2014年3月 5日

【来た!見た!書いた!】 地方予算から見えてくる日本の厳しい現実

大きな報道の裏でひっそりまとまった地方予算

 一般会計総額で96兆円弱と過去最大となる2014年度予算案が衆院を通過した2月28日、我々にとって実はもっと身近な「予算」がひっそりと出そろった。47都道府県の2014年度の当初予算案。2月23日に県知事選があったばかりの山口県がようやく予算を発表し、すべての都道府県の分がそろったのだ。
 新聞やテレビで大きく報道される国の予算は、その骨格を認識している人が少なくない。14年度の国の予算案はまず96兆円弱という規模の大きさが耳目を集めている。
 だが自分が住む都道府県の予算額を把握している人はどれだけいるだろうか。今回は、あまり注目されることのない都道府県の予算の姿を通して、今の地方の姿を捉えていきたい。
 まず14年度の都道府県の当初予算案で注目すべきは47団体中、山梨県を除く46団体で税収が伸びることを見込んだ点だ。
 予算編成時期が知事選と重なり、最低限必要な経費を盛り込む「骨格予算」を組んだ石川、京都、山口を除く44都道府県の税収総額は16兆2100億円と、13年度当初予算より7.9%も増えた。
 これを1年前の13年度当初予算案と比べると、違いがよくわかる。13年度は税収の伸びを見込んだ団体は26で、14年度より20も少ない。そして骨格予算を組んだ2団体を除いた45団体の税収総額は14兆8500億円と12年度より2.3%増えただけだ。

自治体の税収回復は実はまだら

「予算における税収なのだから、あくまでも予想、見込みに過ぎないはずだ」と考える人もいるだろう。確かにそういう面はある。だが自治体にとっても、予算と実際の税収が大きくずれることは財政運営上、好ましくない。
 景気などによって最もぶれる確率が高いのが、税収の4分の1程度を占める住民税、事業税の法人2税。ここができるだけぶれないように、自治体の担当者は地元企業に現在の業績や業況を聞くなどして税収額の精度を高めようとしている。だから、予算案の税収見通しはそれなりに確度の高いものだといえる。そう考えると、アベノミクスによる企業業績の回復で、自治体の税収も回復しつつあることがよくわかる。
 ただ税収の回復はどの都道府県もおしなべて、というわけではない。むしろ地域ごとの景況感や立地する産業の違いにより、税収の差がより広がっているように見える。
 税収の増え方を左右するのは地方法人2税。3大都市圏や、円安を追い風に輸出が好調な地元企業がある地域で大きく伸びる。


唯一税収を減らした山梨県の背後にあるもの

 税収の伸び率が19.1%と1位の愛知県はトヨタ自動車など自動車産業が集積しており、法人2税が5割近く伸びる。円高が続いた時期に、以前は盛んだった工場が海外に移ってしまい、円安になってもその恩恵が受けられない地域が少なくない。
 だがトヨタはその逆。円高で苦しい時期でも一定の国内生産は維持してきた。その中心である愛知県は、円安のメリットを最大限受けている自治体だろう。税収の伸び率9位(8.2%)に入った群馬も、富士重工業の好調の追い風を受けている。
 税収の伸び率が10%と3位の福島や、8.4%と8位の宮城。こちらの税収を支えるのは建設業の復活だ。東日本大震災からの復興需要や政府の緊急対策による公共事業の増加で、建設業の収益が改善している。岩手も加えた被災3県は震災前に編成した11年度当初予算の税収を上回る。
 唯一税収を減らす見通しの山梨県は、スマートフォン向けの部品加工機械が前年の特需の反動で落ち込んだファナックなど、主要企業の業績がふるわないことを反映させた。円安で国内生産が復活した自動車と、元気を取り戻せないでいる電機・情報産業の違いが表れているといってもいい。


税収が増えても自治体のサービス充実に結びつかない

 今回の都道府県当初予算案のもうひとつのポイントは、税収が増えても、必ずしも自治体が豊かになったり、住民向けのサービスが充実したりするとは言い切れない点だ。
 44都道府県の一般会計総額は2.9%増の49兆円あまりとなった。
 支出では、高齢化を背景に介護・福祉など扶助費が3.4%、過去の借金の返済に充てる公債費が7.4%増える。これらの伸びが一般会計総額を上回るということは、それ以外の政策に充てる経費が少なくなっていることを意味する。
 住民の高齢化によってどうしても高まる傾向がある扶助費や公債費は自治体にとって固定的な経費で、減らすことが難しい。
 従来なら、地方の財源不足を補うため、国が配分する地方交付税で埋め合わすことも可能だった。だが国も財政が厳しいことから、交付税の額は頭打ちとなっている。税収が増えても、それが自治体サービスの充実に結びつくとは言い切れない時代になっているのだ。


今週の第1位は『日経ビジネス』・・・浮上!Panasonic

日経ビジネス ... 浮上!Panasonic
週刊ダイヤモンド ... いい会社 わるい会社
週刊東洋経済 ... 認知症を生きる
週刊エコノミスト ... 中国危機の真相

 私にも好みがありまして、注目される企業の特集というのはつい読みたくなるものです。ここのところソニーや任天堂などが(第2特集やレポートではありますが)取りあげられていました。で、今週は『日経ビジネス』がパナソニックの特集を組んでいます。2期連続の大赤字の会社がどう改革を成し遂げているのか、昔のゴーン改革は鮮烈でしたが、津賀(社長)改革も地味ではありますが、なるほどと思わせられるところが多く面白く仕上がっていました。これが今週の第1位です。
第2位は「いい会社」という実態があるようでない企業の価値をランキングで表した『週刊ダイヤモンド』です。大手口コミサイトに寄せられている会社の評価を元にランキングを作成しているところがミソ。つまり本音の声で作ったいい会社のランキングというわけです。これは試みとしては面白いですね。これから就職活動が盛り上がってくる時期でもありますし、ま、いい企画ですね。
 第3位は連続で高齢化社会をシリーズのテーマに掲げた『週刊東洋経済』で、今号はその際集会として「認知症」を取りあげています。なかなか切実で重いテーマですが参考になる話が詰まっていました。冒頭の「実際の認知症患者」からの寄稿はちょっと衝撃を受けました。オーストラリアのエリート高級官僚だった女性が46歳で認知症になった話です。
 そして第4位の『週刊エコノミスト』は中国危機をテーマにそれが起こった場合の世界への波及の深刻度をレポートしています。

nikkei_2014.3.05.jpgdia_2014.3.05.jpgtoyo_2014.3.05.jpgeco_2014.3.05.jpg

第1位
■日経ビジネス■ <<<  ツガノミクスは成功しているのか

 2期連続で7000億円を超える最終赤字を計上したパナソニックが2013年の4〜12月期にはなんと過去最終の最終利益を上げるまでに回復した。これによって津賀社長の手法がその名前をもじってアベノミクスならぬツガノミクスと言われている。
『日経ビジネス』はこのツガノミクスのこれまでの足跡と今後の戦略を検証する特集を組んだ。タイトルは「浮上! Panasonic」。冒頭のレポートはインドでの水事業の売り込みに奔走するパナソニックインドの光景。読み進めていくと、パナはBtoC事業からBtoBへと大きく舵を切ろうとしている事が分かる。津賀社長のインタビューでもその点が明言されている。面白かったのは、同時期にやはり赤字に喘いでいたソニーとのこの2年間の株価の推移だ。2013年の8月を酒井にそれまでは同じカーブを描いていた両社の株価がはっきりと分かれ、浮上(パナ)と下降(ソニー)に転じている。そのとき何があったか。なるほどと思わせられる。もちろん最後には外部の声として増収は為替要因で、収益構造は変わっていないとの声もあるが、それでもこの電機メーカーに期待したくなる特集だ。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  本当にいい会社は意外な会社!?

 目次:「本当にいい会社ランキング」、扉:「想定外の会社ランキング」、が、今週の『週刊ダイヤモンド』の特集「いい会社 悪い会社」の目玉である1つのランキングに対する表記だ。「本当にいい会社のランキングを算定してみたら、想定外のランキングになったよ」ということらしい。
「本当にいい会社ランキング」は、47万人の口コミサイト「Vorkers(ヴォーカーズ)」と連携してはじき出したランキングだ。「ヴォーカーズとは、在籍社員による『企業の働きがいレポート』を軸にした転職・就職のための口コミサイトとして2007年にスタート。現在の口コミ投稿数は47万件を超え、掲載企業は8000社に達する」という。若い転職志願者や就活生にはおなじみのサイトなのかもしれない。ヴォーカーズ内で採点された数値のうち、「風通しの良さ」「評価の適正さ」「人材の長期育成」「社員の士気」という外部からは窺い知れない4項目について、合計点の高い企業をランキングしたものらしい。
 さて、第1位はどこでしょう。気になるでしょうから3位までを。1位はリクルートマーケティングパートナーズ、2位グーグル、3位アジレント・テクノロジー・インターナショナル。確かに、就活生の人気企業ランキングとは一線を画す「想定外の」ランキングだ。機械メーカーのコマツが7位にランクインしている。
 このほか、JPタワーや大手町フィナンシャルタワーなど、8つの最先端新築ビルのテナント成約状況をビジュアル化した見開きページも見入ること間違いなし。オックスフォード大学が昨秋発表した「コンピュータ(ロボット化)の影響を受けやすい未来の仕事」も消滅する仕事と勝ち残る仕事としてわかりやすくまとめられている。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  認知症予防には運動、魚、野菜にワイン

『週刊東洋経済』連載特集「高齢ニッポンを考える」のラストは、いまや国民病とも言われる認知症を特集した。タイトルは「認知症を生きる」だ。
 2010年、介護保険制度を利用している認知症高齢社は280万人であるという。そのうち65〜70歳未満の有病率は1.5%。高齢になるほど認知症の発症リスクは高まっていくが、85歳以上では実に27%にのぼる。身近にもアルツハイマー型認知症の親を抱える、あるいは看取った経験がある人は多い。
 特集では、そもそも認知症とはどういう病気か、自分があるいは親や家族が認知症になったらどうするか、予防法は? などなど、体験談をふんだんに用意しながらじっくり読ませる作りになっている。「早期発見・治療・予防」のパートで、「運動、ワイン、魚・野菜中心の食事が◎」と紹介されている。これを解説する山口晴保・群馬大学教授は言う。
「認知症の予防をすれば、元気に生活できる期間である健康寿命は伸びます。しかし一緒に、肉体の寿命も伸びてしまいます。つれて認知症の発症リスクが高まります。『95歳以上では79.5%が認知症』という調査結果があることを知っておいたほうがよいでしょう。認知症の増加は、長生きの賜物なのです」
 そのほか、雑誌巻頭の「核心リポート」と「ニュース最前線」のネタが、バラエティに富んでいて面白かった。習政権の工場爆破命令とか、日本に1兆円投資するカジノ王の記事とか、ちょっと目を通してみてください。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  中国が転けると、みな転ける?

 中国の金融危機が現実のものとなるかどうか、『週刊エコノミスト』は特集でその可能性について言及した。特集のタイトルは「中国危機の真相」だ。
 中国危機とは、要するに利回りの高い理財商品にカネが流れ込み、急激に残高が増え、そしてその商品がデフォルトを起こす可能性が高まっていることで、なぜかといえば、理財商品でカネを集めた銀行が、正規融資が受けられずに資金調達難で喘ぐ民間企業やインフラ整備に追われる地方政府にそのカネを投資したものの、投資先が破綻などを起こしていてその危険性が高まっているからである。
 つまり、このカネはこうした中小企業や地方政府の資金調達先となって実体経済を支えていたわけで、表ではない事から俗にシャドーバンキングと言われていた。
 デフォルトになると、理財商品を買っていた市民が銀行に殺到して暴動にもなりかねないし、新たに理財商品を発行しても買い手がつかなくなって、そうするとシャドーバンキングそのものが機能不全に陥る事になる。では、政府が腹をくくって公的資金を投入するかと言えば、そのカネをどこから引っ張ってくるかという事になり、つまり米国債の最大保有国であることから、米国債の暴落危機も取り沙汰されているというわかりやすい構図である。
 日本のバブル崩壊を見てきた人間にとっては、多少の構造は違えど、歴史は繰り返す的な話ではある。