2015年2月25日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・ピケティの格差時代 サバイバル術


週刊東洋経済 ... ピケティの格差時代 サバイバル術
週刊ダイヤモンド ... Excelで数字力を鍛える!
日経ビジネス ... ニッポンの家 進化したウサギ小屋、海を越える
週刊エコノミスト ... とことんわかる低金利

 今週の経済誌は面白い企画が集まった感がありました。単純に面白かったのはピケティを題材に格差時代を生き抜く術を紹介した『週刊東洋経済』です。ピケティが証明した格差の広がりをどうしたら是正できるのかを個人レベルで考えようというハウツー企画です。マネー評論家から銀座のママまで登場してコメントしているのが秀逸ということで、これが今週の第1位です。
 第2位は『週刊ダイヤモンド』です。特集はなんとExcel。普通この種の企画は広告企画でやりそうなものですが、どうも真面目にこの表計算ソフトの使いこなし術に取り組みました。これもハウツーものですが、視点が面白い。
 第3位の『日経ビジネス』は(大昔フランスの首相に評された)ウサギ小屋と言う名の日本のニッポンの家にスポットを当てました。ウサギ小屋であっても高断熱、高機密快適な住まいを造り続けてきた日本の家の技術を海外展開していくというもの。これも面白いですね。
 そして4位は『週刊エコノミスト』で、特集では低金利がもたらす弊害にスポットを当てました。

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第1位
週刊東洋経済■ <<< 格差の渦に呑み込まれないために

 フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏は著書『21世紀の資本』の中で、資本収益率rは経済成長率gをつねに上回る=「 r > g 」を示した。この格差解決のためには、ピケティ氏自身も「実現見込みはない」と認めているが、一切の例外を許さず全世界で超富裕層に累進課税するしかない。その他の解決策は著作にはまったく見当たらず、一般庶民が見出だせる救いはピケティ本にはない。
 そこで、格差時代にサバイバルしていくにはどうしたらいいか。今週の『週刊東洋経済』はそこを特集した。この「 r > g 」、見方を変えれば、「格差時代には資産運用が不可欠」であることを指し示してもいる。ぼさっとしている暇はない。庶民であればあるほど、格差の渦に飲み込まれない術を身につけなければ!ということである。
 今回の特集、ノウハウのようでノウハウにとどまらず、また精神論だけでもなく、読み物として雑誌的でたいへん面白かった。「どう運用する」「どう働く」「どう育てる」など、いろいろなベクトルからの人選がなかなか光っている。私の場合、「どう働くか?」に登場した銀座お茶屋バーの浅川夏樹氏の「80歳で30代40代の年下の方と一緒に仕事をしていくためには、日々少しずつでも新しい事を学んでいかなければ」という言葉に拍手。投資も仕事も生活も、歩みを止めたら面白くない。何歳になっても年下の友人ができるような毎日を送ることがサバイバルと思えば、厳しい時代も泳いでいける気もする。


第2位
週刊ダイヤモンド■ <<< 思わずExcelを学びたくなる

 マイクロソフトの表計算ソフトExcelは「特別なソフト」だ。リーマンショック後のコスト削減が最重要課題である時期も、Excelだけは常に最新バージョンにアップデートしたいという企業のニーズは途切れなかったという。登場以来、仕事のやり方を劇的に変えたマイクロソフトの表計算ソフト、Excel。データの読み解き方を覚えるだけで新入社員を一人前の営業マンに変えることにも役立つ。
 今週の『週刊ダイヤモンド』は「Excelで数字力を鍛える!」と題し、いまや必須のビジネススキルとなったエクセルについての知識を、基礎から応用まで丁寧に解説する。
 いまやエクセルはあらゆる仕事に欠かせない存在であるがゆえに些細なミスが及ぼす影響が大きくなっている。福島県立医科大では診察結果と患者のデータのひも付けが正しくなされず、173人の患者に誤った検査結果を通知してしまった。このような事故を防ぐためにも最低限の知識が必要だ。苦手意識を克服してエクセルを使いこなしたいものである。その第1歩をこの特集からということだが、エクセル使いの達人が何人も登場し、思わずスクールにでも通いたくなった。かも。
 第2特集は「Pepper 大増殖計画」。感情認識型ロボット「ペッパー」は家庭の新しいプラットフォームに「増殖」できるか?!


第3位
日経ビジネス■ <<<  ウサギ小屋のアジア進出

 国内市場の縮小に喘ぐ住宅産業。起死回生の一打として住宅メーカー各社が海外進出を本格化させている。かつて「ウサギ小屋」と揶揄された日本家屋だが、いまは違う。断熱性、遮音性、省エネ性能など快適な住環境を作る技術は進化し、アフターサービスの質も磨かれてきた。
 今週の『日経ビジネス』は「ニッポンの家 進化したウサギ小屋、海を越える」で、「家の輸出財化」を目指す住宅メーカーの動きを追う。
 タイでは積水化学工業が現地建築大手と手を組み「SCGハイム」というブランドを展開している。やや高めの価格ながら、質の良さを全面に売り出し、中間〜富裕層を中心に多くの支持を得ている。家の大部分を工場で作り、現場で組み立てる「ユニット工法」のデモンストレーションも人気を博している。
 パナホームはマレーシアにて高級住宅偏重だった方針を転換、「リンクハウス」と呼ばれる中間層向け戸建住宅の開発に着手した。これは日本で言う「長屋」のようなもので、マレーシアを足がかりに成長著しいASEANでの大展開を狙っている。


第4位
週刊エコノミスト■ <<< 低金利が引き起こす弊害

 世界的な低金利が長期にわたって続いている。デフレ回避に向けて動く欧州圏では特に顕著で、ドイツやフランスは過去最低水準にまで金利が落ち込んだ。年明け以降だけでも利下げした国は世界で15ヵ国を越え、前代未聞の事態となっている。今週の『週刊エコノミスト』は「とことんわかる低金利」と題して、超低レベル金利のいまを解き明かす。
 超低金利が引き起こす弊害はさまざまで、その一つが機関投資家の運用難だ。すでに貯蓄性保険を中心にいくつかの商品は販売停止になっている。地銀や信用金庫の中には国債へ回していた資金を不動産投資信託や株式へと回すところも出始め、「バブルの芽を膨らませかねない危険な動きだ」と評する市場関係者もいる。このようななかで、日銀、ECB、FRBはそれぞれどう動くのか、予測スケジュールを「ニュース編」でチェックしておきたい。そのほか、「学習編」「歴史編」「実用編」と低金利を解剖する。

2015年2月18日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・LEGO グーグルも憧れる革新力

日経ビジネス ... LEGO グーグルも憧れる革新力
週刊ダイヤモンド ... 3人に1人がヤバい 認知症社会
週刊東洋経済 ... 本気で考える 海外移住&資産運用
週刊エコノミスト ... 宇宙・深海・地底

 今週の経済誌で目を引いたのは黄色い表紙の『日経ビジネス』でした。レゴのブロックを使ってINNOVATIONと書いてあり、大きくLEGOの文字。グーグルも憧れる革新力というサブタイトルが「へぇ」と思わせました。レゴの特集なんてと思いましたが、なるほど倒産の危機を経て35歳の経営者が行なった改革はなるほど「ドラマ」です。素直に面白く読みました。これが今週の第1位です。
 第2位は『週刊ダイヤモンド』です。特集は認知症。読者としてはあまり読みたくない特集かも知れませんが、読んでおく必要があるのかなと思わせる「圧迫感」があります。特に軽度認知障害(MCI)藻含めると3人に1人が認知症になると言われると、人ごとではなくなります。
『週刊東洋経済』は「海外移住」を特集しましたが、円安もありブームでもないだろうに、と瞬間的に思いましたが、それでも「脱ニッポン」は増えているのだそうです。
 そして『週刊エコノミスト』は最近好きなのか、三題噺特集で、今週は宇宙・深海・地底となにやら不思議な特集でした。マーケットはそれぞれにあるのでしょうが、とにかくキーワードを3つ持って来るというのが同誌の姿勢でしょうか。こうすると売れるのでしょうかね?

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  LEGOってそんなに革新的企業だったのか

 LEGOブロックで遊ぶのが大好きだった。親になってからは息子と、まあいろいろ作ったものだ。『日経ビジネス』がこのLEGOを特集した。「どん底から世界一へ LEGOグーグルも憧れる革新力」がそのタイトルだ。え!?どん底があったの? そして「グーグルが憧れる革新力」ってどういうこと? これは読むしかない。と思わせてくれる今週の『日経ビジネス』だ。
 レゴが生まれたのは1932年のデンマーク。80年以上、ブロックの製造・開発を中核事業として成長してきた。しかし80年代にレゴブロックの基本特許が各国で切れ、玩具のデジタル化のあおりも受け、その後進めた多角化の失敗で、ブロックの老舗は経営危機に追い込まれた。しかし2004年、入社3年目、35歳のクヌッドストープ氏がCEOに就いて以降、9期連続の増収増益、米マテルを抜いて世界最大手玩具メーカーへと成長した。クヌッドストープCEOは「カリスマなきリーダー」と揶揄されるほど物静かな印象の人物。しかし「革新にカリスマはいらない」と言い、ヒットを連発する組織・仕組みを作った。1つは「イノベーション・マトリクス(P30〜31)」。ヒット商品を作るすべての要素を可視化するツールで、新商品の開発の際にすべての活動を書き込む俯瞰図だ。ここから大ヒット商品が生まれていく。もう1つは「レゴ認定プロフェッショナル」を頂点とする世界7500万人超のファンピラミッドだ。マトリクスからは生まれてこない実験的な企画を吸い上げるのがこのピラミッドなのだ。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 認知症、あなたのことです

 これはきついな〜、ヤだけど読まなきゃだな〜(泣)という特集を『週刊ダイヤモンド』がやっている。タイトルは「3人に1人がヤバい 認知症社会」。何がきついかって、これは自分の親の介護まわりのことではなくて、「あなたのことです!」と言っている特集だからだ。表紙にも「40代から備える予防&対策」などと書かれている。
 2025年の推計では、高齢者の5人に1人が認知症になるという。さて、なぜ3人に1人がヤバいかというと、認知症の予備軍MCI(軽度認知障害)も含めるとそうなる。高齢化も相俟って、周りを見渡すと認知症が当たり前のような「認知症社会」が訪れるかもしれない。いや訪れる。カバーストーリーにMCIと診断された漫画家兼タレントの蛭子能収さん(67歳)が登場する。昨年秋にテレビ番組の企画で検査してわかったそうだ。いつもの明るいおとぼけキャラのままだが、治療を開始しているそうだ。身近な存在だけにリアリティがあり過ぎてコワい。大事なページはPart4「40代から備える!」だろう。認知症の予防情報が掲載され、生活習慣の改善やら筋トレやらいろいろ紹介されている。このところ家人が、私の大好きなコーヒーの中に毎朝「ココナッツオイル」を入れて出してくる。ココナッツの香りがしてなかなか美味しいのだが、この特集でなぞが解けた。ココナッツオイルはアルツハイマー病の改善と予防に効果があると報道されたと記事に書かれていた。女性は情報に敏感である。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< なおも加速している?「脱ニッポン」

 永住権を得て海外で暮らす日本人は、2013年10月時点で41万8747人。過去10年で約13万人増加したという。今週の『週刊東洋経済』は「本気で考える海外移住&資産運用」と題して、円安・インフレに「脱ニッポン」で備える人々・手法を特集した。戻ってきている人も多いと聞くが、移住に挑戦したいと考える人は着実に増えているのだろう。留学は減っているのにね。ここでも意識の2極化が激しいようだ。
 富裕層の移住先で真っ先に思い浮かぶのは、タックスヘイブンのシンガポールだ。居心地の良さは抜群だろう。最近はビジネスチャンスを求めてやってくる30〜40代の起業家が増えているという。香港に本部を置く「和僑会」も5年前に設置され、現在30人の会員がシンガポール和僑会のメンバーに加わっている。トレンドの教育移住は、欧米やシンガポールと比べて学費が格安なマレーシア、フィリピンに注目が集まっているという。
 Part2「海外資産運用」編は移住より現実的だ。外貨預金、海外株式投資、海外REITなど、はじめの1歩を指南する。ちょっとハードルを上げて海外不動産取得も。でもこちら、相続が想像以上にたいへんらしい。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 三題噺

『週刊エコノミスト』有望テクノロジー・シリーズとでもいうのだろうか。昨年12月からだいたい月1で、関連する有望テクノロジーを3つ並べる特集を展開している。今週は「宇宙・深海・地底」。宇宙や深海、地底がサイエンスの対象からビジネスへと広がりつつある。その最前線を追う特集だという。
 ビジネスとして新たな成長期が期待できるのは「宇宙」。衛星から受け取ったデータをビジネスで生かす分野は、従来の気象やGPSだけでなく、環境、防災、林業、漁業など商機を広げている。そしてこうした人工衛星需要の高まりは、衛星そのものの低価格化を促進。小型衛星なら「3億円あれば飛ばせる」時代に突入した。衛星への運搬用ロケットの開発も加速化させている。
 日本政府もこの1月、新宇宙基本計画を掲げ、2024年までに宇宙関連産業を官民合わせて5兆円規模まで拡大させ、衛星など最大45基打上げる計画だ。宇宙ビジネスの台風の目、シリコンバレーの動きもリポートする。
「深海」は海洋資源開発市場がグローバルで成長しつつあり、そこに日本企業が食い込む余地がある。「地底」は回収したCO2を地中深く貯留するCCSが取り上げられている。地震の誘発という懸念には触れられていなかった。ポテンシャルのある有望なフロンティアには課題も多い。

2015年2月12日

【来た!見た!書いた!】地方への大盤振る舞いの背景にあるもの

896もあった消滅可能性のある自治体
「我々地方が求めていた地方創生のために必要な経費が『まち・ひと・しごと創生事業費(仮称)』として新設され(中略)地方創生元年にふさわしい1兆円が計上されたことを歓迎する」
 2015年度予算案が閣議で決まった1月14日。全国知事会など地方6団体はこんな共同声明を出した。とかく国への厳しい注文が多い地方6団体が15年度予算案を高く評価したのは、国が地方創生関連で新規の財源を0.5兆円、地方の一般財源総額も61.5 兆円と14年度を大幅に上回る額を確保したからだ。
 異例ともいえる国の大盤振る舞いの背景には何があるのか。話は2014年の5月にさかのぼる。
 民間研究機関「日本創成会議」の分科会(座長は増田寛也元総務相)が5月8日、全国の市区町村の半数にあたる896自治体を「消滅可能性がある」と発表した。出産年齢の中心である20~39歳の女性が2040年までに半減する自治体は人口減が止まらなくなるとし、そうした896自治体の名前をすべて公表したのだ。
 一方で人口が集中する東京については高齢者の介護ができなくなるなど、集中の問題点を厳しく指摘した。これにより地方の「人口減少」と東京圏への「人口集中」というテーマがクローズアップされるようになった。

アベノミクスでも地方にカネは届かないという不満
 この動きに素早く反応したのが安倍晋三首相だ。創成会議の発表の直後に、首相は増田氏に地方の人口問題対処への体制強化を伝えたという。
 6月14日には視察に訪れた鳥取県で、記者団に対し「地域の再生は安倍政権の重要課題だ」と述べ、みずからが本部長を務める「地方創生本部」の新設や、省庁の枠を超えて取り組みを強化する考えを表明した。これが「地方創生」という言葉がマスコミを賑わすようになったきっかけだ。
 これと前後して経済財政諮問会議も「50年後に人口1億人台維持」との数値目標を打ち出した。政治レベルで人口目標を示したことは初めてのことだ。
 安倍首相が地方消滅問題に敏感に対処したのは、今年4月の統一地方選への危機感を強めていたからだ。
 昨年5~6月の時点で、安倍政権の経済戦略であるアベノミクスは株価高騰や賃金の上昇につながり、それなりの評価を得ていた。ただ4月の消費増税後の反動やガソリンなどエネルギー価格の高騰もあり、地方からは「アベノミクスは地方には届いていない」という批判が出始めていた。
 政権はそれまで、アベノミクスの「3本の矢」で「積極的な公共事業」を打ち出していたが、これを除けば地方を重視した政策は不足していた。
 加えて13年秋には、2020年の東京五輪開催が決まった。インフラの整備などを通じて今以上に東京への集中が進むのではないか。また東京圏での公共工事が増えたせいで、東日本大震災の被災地では復興のための事業に支障が出るのではないか。こんな懸念が地方では強まっていた。


地方創成戦略でも知事選では負けた
 安倍政権はそうした地方からの批判や不満に応えるように、「地方創生」という言葉を初めて使った6月以降、地方再生の戦略の布石を打っていった。
 9月には、第2次安倍改造内閣で石破茂前自民党幹事長を地方創生担当相に起用。さらに安倍首相を本部長とし、石破氏と菅義偉官房長官を副本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」(地方創生本部)を同時に発足させた。
 12月27日には、それまでの議論をまとめ、日本の人口の現状と将来の姿を示し、今後目指すべき将来の方向を提示する地方創生(まち・ひと・しごと)の「長期ビジョン」と、今後5年の目標や施策や基本的な方向を提示する「総合戦略」を閣議決定した。
 ただ安倍政権が地方創生戦略を次々と具体化していくなかでも、地方からの不満は依然、強いものがあった。そのひとつの表れが、県知事選だ。「自民党系の推薦候補」対「革新系の対立候補」という構図のときには自民党系候補は安泰なものの、強い対立候補が表れたときに、自民党側が勝てないケースが相次いだ。


地方への大盤振る舞いは最後のチャンス?
 2014年7月の滋賀県知事選では、元民主党衆院議員の三日月大造氏に自公両党の推薦候補が敗れた。10月の福島県知事選では、自民党県連が独自候補擁立を目指したが断念。旗色が悪いとみた自民党本部は民主党などと当選した内堀雅雄氏に相乗りした。
 11月の沖縄県知事選では、米軍普天間基地の辺野古移設に反対する翁長雄志氏に自民党などが推薦する現職が敗北。今年1月の佐賀県知事選でも、農業団体の支援を受けた元総務省職員の山口祥義氏が自公両党推薦の候補を破っている。
 こうした相次ぐ知事選の敗北から、安倍政権は4月の統一地方選に危機感を強めている。そうした意識が、2015年度予算の地方への大盤振る舞いの背景にはある。
 安倍政権が年末にまとめた地方創生の長期ビジョンについては、①「東京一極集中」の是正②若い世代の就労・結婚・子育ての希望実現③地域の特性に即した地域課題の解決――という3つの視点を打ち出した点を評価する声がある。
 だが一方では、1989年に竹下内閣が始めた全国の市町村に1億円ずつ交付する「ふるさと創生事業」、99年の小渕内閣の地域振興券、2011年に民主党政権が導入した一括交付金のように「要はバラマキではないか」という批判も、野党を中心に多い。
 今の日本の財政状況を考えれば、地方へのこんな大盤振る舞いが来年度も、またその次の年度もと、続く可能性は低い。そうだとすれば、地方にとっては「地域を再生するためにふんだんにカネを使える最後の機会」になるかもしれない。
 次回は「地方創生をバラマキに終わらせないためには何が必要か」を考えていきたい。

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・善い会社

日経ビジネス ... 善い会社
週刊ダイヤモンド ... そうだったのかピケティ
週刊東洋経済 ... 税務署が来る
週刊エコノミスト ... 中国減速リスク

 今週の経済誌で目についたのはピケティの特集でした。『週刊ダイヤモンド』が完全版的な解説本ならば、『週刊エコノミスト』は反ピケティと色合いも分かれていました。それにしてもよく売れているのでしょう、この本。そんななかで、表紙に筆で「善」の文字をあしらった『日経ビジネス』が目を引きました。今必要とされる会社とはどんな会社かという分析をし、その結果用いた言葉が「善い会社」なのだそうです。上場企業をこの観点でランキングしたというわけです。面白かったのはいわゆ有名企業ではない会社も数多く登場していた点。これが今週の第1位です。
 そして『週刊ダイヤモンド』のピケティ特集が続きます。もう既に、テレビ、新聞でも数多く取りあげられ、ピケティ氏本人も出演していることから、「r > g 」という公式は頭に入ってしまったのではないでしょうか。でも上手くまとまっていました。
『週刊東洋経済』は時節柄もあり、税務署(というか税金)特集を組みました。個人編と会社編とがあり、気になる方も多いのではないでしょうか。
 第4位は、このところ定期的にフォローしている感のある「中国特集」を組んだ『週刊エコノミスト』です。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  善い会社が今後の会社のキーワード

『日経ビジネス』は1980年代「良い会社」というシリーズ特集を組んでいた。「良い会社」の定義は「成長や収益だけが優劣を決める時代は終わり、独自のコンセプトで市場を切り拓く創造性や、社員にロマンを与える明確な目的を持った企業」だった。90年代は、「強い会社」。文字通り「成長力で他を圧する強さを持った企業」を特集するシリーズだ。そして21世紀の今年、「善い会社」を提示してきた。
「善い会社」とは、「成長の原動力となる収益性と社会への貢献を両立する企業」を指すという。上場企業3841社の過去10期の営業利益率(顧客満足)・従業員の増減率+増減数(従業員満足)・法人税額(国や地方への貢献)・株価変動率(株主への貢献)を数値化し、それを「善い会社」ランキングとして上位100社を発表した。ちなみに1位はソフトバンク、2位ファーストリテイリング。この有名企業2社を見てランキングにまたかという反応はしないでほしい。3位はキーエンス、8位にはマニー(この社名ご存じでしたか?)が入ってくる。記事では58位の浜松ホトニクス、19位ナカニシ、61位アシックスなど約20社が取り上げられ、ランキングにも影の優良企業が名を連ねている。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< よく売れるピケティ特集

 ベストセラー経済書『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティ氏の来日で、経済誌もニュース番組もピケティ連発である。関連本の動きもよく、今週は『週刊ダイヤモンド』と『週刊エコノミスト』がピケティ特集だ。『週刊東洋経済』のピケティ推しをしばらく静観してきた感のある『週刊ダイヤモンド』だが、今週、池上彰氏を引っ張り出しての「決定版 そうだったのか!ピケティ」で勝負する。
 とにかく最初の4ページ「池上流3ポイント」と「8ステップで早わかり」を押さえておけば、せっかく買った5940円の『21世紀の資本』を途中で投げ出すことにはなるまい。とてもシンプルに分かりやすくまとまっている。また、ピケティ氏と池上氏による対談もある。ピケティ氏が注目されるのはその理論本体もさることながら、著名経済学者による支持・不支持のかまびすしい議論だ。本誌でも有識者11人が支持率を%で表示し、その考えを展開している。
 ピケティ企画はよく売れているらしい。この種の特集をする気持ちはよく分かる。
 第2特集は「空の産業革命 ドローンの現実」。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< あなたの会社が税務署に狙われる

 今週の『週刊東洋経済』は税務調査をメインテーマにもってきた。国家財政が厳しい昨今、「いよいよ本気で税金取りにくるだろうな」的な緊張感が、個人にも企業にもある。そんな空気の中、特集タイトルは「税務署が来る」だ。そういえば確定申告は2月16日から。個人は税務署に何かとお世話になる時期だった。
 さて、特集は、前半が個人の相続税を扱う「あなたの家が狙われる」。後半は企業だったら必ずある税務調査に備える「あなたの会社が狙われる」の2部構成。半世紀ぶりの相続税大改正で、首都圏の家持ちの多くが課税対象となった。これまで他人事だった"税務調査"がもしかしたら自分のところにも来るかも!?しれない。国税庁にはKSKシステムと呼ばれるデータベースがあり、過去の申告・納税情報のほか、当局が把握した資産の取引情報などが膨大に詰まっているらしい。それらデータに調査官の目利きが加わって調査対象となった事案のうち、申告漏れがヒットした率は、2013年事務年度(13年7月〜14年6月)で82.4%(!)。ここ10年8割を切ったことがないんだと(汗)。ちなみに税務調査が入るのは被相続人が亡くなってから1年半後だそうな。
<巻頭特集>は「スカイマーク経営破綻 折れた『叛逆の翼』」。<深層リポート>では国内が踊り場にさしかかり成長戦略が見えない楽天の海外事業を掘り下げる。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 中国が抱えるリスク

 今週の『週刊エコノミスト』は、珍しいことだが表紙を2枚看板にしてきた。1つは第1特集に当たる「中国 減速リスク」。世界の"マネーの出し手"である中国の異変を3ヵ月ぶりに掘り下げる。前回は昨年10月の「中国大減速」とのタイトルだったが、今回は少しトーンダウンして中国経済の減速リスクを人民元・上海株暴落リスク、反腐敗で特権を奪われた軍の反発や内部分裂リスク、低成長=新常態(ニューノーマル)適応リスクなど、中国社会経済が抱える減速リスクの現在を取り上げた。
 2つめは「ピケティにもの申す!」。表紙には同じ大きさの「中国」と「ピケティ」の活字と、習近平主席とピケティ氏の顔写真が並ぶ。来日したピケティ氏への注目度の高さに『週刊エコノミスト』もついに特集という感じだ。ピケティ本人へのインタビューと、国内識者7人によるピケティ本への異論・反論・批評で構成される。『週刊ダイヤモンド』と人選で被ったのは1人だけなので、こちらも目を通したい。
 堀江貴文氏が「なんではやる?理解できない」と期待通り100%不支持の反応だ。

2015年2月 5日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・世界を揺るがす 原油安 超入門

週刊ダイヤモンド ... 世界を揺るがす 原油安 超入門
週刊東洋経済 ... 原油安ショック
日経ビジネス ... 物流の復讐
週刊エコノミスト ... 世界金融不安

 今週は『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』の2誌がともに「原油安」を特集しました。しかし、両誌の内容で言うとページ数の厚みと内容の咀嚼の仕方で、『週刊ダイヤモンド』に分があったと思います。こちらは圧倒的にわかりやすかった。そこで、『週刊ダイヤモンド』を今週の1位、『週刊東洋経済』を今週の2位にします。2位の『週刊東洋経済』は原油安以外にも、「イスラム国」の特集や「シャープ再び赤字への転落」といったタイムリーな話題に事欠かず、この路線をとり始めて以来、週刊誌らしさを打ち出しています。
 第3位の『日経ビジネス』も面白い視点の特集を組みました。「ネット通販が急拡大した結果、物流で人不足が急速に起こり、この構造が破綻しかねない」という問題提起型の特集です。しかし、20ページしかなく、ちょっと物足りない感じです。
『週刊エコノミスト』は、今週の2誌の「原油安特集」を先週いち早く取りあげていました。今週は「世界金融不安」を取りあげています。


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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 世界一わかりやすい「原油安」!

 先週『週刊エコノミスト』が「原油安」を特集。今週は『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』がそろって「原油安」を特集した。その途端、先週末からじわり上昇を始め、2月4日朝のニュースでは「原油相場の上昇を好感し、NY株式市場が大幅続伸」との報道だ。「メジャー経済誌で取り上げる頃にはその相場はおしまい」とのジンクスがあるが、さて今回はいかに。
『週刊ダイヤモンド』は「世界を揺るがす原油安 超入門」と題し、生活に必要不可欠なエネルギー源、大国間の外交の材料、金融市場での投機の対象...と、複雑怪奇で多様な面を持つ原油の世界を、「世界一分かりやすく解説する」特集をめざす。Part分けが秀逸で確かに分かりやすかった!
 プロローグ:超入門 世界一分かりやすい石油の常識。Part1:絶対に知っておくべき原油相場のカラクリ。Part2:石油のヤバい未来と黒い歴史。Part3:原油安で得する業界 損する業界。そこに『週刊ダイヤモンド』得意の図表、グラフ、相関図などなど、チャートが駆使され、編集の構成要素は『週刊エコノミスト』に近いだが、とにかくわかりやすく読ませていく。とくに「本邦初!サウジ国王死去で混迷の業界完全人脈図 これが現代の石油の支配者だ!」のまとまり具合は一見の価値あり。


第2位
■週刊東洋経済■ <<< 同じ「原油安」特集での他誌との比較

 雑誌巻頭から複数ページにわたる「巻頭特集」や「深層リポート」でタイムリーな話題をがんがん攻める編集に変わった『週刊東洋経済』。今週もその姿勢に変わりはない。
 今週は、日本人も意識せざるを得なくなったイスラム過激派がもたらす脅威について扱った「巻頭特集:グローバル・ジハードの実態『イスラム国』の戦慄」から始まり、「深層リポート:さまようユーロ」では量的緩和に踏み切ったものの不安が消えないEU経済に焦点を当て、さらに2本目の「深層リポート:シャープ 裏切りの再赤字」で、順調に業績回復しているはずだったシャープの今に迫る。これに第1特集「世界大激震 原油安ショック」が加わる。
 しかし、各レポートにパワーが分散されるのか、第1特集の濃さ・編集の工夫に関しては『週刊ダイヤモンド』に軍配が上がった模様だ。効率よくこの「原油安」の背景と今後を頭に入れるなら『週刊ダイヤモンド』がおすすめ。巻頭のリポートに興味と関心を寄せるなら『週刊東洋経済』だろうか。個人的にはこの2大経済誌の編集方針の差が今後何をもたらすのか、興味がある。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  ネットで買い物、でもモノが届かない時代はすぐそこ

「2015年にはドライバーが14万人不足する」。2008年に予測されていた「2015年問題」だ。「頼んだ荷物は時間通りに届く」という常識を支える運送インフラの破綻が近づいている。理由はネット通販の急拡大による負担増と人手不足だ。このままでは物流コストは跳ね上がり、結果的に運送市場は高度な物流機能を持つ企業による寡占状態となるのではないか。それは国家間の競争の軸ともなる。物流を前提として事業構造を再構築する「物流ファースト」の時代がきた。また「物流ファースト」でなければ生き残れない。その現場を『日経ビジネス』が「シリーズ逆転の経済 物流の復讐 変わる産業の主導権」と題して特集した。
 セブン&アイホールディングスは高度な物流機能を作るために倉庫と店舗を融合した客が来店しないネット専門店舗「ダークストア」を住宅街に作った。倉庫のように見えるが店舗の位置づけで、総菜等の調理もこの店舗で行ない、生鮮食品も扱い届ける。生鮮食品の扱いを始めるアマゾンへの対抗策ともなる。そのほか、日本郵便,ヤマト運輸、海外の取組みなど、先進事例に迫る。
「考える工場」「円安経営」「超多極市場」「日本初標準」「主役の物流」と、新年から始まった<シリーズ逆転の経済>は「物流」を最後のピースとした。ドイツが掲げる「Industrie4.0(第4次産業革命)」でも最後は物流まで含めた効率化がカギになるという。ハブ空港・国際港の整備、規制緩和や産業政策と、国としての総合力も問われる。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< 米国の利上げはいつ?

『週刊エコノミスト』はマクロが得意だ。今週「原油安」を特集した『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』を尻目に、昨年11月に「原油急落と中東情勢」、同月後半に「資源安ショック」と立て続けにとりあげ、先週も「とことんわかる原油安」として特集した。そんな『週刊エコノミスト』が今週は「世界金融不安」を特集する。サブタイトルは「日米欧緩和が醸成する国債暴落」。
 日米欧がそろって歴史的な超低金利の状態にあるなか、今年米国が利上げに踏み切れるかに市場関係者の注目が集まっている。昨年後半時点では6月頃の利上げが予想されていたが、年が明けてみれば「秋頃ではないか」とささやかれ始めた。日欧の金融緩和圧力は強力だ。これに原油安で運用益を少しでも積み増ししたいオイルマネーも加わり、溢れ出したグローバル・マネーフローはハイリスク商品にも流入し始め、市場は高いリスクを抱え込む。国債金融市場は不安定な状況のままだ。このような現状を11人のエコノミスト、アナリストが、専門家の視点から最新情報で解説する。