2014年2月 5日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・中国汚染パニック

日経ビジネス ... 中国汚染パニック
週刊東洋経済 ... 強い農業
週刊ダイヤモンド ... 買っていい株220 買ってはいけない株80
週刊エコノミスト ... 円安異変

『日経ビジネス』が中国の汚染パニックを取りあげました。PM2.5はその最たるものですが、昨年武漢に行った際もそれほど現地の人はマスクをするでもなく、ふつうでした。あんまり現地にいると感じないというのは、その昔日本が公害大国であった頃と同じだなと思っていたのですが、日本がそうであったように事は相当深刻のようです。(当時東京の牛込辺りが確か汚染が一番ひどかったですね)その全貌が分かるのが同誌の特集です。実態のひどさを知る上で、一読に値します。これが今週の第1位です。
 第2位は『週刊東洋経済』の農業の特集です。TPPに揺れる農業ですが、実は日本の農業は強いという視点で「世界で勝つためのヒント」を載せています。興味を持ったのは農業起業家を取りあげた部分でした。
『週刊ダイヤモンド』は株の特集です。市場が軟調になった局面での特集は吉と出るか凶と出るか。買っていい株と買ってはいけない株の特集であるが故に結果に興味があります。予測ではあまり売れないと思うのですが......。
 新興国の通貨不安に伴って、今年になって2回、円が急騰する局面がありました。昨年からの円安傾向に異変ありと論じているのは『週刊エコノミスト』です。米FRBの金融緩和縮小が1月下旬のアルゼンチンショックなどを引き起こし、不安は現実のものとなって進んでいくのか。先行きが心配な局面ではあります。

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第1位
■日経ビジネス■ <<< 異常な癌発症率の「ガン村」もある中国

 PM2.5に汚染された濃霧で3m先も見えない大気。首都北京でのこの有様は成長至上主義の国の方策を変えるインパクトがあったようだ。今週の『日経ビジネス』は「中国汚染パニック」と題して、環境問題の克服に向けて動き出した中国の現状を特集した。
 経済成長のツケと言うべきか、中国はPM2.5をはじめとした環境汚染が蔓延している。河川や土壌汚染から異常な癌発症率の「ガン村」もある。これに対して、どのような対策が取られているのか。例えば、世界最大級の鉄鋼城下町である河北省唐山市。いま、立ち並んだ製鉄所が次々と閉鎖されていっている。環境改善目標達成に向けての強力な圧力が、中央から地方政府に向けられているためだ。しかし、単に汚染源である生産拠点を縮小、閉鎖すれば問題が解決する訳でもなく、雇用などの新たな問題がでてくる。また、生産を減らしても、減らした分が別の場所で生産される「汚染リレー」なる現象も起きている。
 この姿は過去の日本と重なるが、1960年代からの水質・大気汚染対策、90年代からの自動車排ガス対策、00年代からの地球温暖化対策と、段階を踏んできた日本と比べ、今の中国はすべての環境問題が一気に押し寄せている状態。対策が追いついていない。先進各国は中国の現状に合ったノウハウを提供していく必要がある。そして、このノウハウ提供は、日本にとっての環境ビジネスの商機でもある。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  成長する産業「農業」

 本誌には載っていないが、あるトマト農家の話。最新技術を駆使した農法でトマトを栽培、Wi-Fiを使い農作業をコンピュータ管理。こうして育ったトマトは甘く品質が高く、3坪で700万円を超える収益をあげている。一例に過ぎないが、実は農業は儲かる要素を持っている。ITビジネスばかりがもてはやされる昨今、しかし農業生産物のすばらしさは日本の強みだ。今週の『週刊東洋経済』は、「強い農業 世界で勝つためのヒント」として、「成長産業」農業を特集する。
 平均年齢66.2歳、耕作放棄地の面積は滋賀県に匹敵するなど農業に関する暗い話題は多い。しかし、高い競争力を有する農家も存在する。また、安倍政権は農業を成長分野に位置づけ、10年後には農業所得の倍増を描く。こういった状況下で、市場として必須となるのが「海外」だ。縮小する国内市場に対して、アジア市場は2020年までに約3倍に膨らみ、日本食自体への関心も高いとされる。そこで元来の農家だけでなく、企業の農業参入や農業起業家なる人や組織も増えてきている。特集Part2では、様々な企業の農業参入への試みが紹介され、読み応えがある。また、産地間で競争し合うのではなく、「連携」を取ることでの発展も試みられている。農家同士、農家と企業、そして政府の連携がいかに取れるかが、今後の成長を左右するといっても過言ではない。
 第2特集は「瀬戸際に立つデジタルカメラ」。一眼レフにミラーレス、コンパクトとどれをとっても出荷台数が落ちている。中国、欧州ともに販売は低迷し、赤字に苦しむメーカーは多い。瀬戸際で凌げるのか!? 各社の戦略を伝えた。雑誌冒頭の「核心リポート01」で、企業LINEの韓国親会社・グループ会社関係を分析していて、こちらも一読をおすすめ。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 説得力ある銘柄選び!?  

 今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「買っていい株220 買ってはいけない株80」。2014年の株価予測と共に本誌分析の「買っていい株、いけない株」を掲載する。「株式市場が乱高下する今こそ投資のチャンス!」と力強いが、これを書いている2月4日、日経平均は600円以上値下がりした。そんな週に発売とはちょっとお気の毒。ちなみに本特集での年末株価予測は、1万8000円〜1万9000円という結果となった。
 では、Part1「買っていい株220」とは。例えば「隠れた割安株19」「下ブレしにくい株30」「海外投資家が狙う株22」「注目の米国株18」など11のタイトルで220銘柄を掲載。Part2「買ってはいけない株80」はシンプルに「割高で下ブレ懸念の株60」と「値動きが荒く赤字の株20」だ。株式投資をしている方は、ご自分の見方とすりあわせてみたくなるのでは? 説得力ある銘柄選びのような気がします。
 投資家へのインタビューは、株式投資の著書も出しているお笑い芸人の天野ひろゆき氏、元衆議院議員で最近株式投資で儲けたという杉本太蔵氏、マネックス証券松本大氏の3人。とくに最初の2人は柔らかい人選で笑える。
 第2特集は「経済成長なき時代の新しい中央銀行像 イエレンのFRB」。初の女性議長ジャネット・イエレンを待ち受ける課題を読み解く。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  新興国の不安で株も円も不安

 ついに、今月から米FRBの議長がジャネット・イエレンに変わった。初の女性議長である。しかし、状況は必ずしも芳しくない。バーナンキの置き土産(つまり金融緩和縮小)に、出鼻を挫かれそうだと、今週の『週刊エコノミスト』が伝えている。そんな同誌の特集は揺れ動く経済状況をテーマに「円安異変」である。
 そもそもなぜ、株や円が揺れ動いているのか。それは、新興国通貨への不安によるものだ。成長が見込まれる新興国を支えたのは、米国からの資金流入。しかし量的緩和縮小(テーパリング)が始まったことにより、不安視されるように。1月の下旬には「アルゼンチン・ショック」と呼ばれるほどの急落も起きた。
 さらに、1月29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が2月から100億ドル規模での量的緩和縮小を決めた。予想通りにも関わらず、市場は揺れ動いている。これは、日・英・米などの金融機関は新興国への多額の与信を保有していることも多分にある。
 こうした中、専門家は円の動きをどう見るのか。誌面では8人のアンケートを行ない、1ドル=95〜115円の間に収束。さらに、米株高・長期金利上昇から円安・ドル高が進むというのが大方の見通しとなった。特集では、この動きにからめた「下落しやすい赤字国」「強まる株と為替の同時相関」などの記事を並べている。
 第2特集は「脱原発の経済」。脱原発先進国ドイツから、倫理と経済の両立を学ぶ。

【来た!見た!書いた!】 増える外国人観光客を日本経済の立て直しにいかせ

訪日観光客数が1000万人を突破

 日本を訪れた外国人は2013年、初めて1000万人の大台を突破した。日本政府観光局が1月中旬に発表した訪日外国人数は前年より24%増えて1036万人。為替相場の円安で豊かになったアジアなどからの訪日旅行が割安になったのに加え、中国人や東南アジア諸国連合(ASEAN)に向けた観光ビザの発給要件緩和、入国管理手続きの改善といった受け入れ体制の整備、格安航空会社(LCC)の就航拡大・増便などが功を奏した。
 ただ日本政府が「訪日外国人旅行者1000万人」を掲げてビジット・ジャパン・キャンペーンなどに取り組み始めたのは小泉純一郎氏が首相だった2003年のこと。その年の訪日外国人数は521万人で、2007年には早くも834万人まで増えたことを考えれば、もっと早くに1000万人を達成してもおかしくなかった。
 2007年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災と、日本を訪れる外国人を増やすには痛手となる大きな事象があったのは確かだが、ビザの発給要件緩和や入国管理手続きの改善などの政策は、もっと以前から打てたはずだ。
 500万人強だった2003年から10年経っての1000万人突破は「観光立国という旗頭を立て、戦略的に目標を定めたオールジャパンの勝利」と政府関係者が自賛するほど誉められたものではない。

長野に急増!? オーストラリア人のスキー客

 もう1つ忘れてはならないのは、日本の訪問外国人の数は、諸外国に比べまだまだ少ない点だ。外国人訪問者数(2012年)で1位のフランスは8301万人、2位の米国は6696万人だ。その国の定住人口に対する外国人訪問者数の比率をみると、日本はわずか8%なのに対し、フランスは131%、イタリアは76%もある。韓国ですら日本の3倍近い22%もあるのだ。
 こうした数値を見てしまうと「観光立国」とは胸を張っては言えまい。安倍晋三首相は2013年の数値が発表されたときに「この数字に甘んじるわけにはいかない」と語ったが、それは正しい認識だ。
 1月中旬週末の長野市の善光寺。中心駅である長野駅から約2キロ、歩いてもいける善光寺は日本人の中高年層に人気の高い観光スポットだ。だがこの日は、日本人に混じって、スキー用のアウターを身にまとったオーストラリア人観光客の家族連れやグループも目立った。
「北海道のニセコ地区に続いてオーストラリア人に人気が出た白馬村だけでなく、今年は志賀高原も外国人スキー客が増えている。善光寺を訪れているのは、そうしたスキーが目的で来日した外国人が観光地として有名な善光寺にも寄っているからだろう」と関係者はみる。
 だが残念なことに、善光寺はお世辞にも外国人にとって優しい観光地とはいえない。もちろん国宝の本堂や山門などの建物には、日本語とともに英語の案内が出ている。だがみやげ物店や飲食店が並ぶ参道には、英語の表記はほぼゼロに近い。


午後の4時半には店を閉めてしまう日本の観光地

 ちらちらと雪が降り始めた寒い中、「暖かい甘酒はいかがですか」と日本語で呼びかけを続けるみやげ物店の店員と、店の前で甘酒の湯気と匂いに惹かれてたたずむものの、甘酒が何かをわかりかねて手を出しかねている外国人のコントラストは、「観光立国」というにはほど遠い光景だった。
 長野市に住んで数年になる東京都出身の女性はこういうことも指摘する。
「外国人のお客様が来て善光寺を案内するでしょう。すると冬ならともかく夏でも、参道のみやげ物店のほとんどは午後4時半になると店をしめてしまって、入れる店がなくなってしまう。もったいないなぁと思うのよね」
 だがこれは、長野市だけでなく、日本の古くから有名な観光地に共通する課題かもしれない。善光寺のような国内向けの強いコンテンツを持つ観光地ほど保守的で「待っていれば観光客は来てくれるもの」という意識が強い。外国人向けに英語や中国語などの表示を充実させている地域はまだまだ少ない。

訪日外国人数を韓国並みにすればGDP5兆円上昇


 一方、増える外国人をいかして街そのものが変わったケースがある。北海道の倶知安町とニセコ町にまたがるニセコ地域だ。
 米国での同時テロを嫌ったスキー好きのオーストラリア人が良質なパウダースノーに目を付けたのを契機に、ニセコでは外国人が増え始めた。2012年度の外国人宿泊者数は前年度より7割増え過去最高の32万人を記録。ここ10年ほどの宿泊者数は年間120万~130万人を維持していて、減少傾向の日本人を外国人が埋めている構図だ。
 ニセコの街を歩いて気づくのは圧倒的な英語表記の多さや、外国人向けショップの多さなど「外国人が歩き回って楽しめる街」になっている点だ。外国人向けの店を新たにつくるため、起業さえ増えているという。
 訪日外国人が人口比で韓国並みの水準になれば、訪日外国人客数は2800万人になる。これを実現すれば国民総生産(GDP)を5兆円程度、約1%押し上げる効果があるという。人口が減り始めたなかで、外国人観光客がもつ日本経済に対するインパクトはとても大きい。
 政府や自治体や観光関係者は次の目標である訪日外国人2000万人を早急に達成するために、ニセコなどを参考に、今の日本には外国人を増やすには何が足りないかを議論して、次々と施策を打つべきだ。