2014年3月26日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・食卓ルネサンス/ユニクロ大転換

今週の第1位は『日経ビジネス』

日経ビジネス ... 食卓ルネサンス/ユニクロ大転換
週刊エコノミスト ... 景気大失速
週刊ダイヤモンド ... 頼れるクスリ
週刊東洋経済 ... 経済 超入門

 今週目を引いたのはやはり『日経ビジネス』の表紙でした。ユニクロの柳井正会長兼社長の顔に大きく「ユニクロ大転換」と文字が踊っていました。ユニクロがパート、アルバイト1万6000人を正社員化したことを受けて組んだ緊急特集です。一見、例のブラック企業対策だなと思われそうですが、実はその裏に壮大な戦略があると同誌は伝えています。本来の特集である「日本人の食卓の問題」と共にインパクトのある号でした。これが今週の第1位です。
 第2位は先週に続いて『週刊エコノミスト』です。特集のテーマは景気。一言で言えば、消費税増税に加えて、駆け込み需要の反動もあって消費が落ち込み、それをベアなどによる賃金上昇ではカバーできないという構図のようです。政府は楽観し、民間の調査期間は総じて悲観的のようでもあります。詳しくは本誌をご覧下さい。これが第2位。
『週刊ダイヤモンド』の特集はクスリでした。「医療もの」は定番化した企画で、たびたび取りあげられています。昨年の今頃は「目にかかるカネとリスク」という特集でしたが、今回はクスリ全般を取りあげています。それにしても、この種の特集は中身が濃く、ハウツー本よりも取材等の具体性があり優れているのに、なぜそのままにしておくんでしょうかね。
 第4位は『週刊東洋経済』で、これも定番のお勉強ものです。私が編集長になる前の頃ですから今から20年近く前、『週刊ダイヤモンド』でこの種の特集を始めました。それ以来、春になるとこの定番ものが2誌で取りあげられます。というわけで『週刊東洋経済』の「超経済入門」特集は新鮮味の無さで4位となります。わかりやすいし、中身が悪いわけではありません。念のため。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  なぜ家庭料理など作っていたのか!

 今週の『日経ビジネス』の第1特集は「食卓ルネサンス 100兆円市場の新・攻略法」だ。しかし、本来なら第2特集となる後方ページで取り上げられたユニクロが、ニュース性も高く大きな扱いとなった。表紙はユニクロ柳井会長兼社長、そこに「ユニクロ大転換」の大文字がのる。目玉は先頃発表されたばかりの「非正規1万6000人の正社員化」というニュースだ。
 去る3月11日、パシフィコ横浜で行われたファーストリテイリングの巨大会議「FRコンベンション」にて、柳井氏は壇上から「今まで私は数多くの失敗をしてきました」と4100人の参加者に語りかけ、『店長』を主役にした会社から『スタッフ』一人ひとりを主役にした会社に作り替える宣言をした。その戦略と意図を、柳井氏への編集長インタビューも含めてレポートする。
 第1特集「食卓ルネサンス」は、私には強烈だった。Part1「さらば『食卓信仰』」のリードに「家族はできるだけ揃って手作りの食事をした方がいい。日本人が信じてきた食卓の『理想』を、持たないヒトが増えている」とある。正社員で働くお母さんは「もう私は作らない」と宣言し、高齢の男性は宅配弁当の便利さに「なぜ手作りなどしていたのか」と笑顔でこたえる。企業は「極限まで代行」し、味付けまで肩代わりする。出前は深夜2時、デザート1つでも対応し、コンビニやスーパーの一角にはくつろぎ空間が設けられ、買ったものをその場で食べて帰る人も多い。企業からすると、この「食」を巡る100兆円市場の攻略は魅力的だ。母親が一から手作りした料理を囲むなんてことは、これからますます一部の限られた層に与えられた特権......ということになりそうだ。それが本当にいいか悪いかは別にして。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  景気は落ち込みます。当たり前?

 うわあ。大手企業がベア頑張ったり、みんなで触れないように、そうならないようにそっとしてきたのに、『週刊エコノミスト』さん、いきなりドーンとタイトルで「景気大失速」。まるでスポーツ紙の大地震予告みたい。
 消費増税後は失速しますよ。それはそうでしょう。いまや年金暮らしのボリュームゾーンがすごい勢いで調味料や保存食品を箱買いしている。そんなニュースを連日見ていたら「これは反動くるな。景気落ち込むな」と誰もが感じる。しかも、ウクライナも不穏、中国の不良債権がヤバい、そんな海外リスクも重なり、経済は先が読めない嵐の前の静けさ的な状況だ。
 しかし、大手企業、中小企業、生活者、各方面が、安倍自民&日銀が言うようなバラ色の景気回復を信じてきたわけではない。生活防衛をしつつ、多少の失速を飲み込みながら今日も進む。そんな感じだろうか。
 第2特集は「ゼネコン景気の落とし穴」。エコノミスト・リポートでは大麻を解禁した米国コロラド州と海外のトレンドを報告する。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 頼れるクスリは手放せない?

 クスリなんて、カラダに負荷をかけるものだし、飲まないで済むものなら飲まずに済ませたい。が、そういう私も医者から処方された胃のクスリを飲んでいる。うっかり薄着して風邪の症状が出て、週末に総合感冒薬も口にした。飲むだけで苦しい症状がけろっとよくなる場合もあり、そういう経験があると頼れるクスリは手放せない。
 年度替わりの3月ラスト、『週刊ダイヤモンド』はクスリの特集をもってきた。題して「頼れるクスリ」。副題は「病気別 頼れる最新薬リスト&業界のカラクリ」だ。19の病気・症状別に頼れるクスリの最前線をまとめてくれている。がんから糖尿病、痛風、眼疾患、うつ病、そして高血圧、認知症に「痛み」まで。身近なあらゆるカテゴリーが網羅されている感じだ。
 高血圧症治療薬「ディオバン」に関する不正論文問題や、武田薬品「プロブレス」の誇大宣伝、STAP細胞を巡るドタバタもなど、薬品業界の信用を失墜させかねない事件が相次いでいる。製薬業界の裏事情も後半レポートされている。
 野口悠紀雄・早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問が、人気コラム「『超』整理日記」で3週連続ビットコインの可能性について論を展開されている。今週は「ビットコインは地球通過の夢を見るか?」。 


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<< 新聞を読まなくても経済誌は

 新学期、新年度を意識した特集をもってきたのは、『週刊東洋経済』だ。タイトルは「経済<超>入門」。要するに、「春だ!経済を学ぼう」ということらしい。就職を意識し始める大学生、新入社員などなど、読者対象はフレッシュだ。「経済がもっとよくわかる 14のテーマ」「誌面講義と図解で旬のテーマを完全理解」と表紙に書かれている。
 14のテーマとは、アベノミクス景気はいつまで続くか/経常赤字になると何がマズいの?/年金の支給開始年齢引き上げは必要なの?/米国経済の復活はホンモノなのか/中国の不良債権はどこまで深刻か/緊迫のウクライナ プーチンはどう出る?/株価今年はなぜ足踏み?/ビットコインが生き残る根拠とは?/雇用・賃金の改善は地域や産業でさまざま/異次元緩和の効果と現実/法人税率引き下げはなぜ必要か?/シェールガス革命で日本にどんなメリットがある?/不安定化する新興国市場いま何が起こっている?/TPPの妥結等の久我世界は巨大FTA時代に、以上。新入社員のみなさん、このぐらいのことを頭に入れておくと経済誌も読みこなせるよ〜。いや、ほんとに。新聞読まない、ネットニュースで十分という若者ほど、経済誌に目を通してほしいものです。

2014年3月19日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・世界に挑む「紅い旋風」ハイアール

今週の第1位は『日経ビジネス』

日経ビジネス ... 世界に挑む「紅い旋風」ハイアール
週刊エコノミスト ... 経営赤字と本当の国力
週刊ダイヤモンド ... 速効!「営業」学 一流講師陣の集中講義
週刊東洋経済 ... ビジネスマンのための最強ホテル

 人は知らないことを教えてもらった時に喜びを感じます。経済誌の場合だと、それは新しい経営の手法であったり、画期的新製品がいかにして開発できたかであったり、あるいは自分の仕事に役に立つノウハウであったり、儲かるお話であったり......。そういう観点で今週号を見ると、なるほどと思わせられたのは、『日経ビジネス』でした。特集で取りあげたのは中国のハイアールという会社。ご存じの方も多いと思いますが、今や世界トップの白物家電メーカーである中国企業のその経営の強さについて、同誌は取材やCEOへのインタビューを通じて分析していました。これが今週の第1位です。
 次は経常赤字の問題を正面から取りあげた『週刊エコノミスト』です。3月10日に財務省から発表された赤字額は1兆5890億円で、ちょうど1年前に安倍首相が党首討論で答えていた「4兆6000億円の黒字」とはえらい違い方で、円安で株価を上げたアベノミクスですが、ここに来てこの経常赤字とGDPの伸び悩みとで暗雲がたれ込めてきた模様です。これについてエコノミストたちの見解が面白かったですね。
 そして第3位は『週刊ダイヤモンド』の「営業力」の特集です。一言で言えば、大半の学生が社会人になると営業をする事になるのに「大学では『営業学』を教えてないので、それを教えましょう」ということらしいです。そうそうたる講師陣です。
 最後の『週刊東洋経済』はビジネスマンのためのホテル特集です。面白いのですが、この時期に取りあげる必然性をあまり感じられなかったので第4位としましたが、中身は面白いです。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  日本に学び日本を超えた「ハイアール」経営

「再生へ、自ら死せよ」と題されたハイアール集団CEO、張 瑞敏氏のインタビューに、この特集のすべてが語られていた。『日経ビジネス』は今週、白物家電で世界のトップシェア企業「ハイアール」を特集した。
 中国国内で、ハイアールの機能をわかりやすくいえば、「パナソニック+ヤマダ電機+ヤマト運輸+楽天」。中国国内では向かうところ敵なしという陣容だが、張社長はこれから世界に挑もうとしている。自社を「学び続け、変わり続ける企業」と定義する。例えば「技術的に劣る部分はITを活用して世界中の著名な研究機関や優れた技術を持つベンチャーとつなが」り、超過利益を配分する。あまりに改編が多いので組織図は作成されない。人材登用には立候補制を採用し、部門の人間が投票して決まる。結果が出なかったらアウトだ。社員は8年ごとに退職させ、再入社を認める。昨年、グループのナンバー2を輪番制にするとの発表もあった。とにかく型破りだ。しかし「当社の社員は変化に慣れています。このことが最も重要」だという。
 とにかく民主的で競争原理主義的で厳しい! 張社長は「活力があるうちに自ら死を選び、その後の新たな再生へ向かうことを繰り返すしか競争力を保つ手段はありません」との信念を持ち、実践している。張社長が松下幸之助や豊田喜一郎など、日本の創業経営者に関する著書の愛読者だというのは有名だ。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  極点社会日本

「経常赤字と本当の国力」。今週の『週刊エコノミスト』表紙を飾る特集タイトルだ。「円安なのになぜ輸出は増えないのか」というところから出発して、国力を掘り下げたいわけだから、とにかくテーマがでかい。それを5人へのインタビュー、編集部も含め約15名の執筆陣で構成していく。
 第1部の読みどころは、「円安効果は予想より弱い」と答える甘利明・経済再生担当相、「経常赤字は円安妄信の帰結だ」とするアベノミクスに批判的立場の浜矩子・同志社大学教授、「トリクルダウン(誰かが経済的に裕福になれば、困窮者にもその富が滴り落ちるという理論)は実現中だ。日銀は追加緩和を」とする浜田宏一・内閣官房参与、この3人のインタビューだ。対比して読むのをお勧めする。第2部ではものづくり日本の変質と敗戦。第3部は「成長の壁」と題し、日本の弱々しい潜在成長率や、人口オーナス(人口ボーナスの逆の意。オーナス=重荷)など国力を支えるビッグテーマが語られる。過密が続く東京と消滅する地方を「極点社会」と名付け、警鐘を鳴らす増田寛也・元岩手知事の2040年予測が取り上げられる。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  この際「営業学部」を作れ

 特集のリードを大雑把に要約すると、「日本の企業社会では、文系出身の新卒の7割以上が、まず営業部に配属される。企業にとって『営業力』は競争力の源泉だ。にもかかわらず、日本に『営業学』を教える大学はない。本誌は営業を学問として捉え、体系化することを提言したい」とのことで、今週の『週刊ダイヤモンド』第1特集は、「速攻!『営業』学 一流講師陣の集中講義」だ。
 一流講師陣をご紹介しよう。大前研一氏は、営業学概論で「今求められる営業マンの姿」を説く。近代マーケティングの父、フィリップ・コトラー氏は「ビジネススクールでも営業に関するコースを設けるべき」との考えだ。ほか、営業革新論を"日本一のマーケッター"神田昌典氏、コミュニケーション論を"マルチ学者"齋藤孝氏、表現学演習は『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一氏、営業心理学はメンタリストとして注目を集めるDaiGo氏、プルデンシャル生命営業成績No.1・川田修氏が並ぶ。後半はあらゆる業界で激変する営業の現場レポートだ。 


第4位
■ 週刊東洋経済■ <<<  出張に使える「いいホテル」とは

 今週の『週刊東洋経済』は「ビジネスマンのための最強のホテル」を大特集する。リーマン・ショックと東日本大震災の影響で大きく落ち込んだ国内ホテル稼働率が、昨年後半から大きく改善している。「2013年は平均78.3%(前年比4.3%改善)と、バブル期ピークに並ぶ水準となっている(全日本シティホテル連盟調べ)」そうだ。客室単価も着実に上がってきている。
 Part1は「進撃のホテル」と題し、外資ホテルの開業ラッシュに沸く業界や、関西ホテル戦争、毎日2.6億人が訪れるサイト「トリップアドバイザー」のランキングがホテルマーケットに与える影響など、ホテル業界の地殻変動をレポートしている。Part2はプロ40人が選ぶホテルランキング「選ばれるホテル」だ。コストパフォーマンス部門とプチぜいたく部門の2つに分けたランキングを13のエリア別に一挙順掲載し、出張時のホテル選びに多いに役立ちそうだ。

2014年3月12日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・東北モデル 被災地が生む革新

日経ビジネス ... 東北モデル 被災地が生む革新
週刊東洋経済 ... 工場異変 どうした日本の製造業
週刊ダイヤモンド ... 最上のエアライン 豪華客船&観光列車
週刊エコノミスト ... アメリカと日本株

 今週は火曜日が3月11日でした。東北大震災から丸3年が経ったこともあり、経済誌のなかで特集を組むところがあるかなと思っていましたが、そのなかで取りあげたのは『日経ビジネス』だけでした。正確に言うと特集以外では『週刊東洋経済』が福島の農家の現状をレポートした記事で取り上げ、『週刊エコノミスト』が「言言語語」の欄で取りあげています。私の見落としもあるかもしれませんが『週刊ダイヤモンド』はまったく取りあげていません。もちろんこれは、いい悪いを行っているのではなくテレビや新聞があれほど特集的な番組や記事を組んでいるのと対照的な問題意識だと感じたからです。
 だからというわけではありませんが『日経ビジネス』が取りあげた被災地が生み出している「革新的ビジネスの現状」の特集が読者としてはいちばんピンと来ました。これが今週の第1位です。
 次に面白かったのはモノ作り日本の根幹である「工場の危機」を訴えた『週刊東洋経済』です。確かに三菱マテリアルの工場の爆発事故や、マルハニチロの子会社の農薬混入事件など、いろいろと問題が起こっているのは事実で、そこにフォーカスした必然性は感じられましたし、レポートもしっかりしていました。
 第3位は恒例のエアラインランキングを特集した『週刊ダイヤモンド』です。エアラインだけでなく、豪華客船と観光列車の情報も併せて掲載しています。そして第4位はアメリカの景気動向が、どう日本株に影響を与えるかという特集を組んだ『週刊エコノミスト』です。今年から金融緩和縮小を始めたアメリカですが景気回復がそのまま行くのか、どうかで日本の株式市場も影響を被るというお話です。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  震災地で奮闘するリーダーたち

 今週の『日経ビジネス』は経済誌で唯一、震災関連を第1特集に持ってきた。悲劇の後に芽生えたイノベーションに期待を込め「東北モデル 被災地が生む革新」とした。
 今の日本は、第1次産業の疲弊、少子高齢化、医療過疎、買い物難民などなど、多くの構造的な課題を抱えている。東北では、その課題が震災の勃発の時から一気に目の前に差し迫り(そんな生易しいものではなかったと思うが)、立ち向かわざるを得ない状況になった。山川編集長も「編集長の視点」で書いているが、「東北は震災によって、日本の中の『課題先進地域』になって」しまった。そして3年の歳月の中でそれを克服しようと奮闘するリーダーも生まれつつあり、そんなリーダーのうちの7人に焦点を当てて、彼らの取り組む事業について今号で紹介し、地方蘇生のヒントとして提示している。
 漁網作りを支えてきた「編み物」技術を生かしたニットブランド「気仙沼ニッティング」を真の地域ブランドに育てようとする若き女性経営者、限界集落の買い物難民を「自動販売機」でフォローするビジネスモデルを確立させつつある60代の社長、東北の意義ある起業を後押しするベンチャー支援事業、漁業の復興に港町の再興をかける遠洋漁業会社社長など、その小さな芽、力強い1歩が紹介されている。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< 危ない「製造業日本の工場 」

 食品工場で日本人パート従業員が異物を混入する事件が起きた。化学メーカーではここ数年爆発事故が頻発している。工場の閉鎖・移転が相次ぎ、高卒正社員は消え、地方経済の地盤沈下は著しい。日本のものづくりの現場が危ない。『週刊東洋経済』はその岐路に立つ日本の製造業の現場を「工場異変」というタイトルで特集した。Part.1「工場の安全 工場で作るモノは安全か」では、「日本の工場から消えた高卒正社員」に人材育成力の低下を見て取れる。Part.2「工場の立地 工場は日本で成立するのか」では地方経済の地盤沈下とともに、世界の縫製工場となったバングラデシュの現状や、台湾系EMSの想像を超える規模なども伝えられる。
 もはや構造的に日本の製造業は成り立つのか? 不安と懸念が尽きないが、Part.3「工場の未来 それでも生き残る工場はどこだ」では、国内生産を深化・進化させようという取組みに希望を見出だすレポートを読むことができる。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  日本の空は変わってきた

 エアラインの特集は、『週刊東洋経済』が2013年5月に「沸騰!エアライン&ホテル」をやって以来、今週『週刊ダイヤモンド』が「最上のエアライン 豪華客船&観光列車」を第1特集に持ってきた。もちろん目玉は「航空会社ランキング」だが、今年は豪華客船と観光列車も組み込まれた。旅好きは春に旅行計画を立てるのか? いや、どうやら3月30日の羽田空港国際線拡充に合わせた特集タイミングのようだ。
 3月30日、羽田発着の国際線が欧州・東南アジアを中心に大幅に増える。主に昼間の便が増えるので、格段に利用しやすくなり、そのぶん価格やサービス面でも利用者は恩恵に預かれそうだ。そのあたりはプロローグの「変わる日本の空」に詳しい。さて、総合満足度第1位の航空会社はどこか? 1位ピーチ・アビエーション。なんと関西を拠点とする関東ではなじみの薄いLCCが第1位。価格・サービスなどカテゴリー別のランキングのほか、「ビジネスクラス格付け」「CA制服対決」などもある。Part3.は「乗る」を楽しみたい人のための「観光列車&豪華客船」情報。旅好きには楽しい特集ではなかろうか。
 第2特集は、1月に『日経ビジネス』が取り上げたイオンに見える負の側面をレポートしている。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 日本経済の行方はアメリカ次第

 今年も日本経済の行方はアメリカ次第。今週の『週刊エコノミスト』はそうスパッと言い切る特集タイトルだ。「アメリカと日本株」という。とにかくパッとしない国内の株式市場だが、この命運を握るアメリカの株、経済、政治を分析する内容だ。
 まずヘッジファンドなど外国人投資家のアベノミクスに対する関心が薄れているとのことだ。そこに追い討ちをかけた安倍首相の靖国参拝。「もっと経済や市場の基盤が固まってからすればよかったのに、早すぎたと話す外国人投資家は多い」という(在米証券会社幹部)。大胆な規制緩和策がなかなか出てこないのも停滞の原因だという。
 過去1年間と5年間の対米国株感応度を計ったランキングが面白い。5年データで上位50社に入った銘柄のうち、1年データでも上位50社に入った銘柄はわずかに9銘柄。誤差もあるだろうが、市場環境の変化が大きいのでは?と思わせる。その他、「日本人が知らない米国の成長を支える50銘柄」など、10人の専門家の分析記事が並ぶ。

2014年3月 5日

【来た!見た!書いた!】 地方予算から見えてくる日本の厳しい現実

大きな報道の裏でひっそりまとまった地方予算

 一般会計総額で96兆円弱と過去最大となる2014年度予算案が衆院を通過した2月28日、我々にとって実はもっと身近な「予算」がひっそりと出そろった。47都道府県の2014年度の当初予算案。2月23日に県知事選があったばかりの山口県がようやく予算を発表し、すべての都道府県の分がそろったのだ。
 新聞やテレビで大きく報道される国の予算は、その骨格を認識している人が少なくない。14年度の国の予算案はまず96兆円弱という規模の大きさが耳目を集めている。
 だが自分が住む都道府県の予算額を把握している人はどれだけいるだろうか。今回は、あまり注目されることのない都道府県の予算の姿を通して、今の地方の姿を捉えていきたい。
 まず14年度の都道府県の当初予算案で注目すべきは47団体中、山梨県を除く46団体で税収が伸びることを見込んだ点だ。
 予算編成時期が知事選と重なり、最低限必要な経費を盛り込む「骨格予算」を組んだ石川、京都、山口を除く44都道府県の税収総額は16兆2100億円と、13年度当初予算より7.9%も増えた。
 これを1年前の13年度当初予算案と比べると、違いがよくわかる。13年度は税収の伸びを見込んだ団体は26で、14年度より20も少ない。そして骨格予算を組んだ2団体を除いた45団体の税収総額は14兆8500億円と12年度より2.3%増えただけだ。

自治体の税収回復は実はまだら

「予算における税収なのだから、あくまでも予想、見込みに過ぎないはずだ」と考える人もいるだろう。確かにそういう面はある。だが自治体にとっても、予算と実際の税収が大きくずれることは財政運営上、好ましくない。
 景気などによって最もぶれる確率が高いのが、税収の4分の1程度を占める住民税、事業税の法人2税。ここができるだけぶれないように、自治体の担当者は地元企業に現在の業績や業況を聞くなどして税収額の精度を高めようとしている。だから、予算案の税収見通しはそれなりに確度の高いものだといえる。そう考えると、アベノミクスによる企業業績の回復で、自治体の税収も回復しつつあることがよくわかる。
 ただ税収の回復はどの都道府県もおしなべて、というわけではない。むしろ地域ごとの景況感や立地する産業の違いにより、税収の差がより広がっているように見える。
 税収の増え方を左右するのは地方法人2税。3大都市圏や、円安を追い風に輸出が好調な地元企業がある地域で大きく伸びる。


唯一税収を減らした山梨県の背後にあるもの

 税収の伸び率が19.1%と1位の愛知県はトヨタ自動車など自動車産業が集積しており、法人2税が5割近く伸びる。円高が続いた時期に、以前は盛んだった工場が海外に移ってしまい、円安になってもその恩恵が受けられない地域が少なくない。
 だがトヨタはその逆。円高で苦しい時期でも一定の国内生産は維持してきた。その中心である愛知県は、円安のメリットを最大限受けている自治体だろう。税収の伸び率9位(8.2%)に入った群馬も、富士重工業の好調の追い風を受けている。
 税収の伸び率が10%と3位の福島や、8.4%と8位の宮城。こちらの税収を支えるのは建設業の復活だ。東日本大震災からの復興需要や政府の緊急対策による公共事業の増加で、建設業の収益が改善している。岩手も加えた被災3県は震災前に編成した11年度当初予算の税収を上回る。
 唯一税収を減らす見通しの山梨県は、スマートフォン向けの部品加工機械が前年の特需の反動で落ち込んだファナックなど、主要企業の業績がふるわないことを反映させた。円安で国内生産が復活した自動車と、元気を取り戻せないでいる電機・情報産業の違いが表れているといってもいい。


税収が増えても自治体のサービス充実に結びつかない

 今回の都道府県当初予算案のもうひとつのポイントは、税収が増えても、必ずしも自治体が豊かになったり、住民向けのサービスが充実したりするとは言い切れない点だ。
 44都道府県の一般会計総額は2.9%増の49兆円あまりとなった。
 支出では、高齢化を背景に介護・福祉など扶助費が3.4%、過去の借金の返済に充てる公債費が7.4%増える。これらの伸びが一般会計総額を上回るということは、それ以外の政策に充てる経費が少なくなっていることを意味する。
 住民の高齢化によってどうしても高まる傾向がある扶助費や公債費は自治体にとって固定的な経費で、減らすことが難しい。
 従来なら、地方の財源不足を補うため、国が配分する地方交付税で埋め合わすことも可能だった。だが国も財政が厳しいことから、交付税の額は頭打ちとなっている。税収が増えても、それが自治体サービスの充実に結びつくとは言い切れない時代になっているのだ。


今週の第1位は『日経ビジネス』・・・浮上!Panasonic

日経ビジネス ... 浮上!Panasonic
週刊ダイヤモンド ... いい会社 わるい会社
週刊東洋経済 ... 認知症を生きる
週刊エコノミスト ... 中国危機の真相

 私にも好みがありまして、注目される企業の特集というのはつい読みたくなるものです。ここのところソニーや任天堂などが(第2特集やレポートではありますが)取りあげられていました。で、今週は『日経ビジネス』がパナソニックの特集を組んでいます。2期連続の大赤字の会社がどう改革を成し遂げているのか、昔のゴーン改革は鮮烈でしたが、津賀(社長)改革も地味ではありますが、なるほどと思わせられるところが多く面白く仕上がっていました。これが今週の第1位です。
第2位は「いい会社」という実態があるようでない企業の価値をランキングで表した『週刊ダイヤモンド』です。大手口コミサイトに寄せられている会社の評価を元にランキングを作成しているところがミソ。つまり本音の声で作ったいい会社のランキングというわけです。これは試みとしては面白いですね。これから就職活動が盛り上がってくる時期でもありますし、ま、いい企画ですね。
 第3位は連続で高齢化社会をシリーズのテーマに掲げた『週刊東洋経済』で、今号はその際集会として「認知症」を取りあげています。なかなか切実で重いテーマですが参考になる話が詰まっていました。冒頭の「実際の認知症患者」からの寄稿はちょっと衝撃を受けました。オーストラリアのエリート高級官僚だった女性が46歳で認知症になった話です。
 そして第4位の『週刊エコノミスト』は中国危機をテーマにそれが起こった場合の世界への波及の深刻度をレポートしています。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  ツガノミクスは成功しているのか

 2期連続で7000億円を超える最終赤字を計上したパナソニックが2013年の4〜12月期にはなんと過去最終の最終利益を上げるまでに回復した。これによって津賀社長の手法がその名前をもじってアベノミクスならぬツガノミクスと言われている。
『日経ビジネス』はこのツガノミクスのこれまでの足跡と今後の戦略を検証する特集を組んだ。タイトルは「浮上! Panasonic」。冒頭のレポートはインドでの水事業の売り込みに奔走するパナソニックインドの光景。読み進めていくと、パナはBtoC事業からBtoBへと大きく舵を切ろうとしている事が分かる。津賀社長のインタビューでもその点が明言されている。面白かったのは、同時期にやはり赤字に喘いでいたソニーとのこの2年間の株価の推移だ。2013年の8月を酒井にそれまでは同じカーブを描いていた両社の株価がはっきりと分かれ、浮上(パナ)と下降(ソニー)に転じている。そのとき何があったか。なるほどと思わせられる。もちろん最後には外部の声として増収は為替要因で、収益構造は変わっていないとの声もあるが、それでもこの電機メーカーに期待したくなる特集だ。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  本当にいい会社は意外な会社!?

 目次:「本当にいい会社ランキング」、扉:「想定外の会社ランキング」、が、今週の『週刊ダイヤモンド』の特集「いい会社 悪い会社」の目玉である1つのランキングに対する表記だ。「本当にいい会社のランキングを算定してみたら、想定外のランキングになったよ」ということらしい。
「本当にいい会社ランキング」は、47万人の口コミサイト「Vorkers(ヴォーカーズ)」と連携してはじき出したランキングだ。「ヴォーカーズとは、在籍社員による『企業の働きがいレポート』を軸にした転職・就職のための口コミサイトとして2007年にスタート。現在の口コミ投稿数は47万件を超え、掲載企業は8000社に達する」という。若い転職志願者や就活生にはおなじみのサイトなのかもしれない。ヴォーカーズ内で採点された数値のうち、「風通しの良さ」「評価の適正さ」「人材の長期育成」「社員の士気」という外部からは窺い知れない4項目について、合計点の高い企業をランキングしたものらしい。
 さて、第1位はどこでしょう。気になるでしょうから3位までを。1位はリクルートマーケティングパートナーズ、2位グーグル、3位アジレント・テクノロジー・インターナショナル。確かに、就活生の人気企業ランキングとは一線を画す「想定外の」ランキングだ。機械メーカーのコマツが7位にランクインしている。
 このほか、JPタワーや大手町フィナンシャルタワーなど、8つの最先端新築ビルのテナント成約状況をビジュアル化した見開きページも見入ること間違いなし。オックスフォード大学が昨秋発表した「コンピュータ(ロボット化)の影響を受けやすい未来の仕事」も消滅する仕事と勝ち残る仕事としてわかりやすくまとめられている。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  認知症予防には運動、魚、野菜にワイン

『週刊東洋経済』連載特集「高齢ニッポンを考える」のラストは、いまや国民病とも言われる認知症を特集した。タイトルは「認知症を生きる」だ。
 2010年、介護保険制度を利用している認知症高齢社は280万人であるという。そのうち65〜70歳未満の有病率は1.5%。高齢になるほど認知症の発症リスクは高まっていくが、85歳以上では実に27%にのぼる。身近にもアルツハイマー型認知症の親を抱える、あるいは看取った経験がある人は多い。
 特集では、そもそも認知症とはどういう病気か、自分があるいは親や家族が認知症になったらどうするか、予防法は? などなど、体験談をふんだんに用意しながらじっくり読ませる作りになっている。「早期発見・治療・予防」のパートで、「運動、ワイン、魚・野菜中心の食事が◎」と紹介されている。これを解説する山口晴保・群馬大学教授は言う。
「認知症の予防をすれば、元気に生活できる期間である健康寿命は伸びます。しかし一緒に、肉体の寿命も伸びてしまいます。つれて認知症の発症リスクが高まります。『95歳以上では79.5%が認知症』という調査結果があることを知っておいたほうがよいでしょう。認知症の増加は、長生きの賜物なのです」
 そのほか、雑誌巻頭の「核心リポート」と「ニュース最前線」のネタが、バラエティに富んでいて面白かった。習政権の工場爆破命令とか、日本に1兆円投資するカジノ王の記事とか、ちょっと目を通してみてください。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  中国が転けると、みな転ける?

 中国の金融危機が現実のものとなるかどうか、『週刊エコノミスト』は特集でその可能性について言及した。特集のタイトルは「中国危機の真相」だ。
 中国危機とは、要するに利回りの高い理財商品にカネが流れ込み、急激に残高が増え、そしてその商品がデフォルトを起こす可能性が高まっていることで、なぜかといえば、理財商品でカネを集めた銀行が、正規融資が受けられずに資金調達難で喘ぐ民間企業やインフラ整備に追われる地方政府にそのカネを投資したものの、投資先が破綻などを起こしていてその危険性が高まっているからである。
 つまり、このカネはこうした中小企業や地方政府の資金調達先となって実体経済を支えていたわけで、表ではない事から俗にシャドーバンキングと言われていた。
 デフォルトになると、理財商品を買っていた市民が銀行に殺到して暴動にもなりかねないし、新たに理財商品を発行しても買い手がつかなくなって、そうするとシャドーバンキングそのものが機能不全に陥る事になる。では、政府が腹をくくって公的資金を投入するかと言えば、そのカネをどこから引っ張ってくるかという事になり、つまり米国債の最大保有国であることから、米国債の暴落危機も取り沙汰されているというわかりやすい構図である。
 日本のバブル崩壊を見てきた人間にとっては、多少の構造は違えど、歴史は繰り返す的な話ではある。