2014年5月28日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・リニア革命

週刊東洋経済 ...  リニア革命
週刊ダイヤモンド ... 地銀の瀬戸際 メガバンクの憂鬱
日経ビジネス ... 新・通信覇者 アプリVS キャリア 乱戦の行方
週刊エコノミスト ... 負けない投資術

 時には夢のある世界が見たいと思う時があります。今週の『週刊東洋経済』が、その夢の一端を特集してくれました。もっとも、その夢が現実になるのは今から11年後の話ではありますが。先頃、試験運転にキャサリン・ケネディ駐日大使が乗りテレビ等でも話題になったリニア中央新幹線は、今世紀最大のプロジェクトですが、同誌はそれに42ページを割いて特集としました。これが今週の第1位です。
 一方、沈鬱な問題を取りあげたのが『週刊ダイヤモンド』です。銀行業界ではメガバンク3行が過去最高益を出し、地方銀行も軒並み高収益を出しましたが、しかし、そんな短期的な喜びよりももっと大きな(しかも根源的な)問題が横たわっている、というのが特集の趣旨です。特に深刻な地銀にスポットを当て、5年後には28行が赤字に転落すると「地銀消滅ランキング」で示しています。これが今週の第2位。
 3位に上げる『日経ビジネス』は通信業界の深刻な問題を提示しています。最近台頭著しいメッセージアプリによっていわゆるキャリアが脅かされているというものです。米フェイスブックが先頃1兆9000億円もの資金を投じてメッセージアプリを買収したのもそうした動きのなかで見ればよく分かるようです。
 4位は『週刊エコノミスト』で、特集は「個人投資家への投資指南」です。今の時期に投資指南とはあまり必然性が感じられませんが、興味のある人は押さえておいてもいいでしょう。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 本格化する地銀の再編

 今月、銀行業界では史上最高益を記録した地方銀行、メガバンクが続出した。しかし、当の本人達はあまり喜んではいない。今回の好決算が株高と融資先の業績回復によってかさ上げされた「刹那的な」ものだとわかっているからだ。今週の『週刊ダイヤモンド』特集タイトルは、「地銀の瀬戸際 メガバンクの憂鬱」。再編必至の地方銀行と本業崩壊の危機が見え隠れするメガバンク、銀行業界の少し先に焦点を当てる。
 かねてからオーバーバンキングが問題視されていた地銀。ゆうちょ銀行上場による競合と、2040年には半数の自治体が消滅するとも言われる人口減少が追い打ちをかける。しびれを切らした金融庁による再編計画が取りざたされており、地銀は生き残り策に奔走している。
 一方メガバンクも国内において本業である融資や国債運用の利回りを経費が上回る「逆ざや」に転落しており、海外事業は急拡大しているが、人材不足という壁にぶち当たっている。グーグルやAmazon、スクエアなど、金融業は異業種に侵食されつつある。
 今週は第3特集まである。2014年、調子が良かった前期から鈍化しそうな後期に向けた「景気足踏みに負けない会社」。安田会長兼CEOのインタビューもあるドン・キホーテの特集と、盛りだくさんだ。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< 五輪の次はリニア

 東京から名古屋まで40分。夢の超特急リニアモーターカーの着工が、ついにこの秋始まろうとしている。総工費90兆円、開業は2027年を目指す。ゼネコンの合い言葉は「五輪の次はリニア」でキマリだ。今週の『週刊東洋経済』は、この「今世紀最大のプロジェクト」を特集した。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、リニア開業による経済効果は10兆を越える。都心部だけではなく中間駅の設置が決まった県やその駅周辺でも経済効果が見込まれる。リニア東京駅として選ばれた品川駅は、羽田空港までも乗り換え無しでいけることもあり、隣の田町駅まで含めた巨大な再開発計画が進められ、東京と世界を結ぶ玄関口として期待されている。しかし新幹線の三倍の電力消費や自然災害への懸念は? リニアの技術から経済、ライフスタイルへの影響まで、4つのPartでレポートする。
 トヨタの短期集中連載が終わらぬうちに、短期集中連載「社長の器」が始まった。ベネッセHDにフィールドを移す元日本マクドナルドHDの原田泳幸氏、リクシル藤森氏ら、「プロ社長」に焦点を当てる。核心リポートは「疾走するレノボ」だ。


第3位
■日経ビジネス■ <<< 通信業者を追い込むアプリ群

 ケータイで通話やメールを全く使わない若者が増えてきた。5年前には考えられなかった事だ。
 いま、通信業界では世界的規模の覇権交代が進んでいる。通話やメールといった既存のサービス事業が衰退し、LINEなどメッセージアプリが一気に主導権を握り始めている。この大規模な覇権交代を各企業はどのようにして乗り越えようとしているのか。今週の『日経ビジネス』は「新・通信覇者」と題して、アプリVS キャリアの乱戦の行方を追う。
 既存の通信業者ではドコモが「カケホーダイ」という通話料金の月額が定額になるサービスを発表した。従来の従量制課金の旨みを捨て、通信の質でメッセージアプリに対抗する。FacebookはLINEとよく似たスマホ向けメッセージアプリ「WhatsApp」を提供する米ワッツアップを190億ドルで買収した。欧米ではLINEをプリインストールアプリとし、融和の道を歩む企業が増えてきている。米国のベライゾン・ワイヤレスやAT&T社では定額料金制度を廃止し、ITインフラとして(業界では「土管」と言う)の利益の最大化をはかろうとしている。それらの動きを追いながら、覇権を狙うのメッセージアプリ勢力を紹介・分析する。
 そのほか、インサイドストーリー「角川ドワンゴ統合」、スペシャルリポート「踊る不動産マネー」もタイムリーなネタだ。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  小金持ちシニア向け投資指南
 
 今週の『週刊エコノミスト』は「負けない投資術」。2月にも「負けない投信・ETF」を特集しているので、「負けない」というフレーズは個人投資家への雑誌からの強いメッセージだ。それにしても『週刊エコノミスト』の読者層は小金を持つシニアがメインなのだ......と痛感させられる、最近の特集ラインナップである。いや、バブル未経験で手堅いと言われる団塊ジュニア層も意外と手に取っているのかな? ともかく、「何もしないでいると、波が海岸線を浸食するように資産は実質的に目減りしてしまう」。だから「投資は基本的には、目減りを防ぐために行なうものだと考えよう」という『週刊エコノミスト』の主張は正しいと思う。お時間がある方はご一読を。
 さて、今週は「エコノミスト・リポート」でタイのクーデターをまとめている。政党と王室、憲法裁判所がからみあうタイ独自の政治構造を解説する。「中国の少数民族」では、日本国内で報道が減り忘れ去られているように感じるウイグル族問題について、専門家3人が現状を分析する。

2014年5月21日

【来た!見た!書いた!】世界文化遺産となった日本の「殖産興業」の起点

東京から車で1時間の場所にある「世界文化遺産」

 町の中を行き来するにも時には「渡し船」を使う。しかもそこには世界文化遺産候補の建物もある。こんな場所が、鉄道や車で東京からわずか1時間程度のところであるのをご存じだろうか。
 利根川の北岸と南岸に分かれた群馬県伊勢崎市境島村。埼玉県深谷市や本庄市に接する飛び地の南岸側には、4月末に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関から世界文化遺産の登録勧告を受けた「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構成する4資産の1つ、田島弥平(1822~98)旧宅がある。そしてこの島村周辺は、明治初期に養蚕業や製糸業などの「絹産業」を通して日本が「殖産興業」を進めていく起点となった場所でもあるのだ。
 1955年までは「島村」として独立した市町村だったこの地区。今は地区の真ん中を利根川が流れ、その両岸をつなぐために「島村渡船」という渡し船が運航されている。その渡船の航路は群馬県の県道297号だ。この渡し船ができたのは、「暴れ川」と呼ばれた利根川の長い歴史が関係している。
 利根川は明治期まで、流れがいくつにも分かれたり、曲がりくねったりする複雑な形をした川だった。それだけではない。洪水のたびにその流れが変わってしまう。島村地域の利根川は、寛永期(1624~44年)から1883年のおよそ250年のうちに、11回も流れが変化したという。

日本の養蚕業はすべて大きな川のほとりにあった

 明治期の地図を見ると、島村の中を3本の利根川が流れ、北岸側と南岸側だけでなく中州にも分かれたいたことがわかる。
 政府は利根川の洪水を防ごうと度重なる改修を実施。島村付近は1914年の工事で両岸に堤防が設けられ、ほぼ現在の流路が定まった。島村は北側と、埼玉県側に飛び地としてある南側に、完全に二分されることになった。この二分された島村の間を行き来するのが島村渡船だ。
 しかし利根川の洪水と流れの変化は、島村の人たちに飛躍の好機も与えた。
 洪水のたびに流されてくる山の枯れ木や落ち葉が積もってできた土地は肥沃だ。稲や麦などは洪水が来れば流されてしまうが、桑の木は土の中に深く根を張るため、洪水にも流されにくく、水が引けばまた芽を吹いた。
 河川の沿岸で育つ桑には、きょうそ病という蚕の寄生虫病の原因となるカイコノウジバエの産卵が少ないという利点もあった。日本の三大蚕種(蚕の卵)地といわれた島村、信州(長野県)南佐久、奥州(福島県)伊達はそれぞれ利根川、千曲川(信濃川)、阿武隈川という大きな川のほとりにある。
 こうした地域の特性により、江戸期から既に島村では養蚕業が盛んだった。だがそれだけで島村が殖産興業の起点となり得たわけではない。島村を日本の絹産業をひっぱる地としたきっかけは、田島弥平(1822~98年)だ。


富岡製糸工場と渋沢栄一の関係

 田島弥平は幕末から明治にかけて、優良な蚕種を生産するには「清涼な空気=換気が大切」とする「清涼育」を体系的に完成させた。それだけではなく、1階に住居、2階に多くの窓を配した蚕室を置き、さらにその上に換気のための引き戸がある「やぐら」を設けた養蚕用の建物を考案し、自宅とした。世界文化遺産候補の田島弥平宅の母屋は江戸末期の文久3年に上棟されたものだ。
 弥平はこれの技法を『養蚕新論』などの著書にまとめ、普及に務めた。明治期に全国で養蚕を学ぶ人たちは、富岡製糸場で最新の製糸技術を学び、田島弥平宅にも訪れて清涼育の研修を受けたという。群馬県や埼玉県などの山あいに多い、やぐら付きの養蚕農家建築は、島村から広がっていったものなのだ。
 絹産業を近代化させた島村を考えるとき、もう1つ注目すべきなのは田島弥平と渋沢栄一(1840~1931)のつながりだ。
 渋沢栄一の生家は島村の田島弥平旧宅から2キロばかり南東の深谷市血洗島にある。群馬県伊勢崎市と埼玉県深谷市と、行政区は分かれているとはいえ、現地を少し歩いてみれば、その風土も経済圏も同じであることがわかる。しかも両者は遠縁の関係で、栄一の生家も養蚕農家だった。
 明治維新直後に政府の役人になった渋沢栄一は「富岡製糸場主任」として製糸場の創設を主導した。また機械製糸場の誕生による繭の大量消費を予想して、田島弥平ら優れた技術を持つ人達を「養蚕教師」として養蚕を学ぶ者の指導に当たらせる仕組みを整えたのも栄一だ。


日本の殖産の香りを残す富岡の建築物

 田島弥平らは1872年、島村でできた蚕種を直に海外へ輸出するため、日本で最初の蚕種業の株式会社「島村勧業会社」を設立した。この当時としては珍しい「株式会社」という仕組みを使い、しかも鎖国解除から間もないこの時期に直輸出を行う取り組みを指導したのも渋沢栄一だった。明治初期、島村産の蚕種は、当時欧州では病気で蚕種が激減していたこともあり、世界中でひっぱりだこになる。
 富岡製糸場の初代場長に就いたは、渋沢栄一より10歳年上の栄一のいとこで、『論語』の師でもあった尾高純忠(1830~1901)。惇忠の長女、尾高勇(1858~1923)は富岡製糸工場の製糸伝習工女の第1号になった。
 こうして見ていくと、明治初期の絹産業の近代化が、島村の田島弥平らと、そのすぐ近くで生まれた渋沢栄一の人脈で主導されたことがわかる。
 明治から昭和にかけて生糸や絹織物が、日本の輸出の5割前後を占めていたことを考え合わせると、島村周辺を日本の殖産興業の起点の1つと捉えても大げさではないだろう。
 現在の島村周辺。強固な堤防によって凶暴さを抑えられた現在の利根川は「暴れ川」の印象は薄い。また既に養蚕をやめて久しい島村では、ネギや麦の畑が広がり、桑を見つけるのは難しい。
 だが付近には、田島弥平旧宅だけでなく、立派なやぐらを備えた養蚕農家建築が密集して残っている。少しずつ改修を施しながらも、江戸期や明治初期の建築物を壊さずに使い続ける島村の人たち。その姿勢に、日本の絹産業をひっぱった往時の島村の人たちの心意気を見たような気がした。

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・新中国バイブル

週刊ダイヤモンド ... 新中国バイブル
日経ビジネス ... さらば使い捨て経営
週刊東洋経済 ...  アリババの正体、雇用がゆがむ、攻防 法人税
週刊エコノミスト ... 景気・業績・株

 中国特集というのは、経済誌が定期的に組んでいる特集テーマの1つだが、今週は2つの経済誌がこの中国を異なった切り口で取りあげました。
『週刊ダイヤモンド』は中国の20都市に記者を派遣し、現地の息吹をレポートしています。現在シビアな状況の2国ですが経済のみならず、政治や社会にまで視点は及んでいます。網羅性と内容の充実度とで、持っていた方がいい1冊だといえるでしょう。これが今週の第1位です。
 そして第2位は『日経ビジネス』です。同誌は特集で正面から雇用の問題を取りあげました。外食チェーンのすき家123店が人手不足のため閉店に追い込まれるという報道が話題になりましたし、ブラック企業の烙印を押されたワタミが創業以来の赤字に転落する事態となり「働き方」が問題になっているいま、時宜を得た特集といえるでしょう。
 次にご紹介するのはやはり中国を扱った『週刊東洋経済』です。『週刊ダイヤモンド』と違うのは、1つの企業=中国で最も注目されている異端の経営者ジャック・マー氏率いる「アリババ」を取りあげている点です。同誌はこれ以外にも特集2つを掲げ怒濤の3大特集としています。これが今週の3位ですね。
『週刊エコノミスト』は3月決算企業の決算発表が行なわれるなか、この時期の景気・業績・株式市場の動向をまとめて特集しています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 中国の今がすべて分かる

 中国南西部、貴州省の省都・貴陽から車で5時間のところに六盤水という炭坑の町がある。そこは今の中国経済を悩ませる「4兆元対策」の投資先の一つであり、その後遺症が如実に現れている「鬼城(ゴーストタウン)」のひとつだ。『週刊ダイヤモンド』取材チームは、今回の特集「新 中国バイブル」のために、六盤水はじめ全20都市へ記者を送り込んだ。経済誌『週刊ダイヤモンド』、本気の中国特集だ。
 さて、特集は6部構成! Part1.投資「バブル崩壊の足音で近づく中国版『列島改造論』のツメ跡」。Part2.金融「金融自由化"夜明け前"の混沌」。Part3.産業「『中国モデル』転換の旗手 新世代経営者の台頭」。こちらではネクストBAT、つまりバイドゥ、アリババ、テンセントの次の世代と産業構造の変化を取り上げる。Part4.政治「習近平とは何者か?」。中国に精通した5人の専門家が登場し、習氏と中国共産党の正体に迫る。Part5.日系企業「中国ビジネス新潮流」。尖閣問題勃発後も、じつは販売拠点の増強と投資拡大は進展。中国進出277社アンケートが物語る。最後はPart6.外交「膨張する中国の野心 日中関係改善の糸口はあるのか」。
 ジャーナリズムの視点から切り込んだ中国の「今」を知るビジネスマン必読の1冊ではないか。


第2位
■日経ビジネス■ <<< 人の使い方を見直す時期

 昨今、構造的な人手不足が露呈している企業が現れはじめている。「ブラック批判」企業だけにとどまらず、建設、医療・介護、外食など労働集約型産業を中心に、さまざまな企業で人材の確保が困難になりつつある。いかにして人材を確保し、そしてとどまらせるか。使い捨て経営に別れを告げる時が来た......今週の『日経ビジネス』タイトルはずばり「さらば 使い捨て経営」だ。
 4月中旬、牛丼大手チェーン店「すき家」で店舗の多くが閉店や営業時間の短縮に追い込まれた。発端は新メニュー導入だ。もともとワンオペや豊富な種類のメニュー、正社員のいない体制により現場の負担が大きかったすき家だが、仕込み時間が牛丼の約4倍かかる新メニューによりアルバイトの不満が爆発し、すき家を去るアルバイトが続出した。溜まっていく非正規の不満が、多くの企業に戦略転換を迫っている。
 非正規雇用の正社員化に力を入れるのは、日本郵政やユニクロがその代表だ。外食大手すかいらーくは勤務する店舗を限定する「コミュニティ社員」として契約社員約90人を改めて採用した。事例と「採用氷河期」を迎える今後を展望する。
 SPECIAL REPORT「『老化』進む東京市場」。期待のNISAでも個人投資家の若返りは進まない。少ない個人投資家がさらに減少するという危機が迫っている。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<< アリババvs. ソフトバンク?

 中国経済を牽引する、とある会社。年間の商品取扱高が25兆円に及ぶ巨大なネット通販会社、アリババ。「怪人」と称される馬雲(ジャック・マー)氏の辣腕によって創業15年目にして中国経済の中核を担っている。この企業の米株式市場への上場計画が今、話題を呼んでいる。
 アリババは世界最大のBtoBサイトのアリババ・ドットコムをもとに中国最大の商品取扱高を誇るネット通販「タオバオ」等を手がけ、ビジネスモデルが近いebayや楽天を圧倒し、利益水準ではアマゾンすらも上回るといわれている。
 場所を問わないネット通販により内需拡大が見込まれ、新たに参入した金融サービスに於いても現政権の改革路線に沿っており、政治的にも極めて大きい存在と言える。アリババは今ソフトバンクと米ヤフーと馬雲氏のあいだで熾烈な経営権争いを繰り広げている。今回の株式上場もいわゆる"親離れ"の一環と思われ、動向が注目されている。
 今週の『週刊東洋経済』は"怒濤の3大特集"と表紙にある。「アリババの正体」「雇用がゆがむ」「攻防 法人税」の3つだ。第1特集は「雇用がゆがむ」。官製ベアが派手に報じられたのも束の間、「残業代ゼロ」「解雇解禁」を画策する経産省。安倍政権が進める雇用ルールの大転換をレポートする。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  好調な業績 VS.鈍い市場の動き

 今週の『週刊エコノミスト』は「2014年度企業業績の明暗と、この先の景気」が特集テーマだ。タイトルはずばり「景気・業績・株」。経済界のシナリオ通り、「夏以降は米国経済回復を牽引役に日本経済は成長軌道に乗る」のか? これを景気・業績・株を切り口に徹底検証する特集だ。
 2014年三月期、トヨタ自動車が6期ぶりに過去最高の純利益をたたき出した。豊田章男社長は「稼ぐ力は強くなった」とリーマン・ショック後の改革に手応えを感じている。トヨタ以外にもスズキをはじめとした自動車大手7社中5社が前期に過去最高の純利益を計上、予想では今期も4社が前期を上回る利益を出すといわれている。電機大手の日立製作所等も似たように過去最高の利益を出している。
 今期は消費増税という不確定要素により、慎重な期初予想がより保守的になっている。が、強気の予想を打ち出す企業も少なくない。「消費増税という不確定要素がある中で期初の段階から強気の予想を出せるのは企業の自信の表れ」と岡三証券の石黒英之シニアストラテジストは述べている。
 だが、好調な予想に反して市場の反応は鈍い。理由は三つ。一つはウクライナ危機、二つ目が6月の政府による「成長戦略」待ち、三つ目は消費増税の反動の様子見だ。
 第2特集は「武器輸出の経済学」。武器輸出三原則見直しで解禁となった武器輸出。しかし関連企業はそう喜んでばかりもいないようだ。

2014年5月14日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・医師・看護師 大激変!!

週刊ダイヤモンド ... 医師・看護師 大激変!!
週刊東洋経済 ...  誤解だらけの介護職
日経ビジネス ... 背水の農
週刊エコノミスト ... 税務調査がやってくる

 経済誌が最近変わってきているのは、特集のテーマでしょう。今週では『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』の2誌が医療や介護といった従来はそれほど取りあげなかった分野の特集を組みました。これは明らかに高齢化している読者(60歳以上の読者+高齢の親を抱える50代読者)の層と無関係ではありません。当たり前のことで、経済誌と言えど、マーケティング的な要素を抜きにして特集は組めないことの証左です。そんななかで、面白かったのは『週刊ダイヤモンド』でした。団塊の世代が75歳になる2025年を見据えて医療体制の改革が進むなかで、どのように変化していくのかをレポートしています。自分も該当年齢になるわけですから当然といえば当然ですが、興味深い特集でした。
 一方、『週刊東洋経済』は「介護職」という新しい(わけでもありませんが)職業をフィーチャーしました。<もう3Kとは言わせない>という副題が示す通り、介護職の誤解を解く特集で、暗いイメージを払拭しています。この2誌がワンツーフィニッシュです。
 第3位は『日経ビジネス』で、TPP交渉に揺れる農業の問題を取りあげています。農業をもっと産業化できないかという提案型の特集で、事例もふんだんに入っています。そして第4位は『週刊エコノミスト』です。相続税が2015年から増税されることを踏まえて、この種の税がどれだけ庶民に重くのしかかってくるかをレポートしています。


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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 看護師が消える!?

 今週の『週刊ダイヤモンド』は「医師・看護師 大激変!!」、『週刊東洋経済』は「誤解だらけの介護職 もう3Kとは言わせない」。2大経済誌が、医療と介護の現場職の変化に焦点を当ててきた。
 まずは『週刊ダイヤモンド』。
 団塊世代が75歳になる2025年をゴールとした医療体制の改革を特集した。
 患者7人に対して看護師が1人、「7対1病床」といわれるこの体制は、急性期の患者を主な対象とした最も手厚いランクの体制である。だが、国がこれに高い診療報酬を設定したために数が増え過ぎてしまい(設置目標4万床に対し2012年36万床)、看護師不足、医療費の膨張を生み出した。見かねた政府が7対1病床の4分の1を削減する大リストラに打って出る。病院看護師の14万人が7対1病棟から消える"民族大移動"が始まる。変わって増やそうとしている「地域包括ケア病棟」、「訪問看護」に、果たしてヤマは動くのか? 
 第2特集「ゲッティ イメージズ 写真界の"グーグル"知られざる素顔」が面白い。世界にあふれるヴィジュアルデータをあらゆる形で流通させる世界最大の黒子企業を紹介する。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< 介護職にまつわる大いなる誤解

 きつい、給料が低い、高離職率。そういったイメージが介護職にはつきまとっている。だが、その多くは実は誤解であり、現場では改善に向けた取り組みが進んでいるそうだ。『週刊ダイヤモンド』でも触れたが,団塊世代が75歳を迎える2025年には、介護保険の利用者は1.5倍に増加見込みだ。介護職員は現在150万人。それが2025年には237万人〜249万人必要になる計算だという。今週の『週刊東洋経済』は、超売り手市場であるはずの介護職の現状と将来をレポートする。
 そもそも、給料が低いというのは介護職自体が新しい産業のため勤続年数と賃金の関係により賃金カーブが下に見えるだけであり、高離職率に関しては人事管理が十全なところとそうでないところの二極化が原因だ。重労働だとしてもやりがいを感じているという職員の声も多い。我々の介護職に関するイメージは多くが誤解が生んだ産物である。
 また新しい産業故革新の余地も沢山ある。業界そのもののモチベーションをあげようとする「介護甲子園」や介護職の職員達が交流しお互いの意見等を交換する「JCNAパーティー」等様々な取り組みが紹介されている。
『週刊東洋経済』は第2特集を置かなくなったが、巻頭の「核心リポート」に力を入れているようだ。また、今週から「トヨタ復活の真贋」という連載も始まった。


第3位
■日経ビジネス■ <<< 農業を産業化すべし

 東京で暮らし、企業取材をしていると、農業分野で突破口を開こうとする事業体に出会うことも多く、「日本の農業はすごい」との感想を持つことも多い。しかしそれはあまりに現実を知らない者の幻なんだろうか。
 今週の『日経ビジネス』は「農業」を特集する。1993年のGATウルグアイラウンド合意後、日本の農業には対策費として6年間で6兆円の資金が投入された。その巨費は結局農道整備等の公共事業に使われ、20年経て、地方には何も変わらない農業がそこに立ち尽くしている。進んだのは高齢化だけだ。「編集長の視点」にそういう現実が描かれていた。新規参入を阻む構造的な問題や、農協の存在も変化を遅らせる。さらにTPPやEPAによって、国際競争力を培ってこなかった日本の農業は危機に瀕している。いかに外国産の農作物との競争に打ち勝っていくか。「日本の農業形態を見直すときだ、農の産業化が必要だ」と『日経ビジネス』は提言する(もちろんこれまでもたくさんの方々が主張してきた)。
 危機感を持つ各地の農家や地方農協は自らの力で変わろうとしている。例えば農協の代わりにトヨタと協力して作った生産管理システム「豊作計画」(愛知県弥富市)や、全農を通さずに米を卸す様になったJA魚沼みなみ、ひたむきに生乳の品質向上を追求し、高付加価値の商品としての地位を確立したJA浜中町などが紹介されている。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  税務調査の季節

 2015年からの相続増税では基礎控除が現在の「5000万+1000万×法定相続人数」から「3000万+600万×法定相続人数」へと引き下がる。これにより相続税の課税対象が大幅に増えることが確定し、相続税対策の特集はこのところ周期的に打たれる。
 特に『週刊エコノミスト』の扱い頻度が高いように思う。
 今週も「税務調査がやって来る!」という特集を組んだ。前半は相続税を巡っての税務調査、後半は法人税・所得税編だ。
 相続税の税務調査は、被相続人(亡くなった方)の約3割に実施されているそうだ。税務署はどうやって申告漏れを見抜くのか、またどうすれば申告漏れを防げるのか。相続する不動産の評価を下げる5つのテクニックなど、ご興味のある方はどうぞ。

2014年5月 2日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・ニッポンの工場

日経ビジネス ... ニッポンの工場
週刊ダイヤモンド ... 年収1000万円の不幸
週刊東洋経済 ...  最強のエアライン
週刊エコノミスト ... 歴史に学ぶマネーと経済

 ゴールデンウィークに突入したこともあり、経済誌各誌も合併号となっています。以前は合併号というと派手目の特集が多かったのですが、今はあまり関係なく特集を組んでいるようです。その地味な中から、第1位を選ぶのは結構難しく、強いて言えば『日経ビジネス』の特集「ニッポンの工場」でしょうか。一時期海外に移行していた生産拠点が国内回帰を果たし、以前つながりを持っていた「ケイレツ」が形を変え、新しい形でのケイレツが生まれてきているという特集です。
 第2位は、これも悩みましたが、「年収1000万円は不幸である」ことを謳った『週刊ダイヤモンド』でしょうか。でもこれってあまりにも当たり前過ぎてもう少し知恵はなかったのかな、と感じました。
 第3位の『週刊東洋経済』は恒例の「エアライン特集」です。昨年は5月20日号で組んだ特集ですが、今年はちょっと早めたわけです。ま、好きな人には面白いのでしょうね。鉄道好きを「鉄ちゃん」と呼ぶのは知ってましたが、「こちらを『空美ちゃん』と呼ぶのは知りませんでした。
 第4位は『週刊エコノミスト』です。いちばんゴールデンウィークらしい特集でしたかね。「歴史に学ぶマネーと経済」という、うんちく特集です。休みでヒマなひとときをつぶすにはいいかもしれません。

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第1位
■日経ビジネス■ <<< 工場が国内に戻ってきた

 リーマンショック後、急激な円高によって生産を海外へ避難させた企業が今、徐々に生産体制の主軸を国内に戻しつつある。さらに海外の企業の中でも日本の工場の需要は高まりつつある。円高に東日本大震災。逆境の連続の中を生き残った工場が粘り強く進化を続けた結果だ。が、世界のモノ作りもまた進化している。ここから何で戦って行くのか。キーワードは「知」だ。今週の『日経ビジネス』が「ニッポンの工場」と題して特集する。
 創業当時の高炉を回収技術により世界最高水準の生産効率と品質で使い続ける新日鉄住金、中国工場での低コスト生産ノウハウを日本の工場に対応させたダイキン工業、開発部門と生産部門をつなぎ合わせて自動車産業の常識をぶち破ったマツダ。工場構内の遊休地に取引も資本関係もない企業を誘致し、技術やノウハウといった「知」で結びつこうとしている三菱化学、異業種間で技術やノウハウの交流を行ない、それを活かす日産自動車など、ニッポンのモノ作り蘇りの現場レポートだ。国内生産見直しの動きは工場の立地分布も変える。Part3「新4大工業地帯」に詳しい。
 さて、『日経ビジネス』では「企業と女性活用」というテーマで3回シリーズを組んできたが、今回が最後の3回目。サイバーエージェントの女性活用と、コミュニティー活動「営業部女子課」を紹介する。サイバーエージェントのオフィス写真も見てほしいが(美人が多い)、「営業部女子課」の活動が面白い。営業女子の勉強会として発足し、現在全国に2100人が参加するコミュニティーだそうだが、こういう団体に所属していると、営業職も前向きに楽しめそうだ。

第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 年収1000万円は楽じゃない?

 ゴールデンウィーク突入の今週、『週刊ダイヤモンド』は「年収1000万円の悲惨な家計と仕事を大解剖」する。「家計は楽じゃない」と漏らす1000万円プレーヤーは都会にはごろごろいる。子どもが私立中学、自家用車はちょっと見栄を張り外国車、友人も多くて交際費もバカにならない。そんな、一見恵まれた年収1000万円家計の脆弱さを、税金、消費、教育費、仕事の4方向からレポートする。
 年収1000万円...世のサラリーマンにとっては一つの目標でありステイタスでもあるこの額だが、いま「年収1000万円世帯」が税金面で狙い撃ちにされている。税金等の負担増の境界線がこの年収1000万円にあるのだ。特に片働き1000万円世帯の負担増が大きい。4人家族、共働きの年収1000万円世帯に比べ、片働き年収1000万円世帯は、年間約60万円も税負担が重くなるとの試算もある。一月あたり5万円である。
 子どもに高学歴を望むのもこの世帯。塾代やお受験成功後の授業料支払いなど、出費は膨らむ一方だ。そのうえ年収1000万円プレーヤーは忙しい。地位争奪戦激化に勤務の長時間化もある。80年代に描かれた、トム・ウルフの小説「虚栄の篝火」を思い出す。あちらは数億円プレーヤーの家計破綻と転落だった。こちらは破綻しないための特集です。
 第2特集は「経済は世界史から学べ!」。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<<  エアライン満足度1位はシンガポール航空

『週刊東洋経済』は昨年に引き続き、ゴールデンウィークにエアラインの特集を持ってきた。題して「最強のエアライン 羽田も成田も賢く使え!」。羽田発着枠増便前の3月に『週刊ダイヤモンド』が「最上のエアライン」として取り上げたので、本誌は増便後の羽田の様子がさらに詳しい。
 2014年3月30日。羽田空港の国際線が1.5倍に増え、好評だ。とくに全日本空輸(ANA)は、羽田から発着する国際線を従来の10路線13便から17路線23便へと大きく増やした(JALは5便増)。これにより近距離アジア路線に偏っていた羽田の国際線が、東南アジア・欧州に拡充。国際線の選択肢に羽田空港が俄然食い込んできた。そんな日本の空の変貌を、羽田新路線の使い勝手から、エアライン満足度ランキング、JAL VS ANA の消耗戦などなど、46ページにわたってレポートする。ちなみに『週刊東洋経済』でもエアラインランキングの1位はシンガポール航空だった。そうそう。飛行機界にも女性のマニアが増えつつあり、女性鉄道マニアは「鉄子」と呼ばれるが、こちらは「空美(そらみ)ちゃん」というそうだ。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  貨幣改鋳は江戸版アベノミクスだった

 今週の『週刊エコノミスト』は「歴史に学ぶマネーと経済」という特集。表紙にも書かれているが「ウンチク満載!」とのことで、15人の著者の得意分野と問題意識とが重なる15のテーマで、過去と現在の流れを分析している。
 例えば、「相場の格言」で紹介されているのは「セル・イン・メイ」。つまり株は5月に売れ。発祥は150年前のイギリスロンドンとされているが、その中身は昔と今とでは変わっているとか。あるいは、江戸時代の貨幣改鋳はインフレを招いた悪政と捉えられているが、あれは必ずしも悪政とは言えず、現代に照らして見ると、江戸版のアベノミクスだったとか。
 私はこの手の話は嫌いでないが、忙しいビジネスマンにはどうなのか。知的好奇心が旺盛で時間もある読者なら、こういった知的羅列も一興かもしれないが。週刊誌として毎週となるとどうなのか。『週刊エコノミスト』ならではの興味深い記事も多いので、この雑誌はこのまま専門家執筆の場でやっていくのかな。