2014年6月25日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・病める製薬 王者タケダの暗雲

週刊ダイヤモンド ... 病める製薬 王者タケダの暗雲
週刊東洋経済 ...  海外投資家の正体
日経ビジネス ... 人事部こそリストラ
週刊エコノミスト ... 官製相場の賞味期限
 
 今週の経済誌は興味深いテーマがそろいました。それは日本という国や企業の在り方を考えさせられるテーマだったからです。その最たるものは『週刊ダイヤモンド』の特集「タケダ」でしょうか。ご存じの通り、タケダはグローバル化に対応するために社長をはじめ多くの外国人役員を登用してきました。それが問題だと同誌は指摘しているのですが、でもそれは単なるタケダの問題ではなくグローバル化に対応する日本企業の問題であることがみえてきます。なかなか考えさせられるテーマで、これが今週の第1位です。
 第2位に挙げるのは『週刊東洋経済』です。特集のテーマは外国人投資家。よくいわれることですが、彼らは60%もの日本株を所有し、キープレーヤーとして活躍しているが、そこでいろいろな問題が起こってきます。それを同誌が取りあげたというわけです。これも考えさせられる内容でした。
 そして『日経ビジネス』は日本企業の人事部の在り方をテーマに特集を組みました。人材不足があらゆる企業で叫ばれるなか、人事の在り方、人事部の在り方を問う声は多いようで、それを同誌が形にしました。これも日本企業の在り方を考えさせられるテーマでした。
 最後に『週刊エコノミスト』はアベノミクスによって作られた株価対策を特集に取りあげました。株価、為替、そして成長率の予測もついています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 外国人をトップに据える企業の混乱

 国内製薬業界のトップ、武田薬品の雲行きが怪しくなっている。主要幹部が外国人で埋まり、新社長も外国人となりグローバル企業へと変貌を遂げたかに見えたが、その後業績は低迷、巨額買収の成果もみえず新薬もできない、という結果に陥っている。
 なぜこうなってしまったのだろうか。
 そもそも日本企業は多数の民族がひしめき合う諸外国の企業と構造が違う。外国の企業、とりわけ他民族国家の企業は積み木型で従業員の役割がブロック化されており、経営陣や上司が変わったところで全体は崩れにくい。しかし日本は違う。もちろんそれゆえの強みもあるが、経営陣等が変わるとバランスが崩れる恐れがあるというのが同誌の指摘だ。故に幹部に外国人を据える場合、まず日本に通じた外国人を置き、時間をかけて変えていくのがベターだと。
 が、長谷川閑史現社長はそのような定石を無視して有能と思われる外国人や外資系出身者をヘッドに据えた。結果として国内社員が環境の変化について行けず、「プロジェクト・サミット」という大規模な組織の再編を行い、それによりさらに一部の外国人幹部までもが離れて行ってしまうという悪循環に陥ってしまっていると同誌は報じている。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< アベノミクス相場第2弾が始まる

 日本の株式市場の売買シェアの6割強は海外の投資家達が占めている。しかし今年に入って、この投資家たちが日本市場から離れ鳴りを潜めている。その原因は何か。今週の『週刊東洋経済』が「海外投資家の正体」として、「アベノミクスの第2幕を仕掛けるやつら」を特集する。
 安倍首相率いる現日本政府は6割ものシェアを持つ外国人投資家を重要視して彼らに対して熱烈なアピールをし続けていた。動きの速いヘッジファンドがこれに食いつき、火付けの役目を果たした結果、昨年のアベノミクス相場があったと言ってもいいだろう。しかし現在は彼らの中で日本の成長戦略に対して懐疑的な意見が多く、移り気な投資家の興味はインド等の新興市場に向いていってしまっていた。
 しかし5月半ば頃から変化があった。直接の買い増しはまだ無いが日本市場に興味を示す海外投資家の動きが顕著になっている。
 そもそも海外投資家が離れていった原因としてあげられていたのは消費増税への警戒、日銀の追加緩和が無い、保守的な企業の業績予想といったもので、消費増税に関しては影響は残るものの脱デフレ傾向が鮮明になり、業績予想に関しては別段例年通りという認識が広がったのだと思われる。つまり日本市場の様子を伺っていた海外投資家が「良さそうだ」と顔を出し始めた。株式市場を動かす海外勢の動きを読む!


第3位
■日経ビジネス■ <<<  新しい人事部の姿

 人材不足があらゆる業界、企業で顕在化している。グローバル化への対応、多様化の促進と重要な課題の多くは"人"に関わるものばかり。それぞれの企業が持つ「人財」を最大限生かさなければ成長は無い。必然的に経営の根幹とも言える人事部の役割こそ再構築する必要がある。今週の『日経ビジネス』の主張はこうだ。特集では新しい人事セクションを模索する各社の事例を紹介する。
 たとえば銀行。既存の人事部の中で最も力を持っているのは銀行の人事部である。なぜなら銀行には明確な製品は無い。人が資産なのだ。よって必然的に人事部に権力が集まる。しかしそんな人事部が姿を消した銀行がある。りそなホールディングスだ。りそな銀行の人事部は2003年に人材サービス部へと姿を変えた。当初は元人事部の社員を各地域に配置し、より現場に近い人事運営を目指した。しかし優秀な社員の囲い込み等が起きてしまう等の弊害もあり2008年に再び本社に再集約した。「またもとに戻ってしまうのでは」等の懸念もあったが、「現場ファーストの意識をもち、本社に戻ってきた」(人材サービス部・直江部長)と経過は良好。現在は本社から全国の支店を回っている。
 他にもソニー銀行や積水化学工業等が人事部を撤廃、それに変わる新たな人事のあり方を実践している。各社の最新施策をチェックされたし。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  日本株の6割が外国人投資家という現実

 安倍政権は就任以来、株式市場を重視した政策を取っていた。それが近日なりふり構わない株価対策を取る様になってきている。年金基金の国内株比率を引き上げる事で株価上昇を目論むが、政府が関与する所謂「官製相場」にはあらゆる危うさが潜んでいる。
 まずあげられるのが持続性だ。いくら巨額な年金基金を動かしたとしてもいまや日本株式市場の6割強を占める外国人投資家は短期志向である。特にその大部分を占めるヘッジファンドは超短期志向だ。ヘッジファンド以外の中長期型の外国人投資家が日本株を買い続けない限り持続的な株価上昇は望めない。
 さらに世界情勢にも目を移したい。宗教対立によりイラク情勢が不安定な今原油価格の変動により世界経済に影響が出る可能性が非常に高い。現状は大きな波がないため変動率は緩やかだが、ひとたび大きな波が来た場合政府主導の官製相場が受ける影響は非常に大きい。同誌ではこうした分析と同時に、2014年度の株価と為替、そして成長率の今後を主要なエコノミストやストラテジストなどに予測させている。

2014年6月18日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・自衛隊と軍事ビジネスの秘密

週刊ダイヤモンド ... 自衛隊と軍事ビジネスの秘密
週刊東洋経済 ...  社長の通信簿
日経ビジネス ... セブン 鉄の支配力
週刊エコノミスト ... 老後費用1億円!

 今週目を引いたのは『週刊ダイヤモンド』の特集です、テーマは「自衛隊と軍事ビジネス」とで、ふだん我々が目にしないてーまです。この4月に武器輸出3原則の見直しがなされたこと、尖閣諸島や竹島などの隣国との緊張を伴う関係にある状況、そして集団的自衛権の問題と、ここのところこのテーマにまつわる話題に事欠かない状況でのこの特集は一読に値します。今号が売れるかどうかは分かりませんが、今週の第1位はこれです。
 第2位は「社長の通信簿」を特集した『週刊東洋経済』です。最強の経営者ランキングと銘打っているのでつい読んでみたくなります。ランキング2位のニトリの似鳥社長はあまりマスコミに出ない人なので、こういうインタビューは貴重です。それより何より、鴻海精密工業トップのテリー・ゴウ氏が『シャープとのすべてを語ろう』」と同誌の女性記者のインタビューに応じています。
 3位の『日経ビジネス』は編集長の交代のあと、ちょっと停滞気味の気がします。今週号の特集はセブン&アイホールディングスの特集ですが、小売業界における支配者ぶりをレポートしていますが、他でも取りあげていたという点で、もう一つでしたかね。第4位はこのところ指定席化してきた『週刊エコノミスト』です。特集は老後費用をどうためるか!

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 自衛隊の本当の中身

「知られざる22万人の巨大組織と2兆円産業を全解明」−−−今週の『週刊ダイヤモンド』は「自衛隊と軍事ビジネスの秘密」を特集する。この4月、政府が38年ぶりに武器輸出三原則を見直し、事実上輸出が解禁されることになった。「中国以外は日本の武器輸出はウエルカムで、ニーズは間違いなくある」(自衛隊関係者)。日本の兵器は世界から熱視線を浴びているのだ。そこでこの機会に日本の軍事ビジネスと自衛隊の現状を把握しておこうという特集が組まれた。
 5月半ば、『週刊エコノミスト』第2特集「武器輸出の経済学」でも指摘されている通り、国内の軍事産業は長らく鎖国状態にあり、「黙っていても仕事は来る」状況に慣れきっている。それゆえ、「非効率・高コストな体質」、つまり価格が高い。また、巨大軍需企業が牛耳る国際市場に打って出るセールスノウハウも市場情報もないのが現状だ。これからは日本製の優秀な兵器が世界史状を席巻する......などという甘い夢は持たないほうがよさそうだ。
 後半は、自衛隊を牛耳るかのような存在・防衛大学、幹部自衛官の過酷な出世レース、天下り先、はたまた婚活女子に人気の「J婚」=自衛官との結婚まで、22万人の自衛隊を解剖する。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< もっとも評価されるべき社長

 最も評価されるべき社長は誰か−−−。『週刊東洋経済』が最強の経営者ランキングを特集に持ってきた。同誌は3回にわたって「社長の器」という短期連載を組んでいたが、その集大成という意味合いもあるのか。さて、その評価は①過去1年の時価総額増加率で求めた「株価力」、②純益の3期累計「収益力」、③社員数増減の3期計「雇用力」、④直近決算での配当利回り「株主力」、⑤CRS企業ランキング得点「社会力」、この5つの評価軸で5段階評価し、順位を決める(詳細は本誌を)。対象は東証1部上場企業の現役代表者だ。
 さて、誰が1位だったのか? 
 1位はソフトバンク孫正義社長。2位ニトリHD似鳥昭男社長。3位日本電産永守重信社長。この3人についてはそれぞれ分析やインタビューもある。100位まで掲載されているので、身近な経営者の順位をついチェックしてみたくなる。悪いほうでは「会社の価値を下げた社長ワースト90」も。
 さて、しかし目玉は巻頭に掲載された『週刊東洋経済』独占インタビュー「電子の帝王 テリー・ゴウ 『シャープとのすべてを語ろう』」だろう。言わずと知れた鴻海精密工業トップが「ずっと我慢してきましたが、心の内をすべて吐き出したくなりした」と堰を切ったように語ったものだ。興味深い。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  セブンのオムニチャネル戦略は成功するか

 久々にボリューム感たっぷりの『日経ビジネス』だ。なぜなら今週は時計の新作が集まる「バーゼルワールド」の広告特集がたっぷり掲載されている。高級時計は相変わらず売れているそうだ。
 さて、『日経ビジネス』今週の特集は「セブン 鉄の支配力」。陣頭指揮を執ってすでに36年。81歳になる鈴木敏文氏の次が危惧されるセブン&アイの研究だ。
 小売業界に於いて「セブンイレブン」の支配力がかつてなく強まっている。店舗数に応じて拡大する販売力に他のメーカーは屈服し、加盟店は付き従う。グループ内の「セブン化」によってあらたなるヒットの土壌を作り出し、「オムニチャネル」で次世代の経営体制を見通すセブングループの本質に迫る。
 小売業界でのセブンイレブンの姿はまさに「支配者」である。例えば伊藤ハムやプリマハムといったいくつかの企業はセブンの出資ではなく全額自費でセブン専用工場を作っている。セブンの持つプライベートブランドのための「パーツ作り」をナショナルブランドメーカーに作らせてもいる。しかし一件強引にも見えるこのやりくちだがNBメーカー側にもメリットはある。それはセブンがPBブランドの商品をすべて買い取るからだ。これによりNBメーカーは少ないリスクで先端的な技術を実験的に採用することができる。つまり実験の場として使われており、メーカーの技術革新に一躍を担っているわけだ。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  老後に1億円もかかる国ニッポン

 老後資金は多ければ多いほど安心。そう思っている方は多いだろう。毎日ゴルフに行ったり、船旅をしたり、忙しい現役世代の夢は膨らむ?のか? 私は生涯現役派なので、その辺りの心境がなかなかわからないが、老後を安心して迎えたいというニーズがとても高いものであることはわかる。その費用を形成するための処方箋が書かれているのが、今週の『週刊エコノミスト』の特集「老後資金1億円!」だ。資産形成編、家計見直し編の2部構成。
 久々にインド経済に言及した記事が掲載された。経済政策を重視するナレランド・モディ新首相への期待が高まり、欧米メディアがアベノミクスになぞらえて「モディノミクス」と称しているという。また、『週刊エコノミスト』でも10月に経営統合が発表された角川とドワンゴの経営統合で、統合会社の代表に就任するドワンゴ川上量生氏のインタビューが掲載されている。注目度が高い。

2014年6月11日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・ロボット・AI革命

週刊ダイヤモンド ... ロボット・AI革命
週刊東洋経済 ...  「IPO&信仰市場」を勝ち抜け!
日経ビジネス ... アジアの苦悩
週刊エコノミスト ... とことん学ぶ通貨と為替

 今週の経済誌でいちばん目を引いたのは『週刊ダイヤモンド』の「ロボット」特集です。コンピューター技術と人工知能研究が大きく進展し、インターネットは次の段階であるIOT(Internet of Things:モノのインターネット)へと進みつつあり、実際のロボットが多様に生まれつつある現在、その状況をレポートしてくれる特集でたいへん興味をそそる内容でした。これが今週の第1位です。
 次に興味を引いたのは『週刊東洋経済』の新興市場特集です。株式市場の好転によってまったくと言っていいほど動きのなかった新興市場にも光が射してきました。この上げ相場は本物か、新規上場企業の動向と併せて読むと面白いですね。
『日経ビジネス』はアジアで影響力を増大させていく中国の動向のうち、特に台湾、香港などその浸食力の大きな地域にスポットを当ててレポートしています。
 そして、『週刊エコノミスト』は特集に「通貨と為替」を取りあげています。ふつうのビジネスマンには取っ付きにくく、分かったようでよく分からないこのテーマを、わかりやすく解説しています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< ロボットは東大に入れるか

 インターネットに続く次の産業革命の主役はロボットかもしれないと言われている。今、ロボットとその頭脳である人工知能(AI)に力を注ぐ先進国の動きに注目が集まる。ロボットテクノロジーの発達により仕事や産業にどのような影響が出るのか。優秀なロボットで生活や社会はどう変わるのか。今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は、「ロボット・AI革命」だ。
 ロボット及びAI技術の進化は目覚ましく、人工知能が人間を越える時=「シンギュラリティ(特異点)」を迎える日も近い。東大入試を突破するロボットも開発中だとか。「ロボットが人間から仕事を奪う」という現実が工場などにとどまらなくなった時、それはどんな社会なのか。
 産業界では、2013年にグーグルがロボット関連企業8社を買収した事が話題になった。インターネットの聖地・シリコンバレーも、じわじわとハードウェアにシフトしつつあるようだ。日本政府も5月に「ロボットによる、新たな産業革命を起こす。そのためのマスタープランを早急に作る」と宣言したが、ライバルである米国に対しては、産業育成面で後手に回っている印象だ。日本は生活支援ロボットにフォーカスした市場形成に活路を見出そうとしている。
 そろそろワールドカップサッカーが開幕する。第3特集は「MONEY FOOTBALL!」。サッカー界にデータ革命が起こっているそうである。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< ホントに新興市場銘柄は買いか?

 偶然だが、『週刊ダイヤモンド』のロボット特集で取りあげられたベンチャーの福祉用ロボットメーカーCYBERDYNE の山海CEOが、『週刊東洋経済』にも顔を見せている。こちらは株式投資、とくにIPOと新興市場に絞った株式市場の特集。その注目のIPO銘柄としてCYBERDYNEが登場しているのだ。
 株式市場が好転してきている。5月中旬から新興市場の株価が上昇している。ミクシィのように2週間で株価が9割も上昇する「スター銘柄」も表れた。急速な株価の戻りで個人投資家にも投資余力ができ、市場が再び活気づいてきた。6月には8社がIPO(株式新規公開)を行ない、企業内に於いても株式に対する関心は高まっている。
 IPOや新興株の中でも着実に成長し、市場の評価を集める株にはいくつかの共通項ともいえるキーワードがある。一つが医療やエネルギー、ロボット等の成長分野、二つ目がユニークなビジネスモデルを持つ企業、三つ目がニッチだが特定の分野で高いシェアを誇る企業、最後は内需関連の株だ。
 巻頭特集は「皇帝倒れる! サムスンの重大局面」。


第3位
■日経ビジネス■ <<< アジアに浸透していく中国の脅威

 PPP(購買力平価)で換算すると、2014年内に中国とアメリカのGDPが逆転する...。中国経済は巨大化しアジアを飲み込み、米国はTPP交渉を進め、中国を旋回するような同盟国の囲い込もうと躍起だ。米対中のこの利害衝突の構図で舞台となるアジアの国々は、どちらの側からも経済の「自由化」を迫られ、拒めばアジア経済のダイナミズムから取り残されてしまう。『日経ビジネス』が「アジアの苦悩」と題して、この米中衝突の最前線を分析する。
 26〜27ページ「アジアを染める中国経済」の図表がいい。米中両国からの影響度を、年間輸出額・輸入額・直接投資額・入国者数の4つで国・地域別に塗り分けたものだ。米中がアジア市場で拮抗しせめぎ合う様子が一目瞭然だ。中国は南シナ海の諸島の領有ライン「九段線」を主張することで、付近のフィリピン、ベトナムと近年衝突の頻度を増している。「政治」の断絶と「経済」の恩恵との間で苦悩する台湾、香港はじめ各国の様子に日本が重なる。
 特集の締めくくりはマハティール・マレーシア元首相へのインタビューだ。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  ビットコインはなぜ人気?

「通貨と為替は経済を動かす大テーマ。将来を見通すうえで役に立つ知識や歴史を学んでおこう」というのが今週の『週刊エコノミスト』。
 例えば、「円安はなぜ止まったのか?」にうちては予想外に進まないドル高が原因、と解説する。他にも「外国人投資家の次の一手は?」、「『円安・株高』はまだ期待できる?」、「ビットコインの人気継続はなぜ?」などなど、ちょっと気になる最近のテーマが並んでいる。いずれも、今さら人に訊けないベーシックなテーマがずらりだ。
 後半は、「歴史は語る」と題して基軸通貨の変遷をもとにそのウラにある巨大金融市場の存在をを見ていくようになっている。ギルダー(オランダ)時代、ポンド(イギリス)時代、ドル(アメリカ)時代と年表で見せてくれる「基軸通貨の変遷」、「歴代日銀総裁の教訓」など。
 学習の好きな方向けの特集には違いない。

2014年6月 4日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・あぶない企業買収

週刊東洋経済 ...  あぶない企業買収
週刊ダイヤモンド ... 百貨店包囲網
日経ビジネス ... デュポン
週刊エコノミスト ... スマホ大全

 今週の週刊誌で目を引いたのは『週刊東洋経済』でした。表紙は新聞風のデザインでなにやらターバンを巻いたインド人と握手する経営者の写真。何かというと第一三共がインド企業を買収した際の写真なのでした。で、特集のテーマは「企業買収」。それも失敗例を元に検証するというお話です。昨今は世代交代(団塊の世代の引退)から自社を売却する例も多く、ブームなのですが、ま、警鐘を鳴らすという意味があるのでしょう。これが今週の第1位です。
 第2位は久々に百貨店の特集を組んだ『週刊ダイヤモンド』です。(本当は久々かどうかは分かりませんが、そんな感じを持ちました)。というのも、百貨店という業態が忘れられた存在に近づいているからなのでしょうか。一昔前までは「売れる」テーマでしたが、この特集の内容同様に、今やSPAの専門小売店に押され、ショッピングセンターに押される存在になっているのでしょうか。
 そして、『日経ビジネス』は「デュポン」という世界最大の化学会社を特集に取り上げています。212年も続くこの老舗企業に未来を見ようと言うのでしょう。
『週刊エコノミスト』の特集はスマホでした。他誌ではさんざん取り上げられたテーマですが、それとは違い、この雑誌が取り上げるというのは、別の価値があるような気がします。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<< M&Aの失敗率は9割

 今週の『週刊東洋経済』は「企業買収」を特集する。日本企業による巨額の海外企業買収が増加している。今や政府による成長戦略の一つとしても位置づけられ、空前の海外M&Aブームが訪れそうな勢いというが、実はその裏側で「討ち死に」が後を絶たない。「失敗9割、成功1割、5割が10年以内に撤退」が現実なのだということが、本誌「M&A通信簿」(53p.)で見えてくる。どのようなM&Aが成功し、どのようなM&Aが失敗するか。失敗の研究から見えてくるものは?
 なぜ過ちは繰り返されるのか、Part1ではプロの分析をわかりやすく伝える。「日本企業のM&Aはほぼ必ず暴走する」と観測する三品和広神戸大学大学院教授のインタビューほか、成功事例として、日本たばこ産業、ブリジストンのファイアストン再建(20年かかったが)も取り上げる。
 6月3日、榊原東レ会長が経済団体連合会の新会長に就任した。経団連不要論も飛び交う中、新体制と今後を巻頭特集「経団連の試練」で探る。

第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 百貨店vs.ショッピングセンター

 いま、百貨店業界が侵食されつつある。不動産会社や鉄道会社といった異業種が開いたショッピングセンター(SC)に消費者を奪われつつあるのだ。SCはすでに面積は百貨店の7倍、売上高も百貨店が2003年から2013年の10年間で23%消失したのに対して、SCは右肩上がりで10%強伸ばしている。今週の『週刊ダイヤモンド』は「百貨店包囲網」と題して、百貨店の生き残りを懸けた戦略を追う。
 昔は休日に家族で出かけるのは百貨店。しかしいまはSCだろう。映画館もスポーツジムも子どもの遊び場もなんだってある。まずは日本一のSC「ラゾーナ川崎プラザ」の全貌から。そこには老若男女が一日中楽しめる仕掛けがある。
 一方、生き残りを図る百貨店側の戦略は。
 H2Oリテイリングはスーパーのイズミヤを買収し、顧客層の補完やカード事業の取得、既存の食品部門の強化などをはかっている。Jフロントリテイリングは従来の百貨店からの脱却をはかる。松坂屋銀座店跡地には多くのテナントを誘致し、施設の経営に特化する方針である。テナントの内訳も若年層向けのものを多くすることであらたな顧客層の獲得を狙っている。
 大手5グループのトップがそれぞれインタビューで登場している。


第3位
■日経ビジネス■ <<< 未来を見続ける企業がある

 米国でここ数年ブームが続いているシェールガス・オイルの開発。安価なエネルギーは米国経済、特に化石燃料を原料とする化学品メーカーは追い風を受けている。米化学品メーカーの多くが工場の新設に乗り出すなか、とある大手化学品メーカーは静観している。
 デュポン、19世紀から続く化学品メーカーである。212年続くこの企業の経営は未来に一体何を見ているのか。
 今週の『日経ビジネス』はこのデュポンを特集する。
 デュポンの特色は目先の利益にとらわれず50年後、100年後の地球規模での課題を前提に今後100年間必要とされる会社として動くことだという。そこに経営のヒントを見出だそうというのが特集の主旨だ。未来予測から逆算された「脱化石燃料」もそのビジネスモデルの一つ。農業を起点にバイオ燃料や素材を作り新たな産業連関を作り出す。たとえばアフリカの農家や大手の農業機具メーカーとも協力し、将来起こりうる地球規模での食料問題の解決を図る方向に動く。日本では敬遠される遺伝子組み換えハイブリッド種子の分野でも、いまやモンサントと並ぶ巨頭だ。
 スペシャルリポート「脱・常識の観光立国」。訪日外国人のリアルな観光レポートが興味深い。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  法事の席でスマホの話題!?

 さて、いよいよ『週刊エコノミスト』でスマホの特集。ということは、シニア層のスマホ需要もガチで高まってきたということだ。法事の席で親戚同士スマホ談義に花が咲く......との話を耳にしたばかりだ。
 スマートフォンの世界市場は09年から13年にかけて約6倍に増加している。この急成長を牽引しているのはアジア市場だが、特に中国市場の成長が著しく、13年には国内の携帯電話出荷台数のおよそ9割をスマートフォンが占めた。中国市場でトップのサムスンはそのまま世界でも1位。その他中国市場で伸びているメーカーが世界でも大手となっている。一方、世界2位のアップルもいる。新型iPhoneを出す度に販売記録を更新し続け、今秋にも新型のiPhone6の販売が予定されているため、期待されている。
 さらに、キャリアだけではなくコンテンツ間での競争も目が離せない。特にスマホゲーム等は移り変わりが激しく、いかにしてヒット後に踏みとどまるかが焦点となっている。
 Part2は「今さら聞けないスマホの賢い選び方」。スマホ初心者に抜かりない。

【来た!見た!書いた!】「人手不足」が足かせになり始めた日本経済

木更津市が新庁舎建設を8年も延期した理由

 千葉県木更津市は5月30日、入札を中止していた新しい庁舎の建設について、移転時期を当初の2016年から24年に、8年も延期することを決めた。
 首都圏では活発な公共事業に加え、20年の東京五輪を見据えた建設需要の高まりで、建設分野の人手不足や費用高騰が続いている。木更津市の判断は、20年が過ぎれば高騰が収まり、着工時期を延ばした方が費用の面で得策との見通しからだ。建設市場で先行して目立ち始めた「人手不足」が、行政サービスや景気の「足かせ」にもなり始めた。
 昨年以降、公共工事で入札が成立しない「入札不調」が各地で起こっている。何度か不調に見舞われた自治体は、入札予定価格の大幅な引き上げで対応してきた。
 例えば東京都が築地市場(東京・中央)を江東区豊洲の新市場に移す工事。東京都は主要3施設の予定価格を当初より6割(400億円)も引き上げて2月に再入札を実施し、ようやく入札が成立した。
 このように予定価格や事業費を引き上げる例は多いものの、費用の抑制を優先して、建物の完成時期を8年も延ばす例は珍しい。
 木更津市が予定していた4月の入札では、事業者が見込む事業費が市の設定した予定価格を大幅に上回ったため、事業者が参加を辞退した。これを機に市が見積もりをし直したところ、新庁舎の建設・移転の総事業費が当初の計画より3割超も多い172億円に膨らむことがわかった。

さまざまな場所、業種で起こる人手不足の現場

 ただ現在の建設需要は東京五輪までの「特需」の側面もある。そこで市は五輪後には労務費や資材費が下がると考えていくつかの案を試算し、総事業費が131億円と最も安く済む「五輪後に先延ばしして建設」という案を採用することにした。現庁舎は耐震性が低いことから解体し、約8年間はプレハブの仮庁舎で業務をする。
 建設分野の人手不足が思わぬ分野に影響を与えた形だが、人手不足に足を引っ張られているのは木更津市だけではない。
 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは東京都内の一部店舗の深夜・早朝帯のアルバイトの時給を1500円にした。すき家のアルバイトは深夜・早朝帯に、1人で店の運営を任されることがある。春先には負担の大きさから人手が十分に集められなくなり、都内の店舗を中心に休業するケースが相次いだ。こうした状況から時給を大幅に上げざるを得なくなったとみられる。
 4月の有効求人倍率(季節調整値)が1.39倍と、バブル期以来の水準にまで高まった福島県でも、さまざまな分野で人手不足が起こっている。福島第1原子力発電所事故による避難で住民の数が少なくなっているうえに、建設分野などで東日本大震災からの復興需要が大きく、除染作業など比較的高賃金で労働力を吸引する仕事があるからだ。


急激な人手不足には理由がある
 被災地には復興のためのさまざまな補助金制度があるため、被災した製造業が工場を再建するのはそれほど難しくない。景気も回復傾向にあるため、仕事も以前よりは多い。にもかかわらず福島県内の製造業の経営者からは「人が確保できないので、仕事が受注できない」といった恨み節が聞こえてくる。雇いたくても、人がいないのだ。
 全国の4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍と、バブル崩壊後に最高だった2006年7月の水準に並んだ。8年前は円安基調から製造業が好調だったが、ここまで人手不足が目立つことはなかった。
 また2008年のリーマン・ショックの後には、非正規社員の雇用期間が満了したときに契約を更新しない「雇い止め」や、解雇する「派遣切り」が話題になるなど、人手不足とは正反対の人あまりが顕著だった。どうしてこれほど急に、人手不足が目立つようになったのか。


若年層の労働力不足を補う政策の必要性
 謎を解くカギは労働力人口の年齢構成の変化にある。今年4月と、同じく有効求人倍率が1.08倍をつけた2006年7月の労働力人口を比べると、4月の総数そのものは6389万人と1%しか減っていない。
 だが年齢別にみると、15~24歳は15.8%、25~34歳は17.9%も減っている。逆に35~44歳は11%、65歳以上は29.5%の増加。つまり若者の働き手がものすごい勢いで減り、こうした若年層の働き手やアルバイトに頼ってきた外食産業や建設産業が労働力不足に陥っているのだ。
 人手不足が続くと賃金が上がり、物価もつられて上がりやすいため、日本経済が長年苦しめられてきたデフレを脱却する好機にはなる。若年層を安い賃金で酷使してきた「ブラック企業」の淘汰につながる面もあるだろう。
 だが一方では、企業が人手の制約から需要に応えられないため、成長の制約要因にもなる。女性や高齢者、外国人の技能実習生など働き手を増やすための政策の早期実行が必要だ。