2015年3月25日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・2000万人の貧困

 なるほどと思った特集があります。2000万人の貧困と題した『日経ビジネス』です。その「なるほど」の元は、<日本の貧困は中間層の没落による貧困の拡大だ>という視点です。富裕層が増えて格差が拡大したのではなく、中間層の没落という視点は言われてみればその通りですが、加えて<だから必要なのは福祉ではなく、投資だ>という視点はその「なるほど」を拡大させました。1億総中流化という言葉が示していたように、みんながそこそこの生活をしている間はよかったのですが、生産年齢人口が減ってきている今日では、それが維持できません。これからますます人口が減り、すると福祉は追いついていきません。詳しくは同誌をお読みいただくとして、これが今週の第1位です。
 次に面白かったのは『週刊ダイヤモンド』の特集「叱れない上司 叱られたい部下」です。単なるレトリックではなく、そこに真実があるような気になりつい読んでしまいました。
『週刊東洋経済』はお得意の決算もので今3月期の見通しを軸に、過去再公益企業をピックアップしました。その数なんと533社とか。これらの企業に共通する強さの秘密を探っています。
 最近の『週刊エコノミスト』はキーワードものとでも言うのでしょうか。有望な市場、有望な技術をピックアップし、解説すると言う手法を取ることが多いようです。今週は水素と電池です。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  国民の6人に1人は貧困

 1月のピケティ氏本人の来日によってピークに達した「ピケティブーム」。世間に格差論議を巻き起こした。が、日本における格差はピケティ氏が論じた富裕層の占有とは違う。日本では中間層が没落し、貧困が拡大していることに問題がある。このままでは国の衰退は必至だ。
 今週の『日経ビジネス』は「2000万人の貧困」と題し、日本を立て直すためは、「福祉」の視点からでなく、「投資」の視点で貧困を捉え直す必要を説く。
 2014年7月に厚生労働省がまとめた「国民生活基礎調査」によれば、2012年時点で「相対貧困率」16.1%。月に10.2万円以下で生活している人が約2000万人いることになる。実に国民の6人に1人という計算だ。
 都内のとあるネットカフェは長期滞在を想定した経営をしており、8割以上の客が1ヵ月以上滞在している。ホームレス数の激減で目に見える困窮者は少なくなった。しかし実態はネットカフェや無料低額宿泊施設、家庭の中に潜伏して見えにくくなっただけだ。
 貧困化する前に"投資"する企業も現れた。従業員の奨学金返済を肩代わりする「奨学金返金救済制度」を導入するオンディーズ(東京都港区)だ。退職するまで奨学金の返済分を給与に上乗せしている。従業員の貧困化対抗策であり、会社にとっては有能な人材確保への投資だ。国立社会保障・人口問題研究所の試算では、「貧困対策は1人当り7000万〜1億円の便益を生む」そうだ。高校中退者への職業訓練など、「貧困投資」はペイする。介護やリストラ、離婚で、あっという間の「まさかの貧困」に陥る現実。国も企業も導入できる対応策は多々ある。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 叱り上手になる方法

 2014年8月にスタートしたテレビ東京の深夜番組「吉木りさに怒られたい」が話題を呼んでいるらしい。午前1時からの5分間番組だが、DVD化、書籍化も果たし、4月からはシーズン5が始まろうとしている。そんなに叱られたい需要が高まっているのだろうか。今週の『週刊ダイヤモンド』第1特集「叱れない上司 叱られたい部下」は、吉木りささんへのインタビューから始まる。
 この番組、愛あるオチも用意されているのだが、毎回「部下をすぐ『さとり世代』とディスる男」や「何でも否定から入る万年野党男」などが吉木さんからがんがん怒られるらしい。番組プロデューサー・高橋弘樹氏は、番組が反響を呼んでいるのは「親身になって叱ってくれる人が減ってしまい寂しい」と感じている人が多いのでは?という。確かに、パワハラと取られないだろうか?とか、コンプライアンスの重視とか、叱って辞められてはたいへんだ!とか、さまざまなリスクヘッジをするがゆえに、怒る・叱る機会は減っていると想像される。
 しかし、脳科学的に「叱る」には「褒める」の3倍の効果があると立証されているらしい。そして叱られたがっている人もいる。人材育成とコミュニケーション力向上の一貫として、叱り上手・叱られ上手スキルを考えてみてはいかがだろうか。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 真の勝ち組企業がようやく見えてきた

 今週の『週刊東洋経済』は、<巻頭特集>で「これはバブルか本物か 株価爆上げ 2万円」、そして本特集で「絶好調企業の秘密」と、なんだかイケイケどんどんの好景気時代の目次のようである。世の中の財布の紐は相対的になかなか緩まないが、一方で企業も投資家も好業績を上げるものもいて、その努力と工夫と利益創出手法に学ぶところは大きい。
 2015年3月期決算では、最高益を更新する上場企業が533社と、続出する見通しだ。円安やアベノミクスの影響もあるが、本誌では実力で最高益を更新する絶好調企業約20社にスポットを当て、その強さに迫る。
 たとえばトヨタ自動車。円安が好業績をもたらしたのは事実だが、それだけではなく、原価改善効果だけでも2550億円におよび、より「筋肉質」になったという。電子部品業界の村田製作所もすごい。iPhoneにもギャラクシーにも村田の部品が使われ、今期初めて売上高を1兆円台に乗せた。ヤオコーは来店客を増やし続けるスーパー。22期連続の増益記録を更新中。
 神戸大学・三品和広教授は「真の勝ち組企業がようやく見えてきた」と言う。いま本当の意味で米国市場で戦える企業が出現し、欧米企業と肩を並べるグローバル企業へと進化を始めたのかもしれない。絶好調企業の戦略は必読である。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 日本が目指す水素社会

「水素と電池」。今週の『週刊エコノミスト』第1特集のタイトルだ。何のことかわかりますか? 水素→水素発電・燃料電池! 電池→蓄電池! と、ピンときた方は正しい産業通。拡大期に入った2つの電池を、今後日本がリードできる数少ない産業分野として掘り下げた。
 2020年の東京オリンピック。ここで「水素社会」を世界にアピールするために選手村を「水素タウン」にするプロジェクトが進められている。燃料電池車(FCV)の利用だけでなく、消費電力も水素でまかなう計画だ。政府の後押しで水素ステーション設置が全国各地で始まり、経済産業省が主導して水素発電に関する勉強会開催も活発だ。
 蓄電池にも熱い視線が注がれている。蓄電池は、20年には世界で20兆円市場に拡大すると期待され、主戦場の車載用がそのうちの8兆円を占めるとの予想もある。主要部材・素材の供給で高いシェアを維持している日本。今後の技術開発でも優位性を維持すると見られているが、韓国企業の追い上げも厳しい。

2015年3月18日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・いざ 都市対決!

週刊ダイヤモンド ... いざ 都市対決!
日経ビジネス ... こんなホンダは要らない
週刊エコノミスト ... 日本人が知らない中東&イスラム教
週刊東洋経済 ... 医学部・医者 ウラとオモテ

 今週も先週に続いてバラエティに富んだ企画が出揃いました。そのなかで面白かったのは『週刊ダイヤモンド』です。テーマは「都市対決」です。例えば、〇〇対××といった都市対決が巻頭から続きます。まずは新幹線が開通した「石川×富山×福井」とか「千葉×埼玉」とか、元は別の藩である「青森×弘前×八戸」とか。テレビ番組を見ているかのような比較は、地方創成なんていう言葉がなくても、なかなかに興趣を誘います。これが今週の第1位です。第2位はズバリ「ホンダ」に切り込んだ『日経ビジネス』です。ミニトヨタに堕した現在の状況に活を入れつつエールを送る「日経」的な内容です。
 第3位は久しぶりに『週刊エコノミスト』です。特集は中東とイスラム教と言う扱いにくそうな内容ですが、「アラブの春のその後」とか「進まない中東和平」とか割に面白く読みました。
 最後は『週刊東洋経済』です。特集は「医学部と医者」で。この何やら分からない業界のウラとオモテを解説するという企画です。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<< 県民に聞く「合併したい県」と「ライバル県」

「地方創成」が謳われているが、うまくいく所と、努力が報われない所、これからさらに地方の勝ち組・負け組がはっきりしてくるのではないだろうか。そういう背景があるのかないのか、今週の『週刊ダイヤモンド』は日本全国のお国自慢対決とでも言おうか、日本全国のライバル都市同士の対決にあえて決着をつけていくという新鮮な企画となっている。自分の出身地や居住地がどんな特徴を持っているのか、主観的に客観的に分析していったら、「地方創成」のアイディアがつかめるかもしれない。タイトルは「いざ 都市対決!」。
 まずは県民1万人調査による「ライバル県」はどこだ! 地元愛着率、「合併したい県」、「ライバル県」を聞くことで県民の本音を探る。東北では宮城県が合併人気県。「富山と石川」「島根と鳥取」は相思相愛? 「北海道と沖縄」はライバル! など、愛憎入り乱れる各地の心模様が垣間みられる8ページだ。
 そしてメインの都市対決。たとえば「石川×富山×福井」。新幹線開業を観光業総出で盛り上げる「石川県」が勝ち。「八王子×立川」は発展著しい「立川」。因縁の歴史合戦「青森×弘前×八戸」は元々別の藩という犬猿の仲。同じ県なのに力が分散していて全部が負け組にならねばよいがと心配だ。
 軍配に異論はあろうが、「この地は何で生きていくか」それぞれの地で考える足しになりそうではある。


第2位
日経ビジネス■ <<<  ホンダは「らしい」車を作れるか

 クルマに興味がないので、ホンダの企業イメージがトヨタはおろかマツダや富士重工より低くなっているとは思ってもみなかった。確かに相次ぐリコールとタカタ製エアバッグ問題で苦境に立たされ、業績下方修正に追い込まれた。しかし、問題の根は2009年以降の拡大戦略がもたらした功罪のようだ。今週の『日経ビジネス』は、あえて特集タイトルを「こんなホンダは要らない」とした。そこには「あの個性を取り戻してくれ!」「復活してくれ!」という思いがこもっている。
 2009年から6年間ホンダを率い、グローバル化の渦中で拡大戦略をひた走ってきた伊東社長。しかし6極(日本、中国、アジア、北米、南米、欧州)それぞれで規模の追及を続ける日々のなかで徐々に歯車は狂い、ホンダらしい消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が出てこなくなった。その過程が本人から語られる。6月に伊東氏からバトンを引き継ぎ8代目社長に就任する八郷隆弘氏。Part2ではその新経営体制を分析する。ホンダにも「ソニー病」のリスクはある。しかし現場には優秀な人材がいる。早くエッジの効いたホンダらしいクルマをバンバン世に送り出してもらいたい(ソニーも人材の宝庫だ。復活してほしい)。


第3位
週刊エコノミスト■ <<< アルカイダとイスラム国の決定的な違い

 東京外国語大学教授・飯塚正人氏によれば、「イスラム社会では、アルカイダはレジスタンス(抵抗者)、IS(イスラム国)はテロリストと見なされている」そうだ。アルカイダが行なったのは対米テロで、ISが主に敵視しているのは同じイスラム教のシーア派だからだ。中東は①部族・家族②国家③民族④宗教・宗派と、さまざまなアイデンティティーを持ち、場面によって立場を変化させる。このことで問題は複雑化し、日本人の我々はなかなかそれに付いていけない。
今週の『週刊エコノミスト』は、「日本人が知らない中東&イスラム教」という特集で、イスラム国がかき回す中東の現在を政治・経済の側面から分析する。
 今週号巻頭、経営権をめぐって父娘で対立を深めている大塚家具社長・大塚久美子氏が独占インタビューに答えている。


第4位
週刊東洋経済■ <<< 青年は医学部を目指す

 リーマンショック以降、医学部人気が高まっている。全国80大学の医学部の延べ志願者数は2007年度12.8万人、14年度は16.9万人と、少子化のなか大きく増加した。今週の『週刊東洋経済』は、この医学部人気の背景と医者という職業を掘り下げる。どうやら将来への不透明感と親世代・子世代の不安感が、強力な資格が取れる医学部への信仰の背景にあるようだ。
 理系の秀才が次々と医学部に吸い寄せられている。自ずと医学部の偏差値は上がり、一番低い私大医学部でも62.5だ。もう簡単に入れる医学部は存在しない。とくに優秀な学生は授業料の安い大学を狙い、授業料を戦略的に下げた大学が難易度=人気度を上げている。慶応・慈恵・日医が私大医学部御三家で、この3校は授業料も下位だが、そこに学費を下げた順天堂・昭和が中堅校から人気校への階段を登っている。入試対策の若年化も進む。中高一貫校への入学が医学部合格の近道なので、ようするに中学受験からそれは意識されるわけだ。医者になってからは、働き方も年収もピンキリのこの職業。「天皇陛下の執刀医」を務めた順天堂大学医学部教授・天野篤さんへのインタビュー、そのほか定番の覆面座談会も掲載されている。
<緊急特集>は「コンビニ大淘汰」。ドンキホーテ創業者・安田隆夫氏へのインタビューも。

2015年3月11日

【来た!見た!書いた!】北陸新幹線開業で北陸は人口を増やせるか

開業効果? 転入超過となった金沢市と富山市
 北陸新幹線の長野―金沢間が3月14日、開業する。東京と金沢が2時間半で行き来できるようになり、これまで関西圏との結びつきが強かった「北陸」が首都圏と近づく。兼六園(金沢市)や立山連峰、さまざまな温泉などの観光資源がある北陸が東京と近くなることで、新たな観光需要が生まれるだろう。だが開業の効果を観光だけにとどまらせるのはもったいない。安倍政権が「地方創生」に力を入れているだけに、その追い風を生かしつつ、沿線各地が人口や企業集積をどうやって増やしていくかにも注目だ。
 北陸新幹線の開業をおよそ1ヵ月後に控えた2月5日に発表されたある統計が注目を集めた。総務省による2014年の住民基本台帳に基づく人口移動報告だ。
 東京圏(東京都や埼玉県など1都3県)で転入者が転出者を上回る「転入超過」が5年ぶりに10万人を超すなど、日本全体では東京圏への集中が際立つ結果になった。その中で興味深いのは、北陸新幹線が通る石川県と富山県の転出超過数が前年より縮まり、特に県庁所在地の金沢市と富山市は転入超過となったことだ。
 新幹線をあてこんでJR金沢駅周辺でマンション建設が進み、県内外から住む人が増えたためだ。現在はまだ県内からの引っ越す人が多いようだが、首都圏と近くなったのをきっかけに、さらに首都圏からの移住者が増える可能性はある。
 JR富山駅周辺でも、中心部で新たに建設されるマンションが増え、一部は完売状態だ。富山市は中心部に人口を誘導してにぎわいを取り戻す「コンパクトシティーの効果」も出ているのではとみている。

新幹線の「各駅停車」駅に見られる人口減少
 開業前はさまざまな経済効果が語られることの多い新幹線だが、実は地方が新幹線の開業を長期的な人口増に結びつけるのは簡単ではない。
 大和総研によれば「過去の新幹線開業後の人口動態を見ると、最速列車が停車する大都市の人口は増加する一方、各駅停車の駅では人口減少に拍車がかかるケースも見られる」という」(「北陸新幹線の開業による地域経済活性化と課題」)。
 上越新幹線の上毛高原駅がある群馬県みなかみ町、東北新幹線のくりこま高原駅がある宮城県栗原市、白石蔵王駅のある同白石市などは各駅停車の駅で、人口が減っているケースである。
 こうした駅のある地域はそれぞれ売り物の地域資源があるとはいえ、東京や仙台などの最速列車停車駅と比べれば劣ってしまう。開業で多くの地域との競合関係が強まることで、人を吸い寄せるよりむしろ吸い取られてしまった。いわゆる「ストロー現象」が起こったのだ。
 では終着駅や最速列車停車駅は安泰としていられるか。短期的にみれば、新幹線の開業効果は大きいが、長期でみると必ずしもそうとはいえない。
 東北・上越新幹線が開業したのは1982年のこと。開業前の1980年の国勢調査ベースの人口を100とした場合、30年後の2010年に宮城県は112と東京並みの増え方を確保したが、岩手県や新潟県では100を下回った。長野はかろうじて100を上回っているが、2000年をピークに減少に転じている。終着駅とはいってもストロー現象と無縁とはいえない。


生産拠点や本社機能の一部を北陸に移す企業も出てきた
 中長期で人口を増やすには、雇用をつくりだす企業の誘致をどれだけできるかがポイントになる。
 従来、新幹線は高速道路と比べると企業誘致の効果は薄いとされてきた。高速道路が人を運ぶだけでなく物流の大動脈の役割を担うのに対し、新幹線は人だけしか運べないからだ。
 だが北陸新幹線の場合、既に沿線の高速道路網がおおむね整備されているうえに、東日本大震災後に太平洋側の地震・津波リスクが強く意識されたこと、さらに政府が地方に拠点を移した企業への助成を打ち出したことなどで、拠点を北陸に移すケースが相次いでいる。首都圏の企業が北陸に拠点を持つことで、リスクを分散できる。
 例えばYKKグループは東京・秋葉原の本社機能の一部を、発祥の地である富山県黒部市に移転させる。異動対象者は約230人の見通しだ。YKKが拠点を置くのは立山連峰への拠点となる黒部宇奈月駅だ。
 ハンドクリーム製造のユースキン製薬(川崎市)も富山県八尾町に新工場を建設中で、横浜市の生産機能を移す。富山県への医薬品産業の集積を評価したからだ。ポンプ、コンプレッサーから医療機器までを手がける日機装(東京・渋谷)も静岡県牧之原市の生産機能を金沢市に移す。本社と工場との時間距離は従来と変わらないまま静岡に工場があるより地震リスクが減らせると判断した。
 九州新幹線や東北新幹線の新青森延伸などと比べても、開業に絡めた企業誘致の動きは活発だ。北陸3県など沿線自治体がこうした動きをさらに着実に進めるかどうかが、沿線人口動向のカギとなるだろう。

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・北欧に学べ

 北欧ブーム? とでも口に出したくなるほど最近の経済誌では「北欧」の企業が取りあげられます。つい最近では『日経ビジネス』がLEGO社を取りあげ特集を組んでいました.今週は『週刊ダイヤモンド』が「北欧に学べ」と特集を組みました。確かにグローバルな企業が多い。そうした企業がなぜ優れているのかを知る、絶好の特集です。単にIKEAやLEGOだけでなく、携帯から撤退したノキアであるとか、ムーミンまで、さまざまな企業があることが分かりますし、そのどれもが魅力的なグローバルニッチ企業です。今週の第1位はこれで決まりです。
 次に面白かった、というより凄いことをしてのけたなぁと言う、印象を持ったのが『日経ビジネス』です。なんと、企業の子宝率というものを調査したのです。全従業員の数と年齢、従業員の子どもの数と年齢を調査し、割り出すという細かく手間のかかる調査です。よくやったなぁという印象で、しかし、なるほどいろいろなことが調査から読み取れます。これが第2位。
 一方、昨今のテロと向き合ったのが『週刊東洋経済』です。特集タイトルの「テロと戦争」の通り、昨今の問題を取りあげていますが、同時にロボットなど科学技術による兵器の進展にもスポットを当てています。
 第4位は『週刊エコノミスト』で、経済リスクの問題を特集しています。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<< 北欧ブーム?

 4カ国で人口わずか2500万人。そんな北欧から世界企業が次々と生まれている。彼らが世界で成功する理由とは何か? 今週の『週刊ダイヤモンド』は日本人が憧れる北欧の実態に迫る。タイトルは「北欧に学べ」。
 北欧の多くの企業の中核に見られるのは高い技術力とデザイン力だ。世界的ゲーム会社、スーパーセルのイルッカ・パーナネンCEOは「冬の夜に技術者達は家にこもる。そうした厳しい環境から、家の中でも楽しめるゲームや物語、デザインが生まれてきた」と述べている。
 市場の形態も厳しい自然環境を表している。北欧には高い税金と手厚い福祉のイメージがあるかもしれないが、こと企業に関しては極めて市場原理的だ。競争力の弱い企業は次々と淘汰される。それを政府が推進する。一方で福祉が充実しているため、会社が無くなった労働者は新たな産業へとスムーズに移行していく。このサイクルがあらゆる世界企業を生み出す土台だ。
『週刊ダイヤモンド』編集部は現地に飛んで30社以上の企業取材を試みた。その成果もあって、「北欧」という新鮮な題材の読み応えある特集に仕上がった。「北欧成功の5ヵ条」という北欧記号に共通する要素をまとめているが、これがシンプルだがうならせる内容だ。「1 人口が少なく最初から世界志向」「2 企業が絶えず新陳代謝する国策」「3 北欧デザインで高い付加価値あり」「4 ローカライズはほとんどしない」「5 カリスマ経営者は必要ない」の5つだ。その具体例をぜひ本誌をひも解いて読んでほしい。


第2位
日経ビジネス■ <<<  子宝率が高い企業が日本を元気にする

「企業子宝率(子宝率)」という言葉をご存じだろうか? ある企業に属する従業員(男女問わず)1人がその組織に在職している間に、何人の子供を持つかを測ったもので、もともとは福井県など一部の地方自治体が地域活性化の一環として取り入れた概念だ。今週の『日経ビジネス』は、この「子宝率」調査を行ない、子育てしながら働き続けられる「子宝企業」の発掘を特集した。子宝企業が増えなければ日本の未来はない。政府も経営者も男性も女性も、深刻な実態から目を背けていられる時間は日本にはもうない。
 ベースデータは、福井県と静岡県が県内企業を対象として行なった1117社への調査。そこに東京証券取引所が認定する「なでしこ銘柄」と、社員の育児支援に積極的な「イクボス企業同盟」参加企業の計35社への調査を加えて算出しようとした。しかし新たに調査対象とした35社中でデータ算出に協力してくれたのはわずかに4社。子宝率は、59歳以下の全従業員の年齢と子供の有無、子供の人数と年齢まで出さないと計算できない。だから調査は難航を極めたのだ。また、子育て応援企業といいながら、企業側はそこまでは把握していないのが現状だったとも言える。
 さて、そこでわかった現実とは、地方の中小企業のほうが格段に子宝率が高いということだった。東京の企業では1人生むのがやっと。融通のきく家族主義の職場、生活コストの低さ、待機児童の少ない環境、そして近くにいる親の存在。地方には2人目3人目を生めるインフラがある。地方を元気にしなければ日本の未来はない。


第3位
週刊東洋経済■ <<< 軍事技術の進展

 第二次世界大戦の敗戦から約70年、幸いにも日本は戦争をせずにきた。が、隣国との緊張関係やテロの脅威は、もはや「平和ボケ」などと言っておれない現状をあぶり出す。今週の『週刊東洋経済』は「今、そこにある危機 テロと戦争」と題し、境目があいまいになりつつあるテロと戦争の脅威を特集する。
 昨今、世界のニュースをイスラム過激派組織「イスラム国」が騒がせている。日本人にとっても、シリアで拘束され、殺害された邦人男性の事件は記憶に新しいだろう。また、イスラム国は国境を越えて異教徒と戦うことを呼びかけており、欧州等の一部の国においてもローンウルフ(一匹狼型)テロが頻発している。彼らは「日本人も攻撃対象とする」宣言しており、国外進出している企業は愚か、国内でも前述の理由から油断できる状況ではないと言われている。
 2013年の1月、アルジェリア南東部のガス生産関連施設がイスラム過激派に襲撃される事件があった。48人が死亡し、その中には日揮の現地駐在員も含まれていた。この事件以降、テロ対策に取り組む企業が増えたとはいえ、日本の、日本人の現状認識と対策はまだまだだ。
 しかし、この特集はこうした話だけではない。冒頭には「ネクスト・ウォー」と題した科学技術、もっといえば軍事ロボットの開発にかなりのページを割いている。オタクっぽい特集でもある。


第4位
週刊エコノミスト■ <<< 今そこにあるさまざまなリスク

 株式市場の荒い値動きが目立っている。日本市場では、1月以降前日終値から200円以上乱高下する日も珍しいことではない。ダウ平均でもしかりである。世界的な金融緩和を背景として、日本やアメリカといった数々の国で同時に株高となっている。が、その死角はなにか? 今週の『週刊エコノミスト』は、「キーワードで知る経済リスク」と題して、日米欧、新興国の実体経済や地政学リスクなど、この状況下のリスクをキーワードで掘り下げ、「このあと何が起きるのか?」を探る。
 キーワードは8つ。1つ目は「通貨安競争」だ。ドル独歩高に米国も懸念を表明し始めた。日欧&新興国の金融・財政政策も変更を迫られる可能性がある。2つ目は早すぎても遅すぎてもリスク山積みの「米利上げ」。そのほか「原油安」「長期停滞」、国内株式市場の「最高値」、「国債暴落」のタイミングなど。紙幣を刷りまくって危ない橋をみんなで渡っているかに見える世界金融経済なので、「今」じゃなくて「いつも、そこにある危機」として慣されつつある昨今。ガラガラポン!の世界大戦突入というベクトルには気をつけたい。(ちょっと飛躍しましたが)

2015年3月 5日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・タケダの苦闘

日経ビジネス ... タケダの苦闘
週刊ダイヤモンド ... 高く売れる家 売れない家
週刊東洋経済 ... 一冊まるごと欧州
週刊エコノミスト ... 相場は歴史に学べ

 今週の経済誌で興味を引いたのは、タケダを取り上げた『日経ビジネス』です。以前別の経済誌がタケダのグローバル化についてその先進性を取り上げていましたが、今週の同誌は視点が少し異なり、グローバル化に苦悩しながらも舵取りを進めていく同社の現状を取り上げています。長谷川会長へのインタビューで本音が吐露されているところが感慨深いものでした。これが今週の第1位です。
「家を売りたい」と思った時に高く売れるのか、それとも安いのか、という問題は我々の誰もが興味を持つテーマですが、それにストレートに取り組んで特集したのが『週刊ダイヤモンド』です。一言で言えば、今がどういう状況で、もし今物件を持っているとしたら、売った方が得なのかどうか、よくわかる特集です。これが第2位。
 第3位は丸ごと一冊で「欧州」を取り上げた『週刊東洋経済』です。ギリシャ支援の行方から、フランスであったテロまで揺れるEUの感がありますが、それらを分かりやすく解説しています。
『週刊エコノミスト』の特集は歴史と相場の関係です。市場がどうなっていくか、予測をたてる際に学ぶべきは過去の歴史であるという同誌の視点はそれなりに面白いと思いました。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  グローバル化の本当の意味

 創業家出身・武田國男氏から2003年にバトンを受け取り武田製薬代表取締役に就任した長谷川閑史(やすちか)氏が、昨年6月、次に武田製薬の経営者としてバトンを渡したのは、元グラクソスミスクライン(GSK)ワクチン部門トップであったフランス人、クリストフ・ウェバー氏だった。現在、同社の最高執行機関「タケダ・エグゼクティブ・チーム」は、16名中11名が外国籍をもつ外国人だ。長谷川氏はいま代表取締役会長。その社長時代、巨額M&Aでグローバル展開をはかったが、舵取りを任せられる日本人社員を後継に育成できなかった。欧米メガファーマを相手に世界で戦うには、生え抜きの日本人社員はまだ経験も能力も足りなかったのだ。
 今週の『日経ビジネス』は、この武田製薬をどの日本企業でも起こりうる事例として特集する。「グローバル タケダの苦闘」がそのタイトルだ。特集は長谷川会長へのインタビューで始まり、ウェーバー社長への編集長インタビューで終わる。2011年から始まった社内改革では創業家の社員すらリストラし、全管理職をゼロから選び直すようなドラスティックな改革が進められてきたという。欧米医学会の権威・タチ山田氏が研究開発部門のトップに就任したのが大きな転換点となり、彼のつながりからグローバルに活躍する海外人材がスカウトされてきたという。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< わが家はいくらで売れるのか

 これからは「(家を)売る力のレベルアップ」が必要。なぜなら、必要な時に売り抜けなければ「不動産」が「"負"動産」なってしまう危険が顕在化したからだ。今週の『週刊ダイヤモンド』は、そんな時代のマンションや一戸建てを"売る"力に焦点を当てた特集「高く売れる家 売れない家」である。
 全国で表面化する空き家問題をきっかけに、いま不動産の価値基準が急速に変わりつつある。たとえば新潟県湯沢町。1980年代後半のスキーブームで乱立し高値で取引されたリゾートマンションが、いま買い手がつかず、価格下落率は6〜9割に及ぶ。東京都23区でも不人気と不便が重なる物件はいくら値下げしても売れない。購入時に舞い上がって売れない物件をつかまないようにするのと同時に、これからは「ライフスタイルではなく相場を読んでの売却もあり」と説く。たとえば、東京オリンピックで不動産価格が上昇している都心部に中古マンションを所有しているなら今が売り時だそうだ。しばらく賃貸に住んで価格が落ちてきたところで再度購入もあるという。まあ、インフレの問題もあるし、いずれにしても博打である。
 第2特集と<緊急特集>はHONDAがテーマだ。電撃辞任を発表した伊東社長の独白も掲載されている。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 世界一よく分かる欧州事情

『週刊東洋経済』が久しぶりに大特集1本立てを組んできた。タイトルは「1冊丸ごと 欧州」。ギリシャ支援の行方、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和、内部に抱える移民との文化的・宗教的対立、EU離脱もからむ英国総選挙、そしてウクライナ情勢絡みの動きもある。EUは「2015年最大の火薬庫」なのだ。
 特集は週刊新聞『シャルリー・エブド』に対するテロが起こったフランスの現地レポートから始まる。いっこうに進まないイスラム移民社会との摩擦を軸にEUが抱える文化・宗教の問題を総括する。続く<基本編>では「世界一よくわかる欧州事情」を解説。データも盛りだくさんだ。
 鮮度の高い最新情報はPart2<国別編>「欧州各国それぞれの危機」にある。ドイツ、イギリスは現地在住のジャーナリストによる現状レポート、フランスは記者による現地取材。 "優等生"としてEU内で独り勝ちし、歴史的好況に沸くドイツだが、シュレーダー時代に単位労働コストを抑えて経済を甦らせたものの、その後中間層は減少し貧困化という問題は好景気下でも悪化させているという。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 歴史は相場に学べ?

『週刊エコノミスト』は徹底的に読者対象を団塊の世代の個人投資家に絞っているのではないかと思われる。今週の特集は「相場は歴史に学べ」だ。
 さて、中身はなかなか興味深い。10個の「ここが知りたい」を掲げ、それぞれ過去の流れを押さえつつ次を予測する内容だ。たとえば「①ここが知りたい 日本株」は「87年バブル前相場に類似」とか。「②円安」は「円売り膨張は転換のシグナル」とか。ほぼすべての記事に時系列を追ったグラフが添付され、信じる信じないは自己責任の10項目を、それぞれ専門家が分析・予測している。エピローグは「中央銀行の失敗史」。金融政策のプロ集団であるはずの中央銀行だが、全幅の信頼を置けないことは歴史が証明している。