2014年9月24日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・隠れ介護1300万人の激震

今週の第1位は『日経ビジネス』

第1位 日経ビジネス ... 隠れ介護1300万人の激震
第2位 週刊東洋経済 ... ビジネスマンのための歴史問題
第3位 週刊ダイヤモンド ... お金持ちに学ぶ殖やし方使い方
第4位 週刊エコノミスト ... ランキングで見える世界経済

 漠然とは分かっていてもきちんと認識していない問題に光が当てられ、はっとすることがあります。
 今週の『日経ビジネス』の特集はまさにそれでした。特集のテーマは「介護」。ただし、ビジネスマンの働き方とも密接な関係を持つ「介護のための離職」が主題です。同誌はNTT東日本が社員を対象にしたアンケートを基に「隠れ介護(介護をしているが会社には申告していない人)」のビジネスマンは数多く、今後5年間で介護者になるだろう人を含めると50%にも上ると伝えています。親の介護ですから働き盛りのビジネスマンがその対象で、その数たるや1300万人と謳っています。この問題は対象になるだろう多くの人が読んでおいた方がいいテーマでしょう。これが今週の第1位です。
 第2位は日中韓の歴史問題に光を当てた『週刊東洋経済』です。ともすれば扱いにくいテーマをお勉強風にひも解き、歴史認識の違いなどかなり基礎的な点から解説しています。
 第3位の『週刊ダイヤモンド』は資産形成のハウツーを「お金持ちに学ぶ」と題して特集しています。視点としては悪くないと言えますが、読んでいてそれほどピンとはきませんでした。そして『週刊エコノミスト』はデータ版世界経済解説とでも言うべき特集を組みました。いろいろなランキングから世界経済を見ようという趣旨です。メインの記事より、冒頭の文章に記したように面白データ集のような企画に目がいってしまいました。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  5年以内に介護をする必要になるビジネスマンは5割

 NTT東日本が2013年社内向けにアンケートを行なったところ、「介護をしながら働いた経験があるとの回答は4人に1人、8人に1人は現在も介護をしている」という結果が出た。さらに今後5年以内に介護が必要になる可能性があるとの回答は5割を越え、社内に衝撃が走った。今週の『日経ビジネス』は、「隠れ介護1300万人の激震 エース社員が突然いなくなる」を特集する。
 総務省の統計によると、年間10万人もの人が介護を理由に職場を去っているという。『日経ビジネス』が「隠れ介護」と名付けた、「本人や配偶者の親が要介護状態で、会社にその事実を伝えていない人」は、実に1300万人と推計されるという。これは就業者の5人に1人に当たる数字。ちょっと多すぎないか?とも思う(政府の公式統計では「介護をしながら働く人」は約290万人)。しかし、NTT東日本のアンケート結果を見ると、大げさすぎる数字ではないともいえる。もしこれらの人が介護を理由に会社を去ったとしたら?
 多くの企業が既にこの問題に対しての対策をとり始めているが、実際に使える制度にはなっていない実態がある。本特集は現状への警鐘だ。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  ビジネスマンが知っておくべき日中韓関係

 今週の『週刊東洋経済』は、日本のビジネスマンがいま知っておくべき日中韓問題を特集した。タイトルは「ビジネスマンのための歴史問題」。「日中韓 不振と憎悪はなぜ続く」のだろう。そこのところをビジネスで中国・韓国のビジネスマンと絡む機会が多い日本のビジネスマンの視点から紐解いた。ある意味冷静で現実的な現状認識と対応ノウハウが書かれている。
 まずは「日中韓 近代史の基礎知識」。現在のこじれの元となった近代史の総ざらいだ。「歴史問題の焦点」として5つにまとまっている。5つとは「尖閣問題」「南京大虐殺」「慰安婦問題」「東京裁判」「靖国問題」。後半は識者たちのこの問題を見るうえでの視点の提供だ。ビッグネームとしては野田佳彦・前首相、大前研一氏、小林よしのり氏。ほか、坂野潤治・東京大学名誉教授(近大政治史)による誌上講義もある。「相手のいうことに反論しないほうがいい」「政治の雑音には耳を貸さない。それがビジネスの知恵」という大前氏のアドバイスが、実際に中韓のビジネスマンと付き合っていくわれわれの行動パターンと合致するのかもしれない。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  カネの増やし方はカネ持ちに学べ!

「お金持ち」と呼ばれる人々。彼らはどのようにしてお金を増やし、そしてどのようなモノにお金を使っているのか。投資を渦巻く環境が激変している中で、彼らはどのようにして資産を殖やしているのか。今週の『週刊ダイヤモンド』は、「お金持ちに学ぶ殖やし方使い方」と題し、「お金持ち」の中でも特にリスクを取って資産を殖やしている「お金持ち」たちに焦点を当て、徹底分析する。
「殖やし方」については、本誌stage-1「変わる富裕層の殖やし方」をお読みいただくとして、興味深かったのはstage-2「医・食・住・遊 リッチなおカネの使い方」だろうか。「キーワードは健康、ステータス、非日常、人脈」とあり、最近大宣伝している減量ジムの「ライザップ」で本誌デスクが出会った「お金持ち」やら、伊豆半島の有名な断食道場、帝国ホテルのゴールデンライオン、富裕層向け人間ドックの数々、などが紹介される。
 第2特集は「増加する大人の発達障害」。近年、生まれつき脳機能の障害がありながら、大人になるまで見過ごされてきた「大人の発達障害」が社会問題として顕在化しつつあるという。職場のトラブルメーカー、困った人は、もしかしたら発達障害かも? 成人発達障害外来を設けている病院もすでにあり、発達障害のひとつ「アスペルガー」は、シリコンバレーでは10人に1人に症状が見られるとうデータもある。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< ランキングで見る世界の経済

 ランキングは経済誌では欠くことのできない「手法」だが、今週の『週刊エコノミスト』は経済におけるさまざまな世界の位置関係をランキングで表し特集した。タイトルは「ランキングで見える世界経済」だ。まず世界のGDPランキング。日本は戦後長らく世界2位につけていたが、2010年から中国に抜かれて第3位になったのは周知の事実。同誌はその事実を元に「なぜそうなっていったのか」を分析する。
 他に「通貨の強さ」「世界の機関投資家」から「新興スマホメーカー」まで統一感はないが、よく読めば、ちょっとした発見もあるかもしれない。メルマガの冒頭に書いたスタバの都道府県別店数や世界のプロ野球年俸ランキングなど、変わり種ランキングも随所に散りばめられていて、日本と米大リーグとでは年俸の差は10倍などの「ネタ」も得ることができる。

2014年9月17日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・学校が危ない

週刊東洋経済  ...  学校が危ない
日経ビジネス  ... 世界を変えるスマロボ
週刊ダイヤモン ド ... 魅惑のJR・鉄道
週刊エコノミス ト ...  エアライン戦国時代

 教育は国の基 盤を作る重要な国策ですが、その教育の現場が危ないと説いているのは『週刊東洋経済』です。これから10年で先生の大量定年が続き、一方現場では先生のなり手がなくまさに払底しているのだと か。同誌はその背景にあるさまざまな問題について、取材し分析しています。読むほどに暗くなってきましたけれど、誰もがなんとかしなきゃ と考える内容です。これが今週の第1位。
 一方、『日経 ビジネス』は技術の部分の「なんとかしなきゃ」に目を向けました。それは「ロボット」についてです。日本ではソニーのアイボやホンダのア シモが有名ですが、そうした単体のロボットではなく、クラウドで繋がった「専門的な部分」が繋がりながら機能するといったロボットで、こ れをスマートロボットと言うそうです。アメリカのシリコンバレーや中国が先を行き、日本は遅れを取っているということだそうです。これが 第2位。
 次の2誌は偶 然でしょうが、同様の交通機関をテーマに特集しました。『週刊ダイヤモンド』は鉄道を特集し、『週刊エコノミスト』はエアラインを特集し ています。内容の深みで言うと『週刊ダイヤモンド』が面白く、これが第3位。そして『週刊エコノミスト』が第4位です。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<<  先生払底でもなり手がいない現状

 公立の先生のなり手が減って いる。どの都道府県教育委員会も、これから本格化する50代ベテラン教師の抜けた 穴を補充するため、新任教師がのどから手が出るほど欲しい状況にもかかわらずだ。特に大阪府で顕著で、まるで「店員が逃げ出し店舗閉鎖に 追い込まれた牛丼チェーン『すき家』を彷彿とさせる」状況にも例えられている。
 なぜか。今週の『週刊東洋経 済』は「学校が危ない」と題して、教育現場で起きている教師たちのSOS、変容す る学力格差、教育改革の光と影を取り上げている。
「子供と向き合う時間が取れ ず、雑務に謀殺される教師。心を病み、学校を去る教師。そして着々と進行する教師の非正規化――-」。学校における教師の労働環境は悪化 の一途をたどっているようだ。そんななかで印象に残る記事は、佐賀県武雄市が始動させる学習塾との官民一体校「花まる学園校」の試みと、 関わる人たちの言葉だ。
「(小中学校では)先生の話を1回聞いてわかっている子は2割く らいしかいない。残り8割は潜在的な落ちこぼれだ。それはつらいと思う」と、この プロジェクトに取りかかった樋渡啓祐・武雄市長。
「自立できずにメシが食えない 大人を量産している現状は大問題だ。(中略)花まるはメシが食える大人にする」という高濱正信・花まる学習会代表。放課後でなく、本丸の 授業に塾が入り込む全国初の試みだ。
 第2特集はスマホ市場の変容 を捉えた「スーパーチープ襲来す」。


第2位
■日経ビジネス ■ <<<  いつの間にか出遅れた日本のロボット業界

 スマートフォンが世間を席巻 して数年が経った。そして最近新たな"スマート"が注目を集めている。それは「スマートロボット(スマロボ)」だ。今週の『日経ビジネ ス』は第1特集で「世界を変えるスマロボ」を取り上げた。スマロボとは日本で従来 開発されてきたアシモをはじめとする単体で動くロボットではなく、個別の機能に特化したロボットをネットやクラウドで繋げて協調させると いうモノだ。形態としてはルンバ等に近い。この、市場が形成されそうな分野で、日本は先行する米中に遅れをとっているようだ。
 既にシリコンバレーではロ ボットは最も熱いテーマの1つ。実用化されたスマロボも動いている。「バトラー」と呼ばれるロボットはシリコンバレーのホテルでの運搬が 仕事だ。宿泊客からモノを持ってきてほしいという要望を聞きそれを客室まで運ぶ。ただそれだけの機能だが、ホテル内のネットワークと常時 つながっており、スムーズに運搬ができる。グーグルは昨年末8社のロボットベンチャーを買収した。その中には東大発のベンチャー企業・ シャフトも含まれていた。グーグルのロボット事業はヴェールに包まれたままだ。中国にはドローン(小型無人飛行機)分野で高度な技術を誇 るDJIという企業も出現している。
 そして日本は? 
 個別の技術は米国に引けを 取っていないが、どうビジネスに結びつけていくのかが課題だ。


第3位
■週刊ダイヤモ ンド■ <<<  鉄道が果たした役割

「新幹線50周年 魅惑のJR・鉄道」。今 週の『週刊ダイヤモンド』第1特集のタイトルだ。実にPart6約60ページに及ぶ新幹 線と鉄道の大特集である。新幹線の開業と進化は、日本人の仕事も生活も激変させた。飛行機では絶対にかなわない超大量の乗客輸送、揺れな い快適な乗り心地、技術の数々。その魅力と「これまで」と「これから」が詰まった特集となった。
 新幹線が開業する前は東京大 阪間の最短移動時間はビジネス特急「こだま」の6時間50分であった。それが新幹線の開業により4時 間に短縮。いまや2時間半だ。新幹線の恩恵で発展した地域は少なくない半面、スト ロー効果によって地方の人口が減り新幹線以外の地方鉄道は窮地に立たされている現状もある。
 豪華なクルーズトレインを導 入して成功している「JR九州モデル」もレポートされている。急増する魅力的なレ ストラン列車など、新しい鉄道の楽しみ方が魅力的だ。その他、次の50年を占う 「リニアと新幹線の未来」では、大規模開発で独り勝ちしそうな地域・品川をフィーチャーしている。


第4位
■ 週刊エコノミス ト■ <<< 航空業界のラストチャンス

 地盤沈下を続けてきた世界に おける日本の航空事情だが、2020年の東京オリンピックに向けて「アジアNo.1」の地位を奪回すべく動き出した。今週の『週刊エコノミスト』は「エアライン戦国 時代」と題し、羽田・成田空港の機能強化とエアラインの新たな挑戦を特集する。
「首都圏空港機能強化」は、日 本が航空の国際競争力を取り戻すラストチャンスと言える。羽田の発着枠は滑走路4本で年間44.7万 回(深夜・早朝を除く)だそうだ。それに比べ、ロンドンのヒースローは滑走路2本 で43万回。この差は主に飛行空域の自由度から生じるものだという。現在千葉上空 に集中する離着陸を中野・渋谷区上空など都心上空を横切る運用案などが浮上している。もちろん、騒音被害が予想される区からは反対表明も すでにある。羽田・成田間のアクセス向上、都心部から羽田空港への新鉄道路線建設なども固まってきている。
 一方、8月12日、政府は新たな政府専用 機「777-300ER」(米ボーイング社製)の導入と、その整備委託先をANAに選定したことを発表した。民主党政権下での経営再建に際し、公的資金導入と税制優 遇を受けているJALから、自民政権の押しを得てANAが勝ち取った形だ。しかし、世界ではLCCや 中東勢の台頭が進む。国内航空会社の生き残りも厳しい環境下にある。

2014年9月10日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・クスリの裏側

週刊東洋経済 ...  クスリの裏側
週刊ダイヤモンド ... 相続増税! 迫りくる増税 加速する地価上昇
週刊エコノミスト ...  円安インフレが来る
日経ビジネス ... 「敗軍」の法則

 正直に言えば、どれもパッとしない特集が並んだ今週の経済誌です。読み場それなりに面白いのですが、一言で言えばマンネリ気味ということでしょうか。定番であったり、何号か前で他の雑誌がやっていたりという感じです。そんななかで、またかと思ったものの面白かったのは『週刊東洋経済』の特集でした。テーマはクスリ。クスリに関しては昨今、副作用などを併せて考えると飲むのがいいのかどうかなどという話が出ていて、また極めつけは高血圧の基準が日本人間ドック学会によって見直されるというような話まで出て、何がなんだか分からない状況になっているわけです。ま、そんな状況を素直に取り上げた同誌を今週の第1位にします。
 2位もまたかという感じの特集「相続税」を取り上げた『週刊ダイヤモンド』で、でも同誌はしばらくやっておらず、中身の濃さでは定評がある同誌ですのでパッとしないなかでは第2位かなと考えた次第です。
 さて、3位以下は迷いましたが、円安インフレを特集のテーマに選んだ『週刊エコノミスト』を第3位としました。
 そして、第4位の『日経ビジネス』ですが、最近またパッとしません。編集長が変わるとこうも違うものかと思ってしまいますが(現編集長さんごめんなさい)、特に今週の特集には時代の必然性が感じられません。先週の「3Dプリンター」は割に楽しく読めたのですが。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<<  クスリを飲むと病気になる

「もう、無邪気に薬に頼っていられる時代ではなくなった」。今週の『週刊東洋経済』の第1特集「クスリの裏側」はこんな書き出しで始まる。
 今年の4月、日本人間ドック学会が健康診断における「基準値」の緩和を発表した。つまりは健康診断で「健康である」といわれる人の範囲が広くなったのである。これには薬剤費を抑えたいという政府の思惑が絡んでいる。これにより例えば今までの健康診断で「高血圧」等と診断され薬を服用していた人は急に薬を飲む必要がなくなるということが起こった。製薬会社による市販後臨床研究の不正データ改ざんも相次いだ。クスリとは健康とはなんなのか。医者の処方に頼り切ってきた人には少なからぬ混乱を与えたようだ。特集には「薬を飲まない薬剤師が激白」する「『薬が病気を作る』は本当だった」というページもある。
 とはいえ、薬により救われることも多い。「新薬開発最前線」では、がん、糖尿病、アルツハイマー病など、5つの病における新薬開発状況をレポート。医療費抑制や効果をめぐって厳しい目を向けられつつある製薬業界にも焦点を当てる。
 巻頭の<評伝・異形の人 水島廣雄そごう元会長>、<巻頭特集 これから伸びる銘柄ランキング>も力が入ったページ作りになっている。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  相続税がフツーの人にも重くのしかかる時代

 相続税の増税が来年の1月に迫っている。『週刊ダイヤモンド』としては1年ぶりの相続税特集だが、このテーマに関しては各誌で取り上げられ、「またか!」と思ってしまうが、増税の対象者は1.5倍に拡大し、混乱が予想される重大なテーマだ。タイトルは「相続増税!」。東京五輪に向けて都市部では大規模な再開発計画が乱発している。これにより納税額に大きく関わる地価もうなぎ上りである。いかにして相続税から財産を守るか。迫りくる増税と加速する地価上昇をレポートする。
 相続税において最も重要なのは不動産の活用である。両親等から受け継いだ土地をどのように使うかで税金の額が大きく変わってくる。いま、そういった地主に流行っているのが賃貸アパートだ。土地の評価額を下げすぎず、また家賃収入を期待できるからだ。それにあわせ融資を行なう金融機関も加わって相続税に関わる市場が活況だ。
 その他、「節税&争続回避の秘策」「後悔したくない事業継承」。付録は税理士の監修による「自分で書き込める相続税計算シート」。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  人工インフレの歪み

 近年修繕費を用意できずに修繕を行なうことができないマンションが増えている。これは最近の物価高や人手不足、消費増税により、マンションが建てられたときよりも予想修繕費が高くなったことによるものだ。20年近くデフレに覆われていた日本経済がじわじわとインフレへと転換している。今週の『週刊エコノミスト』は「円安インフレが来る」と題して、政策が推進した「人工インフレ」の不都合な現実を特集する。実質ベースで見ると現在の円相場はプラザ合意当時の水準だ。名目の円ドル相場はどこまで上昇するのか、プロの予想も掲載されている。
 消費者物価指数は政府の目論見どおり2年間でマイナスからプラスへと転じた。主な原因は消費増税と円安による輸入物価の上昇分と分析される。物価の増加に当たって実収入も低下している。特にこれが激しいのが中小企業だ。電気代や原油価格の上昇が生産コストを圧迫し、価格転嫁もままならず泣きを見る企業も多い。これを受け、消費者の家計は総じて節約志向に転じている。駆け込み需要となった家具・家電や海外旅行費等の「教養娯楽」が前年同月比で大きくマイナスとなっている。
 人工インフレを推進した内閣官房参与・浜田宏一エール大学名誉教授のインタビューも掲載されている。タイトルは「金融政策の限界が見えた。構造改革に軸足を移す時だ」。


第4位
■日経ビジネス■ <<<  今なぜ敗軍なのか?

 日経ビジネスの連載「敗軍の将、兵を語る」。この約40年にわたり連載されてきた名物コラムから浮かび上がる教訓を特集したのが、今週の『日経ビジネス』「『敗軍』の法則 なぜリーダーは失敗を繰り返すのか」だ。『日経ビジネス』編集部が過去の事例を振り返り、5つの"「敗軍」の法則"を導きだした。それは「暴走」「執着」「隠蔽」「忘却」「慢心」。今こそ、過去の失敗に学び、前進する時だと説く。
 Part1は「『敗軍の将』復活の陣」だ。1度はどん底に落ちた3人が登場する。片山幹雄・シャープ元社長、熊谷正寿・GMOインターネット会長兼社長、中島義雄・セーラー万年筆社長だ。Part2は経営者が陥る5つの罠=「暴走」「執着」「隠蔽」「忘却」「慢心」を連載40年の「過去の敗軍史」とともに振り返る。多くの教訓が見え隠れする特集となった。でも、今なぜ敗軍特集なのだろう。
 巻頭「7 QUESTIONS」に河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミストが「アベノミクスに4つの誤算」と題して質問に答えている。『週刊エコノミスト』の特集がコンパクトにまとまっているという感じの1ページだ。

2014年9月 3日

【来た!見た!書いた!】人類史上初めての少子高齢化を原因とした人手不足が起こっている

有効求人倍率が過去最高値を更新した意外な県

 厚生労働省が8月29日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍と前月と同じだった。20ヵ月ぶりに改善が止まったものの、22年ぶりの高い水準を保っている。全国がこんな状況の中で、7月までの3ヵ月連続で有効求人倍率の過去最高値を更新した都道府県がある。
 1.62倍と、前月より0.06ポイント上昇し全国一となった東京都だろうか。違う。東京都は前回の雇用環境のピークだった2006年の7月に1.68倍を記録しており、この水準にはまだ達していない。
 では自動車の生産が好調な愛知県だろうか。これも違う。そもそも愛知県の7月の有効求人倍率は1.53倍で、前月より0.04ポイント下がってしまった。
 意外なことに、正解は高知県。7月の水準は前月を0.01ポイント上回って0.86倍。絶対水準では決して高い数値とはいえないが、全国の雇用環境が大幅に改善するなかでも0.5倍を切る状況が続いていた2000年代からすれば大幅な改善といえる。
 ただこの数値をみて「地方にもアベノミクスの効果が表れだしているのか」と考えるのは早計だ。

 確かに2012年秋以降の株価の上昇による資産効果などで、春の消費増税前までは高知など地方でも高額品が売れる状況はあった。だが消費面ではいま、都市圏より地方圏の方が駆け込み需要の反動がより強く出ている。
 高知県の有効求人倍率の改善の主な理由は、皮肉なことに新規求職者数が18カ月連続で前年同月を下回り続けていることだ。


地方の生産年齢人口減少が意味するもの

 有効求人倍率は職を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかの割合を示す。求人倍率が1なら求職と求人がつりあっていることを示す。
 景気が改善しているときは求職者より求人の増え方が大きく、求人倍率=雇用環境が改善していくことが多い。だが分子の求人数が変わらなくても、分母の求職者の数が減れば、求人倍率は高くなる。今の高知県はどちらかというとこの形に近い。
 なぜ求職者数が減り続けているのか。高知労働局によれば、生産年齢人口の減少も一因だという。生産年齢人口とは「15歳以上65歳未満の人口」を指し、この世代が働き手の核になる。
 日本の場合、総人口の減少は始まったばかりだが、生産年齢人口はすでに1995年にピークを迎え、それからは減り続けている。6月に総務省が発表した人口動態調査でみると、日本全体の生産年齢人口は1995年から2014年で7.6%減って8005万人になった。
 一方、高知は同じ期間に18.6%も減っている。北海道も14.9%減るなど、総じて地方の方の減り方が激しい。一方、東京は逆に3.2%増えている。
 これは何を意味するのか。自動車など組み立て加工型の工場がほとんどない高知県は長く都市部に比べ雇用環境が悪かったため、働き手の世代が東京などに流出し続けた。北海道の減少の理由も高知同様、都市部に比べ雇用環境が悪かったからだ。
 地方圏の方が都市圏より有効求人倍率が低い=雇用環境が悪いために、地方から都市、特に東京への働き手の人口移動が止まらない。このことが地方圏で特に生産年齢人口の減少が激しいことにつながっている。
 強引にまとめると、過去に地方に職が乏しかったことが、現在の有効求人倍率の改善に寄与する――という大変皮肉な状況になっているのだ。


公共事業を増やすという発想は人手が余っているという発想

 経営競争基盤の最高経営責任者(CEO)として地方企業の再生にも携わってきた冨山和彦氏はこうした状況を、近著の『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)の中でこう指摘している。「人類史上初の少子高齢化起因による人手不足は、地方経済から始まった。中央より地方のほうが生産労働人口の減少が先に起こっているからだ。(中略)アベノミクスの効果が出始めたことで、景気が回復したからではない」。
 さらにここ数年、企業の人員ピラミッド構成の核だった団塊の世代が引退し始めたことで、働き手不足の影響が顕著に出始めた。
 冨山氏によれば、すでに地方では数年前から少子高齢化を原因とした人手不足が起こっていたという。だがその状況を中央のマスコミが取り上げることはほとんどなかった。
 日本経済が「失われた15年」でいかに需要や雇用を創り出すか――という思考になれきっていた上に、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災というまれにみる経済・社会の激変による瞬間的な需要や雇用の喪失に見舞われたからだろう。よもや人手が足りなくなるなどとは思いもしなかった――というのが企業や政府、自治体の正直な思いではないか。
 安倍政権の国土強靱化による公共事業増という政策をとってみても、前提にあるのは「日本経済は働き手が余っている」という思考である。人員過剰時代の衣をうまく脱げるかどうか――が政府や企業に問われている。

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・号砲! 3D生産競争

日経ビジネス ... 号砲! 3D生産競争
週刊ダイヤモンド ... コンビニ超進化
週刊東洋経済 ...  一流の仕事術
週刊エコノミスト ...  暗雲 韓国

『日経ビジネス』の今週の特集テーマは3Dプリンターです。3Dプリンターと聞くと私もそうですが、試作品やフィギア等をイメージしてしまい、実用化にはほど遠いという印象がありました。ところが違うのです。既に原材料開発は進み今やなんでも作れる状態にまで進化していると、同誌は解説しています。なるほど。そうなのかという思いで、これが今週の第1位です。
 次に面白かったのは、コンビニを取りあげた『週刊ダイヤモンド』でしょうか。今店舗が大幅に増えているのだとか。これ以上作ってどうするのだろう?などと考える一般人を尻目に各社が競い合っている様はまさに「進化している」状況です。
 そして、私の不得意なテーマである「仕事術」を特集したのは『週刊東洋経済』です。なぜ不得意かと言うと、本当にできる人たちはなかなか本当のことを言わないからです。周辺の技術等がいわゆる「ハウツー書」で語られその気にさせますが、ほとんどの人が真似できないのもまた事実です。で、まぁ第3位かと。
 先週だったらなぁ、と思わせたのは『週刊エコノミスト』で、特集のテーマは先週『週刊ダイヤモンド』が特集した韓国経済についてです。言わんとするところはほとんど同じと言ってもいいかもしれません。

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第1位
■日経ビジネス■ <<< 今やなんでも作れる3Dプリンター

『日経ビジネス』は注目の3Dプリンターを今週の特集に持ってきた。「号砲! 3D生産競争 クルマもスマホも印刷できる」がそれだ。
 3Dプリンターについて、あくまで試作品の模型やフィギュアを作る程度の機械としか思っていない人が多いかもしれない。だがしかし、3Dプリント技術は日々進化し続けている。今年4月にグーグルが「Project Ara」と呼ばれるスマホの開発計画を宣言した。電池やディスプレイ、カメラや外装といった部品を消費者が自身の好みに合わせて組み合わせて端末を作り上げるという「Project Ara」。従来ならば、このような手法の商品は量産化がしづらく、コストも増えるため利益は出にくいとされていた。が、それを打破するのが3Dプリンターだ。金型や工具に依存しないため量産時のコストは主に材料費のみ。データを共有すれば場所も選ばない。一般的には3Dプリンターと言えば樹脂のイメージが強いかもしれないが、セラミックや金属、石膏、砂糖といった材料を用いたものもすでに多数開発されているのだ。
 翻って日本を見るとどうか。ともすれば日本では3Dプリンターはフィギアや試作品を作るものという認識が多数を占めている。気を抜くと他の国々に置いてかれそうですね。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< コンビニの店舗はまだまだ増える

 コンビニ業界が過去最高の出店ラッシュに沸いている。大手三社(セブンイレブン、ローソン、サークルKサンクス)が店舗の奪い合いを行ない、寡占化が進んでいる。特に現在はエリアフランチャイズごと他社に契約を移行するケースも多くなっており、さながらオセロのように日本列島内での勢力図が動いている。今週の『週刊ダイヤモンド』は、激動のコンビニ業界を「コンビニ超進化」と題して特集する。
 コンビニ市場は東日本大震災以降、生活用品や総菜、PB商品も人気で、女性客・シニア層が増え市場は拡大を続けている。今年度中にはなんと10兆円市場になると予想されている。店舗数はすでに5万店舗を越えた。一見好調に沸いているかのようだが、実態はセブンイレブンの一人勝ちに近い。追うのはローソン、サークルKサンクス、ファミリーマート、ミニストップ。セブンが不採算店の整理から一気に出店攻勢に入ったとき、各社も慌てて大量出店に動いている。小商圏を確保して新たな客層を取り込む戦略だ。
 特集ラストではコンビニ大手5社の"カオ"が全員登場してのインタビューだ。皮切りはローソン玉塚元一社長。トリはセブン&アイHDの鈴木敏文会長だ。
 第2特集は「ファミレス復権 居酒屋千鳥足」。堅調なファミレスと不振が止まらない居酒屋チェーン。夜の飲食では、チェーンであることがもはや弱みになりつつあるらしい。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<< タフでないと仕事は続けられない

 著名コンサルや外資系金融、情報機関といった組織の「仕事術」を伝授するビジネス書や雑誌が増えているのだという。正社員に求められるビジネススキルが高度化し、グローバル人材競争の波をモロにかぶっていると感じるビジネスパーソンが増えているのだろう。今週の『週刊東洋経済』は「プロに学ぶビジネススキル大全 一流の仕事術」だ。
 グローバル化やデジタル化といった要因で新たなビジネススキルを身につけようというビジネスマンは多いが、アンド・クリエイト代表の清水久三子氏は「きちんと相手の話を聞いているかどうかでアウトプットに大きく差が出ることに気づいた」と話している。デジタル全盛期だからこそ、人の話を聞く、調査するといったアナログ的手法の重要性が高まっている。他にも仕事術の一つとして心身共に健康であり、人生に対して前向きであることとあった。「タフでないと仕事を続けられない。いろいろなストレスに向き合って対処することは、40歳からの仕事術の一つではないか」(『暮しの手帖』編集長の松浦弥太郎氏)。
 特集は「情報収集術」「アウトプット術」「自己管理術」の3パート構成。「自己管理術」には、近年若いベンチャー企業経営者ではまっている人続出のトライアスロン、ウルトラマラソンが登場。これも自己管理と人脈作りでビジネスパーソンに広がりを見せているようだ。
 巻頭特集「GPIF狂騒曲」も読んでおくべき? 


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 重傷の韓国経済

 先週の『週刊ダイヤモンド』に引き続き、今週は『週刊エコノミスト』が韓国経済を特集。タイトルは「暗雲 韓国 サムスン、現代自動車の内憂外患」だ。経済誌からすごい注目度の韓国だが、中身は両誌ともにさほどの新鮮さは感じられなかった。
 韓国経済に暗雲が広がっているのは確かで、液晶テレビや自動車といった多くの産業で日本企業を突き放した一時の勢いは見られない。不振に拍車をかけたのがセウォル号沈没事故だ。これにより民間消費が大きく冷え込んだ。元々民間消費がそれほど芳しくなく、海外向けの商品で利益を出していた韓国市場では手痛い流れとなっている。さらに為替市場もウォン高が続いており、肝心の海外向け商品も利益を生みづらくなっており、いわばダブルパンチ。
 これに重なる形で雇用不安も顕在化している。失業率自体は低いが、これには自営業者等韓国で3割ほどに当たる『非賃金労働者』が含まれていないためで問題は大きいのだ。就職難や年金問題なども国民の不安をかき立てている。