2014年9月 3日

【来た!見た!書いた!】人類史上初めての少子高齢化を原因とした人手不足が起こっている

有効求人倍率が過去最高値を更新した意外な県

 厚生労働省が8月29日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍と前月と同じだった。20ヵ月ぶりに改善が止まったものの、22年ぶりの高い水準を保っている。全国がこんな状況の中で、7月までの3ヵ月連続で有効求人倍率の過去最高値を更新した都道府県がある。
 1.62倍と、前月より0.06ポイント上昇し全国一となった東京都だろうか。違う。東京都は前回の雇用環境のピークだった2006年の7月に1.68倍を記録しており、この水準にはまだ達していない。
 では自動車の生産が好調な愛知県だろうか。これも違う。そもそも愛知県の7月の有効求人倍率は1.53倍で、前月より0.04ポイント下がってしまった。
 意外なことに、正解は高知県。7月の水準は前月を0.01ポイント上回って0.86倍。絶対水準では決して高い数値とはいえないが、全国の雇用環境が大幅に改善するなかでも0.5倍を切る状況が続いていた2000年代からすれば大幅な改善といえる。
 ただこの数値をみて「地方にもアベノミクスの効果が表れだしているのか」と考えるのは早計だ。

 確かに2012年秋以降の株価の上昇による資産効果などで、春の消費増税前までは高知など地方でも高額品が売れる状況はあった。だが消費面ではいま、都市圏より地方圏の方が駆け込み需要の反動がより強く出ている。
 高知県の有効求人倍率の改善の主な理由は、皮肉なことに新規求職者数が18カ月連続で前年同月を下回り続けていることだ。


地方の生産年齢人口減少が意味するもの

 有効求人倍率は職を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかの割合を示す。求人倍率が1なら求職と求人がつりあっていることを示す。
 景気が改善しているときは求職者より求人の増え方が大きく、求人倍率=雇用環境が改善していくことが多い。だが分子の求人数が変わらなくても、分母の求職者の数が減れば、求人倍率は高くなる。今の高知県はどちらかというとこの形に近い。
 なぜ求職者数が減り続けているのか。高知労働局によれば、生産年齢人口の減少も一因だという。生産年齢人口とは「15歳以上65歳未満の人口」を指し、この世代が働き手の核になる。
 日本の場合、総人口の減少は始まったばかりだが、生産年齢人口はすでに1995年にピークを迎え、それからは減り続けている。6月に総務省が発表した人口動態調査でみると、日本全体の生産年齢人口は1995年から2014年で7.6%減って8005万人になった。
 一方、高知は同じ期間に18.6%も減っている。北海道も14.9%減るなど、総じて地方の方の減り方が激しい。一方、東京は逆に3.2%増えている。
 これは何を意味するのか。自動車など組み立て加工型の工場がほとんどない高知県は長く都市部に比べ雇用環境が悪かったため、働き手の世代が東京などに流出し続けた。北海道の減少の理由も高知同様、都市部に比べ雇用環境が悪かったからだ。
 地方圏の方が都市圏より有効求人倍率が低い=雇用環境が悪いために、地方から都市、特に東京への働き手の人口移動が止まらない。このことが地方圏で特に生産年齢人口の減少が激しいことにつながっている。
 強引にまとめると、過去に地方に職が乏しかったことが、現在の有効求人倍率の改善に寄与する――という大変皮肉な状況になっているのだ。


公共事業を増やすという発想は人手が余っているという発想

 経営競争基盤の最高経営責任者(CEO)として地方企業の再生にも携わってきた冨山和彦氏はこうした状況を、近著の『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)の中でこう指摘している。「人類史上初の少子高齢化起因による人手不足は、地方経済から始まった。中央より地方のほうが生産労働人口の減少が先に起こっているからだ。(中略)アベノミクスの効果が出始めたことで、景気が回復したからではない」。
 さらにここ数年、企業の人員ピラミッド構成の核だった団塊の世代が引退し始めたことで、働き手不足の影響が顕著に出始めた。
 冨山氏によれば、すでに地方では数年前から少子高齢化を原因とした人手不足が起こっていたという。だがその状況を中央のマスコミが取り上げることはほとんどなかった。
 日本経済が「失われた15年」でいかに需要や雇用を創り出すか――という思考になれきっていた上に、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災というまれにみる経済・社会の激変による瞬間的な需要や雇用の喪失に見舞われたからだろう。よもや人手が足りなくなるなどとは思いもしなかった――というのが企業や政府、自治体の正直な思いではないか。
 安倍政権の国土強靱化による公共事業増という政策をとってみても、前提にあるのは「日本経済は働き手が余っている」という思考である。人員過剰時代の衣をうまく脱げるかどうか――が政府や企業に問われている。

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・号砲! 3D生産競争

日経ビジネス ... 号砲! 3D生産競争
週刊ダイヤモンド ... コンビニ超進化
週刊東洋経済 ...  一流の仕事術
週刊エコノミスト ...  暗雲 韓国

『日経ビジネス』の今週の特集テーマは3Dプリンターです。3Dプリンターと聞くと私もそうですが、試作品やフィギア等をイメージしてしまい、実用化にはほど遠いという印象がありました。ところが違うのです。既に原材料開発は進み今やなんでも作れる状態にまで進化していると、同誌は解説しています。なるほど。そうなのかという思いで、これが今週の第1位です。
 次に面白かったのは、コンビニを取りあげた『週刊ダイヤモンド』でしょうか。今店舗が大幅に増えているのだとか。これ以上作ってどうするのだろう?などと考える一般人を尻目に各社が競い合っている様はまさに「進化している」状況です。
 そして、私の不得意なテーマである「仕事術」を特集したのは『週刊東洋経済』です。なぜ不得意かと言うと、本当にできる人たちはなかなか本当のことを言わないからです。周辺の技術等がいわゆる「ハウツー書」で語られその気にさせますが、ほとんどの人が真似できないのもまた事実です。で、まぁ第3位かと。
 先週だったらなぁ、と思わせたのは『週刊エコノミスト』で、特集のテーマは先週『週刊ダイヤモンド』が特集した韓国経済についてです。言わんとするところはほとんど同じと言ってもいいかもしれません。

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第1位
■日経ビジネス■ <<< 今やなんでも作れる3Dプリンター

『日経ビジネス』は注目の3Dプリンターを今週の特集に持ってきた。「号砲! 3D生産競争 クルマもスマホも印刷できる」がそれだ。
 3Dプリンターについて、あくまで試作品の模型やフィギュアを作る程度の機械としか思っていない人が多いかもしれない。だがしかし、3Dプリント技術は日々進化し続けている。今年4月にグーグルが「Project Ara」と呼ばれるスマホの開発計画を宣言した。電池やディスプレイ、カメラや外装といった部品を消費者が自身の好みに合わせて組み合わせて端末を作り上げるという「Project Ara」。従来ならば、このような手法の商品は量産化がしづらく、コストも増えるため利益は出にくいとされていた。が、それを打破するのが3Dプリンターだ。金型や工具に依存しないため量産時のコストは主に材料費のみ。データを共有すれば場所も選ばない。一般的には3Dプリンターと言えば樹脂のイメージが強いかもしれないが、セラミックや金属、石膏、砂糖といった材料を用いたものもすでに多数開発されているのだ。
 翻って日本を見るとどうか。ともすれば日本では3Dプリンターはフィギアや試作品を作るものという認識が多数を占めている。気を抜くと他の国々に置いてかれそうですね。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< コンビニの店舗はまだまだ増える

 コンビニ業界が過去最高の出店ラッシュに沸いている。大手三社(セブンイレブン、ローソン、サークルKサンクス)が店舗の奪い合いを行ない、寡占化が進んでいる。特に現在はエリアフランチャイズごと他社に契約を移行するケースも多くなっており、さながらオセロのように日本列島内での勢力図が動いている。今週の『週刊ダイヤモンド』は、激動のコンビニ業界を「コンビニ超進化」と題して特集する。
 コンビニ市場は東日本大震災以降、生活用品や総菜、PB商品も人気で、女性客・シニア層が増え市場は拡大を続けている。今年度中にはなんと10兆円市場になると予想されている。店舗数はすでに5万店舗を越えた。一見好調に沸いているかのようだが、実態はセブンイレブンの一人勝ちに近い。追うのはローソン、サークルKサンクス、ファミリーマート、ミニストップ。セブンが不採算店の整理から一気に出店攻勢に入ったとき、各社も慌てて大量出店に動いている。小商圏を確保して新たな客層を取り込む戦略だ。
 特集ラストではコンビニ大手5社の"カオ"が全員登場してのインタビューだ。皮切りはローソン玉塚元一社長。トリはセブン&アイHDの鈴木敏文会長だ。
 第2特集は「ファミレス復権 居酒屋千鳥足」。堅調なファミレスと不振が止まらない居酒屋チェーン。夜の飲食では、チェーンであることがもはや弱みになりつつあるらしい。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<< タフでないと仕事は続けられない

 著名コンサルや外資系金融、情報機関といった組織の「仕事術」を伝授するビジネス書や雑誌が増えているのだという。正社員に求められるビジネススキルが高度化し、グローバル人材競争の波をモロにかぶっていると感じるビジネスパーソンが増えているのだろう。今週の『週刊東洋経済』は「プロに学ぶビジネススキル大全 一流の仕事術」だ。
 グローバル化やデジタル化といった要因で新たなビジネススキルを身につけようというビジネスマンは多いが、アンド・クリエイト代表の清水久三子氏は「きちんと相手の話を聞いているかどうかでアウトプットに大きく差が出ることに気づいた」と話している。デジタル全盛期だからこそ、人の話を聞く、調査するといったアナログ的手法の重要性が高まっている。他にも仕事術の一つとして心身共に健康であり、人生に対して前向きであることとあった。「タフでないと仕事を続けられない。いろいろなストレスに向き合って対処することは、40歳からの仕事術の一つではないか」(『暮しの手帖』編集長の松浦弥太郎氏)。
 特集は「情報収集術」「アウトプット術」「自己管理術」の3パート構成。「自己管理術」には、近年若いベンチャー企業経営者ではまっている人続出のトライアスロン、ウルトラマラソンが登場。これも自己管理と人脈作りでビジネスパーソンに広がりを見せているようだ。
 巻頭特集「GPIF狂騒曲」も読んでおくべき? 


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 重傷の韓国経済

 先週の『週刊ダイヤモンド』に引き続き、今週は『週刊エコノミスト』が韓国経済を特集。タイトルは「暗雲 韓国 サムスン、現代自動車の内憂外患」だ。経済誌からすごい注目度の韓国だが、中身は両誌ともにさほどの新鮮さは感じられなかった。
 韓国経済に暗雲が広がっているのは確かで、液晶テレビや自動車といった多くの産業で日本企業を突き放した一時の勢いは見られない。不振に拍車をかけたのがセウォル号沈没事故だ。これにより民間消費が大きく冷え込んだ。元々民間消費がそれほど芳しくなく、海外向けの商品で利益を出していた韓国市場では手痛い流れとなっている。さらに為替市場もウォン高が続いており、肝心の海外向け商品も利益を生みづらくなっており、いわばダブルパンチ。
 これに重なる形で雇用不安も顕在化している。失業率自体は低いが、これには自営業者等韓国で3割ほどに当たる『非賃金労働者』が含まれていないためで問題は大きいのだ。就職難や年金問題なども国民の不安をかき立てている。