2014年2月26日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・賃上げ余力 格付け500社

日経ビジネス ... 賃上げ余力 格付け500社
週刊東洋経済 ... ひとりで生きる 単身社会のリアル
週刊ダイヤモンド ... 受験に勝つ! 塾&予備校 徹底比較
週刊エコノミスト ... 負けない投信・ETF

 今週は割に地味な特集が多かった経済誌ですが、そのなかでちょっと目を引いたのは、「あなたの会社はもっと払える」と賃上げを前面に出した特集を掲載した『日経ビジネス』です。同誌の巻頭には「編集長の視点」と言うコラムがあるのですが、それを読むと同誌の明らかな主張が見えてきます。曰く「ベア1%では足りない」と。その意気に感じて(だけでなく相対的にはこれが一番面白かったので)今週の第1位です。
 もう一つ注目しているのはシリーズで高齢化社会をテーマに取りあげている『週刊東洋経済』です。これが第3弾目ですが、今号はいわば、おひとりさま特集。東京など都市部で未婚化が進む日本の「1人での生き方」(=特にお金の問題)を中心に取りあげています。
 今年は大雪で受験が混乱を来しましたが、『週刊ダイヤモンド』はその受験を業界(塾などの教育産業)の側から取材しています。例によって有名&難関校への合格者数の多い塾のランキングなど定番化した感のある特集ですが、その年代を子どもに持つ親にとっては一読しておく必要のある特集なのでしょう。
 最後は、このところ4位が定番化しつつある『週刊エコノミスト』です。今号の特集では投信とETF(上場投資信託)を扱っています。株価がもう一つ安定しないなか、資産ポートフォリオも見直す必要があるという事でしょう。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  1%以上のベアは可能か?

 2月に始まった春闘もちょうど折り返し地点といったところ。3月中旬まで、回答に向けて交渉が続く。トヨタ労組も月額4000円のベア、6.8ヵ月分の一時金を要求した。日本一の企業の回答は、全体の回答にも影響を与えるため注目されている。賃上げの行方はどこに行き着くのか、今週の『日経ビジネス』の特集は「賃上げ余力 格付け500社」。
 今年の春闘のキーワードは「1%」。安倍・黒田体制による再三の要求が、賃上げの気運を高めた。そこで連合は、1%以上引き上げるベアの実施を求める。どれほどの企業が、この要求に答えうるだけの体力があるのか。誌面では、主要500社の賃上げ余力格付けをする。人件費や労働分配率、今期経常利益などから、AAA〜BBに評価。AAAにはNTTドコモやKDDIなどの通信事業者、アステラス製薬などの製薬会社があがった。トヨタも次点のAAに評価。そして、200社が1%の負担は可能だということが数値的に見えてくる。また、ベアは難しい場合は、部分的な賃上げという方法もある。葛藤の末に生まれた「戦略的賃上げ」なるものを紹介する。
 しかし、そもそも「1%」は十分なのだろうか。消費税3%を考えると、1%では実質賃金は目減りする。その点、DMG森精機やアイリスオーヤマは3%のベアを実施した。また、中小企業にアンケートをとったところ、辛い結果に。9割が賃上げをせず、ベア実施となると1.7%になる。7割超が減益となる現状に余力はない。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  おひとりさまに一番必要な事

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「ひとりで生きる 単身社会のリアル」。男女ともに未婚化が進んでいる。2030年には全国平均の生涯未婚率が男性は3割、女性は2割にもなると予測される。都市部の未婚者はさらに多く、2割、3割に収まりそうにない。単身で生きていくのはもはや珍しいことではなくなった。しかし、社会インフラは「家族がいる」前提で設計されてきたため、その負担は単身者自ら被るしかないのが現状だ。そこで特集では、単身社会に備える生き方を指南する。
 要するに一番肝心になるのは老後マネーというオチなのだが、特集前半はマネープラン一色となる。65〜95歳にかかる費用、住まい、介護などなど。健康面で「自覚症状が出たら手遅れ」というひと言がやけにリアルだ。後半は人脈作りや「晩婚」の勧め、男が単身で暮らしやすい町など、生活ソフトを追求する。
 第2特集は「日韓関係 本当に知りたいこと」。李明博前大統領末期、現朴槿恵大統領の現在、韓国民間人に留まらない日本への批判行動に端を発し、日本の世論はネットを中心に「反韓」「嫌韓」ムードが顕著だ。しかし水面下では企業強力や学生交流などが進展しているという。日韓関係の多様な実態に関するレポートだ。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  塾業界でも進むM&A

 少しずつずれながら、1〜3月まで受験シーズンとなる。小・中学校はすでに終わり、地域差はあるが高校・大学は真っ盛りだ。先日の十数年ぶりの大雪では、試験時間が変更されるなど受験するのも一苦労だ。しかし、苦労しているのは学生だけではない。塾・予備校も市場の奪い合いに身を粉にしている。今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「受験に勝つ! 塾&予備校 徹底比較」。業界動向から選ぶべき塾・予備校を探る、定番の特集だ。
 そもそも少子化や大学全入時代において、市場は飽和している。しかし、事業者数は年々増えている。これは、大手塾を辞めて個別指導の個人塾を始めるケースが増えているためだ。9000億円と言われる市場規模の食い合いはさらに激しさを増している。そこで業界で起きているのが、M&Aや共同出資。大手予備校や通信教育企業が、大手塾と協力体制を打ち出す。大学受験予備軍を囲い込むためだ。また、制度や傾向が異なるために進めにくかった地方進出へも乗り出すようになってきている。この2つが、今後の業界実績を大きく変えていく。各誌の受験特集が小中高大すべてに対応するようになったのはここ数年の気がする。少子化はこんなところにも現れている。
 さて、私は巻頭のClose Up2「度重なる大寒波が直撃 撹乱される米経済の実態」に注目した。日本でも2回にわたる積雪で関東ではたいへんな被害を被った地域もある。自動車販売店では消費税アップ前の書入れ時に目算が狂ったという。日本より過酷で長期にわたる寒波が襲う米国。多くのエコノミストが1〜3月の成長率を下方修正しているという。気象の過激化を甘く見てはいけない。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  ポートフォリオ見直しの進め

 今週の『週刊エコノミスト』は「負けない投信・ETF」。塩漬けになっている投信を見直そうという特集だ。『週刊エコノミスト』の主要読者層はいまどの辺りなのだろうか。小金を持った高学歴団塊世代のイメージだが、都心部の駅売り・書店売りの主要購入者像が気になる。
 それはともあれ、昨年は上場投資信託(ETF)を含めた投信(追加型)への資金純流入が3年ぶりに増加。4兆5573億円となった。また、購入額もさることながら解約額も34兆円を超える動きを見せ、投信を買い直す動きと読める。これは、税金の優遇制度が元に戻ったことも影響しているが、もうこれ以上塩漬けにしておきたくないという個人投資家の行動の現れか。今後の金利上昇からの債券価格下落も見据えて、ポートフォリオの見直しをすすめる。
 今週『週刊エコノミスト』で私の目に止まったのは、「それでも夜は明ける」という映画の紹介だ。目が覚めたら突然奴隷になっていたというバイオリニストの米国「自由黒人」ソロモン・ノーサップの実話なのだが、すでにゴールデングローブ賞作品賞を受賞。アカデミー賞9部門にノミネートされている。監督は彫刻家でもあるスティーブ・マックィーン(イギリス出身の黒人で「大脱走」の俳優さんではありません)。プロデューサーにはブラピが名乗りを上げ、自ら出演もしている。久々に映画館まで足を運ぼうかな。

2014年2月19日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる

日経ビジネス ... 昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる
週刊ダイヤモンド ... 消費増税でも売れる! お客をつかむ33の新法則
週刊東洋経済 ... 人口減少の真実
週刊エコノミスト ... 世界史に学ぶ経済

 面白い視点だな、と思ったのは「昭和な会社が強い」と特集タイトルを表紙に謳った『日経ビジネス』です。副題がまた効いていて、<スマホ・パソコンを捨てる>とあります。これは確かに一面の真理で、ITでかなりの業務が効率化されたのに、生産性は昭和と比べてそれほど上がっていない現実があるからです。そこで同誌はそんなアンチITの方針を貫く会社を集めてその強さの裏にあるものを探りました。別にIT廃止論を展開しているわけではなく、だからこそ新鮮に映ったわけです。これは目のつけどころがよかったですね。今週の第1位です。
 第2位は消費税増税を前に「お客をつかむ=売るための極意」を33の法則で展開する『週刊ダイヤモンド』です。面白かったのは地方消費の最大のボリューム層であるヤンキー世帯を大企業もメディアも無視してきた現実を明らかにしている点です。把握しようにも、分析する側にそんなヤンキーの人がいないので分からない、という理屈には思わずなるほどと思った次第です。結構面白かったですね。
 そして第3位はシリーズで高齢化社会を取りあげている『週刊東洋経済』です。先週の「70歳まで働く」という特集から、今週号は人口減少社会の本当の怖さにスポットを当てています。ソニーが危ないという冒頭のレポートも一読の価値ありです。
 第4位は経済は世界史に学ぼうと謳う『週刊エコノミスト』です。特に特集後半の「これが世界史を変えた」では「砂糖と紅茶」「気候変動」「麻薬」「ファッション」「オリンピック」などのキーワードが並び読み物としても面白く仕上がっています。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  昭和と平成ではほぼ生産性は一緒

 今週の『日経ビジネス』の特集は「昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる」。IT化、ネットワーク化、欧米流労務管理、組織のフラット化、科学的経営。これら平成流最新経営法の負の側面に切り込む特集だ。アナログな「昭和な」手法をあえて取り入れ成功している「昭和な会社」がたくさん紹介されるとともに、先週の特集「働き方革命 『超時間労働』が日本を救う」特集と同様、さらなる"働き方革命"の提唱とも言えるレポートとなった。
 私用でスマホを使わない社員には月5000円を支給する、機械部品メーカーの岩田製作所。朝9半まではPCの電源を入れない電機メーカーのキャノン電子。CCメールは許されないソフトウエア開発・販売のドリーム・アーツなどなど、これらの企業は、あえてアナログの手法を選択して経営効率を上げている。メーカー営業部や販売といった部署での例が多いが、どこも業績は上がっている。
 なぜ彼らは禁止や制限をしたのか? その理由は、彼らには弊害の方が大きかったからだ。社員同士や顧客に対するリアルでの対話が少なくなり、対話もメールといった楽な手段に流れた。これは、顧客の要望や情報共有が少なくなりメーカー営業部にとっては致命的。また、メール作成の時間コストや私用による活用といった新たなロスも生まれたというのだ。
 決して「IT化が間違っている」という話ではない。しかし、盲目的にIT化や最新経営手法を信用することは、間違いである。原点回帰も立派な"働き方革命"だ。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 地方消費の最大層は分析不可能な「ヤンキー世帯」

 今週の『週刊ダイヤモンド』は、「今どきの消費者像」を掘り下げるマーケティング特集、「消費増税でも売れる! お客をつかむ33の新法則」だ。「間違いだらけの消費者像」「見えない消費者を捕まえろ」の2部構成でマーケティングの新法則を伝える。中身はこうだ。
 従来のマーケティングは通用しなくなっている。「両親と子ども」が揃った"標準世帯"は1980年代に43.1%あったが、今や23.3%に。そして、地方消費の最大層となっている"ヤンキー世帯"。「彼らには自らを語るすべがない(斎藤環・筑波大学教授)」から、これまでマーケティングの分析ターゲットとして注目されてはこなかった。分析する側に同じような境遇の者がいないのも仇となった。さらに消費者を正確に捉えること自体も依然、一筋縄にはいかない。人口統計的区分は役に立たないし、インタビューで深層心理まで知ることは難しい。そこで、「視線」や「データ追跡」といった新たな手法を有効に活用することが必要とされているのだ。鋭い市場分析に定評ある三浦展カルチャースタディーズ研究所代表のインタビューに現状がよくまとまっている。長くマーケティング畑にいる人ほど読むべき特集となった。
 第2特集は「信用金庫の光と影」。規制と地方衰退の狭間に揺れる信用金庫を伝えた。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<<  東京では介護が不足し、東京周辺では医療が不足

 連続特集「高齢ニッポンを考える」第二弾。『週刊東洋経済』の特集は「人口減少の真実」。先週は「高齢化社会のなかで70歳まで働く」方法を考えたが、今週は「人口減少の影響」によって起きうる問題について考える。
 代表的な人口推計が2つある。1つは2100年に4959万人、もう1つは同年8447万人というものだ。ダブルスコアに近い差だ。前者は、"明治回帰説"と呼ばれ今まで頻繁に使われてきた国立社会保障・人口問題研究所の数値。しかし、こちらは最近の出生率上昇傾向を反映していないとの声が出ている。そして、そこを加味していると思われる値が国際連合による後者の予測値になる。
 これらの前提を踏まえたうえで問題に取り掛かる。東京23区に横浜地域を含めた「東京」、その他を「東京周辺」と規定するとそれぞれに深刻な問題がある。「東京」は介護、「東京周辺」は医療が不足している。地方は人材流出による過疎化の影響がさらに大きく出てくる。特に20〜39歳女性の減りが大きくなる。「就職の際に適した職場が少ない」からだ。人口の再生産能力がある女性人口の減少は各自治体にとって脅威だ。
 特集では、人口減少の解として移民政策を検証する。移民後進国とも呼べる日本ではあるが。この章には谷垣法務大臣も登場する。
 さて、今週末、22日にソニーから2つの商品が発売される。1つは次世代ゲーム機のPS4。先行して発売された欧米では好調な売上げを記録しており、日本でも売上げが期待される。対して、もう1つはVAIO。先日、事業売却が発表され、ソニー製VAIOとしては最後となる商品だ。ソニーはどうなるのか。本誌巻頭「核心リポート」で「ソニー非常事態」として語られる。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  米国に振り回される金融の歴史

「米国の金融政策はなぜ市場を乱す?」―― 金融緩和縮小により、新興国をはじめ多くの市場が混乱した。再浮上した新興国不安が、国際的な資本の米国回帰を強めたためだ。しかし、本当に問題はそこにあるのだろうか。なぜ、米国にこれほどまでに左右されるのか。それを読み解くには、歴史を振り返ると分かることがある。今週の『週刊エコノミスト』の特集は「世界史に学ぶ経済」。
 冒頭の質問に戻ると、特集では世界的なドル体制に混乱の一端を見るべきだとする。ドル体制の始まりは、1944年の国際会議。第二次世界大戦後の通貨体制について検討され、米国が基軸通貨として「金・ドル本位制」を勝ち取った。いわゆるブレトンウッズ体制である。英ポンドからドルへの移行が徐々に行なわれ、73年には変動相場制に移行。それでも地位は揺るがず、世界各国に根付いた。しかしこれは、新興国や途上国など脆弱性のある国の経済は、米国の金融政策に大きく影響を受けることをも意味している。現に、ことあるごとに影響を受けてきた。81〜83年の累積債務問題や97年のアジア通貨危機、渦中にあるアルゼンチンは2001年にもアルゼンチン・デフォルトを起こした。この事実を踏まえれば、金融緩和縮小にばかり言及することは、全体を見失っていると言える。ドル体制が続く限り、今後も新興国は米国に振り回されるというわけだ。
 特集では他にも、「歴史で今を読み解く」「これが世界史を変えた」の2パートに分けて、経済に関する世界史を伝える。

2014年2月12日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・70歳まで働く

週刊東洋経済 ... 70歳まで働く
日経ビジネス ... 働き方革命
週刊ダイヤモンド ... アレルギー・花粉症のウソ・ホント
週刊エコノミスト ... FRBと日銀 次の一手

 今週の経済誌は少し地味な感じがしました。そのうちの2誌が「働く」というテーマを掲げています。『週刊東洋経済』は高齢化社会のなかで70歳まで働くにはどうすればいいかを考え、そのためには45歳から「次の仕事」を考えようと提案しています。おそらく時代の流れもそんな風に変化していくのではないかと考え、これを今週の第1位にしました。時代は変わっていきます。
 もう一つの「働く」を掲げたのは『日経ビジネス』で、こちらは「働き方」にもっとバリエーションを持たせようという考えです。この2誌が同じようなテーマを取りあげたのも、今という時代のなかで「働く事」が重要なファクターになってきているからでしょう。
 これに対して『週刊ダイヤモンド』はこれからの季節に悩む人が多くなる花粉症(アレルギー)がテーマです。今や日本人の4人に1人が花粉症というからその対策や対処法は特集になるのでしょう。
『週刊エコノミスト』は女性初の新議長が就任して話題の米国FRBと日銀の金融政策にスポットを当てました。株価が乱高下する現在の背景にあるものを読み解こうとする特集です。

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第1位
■ 週刊東洋経済■ <<<  45歳から考える次の仕事

 今週の『週刊東洋経済』の特集「70歳まで働く」。連続特集「高齢ニッポンを考える」第一弾なのだそうである。『日経ビジネス』も働き方の特集だ。
「労働参加」が今週の『日経ビジネス』の特集のテーマであるのに対して、『週刊東洋経済』は高齢社の働き方にスポットを当てた。労働市場的にも年金受給状況的にも、70〜75歳くらいまで働くのが当たり前の世の中が迫っているからだ。そこで「次の仕事」でも報われるために、自分で積極的に身の振り方を考えようというのである。
 70歳まで一貫して同じ職場で働く事は難しい。よって、「次の仕事」を探さなければならない。しかし、定年間近になってあれこれ考えても遅い。企業内で幹部へと昇進していけるかが見えてくる実質的なキャリアの転換点「45歳」を1つの分岐点と捉えるよう本誌では勧めている。
 では、実際に何をするべきなのか。まずノウハウや人脈は武器となる。さらに10年以上続けてきた仕事があるならば、そのスキルを磨くことも大切だ。これらの武器を並べてみて、「次の仕事」を考える。また単に再就職だけでなく、最近はシニアからの「ゆる起業で長く働く」という動きも出てきている。起業の主役は60代ともいえるほどの過熱ぶりだ。「発見!シニアの仕事図鑑」「『次の仕事』探しの基礎知識」まで、シニアの企業から再就職まで徹底的にガイドする特集だ。
 第2特集は、3期連続営業赤字に沈む任天堂の真因を語る「崖っぷち任天堂」。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  これからの働き方は「労働参加」

 2012年、総就業者数は6270万人。それが2030年には5449万人に減少するかもしれない。約13%の減少だ。これは、厚生労働省が先月公表した推定値。ただし、この値は「ゼロ成長・現状維持」の場合の値であり、「経済成長・労働参加」の場合は6103万人になる。そんな労働人口減少時代が目前の今週、『日経ビジネス』は「働き方革命」という特集を組んで企業が行なう労働参加の施策を紹介する。
 労働参加の対象として注目されているのは高齢者・専業主婦・ニート。それぞれ2460万人、800万人、63万人と規模の大小はあれ魅力的な労働市場だ。例えば、専業主婦。子育てと長時間労働の両立がうまくいかず専業主婦を選択してきた女性は多い。そこで、「アースミュージック&エコロジー」を手掛けるアパレルのクロスカンパニーは、独自の勤務形態を採用した。それが「4時間正社員・6時間正社員」。その名の通り、4時間または6時間とフルタイムより短い勤務時間で正社員として雇用する。会社は中枢を担う女性社員を出産で失うことがなくなったほか、慢性的な人手不足アパレル業界にあって、時短勤務前提の正社員募集には通常の3倍もの応募があるという。
 その他にも、単に労働参加だけでなく、労働の質を上げる試みも取りあげられる。朝型の働き方にシフトするため、深夜帯の割増賃金率を朝9時まで適用した伊藤忠商事。午後3時に帰れる6時間勤務制度「ろくじろう」を実践するスタートトゥデイ。どちらもプラス面ばかりではないが、改善に向け試行錯誤は続いている。
 人口減少による就業者減少は避けられないが、手を打つことはできる。「労働参加」がこれからのキーワードだ。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 花粉症は治るのか?

 日本にいる4人に1人が辛い思いをする2ヵ月。九州ではすでに、関東では今月末にスギ花粉が蔓延する。25%とは恐るべき割合だが、アレルギーというくくりではさらに多いのが現状だ。その数2人に1人。アレルギー大国とも呼べる日本を特集したのが、今週の『週刊ダイヤモンド』の「アレルギー・花粉症のウソ・ホント」。
 アレルギーの有病率は明確に上がっている。スギ花粉症は1998年16.2%から2008年には26.5%に。小・中・高校生の食物アレルギーは07年2.6%から13年4.5%に。一度かかったら治りにくい性質が、数値を雪だるま式に増やしている。また、アレルギー疾患の低年齢化といった傾向も忘れてはならない。
 そして、アレルギーは人体だけでなく経済にも影響を与えている。00年に旧科学技術庁の報告書では、医療費・医療関連費・労働損失を合わせて2860億円の損失があるとした。現在の患者数は2倍なので5000億円規模ということになる。しかしこれは、見方を変えれば成長市場。今やドラッグストアに行けば、抗アレルギーの医薬品が迷うほど並んでいる。そこで特集は、増える治療法から4つの疑問「花粉症、実は治せる?」「『食べて治す』はホント?」「誤解だらけのアレルギー」「頼れる医者、医療機関の選び方」に回答する形で進んでいく。
 第2特集は「2014年 大学3年生が選んだ就職人気企業ランキング」。大手志向やグローバル志向は今年も顕在。商社人気も相変わらずだが、今年は僅差で住友商事が文系男子の1位になった。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  日銀とFRBの微妙な関係

 今週の『週刊エコノミスト』は、特集記事の前に緊急企画「勃発!世界同時株安」を持ってきた。FRBの緩和縮小によって、世界同時株安が引き起こされている。日本株も大幅に下げ、内外の投資家が株を売って円を買い戻す動きを見せた。急激な円高・株安となり一部からはアベノミクスの終わりとの声も出た。そこまで深刻かどうかは別として、腰を折られたのは事実だろう。
 そこで、今週の特集「FRBと日銀 次の一手」に話は進む。量的緩和縮小に乗り出したFRBと異次元緩和に託した日銀。どちらも引くに引けないところにきていると同誌は解説する。FRBはリーマン・ショック後の緩和により資産規模はGDPの2割に。このまま続ければ資産バブルやインフレの懸念があった米国を、新議長のイエレン女史がいかに混乱をさせずにやり抜くか。
 一方の日本は、約束の「2年で2%」のインフレ目標を達成するためには、追加緩和が必要であるとの声も高まっている。日本をヨソに米国が始める緩和縮小でどうなっていくのか。米国以上の巨額の財政赤字を抱えている日本の正念場ではあるだろう。
 日米、そして欧州を含めた大緩和競争。どの国にとっても与り知らぬ段階にきてしまっているのだと言えるだろう。

2014年2月 5日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・中国汚染パニック

日経ビジネス ... 中国汚染パニック
週刊東洋経済 ... 強い農業
週刊ダイヤモンド ... 買っていい株220 買ってはいけない株80
週刊エコノミスト ... 円安異変

『日経ビジネス』が中国の汚染パニックを取りあげました。PM2.5はその最たるものですが、昨年武漢に行った際もそれほど現地の人はマスクをするでもなく、ふつうでした。あんまり現地にいると感じないというのは、その昔日本が公害大国であった頃と同じだなと思っていたのですが、日本がそうであったように事は相当深刻のようです。(当時東京の牛込辺りが確か汚染が一番ひどかったですね)その全貌が分かるのが同誌の特集です。実態のひどさを知る上で、一読に値します。これが今週の第1位です。
 第2位は『週刊東洋経済』の農業の特集です。TPPに揺れる農業ですが、実は日本の農業は強いという視点で「世界で勝つためのヒント」を載せています。興味を持ったのは農業起業家を取りあげた部分でした。
『週刊ダイヤモンド』は株の特集です。市場が軟調になった局面での特集は吉と出るか凶と出るか。買っていい株と買ってはいけない株の特集であるが故に結果に興味があります。予測ではあまり売れないと思うのですが......。
 新興国の通貨不安に伴って、今年になって2回、円が急騰する局面がありました。昨年からの円安傾向に異変ありと論じているのは『週刊エコノミスト』です。米FRBの金融緩和縮小が1月下旬のアルゼンチンショックなどを引き起こし、不安は現実のものとなって進んでいくのか。先行きが心配な局面ではあります。

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第1位
■日経ビジネス■ <<< 異常な癌発症率の「ガン村」もある中国

 PM2.5に汚染された濃霧で3m先も見えない大気。首都北京でのこの有様は成長至上主義の国の方策を変えるインパクトがあったようだ。今週の『日経ビジネス』は「中国汚染パニック」と題して、環境問題の克服に向けて動き出した中国の現状を特集した。
 経済成長のツケと言うべきか、中国はPM2.5をはじめとした環境汚染が蔓延している。河川や土壌汚染から異常な癌発症率の「ガン村」もある。これに対して、どのような対策が取られているのか。例えば、世界最大級の鉄鋼城下町である河北省唐山市。いま、立ち並んだ製鉄所が次々と閉鎖されていっている。環境改善目標達成に向けての強力な圧力が、中央から地方政府に向けられているためだ。しかし、単に汚染源である生産拠点を縮小、閉鎖すれば問題が解決する訳でもなく、雇用などの新たな問題がでてくる。また、生産を減らしても、減らした分が別の場所で生産される「汚染リレー」なる現象も起きている。
 この姿は過去の日本と重なるが、1960年代からの水質・大気汚染対策、90年代からの自動車排ガス対策、00年代からの地球温暖化対策と、段階を踏んできた日本と比べ、今の中国はすべての環境問題が一気に押し寄せている状態。対策が追いついていない。先進各国は中国の現状に合ったノウハウを提供していく必要がある。そして、このノウハウ提供は、日本にとっての環境ビジネスの商機でもある。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  成長する産業「農業」

 本誌には載っていないが、あるトマト農家の話。最新技術を駆使した農法でトマトを栽培、Wi-Fiを使い農作業をコンピュータ管理。こうして育ったトマトは甘く品質が高く、3坪で700万円を超える収益をあげている。一例に過ぎないが、実は農業は儲かる要素を持っている。ITビジネスばかりがもてはやされる昨今、しかし農業生産物のすばらしさは日本の強みだ。今週の『週刊東洋経済』は、「強い農業 世界で勝つためのヒント」として、「成長産業」農業を特集する。
 平均年齢66.2歳、耕作放棄地の面積は滋賀県に匹敵するなど農業に関する暗い話題は多い。しかし、高い競争力を有する農家も存在する。また、安倍政権は農業を成長分野に位置づけ、10年後には農業所得の倍増を描く。こういった状況下で、市場として必須となるのが「海外」だ。縮小する国内市場に対して、アジア市場は2020年までに約3倍に膨らみ、日本食自体への関心も高いとされる。そこで元来の農家だけでなく、企業の農業参入や農業起業家なる人や組織も増えてきている。特集Part2では、様々な企業の農業参入への試みが紹介され、読み応えがある。また、産地間で競争し合うのではなく、「連携」を取ることでの発展も試みられている。農家同士、農家と企業、そして政府の連携がいかに取れるかが、今後の成長を左右するといっても過言ではない。
 第2特集は「瀬戸際に立つデジタルカメラ」。一眼レフにミラーレス、コンパクトとどれをとっても出荷台数が落ちている。中国、欧州ともに販売は低迷し、赤字に苦しむメーカーは多い。瀬戸際で凌げるのか!? 各社の戦略を伝えた。雑誌冒頭の「核心リポート01」で、企業LINEの韓国親会社・グループ会社関係を分析していて、こちらも一読をおすすめ。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 説得力ある銘柄選び!?  

 今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「買っていい株220 買ってはいけない株80」。2014年の株価予測と共に本誌分析の「買っていい株、いけない株」を掲載する。「株式市場が乱高下する今こそ投資のチャンス!」と力強いが、これを書いている2月4日、日経平均は600円以上値下がりした。そんな週に発売とはちょっとお気の毒。ちなみに本特集での年末株価予測は、1万8000円〜1万9000円という結果となった。
 では、Part1「買っていい株220」とは。例えば「隠れた割安株19」「下ブレしにくい株30」「海外投資家が狙う株22」「注目の米国株18」など11のタイトルで220銘柄を掲載。Part2「買ってはいけない株80」はシンプルに「割高で下ブレ懸念の株60」と「値動きが荒く赤字の株20」だ。株式投資をしている方は、ご自分の見方とすりあわせてみたくなるのでは? 説得力ある銘柄選びのような気がします。
 投資家へのインタビューは、株式投資の著書も出しているお笑い芸人の天野ひろゆき氏、元衆議院議員で最近株式投資で儲けたという杉本太蔵氏、マネックス証券松本大氏の3人。とくに最初の2人は柔らかい人選で笑える。
 第2特集は「経済成長なき時代の新しい中央銀行像 イエレンのFRB」。初の女性議長ジャネット・イエレンを待ち受ける課題を読み解く。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  新興国の不安で株も円も不安

 ついに、今月から米FRBの議長がジャネット・イエレンに変わった。初の女性議長である。しかし、状況は必ずしも芳しくない。バーナンキの置き土産(つまり金融緩和縮小)に、出鼻を挫かれそうだと、今週の『週刊エコノミスト』が伝えている。そんな同誌の特集は揺れ動く経済状況をテーマに「円安異変」である。
 そもそもなぜ、株や円が揺れ動いているのか。それは、新興国通貨への不安によるものだ。成長が見込まれる新興国を支えたのは、米国からの資金流入。しかし量的緩和縮小(テーパリング)が始まったことにより、不安視されるように。1月の下旬には「アルゼンチン・ショック」と呼ばれるほどの急落も起きた。
 さらに、1月29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が2月から100億ドル規模での量的緩和縮小を決めた。予想通りにも関わらず、市場は揺れ動いている。これは、日・英・米などの金融機関は新興国への多額の与信を保有していることも多分にある。
 こうした中、専門家は円の動きをどう見るのか。誌面では8人のアンケートを行ない、1ドル=95〜115円の間に収束。さらに、米株高・長期金利上昇から円安・ドル高が進むというのが大方の見通しとなった。特集では、この動きにからめた「下落しやすい赤字国」「強まる株と為替の同時相関」などの記事を並べている。
 第2特集は「脱原発の経済」。脱原発先進国ドイツから、倫理と経済の両立を学ぶ。

【来た!見た!書いた!】 増える外国人観光客を日本経済の立て直しにいかせ

訪日観光客数が1000万人を突破

 日本を訪れた外国人は2013年、初めて1000万人の大台を突破した。日本政府観光局が1月中旬に発表した訪日外国人数は前年より24%増えて1036万人。為替相場の円安で豊かになったアジアなどからの訪日旅行が割安になったのに加え、中国人や東南アジア諸国連合(ASEAN)に向けた観光ビザの発給要件緩和、入国管理手続きの改善といった受け入れ体制の整備、格安航空会社(LCC)の就航拡大・増便などが功を奏した。
 ただ日本政府が「訪日外国人旅行者1000万人」を掲げてビジット・ジャパン・キャンペーンなどに取り組み始めたのは小泉純一郎氏が首相だった2003年のこと。その年の訪日外国人数は521万人で、2007年には早くも834万人まで増えたことを考えれば、もっと早くに1000万人を達成してもおかしくなかった。
 2007年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災と、日本を訪れる外国人を増やすには痛手となる大きな事象があったのは確かだが、ビザの発給要件緩和や入国管理手続きの改善などの政策は、もっと以前から打てたはずだ。
 500万人強だった2003年から10年経っての1000万人突破は「観光立国という旗頭を立て、戦略的に目標を定めたオールジャパンの勝利」と政府関係者が自賛するほど誉められたものではない。

長野に急増!? オーストラリア人のスキー客

 もう1つ忘れてはならないのは、日本の訪問外国人の数は、諸外国に比べまだまだ少ない点だ。外国人訪問者数(2012年)で1位のフランスは8301万人、2位の米国は6696万人だ。その国の定住人口に対する外国人訪問者数の比率をみると、日本はわずか8%なのに対し、フランスは131%、イタリアは76%もある。韓国ですら日本の3倍近い22%もあるのだ。
 こうした数値を見てしまうと「観光立国」とは胸を張っては言えまい。安倍晋三首相は2013年の数値が発表されたときに「この数字に甘んじるわけにはいかない」と語ったが、それは正しい認識だ。
 1月中旬週末の長野市の善光寺。中心駅である長野駅から約2キロ、歩いてもいける善光寺は日本人の中高年層に人気の高い観光スポットだ。だがこの日は、日本人に混じって、スキー用のアウターを身にまとったオーストラリア人観光客の家族連れやグループも目立った。
「北海道のニセコ地区に続いてオーストラリア人に人気が出た白馬村だけでなく、今年は志賀高原も外国人スキー客が増えている。善光寺を訪れているのは、そうしたスキーが目的で来日した外国人が観光地として有名な善光寺にも寄っているからだろう」と関係者はみる。
 だが残念なことに、善光寺はお世辞にも外国人にとって優しい観光地とはいえない。もちろん国宝の本堂や山門などの建物には、日本語とともに英語の案内が出ている。だがみやげ物店や飲食店が並ぶ参道には、英語の表記はほぼゼロに近い。


午後の4時半には店を閉めてしまう日本の観光地

 ちらちらと雪が降り始めた寒い中、「暖かい甘酒はいかがですか」と日本語で呼びかけを続けるみやげ物店の店員と、店の前で甘酒の湯気と匂いに惹かれてたたずむものの、甘酒が何かをわかりかねて手を出しかねている外国人のコントラストは、「観光立国」というにはほど遠い光景だった。
 長野市に住んで数年になる東京都出身の女性はこういうことも指摘する。
「外国人のお客様が来て善光寺を案内するでしょう。すると冬ならともかく夏でも、参道のみやげ物店のほとんどは午後4時半になると店をしめてしまって、入れる店がなくなってしまう。もったいないなぁと思うのよね」
 だがこれは、長野市だけでなく、日本の古くから有名な観光地に共通する課題かもしれない。善光寺のような国内向けの強いコンテンツを持つ観光地ほど保守的で「待っていれば観光客は来てくれるもの」という意識が強い。外国人向けに英語や中国語などの表示を充実させている地域はまだまだ少ない。

訪日外国人数を韓国並みにすればGDP5兆円上昇


 一方、増える外国人をいかして街そのものが変わったケースがある。北海道の倶知安町とニセコ町にまたがるニセコ地域だ。
 米国での同時テロを嫌ったスキー好きのオーストラリア人が良質なパウダースノーに目を付けたのを契機に、ニセコでは外国人が増え始めた。2012年度の外国人宿泊者数は前年度より7割増え過去最高の32万人を記録。ここ10年ほどの宿泊者数は年間120万~130万人を維持していて、減少傾向の日本人を外国人が埋めている構図だ。
 ニセコの街を歩いて気づくのは圧倒的な英語表記の多さや、外国人向けショップの多さなど「外国人が歩き回って楽しめる街」になっている点だ。外国人向けの店を新たにつくるため、起業さえ増えているという。
 訪日外国人が人口比で韓国並みの水準になれば、訪日外国人客数は2800万人になる。これを実現すれば国民総生産(GDP)を5兆円程度、約1%押し上げる効果があるという。人口が減り始めたなかで、外国人観光客がもつ日本経済に対するインパクトはとても大きい。
 政府や自治体や観光関係者は次の目標である訪日外国人2000万人を早急に達成するために、ニセコなどを参考に、今の日本には外国人を増やすには何が足りないかを議論して、次々と施策を打つべきだ。