2015年1月29日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・ピケティ 完全理解

週刊東洋経済 ... ピケティ 完全理解
週刊ダイヤモンド ... 統計学自由自在
日経ビジネス ... Jスタンダード
週刊エコノミスト ... とことん分かる原油安

 昨年末に日本で発売されたトマ・ピケティの『21世紀の資本』が売れています。5940円もする書籍ですが、アマゾンの「投資・金融・会社経営」部門のベストセラー第1位です。この作者を日本で最初に扱ったのは『週刊東洋経済』でしたが、今回また大特集を組みました。売りは「20分で分かる」で、これも今週のアマゾン「ビジネス一般・経済の雑誌」部門ベストセラー第1位です。1960年代後半にP.F.ドラッカーの『断絶の時代』が大ベストセラーになりましたが、それを彷彿とさせます。ドラッカーも当時2500円くらいの本が20万部以上売れ、ビルが建ったと言われているわけですから、同じ現象が起こるかも知れません。話題性という意味からも今週の第1位はこれで決まりです。
 ところが、『週刊ダイヤモンド』も大ベストセラーの『統計学が最強の学問である』(西内啓著:同社刊)を題材に特集を組みました。これも売れるでしょうね。アマゾンでは『週刊東洋経済』に次いで第2位でした。ということで、これが今週の第2位です。
『日経ビジネス』はチャレンジングな特集を組むのですが、あまりインパクトを残せていません。今週の特集も「Jスタンダード」と言われてもピンとくる人は少ないのではないでしょうか。例えば、中刷りの見出しは「0.2秒で理解でき、しかもそのフレーズが面白い」くらいでないとアピールはできません。もう一つです。
 そして第4位が指定席になった感のある『週刊エコノミスト』ですが、今週の特集は原油安の影響をとことん理解しようというもので、特集としてはいつもよりは面白かったと思います。

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第1位
週刊東洋経済■ <<< 大ベストセラーの解説特集

 1月20日に行なわれた米国のオバマ大統領による一般教書演説で、中間層への支援策と富裕層増税がうたわれた。選挙対策とも言われるが、オバマが"格差対策"を大統領選の争点に挙げて共和党に攻勢をかけるのは間違いない。格差が広がり続ける未来を予見した『21世紀の資本』は、その米国で昨年の大ベストセラーとなった。43歳のフランス人経済学者ピケティが著した700ページにも及ぶ経済書だ。『21世紀の資本』は、いまだにスター経済学者たちを巻き込んだ賛否両論の論争を起こしている。
 自社で出版しているわけでもないこの本を『週刊東洋経済』が特集に取り上げるのは、昨年の7月に続きこれで2回目。それだけ経済人の注目を集めている。昨年12月にみすず書房が翻訳本を刊行し、経済書売れ筋No.1だ。昨日からは『週刊東洋経済』「ピケティ特集」もアマゾンの経済書カテゴリー2位と好調だ。
 特集では、ピケティの理論に前回以上に迫るとともに、ピケティを入り口に、実証重視の最先端経済学のエッセンスを紹介する。さらに「中低所得層の負債増加が経済全体をもろくしている」と投げかける『ハウス・オブ・デッド』著者、アティフ・アミン米プリンストン大経済学部教授へのインタビューも掲載されている。こちらはポストピケティ本の最右翼だという。
<巻頭特集>「G(グローバル)型・L(ローカル)型 大学論争の深層」も興味深い特集だった。


第2位
週刊ダイヤモンド■ <<< 最強の学問を学ぶ

『週刊東洋経済』が"ピケティ"推しなら、『週刊ダイヤモンド』は"統計学"推し。ということで、今週の『週刊ダイヤモンド』は「統計学 自由自在!」が第1特集だ。2013年3月の「最強の武器『統計学』」以来、2年ぶり2回目の登場である。今回も2013年1月の発売以来36万部の支持を集める『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)の著者、西内啓氏が登場。ビジネスの現場で誰でも使える統計学の基礎から応用までを西内氏自身がわかりやすく解説する内容だという。うん!昨年10月に『統計学が最強の学問である[実践編]』も出版されたしね!
 Part1は事務機器販売会社の営業部を舞台にどのように統計学を取り入れていけば売上アップにつながるか具体的に指導。Part2では「習うより慣れろ」ということで、Part1で紹介した西内氏直伝のエクセルを使ったデータ分析の方法を手取り足取り8ページにわたって教えてくれる。大きな誌面を生かして分かりやすいので、これはやってみたくなる。そのほか、統計分析の達人・野口悠紀雄教授、人気占い師・ゲッターズ飯田氏など、統計を駆使する多彩な達人も登場する。


第3位
日経ビジネス■ <<<  トヨタがグーグル方式を真似た!?

 グローバル経済はあらゆるルールの元に成り立っている。これまでの日本はルールの順守にこだわり自ら作る事に関しては関心が薄かったし、はっきりいって苦手だった。だが、実際の経済現場の競争力はこのルールが左右する。社会課題やビジネス展開のために、「ジャパンスタンダード」を世界標準に押し上げていく時だ。今週の『日経ビジネス』は「Jスタンダード ルールは『守る』より『作る』」と題して、国際ルールをリードする方向性を模索する。
 今年1月にラスベガスで開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」においてトヨタ自動車が昨年12月に発売したFCVの特許全てを無償で提供すると発表した。この背景には国際的な規格争いが存在する。以前にEVの規格争いで苦渋を舐めたトヨタは今回、特許を公開することで自陣営の増加を目論んでいる。この手法は米グーグルがスマートフォン規格「アンドロイド」において実績をあげている。
 ルールを制するためには、このような「仲間を増やす」ことのほかに、ライバルに対して機先を制す「早い者勝ち」や普及を見込める地域や業種を見極める「土俵を変える」ことが重要となって来る。いずれにしろ、官民挙げての意識変革が必要だ。


第4位
週刊エコノミスト■ <<< 底が見えない原油安の本当の影響

 日本の場合、ガソリン代金の約4割が税金なのでそれほど大きな恩恵はないが、それでもガソリンの値段は大いに下がってきている。日本をはじめ、世界経済には総じてプラスとの見方が多い。が、プラスの側面だけではない。今週の『週刊エコノミスト』は「とことんわかる原油安」と題して、今回の「逆オイルショック」が金融市場や国際政治、エネルギー実需にどういう影響を及ぼし、何が起きているのかを掘り起こす。
 底が見えない原油安は金融市場に5つのリスクをもたらす。まずロシアなど一部産油国の信用不安の増大がすでに顕在化している。第2にエネルギーに関わる企業の信用劣化。商品関連の投資を行なうヘッジファンドの中には破綻や規模縮小を迫られるファンドも増加している。第3は原油安がデフレ圧力となっている点。第4は国際金融市場で存在感を示してきたオイルマネーの減少懸念。そして世界経済の牽引役・米国実体経済への影響である。
 いずれにしろ、「各国のマクロ経済は、まだ原油価格下落の影響を十分に織り込んでいない」(大井二三郎・住友商事グローバルリサーチ経済部長)状況であること。原油安の底が見えていないこと、地政学的リスクなど、原油をめぐる動きから目は離せまい。