンド』第1特集「叱れない上司 叱られたい部下」は、吉木りささんへのインタビューから始まる。
 この番組、愛あるオチも用意されているのだが、毎回「部下をすぐ『さとり世代』とディスる男」や「何でも否定から入る万年野党男」などが吉木さんからがんがん怒られるらしい。番組プロデューサー・高橋弘樹氏は、番組が反響を呼んでいるのは「親身になって叱ってくれる人が減ってしまい寂しい」と感じている人が多いのでは?という。確かに、パワハラと取られないだろうか?とか、コンプライアンスの重視とか、叱って辞められてはたいへんだ!とか、さまざまなリスクヘッジをするがゆえに、怒る・叱る機会は減っていると想像される。
 しかし、脳科学的に「叱る」には「褒める」の3倍の効果があると立証されているらしい。そして叱られたがっている人もいる。人材育成とコミュニケーション力向上の一貫として、叱り上手・叱られ上手スキルを考えてみてはいかがだろうか。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 真の勝ち組企業がようやく見えてきた

 今週の『週刊東洋経済』は、<巻頭特集>で「これはバブルか本物か 株価爆上げ 2万円」、そして本特集で「絶好調企業の秘密」と、なんだかイケイケどんどんの好景気時代の目次のようである。世の中の財布の紐は相対的になかなか緩まないが、一方で企業も投資家も好業績を上げるものもいて、その努力と工夫と利益創出手法に学ぶところは大きい。
 2015年3月期決算では、最高益を更新する上場企業が533社と、続出する見通しだ。円安やアベノミクスの影響もあるが、本誌では実力で最高益を更新する絶好調企業約20社にスポットを当て、その強さに迫る。
 たとえばトヨタ自動車。円安が好業績をもたらしたのは事実だが、それだけではなく、原価改善効果だけでも2550億円におよび、より「筋肉質」になったという。電子部品業界の村田製作所もすごい。iPhoneにもギャラクシーにも村田の部品が使われ、今期初めて売上高を1兆円台に乗せた。ヤオコーは来店客を増やし続けるスーパー。22期連続の増益記録を更新中。
 神戸大学・三品和広教授は「真の勝ち組企業がようやく見えてきた」と言う。いま本当の意味で米国市場で戦える企業が出現し、欧米企業と肩を並べるグローバル企業へと進化を始めたのかもしれない。絶好調企業の戦略は必読である。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 日本が目指す水素社会

「水素と電池」。今週の『週刊エコノミスト』第1特集のタイトルだ。何のことかわかりますか? 水素→水素発電・燃料電池! 電池→蓄電池! と、ピンときた方は正しい産業通。拡大期に入った2つの電池を、今後日本がリードできる数少ない産業分野として掘り下げた。
 2020年の東京オリンピック。ここで「水素社会」を世界にアピールするために選手村を「水素タウン」にするプロジェクトが進められている。燃料電池車(FCV)の利用だけでなく、消費電力も水素でまかなう計画だ。政府の後押しで水素ステーション設置が全国各地で始まり、経済産業省が主導して水素発電に関する勉強会開催も活発だ。
 蓄電池にも熱い視線が注がれている。蓄電池は、20年には世界で20兆円市場に拡大すると期待され、主戦場の車載用がそのうちの8兆円を占めるとの予想もある。主要部材・素材の供給で高いシェアを維持している日本。今後の技術開発でも優位性を維持すると見られているが、韓国企業の追い上げも厳しい。