2015年3月11日

【来た!見た!書いた!】北陸新幹線開業で北陸は人口を増やせるか

開業効果? 転入超過となった金沢市と富山市
 北陸新幹線の長野―金沢間が3月14日、開業する。東京と金沢が2時間半で行き来できるようになり、これまで関西圏との結びつきが強かった「北陸」が首都圏と近づく。兼六園(金沢市)や立山連峰、さまざまな温泉などの観光資源がある北陸が東京と近くなることで、新たな観光需要が生まれるだろう。だが開業の効果を観光だけにとどまらせるのはもったいない。安倍政権が「地方創生」に力を入れているだけに、その追い風を生かしつつ、沿線各地が人口や企業集積をどうやって増やしていくかにも注目だ。
 北陸新幹線の開業をおよそ1ヵ月後に控えた2月5日に発表されたある統計が注目を集めた。総務省による2014年の住民基本台帳に基づく人口移動報告だ。
 東京圏(東京都や埼玉県など1都3県)で転入者が転出者を上回る「転入超過」が5年ぶりに10万人を超すなど、日本全体では東京圏への集中が際立つ結果になった。その中で興味深いのは、北陸新幹線が通る石川県と富山県の転出超過数が前年より縮まり、特に県庁所在地の金沢市と富山市は転入超過となったことだ。
 新幹線をあてこんでJR金沢駅周辺でマンション建設が進み、県内外から住む人が増えたためだ。現在はまだ県内からの引っ越す人が多いようだが、首都圏と近くなったのをきっかけに、さらに首都圏からの移住者が増える可能性はある。
 JR富山駅周辺でも、中心部で新たに建設されるマンションが増え、一部は完売状態だ。富山市は中心部に人口を誘導してにぎわいを取り戻す「コンパクトシティーの効果」も出ているのではとみている。

新幹線の「各駅停車」駅に見られる人口減少
 開業前はさまざまな経済効果が語られることの多い新幹線だが、実は地方が新幹線の開業を長期的な人口増に結びつけるのは簡単ではない。
 大和総研によれば「過去の新幹線開業後の人口動態を見ると、最速列車が停車する大都市の人口は増加する一方、各駅停車の駅では人口減少に拍車がかかるケースも見られる」という」(「北陸新幹線の開業による地域経済活性化と課題」)。
 上越新幹線の上毛高原駅がある群馬県みなかみ町、東北新幹線のくりこま高原駅がある宮城県栗原市、白石蔵王駅のある同白石市などは各駅停車の駅で、人口が減っているケースである。
 こうした駅のある地域はそれぞれ売り物の地域資源があるとはいえ、東京や仙台などの最速列車停車駅と比べれば劣ってしまう。開業で多くの地域との競合関係が強まることで、人を吸い寄せるよりむしろ吸い取られてしまった。いわゆる「ストロー現象」が起こったのだ。
 では終着駅や最速列車停車駅は安泰としていられるか。短期的にみれば、新幹線の開業効果は大きいが、長期でみると必ずしもそうとはいえない。
 東北・上越新幹線が開業したのは1982年のこと。開業前の1980年の国勢調査ベースの人口を100とした場合、30年後の2010年に宮城県は112と東京並みの増え方を確保したが、岩手県や新潟県では100を下回った。長野はかろうじて100を上回っているが、2000年をピークに減少に転じている。終着駅とはいってもストロー現象と無縁とはいえない。


生産拠点や本社機能の一部を北陸に移す企業も出てきた
 中長期で人口を増やすには、雇用をつくりだす企業の誘致をどれだけできるかがポイントになる。
 従来、新幹線は高速道路と比べると企業誘致の効果は薄いとされてきた。高速道路が人を運ぶだけでなく物流の大動脈の役割を担うのに対し、新幹線は人だけしか運べないからだ。
 だが北陸新幹線の場合、既に沿線の高速道路網がおおむね整備されているうえに、東日本大震災後に太平洋側の地震・津波リスクが強く意識されたこと、さらに政府が地方に拠点を移した企業への助成を打ち出したことなどで、拠点を北陸に移すケースが相次いでいる。首都圏の企業が北陸に拠点を持つことで、リスクを分散できる。
 例えばYKKグループは東京・秋葉原の本社機能の一部を、発祥の地である富山県黒部市に移転させる。異動対象者は約230人の見通しだ。YKKが拠点を置くのは立山連峰への拠点となる黒部宇奈月駅だ。
 ハンドクリーム製造のユースキン製薬(川崎市)も富山県八尾町に新工場を建設中で、横浜市の生産機能を移す。富山県への医薬品産業の集積を評価したからだ。ポンプ、コンプレッサーから医療機器までを手がける日機装(東京・渋谷)も静岡県牧之原市の生産機能を金沢市に移す。本社と工場との時間距離は従来と変わらないまま静岡に工場があるより地震リスクが減らせると判断した。
 九州新幹線や東北新幹線の新青森延伸などと比べても、開業に絡めた企業誘致の動きは活発だ。北陸3県など沿線自治体がこうした動きをさらに着実に進めるかどうかが、沿線人口動向のカギとなるだろう。

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・北欧に学べ

 北欧ブーム? とでも口に出したくなるほど最近の経済誌では「北欧」の企業が取りあげられます。つい最近では『日経ビジネス』がLEGO社を取りあげ特集を組んでいました.今週は『週刊ダイヤモンド』が「北欧に学べ」と特集を組みました。確かにグローバルな企業が多い。そうした企業がなぜ優れているのかを知る、絶好の特集です。単にIKEAやLEGOだけでなく、携帯から撤退したノキアであるとか、ムーミンまで、さまざまな企業があることが分かりますし、そのどれもが魅力的なグローバルニッチ企業です。今週の第1位はこれで決まりです。
 次に面白かった、というより凄いことをしてのけたなぁと言う、印象を持ったのが『日経ビジネス』です。なんと、企業の子宝率というものを調査したのです。全従業員の数と年齢、従業員の子どもの数と年齢を調査し、割り出すという細かく手間のかかる調査です。よくやったなぁという印象で、しかし、なるほどいろいろなことが調査から読み取れます。これが第2位。
 一方、昨今のテロと向き合ったのが『週刊東洋経済』です。特集タイトルの「テロと戦争」の通り、昨今の問題を取りあげていますが、同時にロボットなど科学技術による兵器の進展にもスポットを当てています。
 第4位は『週刊エコノミスト』で、経済リスクの問題を特集しています。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<< 北欧ブーム?

 4カ国で人口わずか2500万人。そんな北欧から世界企業が次々と生まれている。彼らが世界で成功する理由とは何か? 今週の『週刊ダイヤモンド』は日本人が憧れる北欧の実態に迫る。タイトルは「北欧に学べ」。
 北欧の多くの企業の中核に見られるのは高い技術力とデザイン力だ。世界的ゲーム会社、スーパーセルのイルッカ・パーナネンCEOは「冬の夜に技術者達は家にこもる。そうした厳しい環境から、家の中でも楽しめるゲームや物語、デザインが生まれてきた」と述べている。
 市場の形態も厳しい自然環境を表している。北欧には高い税金と手厚い福祉のイメージがあるかもしれないが、こと企業に関しては極めて市場原理的だ。競争力の弱い企業は次々と淘汰される。それを政府が推進する。一方で福祉が充実しているため、会社が無くなった労働者は新たな産業へとスムーズに移行していく。このサイクルがあらゆる世界企業を生み出す土台だ。
『週刊ダイヤモンド』編集部は現地に飛んで30社以上の企業取材を試みた。その成果もあって、「北欧」という新鮮な題材の読み応えある特集に仕上がった。「北欧成功の5ヵ条」という北欧記号に共通する要素をまとめているが、これがシンプルだがうならせる内容だ。「1 人口が少なく最初から世界志向」「2 企業が絶えず新陳代謝する国策」「3 北欧デザインで高い付加価値あり」「4 ローカライズはほとんどしない」「5 カリスマ経営者は必要ない」の5つだ。その具体例をぜひ本誌をひも解いて読んでほしい。


第2位
日経ビジネス■ <<<  子宝率が高い企業が日本を元気にする

「企業子宝率(子宝率)」という言葉をご存じだろうか? ある企業に属する従業員(男女問わず)1人がその組織に在職している間に、何人の子供を持つかを測ったもので、もともとは福井県など一部の地方自治体が地域活性化の一環として取り入れた概念だ。今週の『日経ビジネス』は、この「子宝率」調査を行ない、子育てしながら働き続けられる「子宝企業」の発掘を特集した。子宝企業が増えなければ日本の未来はない。政府も経営者も男性も女性も、深刻な実態から目を背けていられる時間は日本にはもうない。
 ベースデータは、福井県と静岡県が県内企業を対象として行なった1117社への調査。そこに東京証券取引所が認定する「なでしこ銘柄」と、社員の育児支援に積極的な「イクボス企業同盟」参加企業の計35社への調査を加えて算出しようとした。しかし新たに調査対象とした35社中でデータ算出に協力してくれたのはわずかに4社。子宝率は、59歳以下の全従業員の年齢と子供の有無、子供の人数と年齢まで出さないと計算できない。だから調査は難航を極めたのだ。また、子育て応援企業といいながら、企業側はそこまでは把握していないのが現状だったとも言える。
 さて、そこでわかった現実とは、地方の中小企業のほうが格段に子宝率が高いということだった。東京の企業では1人生むのがやっと。融通のきく家族主義の職場、生活コストの低さ、待機児童の少ない環境、そして近くにいる親の存在。地方には2人目3人目を生めるインフラがある。地方を元気にしなければ日本の未来はない。


第3位
週刊東洋経済■ <<< 軍事技術の進展

 第二次世界大戦の敗戦から約70年、幸いにも日本は戦争をせずにきた。が、隣国との緊張関係やテロの脅威は、もはや「平和ボケ」などと言っておれない現状をあぶり出す。今週の『週刊東洋経済』は「今、そこにある危機 テロと戦争」と題し、境目があいまいになりつつあるテロと戦争の脅威を特集する。
 昨今、世界のニュースをイスラム過激派組織「イスラム国」が騒がせている。日本人にとっても、シリアで拘束され、殺害された邦人男性の事件は記憶に新しいだろう。また、イスラム国は国境を越えて異教徒と戦うことを呼びかけており、欧州等の一部の国においてもローンウルフ(一匹狼型)テロが頻発している。彼らは「日本人も攻撃対象とする」宣言しており、国外進出している企業は愚か、国内でも前述の理由から油断できる状況ではないと言われている。
 2013年の1月、アルジェリア南東部のガス生産関連施設がイスラム過激派に襲撃される事件があった。48人が死亡し、その中には日揮の現地駐在員も含まれていた。この事件以降、テロ対策に取り組む企業が増えたとはいえ、日本の、日本人の現状認識と対策はまだまだだ。
 しかし、この特集はこうした話だけではない。冒頭には「ネクスト・ウォー」と題した科学技術、もっといえば軍事ロボットの開発にかなりのページを割いている。オタクっぽい特集でもある。


第4位
週刊エコノミスト■ <<< 今そこにあるさまざまなリスク

 株式市場の荒い値動きが目立っている。日本市場では、1月以降前日終値から200円以上乱高下する日も珍しいことではない。ダウ平均でもしかりである。世界的な金融緩和を背景として、日本やアメリカといった数々の国で同時に株高となっている。が、その死角はなにか? 今週の『週刊エコノミスト』は、「キーワードで知る経済リスク」と題して、日米欧、新興国の実体経済や地政学リスクなど、この状況下のリスクをキーワードで掘り下げ、「このあと何が起きるのか?」を探る。
 キーワードは8つ。1つ目は「通貨安競争」だ。ドル独歩高に米国も懸念を表明し始めた。日欧&新興国の金融・財政政策も変更を迫られる可能性がある。2つ目は早すぎても遅すぎてもリスク山積みの「米利上げ」。そのほか「原油安」「長期停滞」、国内株式市場の「最高値」、「国債暴落」のタイミングなど。紙幣を刷りまくって危ない橋をみんなで渡っているかに見える世界金融経済なので、「今」じゃなくて「いつも、そこにある危機」として慣されつつある昨今。ガラガラポン!の世界大戦突入というベクトルには気をつけたい。(ちょっと飛躍しましたが)