2014年6月 4日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・あぶない企業買収

週刊東洋経済 ...  あぶない企業買収
週刊ダイヤモンド ... 百貨店包囲網
日経ビジネス ... デュポン
週刊エコノミスト ... スマホ大全

 今週の週刊誌で目を引いたのは『週刊東洋経済』でした。表紙は新聞風のデザインでなにやらターバンを巻いたインド人と握手する経営者の写真。何かというと第一三共がインド企業を買収した際の写真なのでした。で、特集のテーマは「企業買収」。それも失敗例を元に検証するというお話です。昨今は世代交代(団塊の世代の引退)から自社を売却する例も多く、ブームなのですが、ま、警鐘を鳴らすという意味があるのでしょう。これが今週の第1位です。
 第2位は久々に百貨店の特集を組んだ『週刊ダイヤモンド』です。(本当は久々かどうかは分かりませんが、そんな感じを持ちました)。というのも、百貨店という業態が忘れられた存在に近づいているからなのでしょうか。一昔前までは「売れる」テーマでしたが、この特集の内容同様に、今やSPAの専門小売店に押され、ショッピングセンターに押される存在になっているのでしょうか。
 そして、『日経ビジネス』は「デュポン」という世界最大の化学会社を特集に取り上げています。212年も続くこの老舗企業に未来を見ようと言うのでしょう。
『週刊エコノミスト』の特集はスマホでした。他誌ではさんざん取り上げられたテーマですが、それとは違い、この雑誌が取り上げるというのは、別の価値があるような気がします。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<< M&Aの失敗率は9割

 今週の『週刊東洋経済』は「企業買収」を特集する。日本企業による巨額の海外企業買収が増加している。今や政府による成長戦略の一つとしても位置づけられ、空前の海外M&Aブームが訪れそうな勢いというが、実はその裏側で「討ち死に」が後を絶たない。「失敗9割、成功1割、5割が10年以内に撤退」が現実なのだということが、本誌「M&A通信簿」(53p.)で見えてくる。どのようなM&Aが成功し、どのようなM&Aが失敗するか。失敗の研究から見えてくるものは?
 なぜ過ちは繰り返されるのか、Part1ではプロの分析をわかりやすく伝える。「日本企業のM&Aはほぼ必ず暴走する」と観測する三品和広神戸大学大学院教授のインタビューほか、成功事例として、日本たばこ産業、ブリジストンのファイアストン再建(20年かかったが)も取り上げる。
 6月3日、榊原東レ会長が経済団体連合会の新会長に就任した。経団連不要論も飛び交う中、新体制と今後を巻頭特集「経団連の試練」で探る。

第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 百貨店vs.ショッピングセンター

 いま、百貨店業界が侵食されつつある。不動産会社や鉄道会社といった異業種が開いたショッピングセンター(SC)に消費者を奪われつつあるのだ。SCはすでに面積は百貨店の7倍、売上高も百貨店が2003年から2013年の10年間で23%消失したのに対して、SCは右肩上がりで10%強伸ばしている。今週の『週刊ダイヤモンド』は「百貨店包囲網」と題して、百貨店の生き残りを懸けた戦略を追う。
 昔は休日に家族で出かけるのは百貨店。しかしいまはSCだろう。映画館もスポーツジムも子どもの遊び場もなんだってある。まずは日本一のSC「ラゾーナ川崎プラザ」の全貌から。そこには老若男女が一日中楽しめる仕掛けがある。
 一方、生き残りを図る百貨店側の戦略は。
 H2Oリテイリングはスーパーのイズミヤを買収し、顧客層の補完やカード事業の取得、既存の食品部門の強化などをはかっている。Jフロントリテイリングは従来の百貨店からの脱却をはかる。松坂屋銀座店跡地には多くのテナントを誘致し、施設の経営に特化する方針である。テナントの内訳も若年層向けのものを多くすることであらたな顧客層の獲得を狙っている。
 大手5グループのトップがそれぞれインタビューで登場している。


第3位
■日経ビジネス■ <<< 未来を見続ける企業がある

 米国でここ数年ブームが続いているシェールガス・オイルの開発。安価なエネルギーは米国経済、特に化石燃料を原料とする化学品メーカーは追い風を受けている。米化学品メーカーの多くが工場の新設に乗り出すなか、とある大手化学品メーカーは静観している。
 デュポン、19世紀から続く化学品メーカーである。212年続くこの企業の経営は未来に一体何を見ているのか。
 今週の『日経ビジネス』はこのデュポンを特集する。
 デュポンの特色は目先の利益にとらわれず50年後、100年後の地球規模での課題を前提に今後100年間必要とされる会社として動くことだという。そこに経営のヒントを見出だそうというのが特集の主旨だ。未来予測から逆算された「脱化石燃料」もそのビジネスモデルの一つ。農業を起点にバイオ燃料や素材を作り新たな産業連関を作り出す。たとえばアフリカの農家や大手の農業機具メーカーとも協力し、将来起こりうる地球規模での食料問題の解決を図る方向に動く。日本では敬遠される遺伝子組み換えハイブリッド種子の分野でも、いまやモンサントと並ぶ巨頭だ。
 スペシャルリポート「脱・常識の観光立国」。訪日外国人のリアルな観光レポートが興味深い。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  法事の席でスマホの話題!?

 さて、いよいよ『週刊エコノミスト』でスマホの特集。ということは、シニア層のスマホ需要もガチで高まってきたということだ。法事の席で親戚同士スマホ談義に花が咲く......との話を耳にしたばかりだ。
 スマートフォンの世界市場は09年から13年にかけて約6倍に増加している。この急成長を牽引しているのはアジア市場だが、特に中国市場の成長が著しく、13年には国内の携帯電話出荷台数のおよそ9割をスマートフォンが占めた。中国市場でトップのサムスンはそのまま世界でも1位。その他中国市場で伸びているメーカーが世界でも大手となっている。一方、世界2位のアップルもいる。新型iPhoneを出す度に販売記録を更新し続け、今秋にも新型のiPhone6の販売が予定されているため、期待されている。
 さらに、キャリアだけではなくコンテンツ間での競争も目が離せない。特にスマホゲーム等は移り変わりが激しく、いかにしてヒット後に踏みとどまるかが焦点となっている。
 Part2は「今さら聞けないスマホの賢い選び方」。スマホ初心者に抜かりない。

【来た!見た!書いた!】「人手不足」が足かせになり始めた日本経済

木更津市が新庁舎建設を8年も延期した理由

 千葉県木更津市は5月30日、入札を中止していた新しい庁舎の建設について、移転時期を当初の2016年から24年に、8年も延期することを決めた。
 首都圏では活発な公共事業に加え、20年の東京五輪を見据えた建設需要の高まりで、建設分野の人手不足や費用高騰が続いている。木更津市の判断は、20年が過ぎれば高騰が収まり、着工時期を延ばした方が費用の面で得策との見通しからだ。建設市場で先行して目立ち始めた「人手不足」が、行政サービスや景気の「足かせ」にもなり始めた。
 昨年以降、公共工事で入札が成立しない「入札不調」が各地で起こっている。何度か不調に見舞われた自治体は、入札予定価格の大幅な引き上げで対応してきた。
 例えば東京都が築地市場(東京・中央)を江東区豊洲の新市場に移す工事。東京都は主要3施設の予定価格を当初より6割(400億円)も引き上げて2月に再入札を実施し、ようやく入札が成立した。
 このように予定価格や事業費を引き上げる例は多いものの、費用の抑制を優先して、建物の完成時期を8年も延ばす例は珍しい。
 木更津市が予定していた4月の入札では、事業者が見込む事業費が市の設定した予定価格を大幅に上回ったため、事業者が参加を辞退した。これを機に市が見積もりをし直したところ、新庁舎の建設・移転の総事業費が当初の計画より3割超も多い172億円に膨らむことがわかった。

さまざまな場所、業種で起こる人手不足の現場

 ただ現在の建設需要は東京五輪までの「特需」の側面もある。そこで市は五輪後には労務費や資材費が下がると考えていくつかの案を試算し、総事業費が131億円と最も安く済む「五輪後に先延ばしして建設」という案を採用することにした。現庁舎は耐震性が低いことから解体し、約8年間はプレハブの仮庁舎で業務をする。
 建設分野の人手不足が思わぬ分野に影響を与えた形だが、人手不足に足を引っ張られているのは木更津市だけではない。
 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは東京都内の一部店舗の深夜・早朝帯のアルバイトの時給を1500円にした。すき家のアルバイトは深夜・早朝帯に、1人で店の運営を任されることがある。春先には負担の大きさから人手が十分に集められなくなり、都内の店舗を中心に休業するケースが相次いだ。こうした状況から時給を大幅に上げざるを得なくなったとみられる。
 4月の有効求人倍率(季節調整値)が1.39倍と、バブル期以来の水準にまで高まった福島県でも、さまざまな分野で人手不足が起こっている。福島第1原子力発電所事故による避難で住民の数が少なくなっているうえに、建設分野などで東日本大震災からの復興需要が大きく、除染作業など比較的高賃金で労働力を吸引する仕事があるからだ。


急激な人手不足には理由がある
 被災地には復興のためのさまざまな補助金制度があるため、被災した製造業が工場を再建するのはそれほど難しくない。景気も回復傾向にあるため、仕事も以前よりは多い。にもかかわらず福島県内の製造業の経営者からは「人が確保できないので、仕事が受注できない」といった恨み節が聞こえてくる。雇いたくても、人がいないのだ。
 全国の4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍と、バブル崩壊後に最高だった2006年7月の水準に並んだ。8年前は円安基調から製造業が好調だったが、ここまで人手不足が目立つことはなかった。
 また2008年のリーマン・ショックの後には、非正規社員の雇用期間が満了したときに契約を更新しない「雇い止め」や、解雇する「派遣切り」が話題になるなど、人手不足とは正反対の人あまりが顕著だった。どうしてこれほど急に、人手不足が目立つようになったのか。


若年層の労働力不足を補う政策の必要性
 謎を解くカギは労働力人口の年齢構成の変化にある。今年4月と、同じく有効求人倍率が1.08倍をつけた2006年7月の労働力人口を比べると、4月の総数そのものは6389万人と1%しか減っていない。
 だが年齢別にみると、15~24歳は15.8%、25~34歳は17.9%も減っている。逆に35~44歳は11%、65歳以上は29.5%の増加。つまり若者の働き手がものすごい勢いで減り、こうした若年層の働き手やアルバイトに頼ってきた外食産業や建設産業が労働力不足に陥っているのだ。
 人手不足が続くと賃金が上がり、物価もつられて上がりやすいため、日本経済が長年苦しめられてきたデフレを脱却する好機にはなる。若年層を安い賃金で酷使してきた「ブラック企業」の淘汰につながる面もあるだろう。
 だが一方では、企業が人手の制約から需要に応えられないため、成長の制約要因にもなる。女性や高齢者、外国人の技能実習生など働き手を増やすための政策の早期実行が必要だ。