2014年4月10日

【来た!見た!書いた!】 地域に問われる「大動脈」の生かし方

1年前から盛り上がる北陸新幹線開業の動き

 3月下旬の3連休。高崎駅から長野駅方面に向かうため、JR長野新幹線の「あさま」の自由席に乗り込んだ。3連休の初日で、車内は軽井沢などに向かう観光客で大混雑していて、座れたのは多くのスキー客が降車した軽井沢駅。しばらくして、全座席に電源コンセントがあることに気付いた。新幹線はいつから全席にコンセントがつくようになったのだろう。
 長野新幹線が開通した1997年以前の在来線時代には難所だった碓氷峠も、長野新幹線はほとんどをトンネルで通り過ぎてしまうため、利用者が「きつい峠」を実感することはまずない。考えことをしつつ、うつらうつらしたら、あっという間に長野駅に着いた。
 JR長野駅に降り立つと、鉄道ファンらしき人が降りたばかりのあさまをしきりに撮影している。「かっこいいね」と話しながら先頭車両の前で記念撮影する親子連れもいた。
 そこで初めて、偶然に乗ったあさま号の車両が、JR東日本と西日本が共同開発して、3月15日に走り始めたばかりの北陸新幹線の新型車両E7系であることに気づいた。コンセントが全座席にあるのも、座席は背もたれに連動して座面も動いて乗り心地がよいのも、ほとんど揺れを感じないのも、E7系だからこそだったのだ。
 2015年春に、長野新幹線が金沢まで延伸する形で開業する「北陸新幹線」。新幹線のような新しい「交通の大動脈」の延伸・開業は沿線や周辺の地域にとっては一大ニュースだ。北陸新幹線の開業まであと1年となったことで、沿線では、さまざまな準備が急ピッチで進んでいる。

北陸新幹線が開業すればあらゆることが一変

 長野駅の玄関口である善光寺口では、新しい駅ビルの工事の真っ最中だ。新幹線の終着駅は、乗客が乗り換え待ちや宿泊などで駅外に出る可能性が高く、長野市は観光面でもビジネスの面でも、そのメリットを享受してきた。だが北陸新幹線が開業すれば、すべての列車が停車するとはいっても、1つの途中駅になってしまう。
 長野県や長野市の関係者の間では、「長野が素通りされるかもしれない」という危機感が強まっている。新しい駅ビルの建設はそうした危機感の1つの現れといってもいい。「信州の魅力を集約・発信する駅ビル」(東日本旅客鉄道)をめざすという。
 その日は長野駅で直江津行きの信越線普通列車に乗り換えて、新潟県上越市の高田に向かった。
 長野駅から3つめの豊野駅のあたりまでは、進行方向の右手、信越線と千曲川にはさまれた平野の間に、北陸新幹線の高架線路が建設されているのが見える。だが新幹線は豊野駅以北は飯山線の飯山駅方面に向かってしまうため、信越線からは確認できない。信越線が再び北陸新幹線と相まみえるのは、高田駅の1つ手前の脇野田駅。ここに新幹線の新駅「上越妙高駅」を建設中だ。
 現在は、直江津市などと合併して新潟県で3位の人口を擁する上越市の一部になっている高田(旧・高田市)。この街も北陸新幹線が開業すれば、さまざまなことが「一変」するに違いない。


広報宣伝次第では大化けする可能性のある街

 歴史や古い街並みが好きな人にとっては、高田はたまらない街だ。徳川家康の六男・松平忠輝が初代の高田藩主として高田城を築いたのが1614(慶長19)年。今年はそれから400年目にあたり、「高田開府400年祭」が開かれる。
 城下町には、雪よけの屋根がつらなった「雁木造(がんぎづくり)」が広がり、その総延長は約16キロと日本一の長さ。高田城は明治期に陸軍の駐屯地となり、1909年にそれを記念してソメイヨシノ約2200本が植樹された。桜はその後4000本にまで増え、この時期の夜は、城の三重櫓と桜がぼんぼりの明かりに映え、堀の水面にうつる様が美しい。
 これまでは東京からの遠さ故、首都圏で高田の街並みや夜桜の知名度が高いとはいえなかった。だが北陸新幹線開業後は東京駅と上越妙高駅は最速1時間48分で結ばれる。高田地区は、「蔵造りの街並み」を打ち出すことで一大観光地となった埼玉県川越市のように、広報宣伝の仕方しだいでは大化けする可能性のある街だ。
 一方、新たな大動脈の完成は、これまでの大動脈を廃れさせるきっかけにもなる。新潟県は広く、北陸新幹線の開業がどの地域にとってもメリットになるわけではない。
 例えばこれまで首都圏と北陸を結ぶ鉄道の主力ルートは上越新幹線で越後湯沢まで行き、そこで北越急行(新潟県魚沼市)ほくほく線を通る特急はくたかに乗り換えて金沢方面に向かうものだった。このはくたかは北陸新幹線開業後に廃止となる公算が大きい。はくたかだけでなく、上越新幹線沿線の相対的な集客力低下につながる可能性もある。
 ただそれは、それぞれの地域が現状に甘んじていればの話。新潟県では現在、北陸新幹線開業を前に、地域の魅力を捉え直す動きが活発だ。大動脈ができるときは地域が強みを問い直す、またとない好機でもある。


今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・暴走!日本株 ボロ儲けしたのは誰だ

週刊ダイヤモンド ... 暴走!日本株 ボロ儲けしたのは誰だ
日経ビジネス ... 脱デフレで勝つ 高く売るための経営七策
週刊エコノミスト ... 地政学リスクと資源争奪
週刊東洋経済 ... 今買える株 買えない株

 今週は偶然にも株式の特集が2誌ありました。『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』です。もちろん特集の扱い方はそれぞれ異なっていて、『週刊ダイヤモンド』は株の乱高下が激しい現在の市場の裏側にスポットを当て、犯人探しをしながら、そんな中でも個人投資家がどうしていけばいいかを説いています。一方の『週刊東洋経済』はもっと単純で、これから株を始める人も視野に入れ、間違えない株の買い方特集といった趣です。視点としては圧倒的に『週刊ダイヤモンド』の方が面白く、こちらを今週の第1位にします。一方の『週刊東洋経済』は個人的な知り合いも出ていたりして、中身が面白くないわけではありませんが、それ以外の2誌と比較して新鮮味に欠けることから第4位にしました。
 第2位はそろそろ企業も本格的に「脱デフレ体制」にシフトしなければいけないと警告している『日経ビジネス』です。コストよりもバリューを追求する時代に変化し始めたというメッセージが効いています。
 そして第3位は『週刊エコノミスト』です。ロシアのクリミア編入問題に絡めて世界の地政学的なリスクと、そこからくる資源の問題に迫っています。世界のリーダー的な役割を自認していたはずのアメリカが「変化」してきていると同誌は述べています。国際的なテーマに敏感な人は、この特集を読んでおく必要があるでしょう。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  のさばる外国人投資家の実態

「暴走!日本株 ボロ儲けしたのは誰だ」
 今週の『週刊ダイヤモンド』は扇情的なタイトルで、狙いがはっきりしていて読みたくなる。
 現在、日本の株式市場は世界的に見て最も乱高下が激しい市場となっている。株価の振幅は新興国よりも激しく、世界最悪の乱高下を記録する日も珍しくない。この原因を作り出し、ボロ儲けしているのが"外国人投資家"である。彼らの日本株保有比率は3割を超え、売買シェアは6割を超える。彼らが注目するのは米国経済指標やウクライナ危機などの日本国外の要因。いま日本の株式市場には、国内の「企業業績や経済のファンダメンタルズに着目し、長期的視点で投資する投資家が決定的に不足し」、外国人投資家の"草狩り場"と化しているのだ。
 外国人投資家の核的な存在はグローバルマクロ型ヘッジファンド。ソロスファンドなどが有名だ。主に株式指数の先物を大量に売買することで先物主導の相場を作り出している。それを見て株式指数等を売買する裁定業者(インデックスアーブ)が裁定解消に動き、そこに提灯が連なるようにして短期で売り買いする個人投資家やその他ヘッジファンドが動く。さらに超高速で注文を繰り返すHFTや、テキストマイニングという言語解析による予測システム等までもが持ち出される。国内の投資家は長年にわたる株安や、人材不足によって資金を運用するノウハウが蓄積されないために非常に保守的になっており、このことも外国人投資家をのさばらせている一つの要因にもなっている。特にサラリーマン機関投資家の罪は大きい。
 この問題に対して、個人投資家がとれる対抗策は短期ではなく中長期投資を行なうことしかない。本誌は最後のパートで個人投資家の生き残る道をレクチャーする。
 今週の『週刊ダイヤモンド』は第3特集まである。その第3特集 "ジリキノミクス"。国に頼らない地方活性化の事例を追う。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  デフレ型ビジネスの余命はあと5年

 今週の『日経ビジネス』が特集「脱デフレで勝つ」において伝えたいことはシンプルだ。それは「企業よ、デフレ体質を脱却せよ!」。
 ここ十数年間のデフレによって日本の企業には大中小を問わずデフレ型の経営モデルが染み付いてしまっている。だがアベノミクスによって景気の好転の予兆が感じられるいま、また、消費増税で消費者が買い控えに走るかもしれないいま、デフレ型の経営モデルには寿命が迫りつつある。脱デフレ型の大きなキーワードは「高付加価値化」である。いままでの薄利多売の商品ではなく、商品一つ一つの価値を高める。「安く売る工夫ではなく、高く売る仕組み」を作り出さなければならない。その「高く売る仕組み」について大まかに7つのパートに分けて詳しく説明している。たとえば製造編では、「付加価値の原点は手作り」と題して英国のダイソン。マーケティング編では、エスプレッソマシンで成功を収めつつあるネスレと熱狂的ファンを持つハーレーダビッドゾン。ほか、山梨の高級スーパー・アマノなど、内外の多彩な企業が紹介される。
 デフレ型ビジネスの余命はあと5年。『日経ビジネス』はそう予測し、最後のパートで"脱デフレ型"のモデルとして山口県の「旭酒造」と東京都の「イコールコンディション」の解説を行っている。これらの企業がデフレ経済の中どのようにして"脱デフレ型"の経営を行ってきたか、これも一つの道しるべとなるだろう。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  米国の影響力が低下して起きたリーダー不在

 安倍首相は就任以来、プーチン大統領と5回も会談を重ね、良好な関係を構築してきた。中東に偏りすぎているエネルギー資源供給を分散させるためだ。しかしソチオリンピックが終わろうとしていたある日、ウクライナで反政権デモ隊と治安部隊の衝突が起こった。その後の展開はみなさんもご存じの通り、クリミアでロシア編入を求める住民投票が行なわれ、ロシアはクリミア編入を決め、ロシア軍はクリミアに駐留を続けている。日本はG7の一員としてロシアへの経済制裁に付き合わざるを得ないし、LNGのロシア依存率を高めようという日本のエネルギー政策も変更必至だ。日本はいままさに地政学リスクと資源問題に直面している。
 今週の『週刊エコノミスト』は、「地政学リスクと資源争奪」という特集で国際情勢の変質と現状を、資源を切り口に解説する。
 米国の影響力が低下するなか、各国・地域の勢力図がじりじりと変わろうとしている。それは不安定化ともいえ、寺島実郎氏は「世界の無極化」、リーダーのいない「Gゼロの世界」と呼ぶ。『週刊エコノミスト』編集部は米国の姿勢を「ひきこもり」と評する。本誌は、ロシアの天然ガス、ウクライナの穀物、モロッコのリン鉱石、中国の水など、いま目の前にある地政学リスクを解説する。潮の変わり目、うまく泳ぎきるしかない。


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<<  株投資の秘訣は「勝つ」よりも「負けない」

 期せずして『週刊東洋経済』も今週「株」を特集した。こちらは「いま買える株 買えない株」。NISAをきっかけに株式投資を始めた人など、主に初心者を対象にした株式投資指南書となっている。
 Part1は初心者向けに「下げに強い株」。ここでも「新興国並みに値動きが激しい」日本株でいかに損をしないかに主眼が置かれ、初心者でも安心して買える株がリスト化されている。Part2は中級者向けに「株価が割安の株」、Part3は上級者向けに「リバウンド狙いの株」を発掘する。そして随所で株式投資のプロがアドバイスを繰り広げる。銀座クラブホステス、会社経営者、個人投資家の3つの顔を持つ浅川夏樹さんのアドバイスが、『週刊ダイヤモンド』の特集と重なり説得力があった。曰く「プロと同じ情報を見よう」。「勝つ」よりも「負けない」。そして日経平均もドル建てで把握してトレンドを読むと、売買のタイミングがわかってくるとアドバイスしている。