2014年1月15日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・メード・ウィズ・ジャパン

 いよいよ、『日経ビジネス』がフルモデルチェンジをしました。その評価は? いろいろあると思いますが、私は面白いと思いました。コラム等は一新されつつ、昔からの「敗軍の将兵を語る」のような企画は残しました。特集の「メード・ウィズ・ジャパン」という企画も新しい視点の提供だと思います。要はこれをどう持続していくかがカギとなります。その場合重要になるのは、これを運営していく仕組み(組織とかシステム)になります。それらがうまく行くようであれば、このモデチェンは成功だと言えるでしょう。まずはこれが今週の第1位です。
 第2位は、いろいろ考えましたが『週刊ダイヤモンド』です。同誌の特集は富裕層。と言っても、その視点は海外の富裕層が日本の何を買っているか、です。アジアの富裕層が都心の超高級マンションを買い漁っているとかはよく聞く話ですが、その拡大版というわけです。でもなかなかリアルな話が散りばめられていて、面白かったですね。
 そして第3位は『週刊東洋経済』です。特集のテーマは「うつ」。昨年「新型うつ」が話題になりましたが、うつという病気は難しく、その正体をきっちり知ってないといけないという視点で構成されています。
 そして最後は『週刊エコノミスト』です。テーマは「日本株」。何せ今年の大発会は昨年末終値よりも下げて始まりました。これは2008年のリーマンショック以来6年ぶりの事で、スワっ、一大事と特集を組んだのでしょう。でも、エコノミスト諸氏は一人を除いて軒並み今年の予想を1万7500円から2万円をつけていますが。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  自前主義からの逸脱

 今週、リニューアルの全貌を現した『日経ビジネス』。今週の「時事深層」は、安倍内閣総理大臣への独占インタビューから始まり、その後に「新春対談・後編 稲森和夫VS柳内正」が続く。前号で明かされたリレー式の新コラム「賢人の警鐘」「異説異論」。本や医療のコラムは「NIKKEI BUSINESS CULTURE」として整理された。デザインは、表紙の雑誌ロゴが変わった。押さえ気味の明朝体だ。ちょっと地味。定期購読が主体だからこれでいいのかな。中のデザインは今まで以上にカラーや写真のエフェクトにこだわり、さらに現代的になった。
 そして今週の特集は「メード・ウィズ・ジャパン」。「イン」ではなく「ウィズ」。かつて、粗悪品から高品質の代名詞に変わり、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられ、自前主義にこだわった日本のものづくり。しかしながら、知ってのとおり「メード・イン・ジャパン」の時代は過去のものだ。いまは、新しい考え方「メード・ウィズ・ジャパン」が成果を出している。自前主義への固執を辞め、現地とともに事業を行なう。例えば、ファミリーマート。従業員の大半は中国人で、運営会社も中華系企業の100%子会社だ。これにより、発言権と配当は下がったが、質とスピードを伴った成長を成し遂げた。他にも楽天にLINE、資生堂、ホンダといった企業もこの精神で成功を収めている。
 この考えは簡単なことではない。誌面でも「矜持と傲慢は紙一重」と説く。しかし、「日本」の価値を残すためには、日本企業が残っていないと始まらない。
 巻頭のコラム「OPENING SHOT」は刺激的で面白かった。これを毎号続けていければ人気コラムになるだろう。それが難しいのですけれどね。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  アジアの富裕層が狙うニッポン

 現地時間12日に本田圭祐がACミランを背負って初出場した。日本人が海外の名門クラブで活躍することに、誇らしさを感じる。年俸7億7000万円の3年半契約。そして、クラブ側が肖像権を保有しない契約だ。つまり、クラブからの年俸以外に年間数億という額が本田サイドに入る。本田は超一流のサッカー選手であり、資産家でもある。今週の『週刊ダイヤモンド』はそんな富裕層の投資について特集した。その名もずばり、「富裕層は何を買っているか」。
 先週の『週刊東洋経済』の特集「不動産 動き出す」にて解説された通り、不動産は優良な投資市場の1つだ。他国の不動産の魅力が減退、底打ちした日本不動産にアベノミクスが加わりキャピタルゲインを含めた高いリターンが期待できる。主に動いているのはアジアの富裕層だ。また日本の富裕層も、国内回帰を着々と進めているとのこと。
 そして、もう1つの投資市場は株。こちらは、米国や欧州を中心とした富裕層が狙いをつけている。日経平均株価は昨年1年間で57%上がり、12月30日の終値は1万6291円31銭。6年2ヵ月ぶりの高値となるなど、期待は高い。
 しかしながら、長きに渡って安全な市場という訳ではない。他国の市場が全体的に低迷しているために、日本がフィーチャーされているだけで、高齢化や人口減少といった問題は控えている。中短期的な投資との見方が強い。特集では、この見方を前提に不動産や株はもちろんのこと、新興市場の明暗や究極の節税・投資術を伝える。
 第2特集は、一向に進まないハコモノ撤去を取りあげた「公共施設を取り壊す!」。


第3位
■ 週刊東洋経済■ <<<  ハイスピードで走り続ける人が読む「うつ」

 今週の『週刊東洋経済』は「うつの正体」。公務員の統計では、国家公務員の1%強、地方公務員の1%弱が、うつが原因のメンタル休職者だという。企業にとってはこの数値が基準となり、下回れば人事部は優秀だと見なされる。「IT企業なら3%台で上出来」なのだそうだ。再発率の高さも企業の頭を悩ませる。1度うつになるとその6割が再発する。「うつは心の風邪」との医療業界のキャンペーンが始まって以来、抗うつ薬は製薬会社のドル箱であることは間違いないし、日本はその一大市場の一つだ。
 うつには決定的な数値や症状はない。そこで現在、診断で使われるのが「DSM」と呼ばれる米国発のマニュアルだ。質問項目を一つひとつ当てはめていくもので、機械的で誰にでもできる代物になっているため、昨今のうつ患者の急増にも一役買っている側面もあるとのことだ。昨年話題となった「新型うつ(未熟型うつ)」は、その背後に発達障害という真因が隠れていることも昨今わかってきたばかり。いずれにしても、精神医療はまだ発展途上の分野。誌面ではうつと診断されても鵜呑みにせず、セカンドオピニオンを取ることをすすめている。また、「気軽に」と表現してもいいくらいさっさと処方される抗うつ薬についても、その投薬に慎重な判断を促す。治療法は投薬だけでなく、磁気療法や認知行動療法などもある。
 しかし、ストレス耐性が高いと自他ともに認める人でも、ある日突然うつ病を発症することもある。元日本テレビキャスター丸岡いずみさんの体験は、ハイスピードで走り続けている人に読んでほしい。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  株価は1万8000円を目指す!?

幸先の良いスタートを切った『週刊エコノミスト』だったが、今週はありがちな特集を。「どうなる日本株」。表紙には葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』を用い、日本株の波乱を喚起させる。というのも新年早々、株価下落から市場が始まったからだ。14日現在で15500円近辺。
 しかし、投資家や市場関係者は強気な考えを見せる。野村証券のセミナーに訪れた機関投資家260人に、14年末予想のアンケートをとった。すると、7割超が1万7000円以上を答えた。また、野村証券としても1万8000円との見通しを出した。その理由は、2つ。企業業績の回復とカネ余りだ。そして、同誌はPER(株価収益率)もその根拠の1つとした。「株価÷過去10年の実績利益」の式から、株価が何年分の利益に相当するかを算出する。出た数値に対して25倍が1つの目安となり、超えると日経平均株価の急落が見られる。実際に足元の1万6000円を計算すると、26.1倍となる。しかし、13年度の大幅増益を加味すると23.5倍となり、25倍の株価を逆算すると1万7014円になるのだ。期待も大きい分、波乱の1年となることは間違いないだろう。特集では、「市場のテーマはこれだ」と題して、「JPX400」「LINE上場」「外国人投資家」「IPO関連」「公募増資」などの解説をする。
 第2特集は「米家電見本市 速報!主要メーカーの戦略と目玉製品」。「4K」「ウエアラブル」「ITと車」がキーワードとなった。

【来た!見た!書いた!】 このままでは新国立競技場建設費の高騰は避けられない

「小泉+細川」対 舛添 で知事選は混沌

 2020年夏季オリンピックの東京大会の関係者は、昨年末からやきもきしっぱなしではないか。
 1つは東京への五輪招致の立役者の1人である猪瀬直樹氏が、医療法人徳洲会グループから5000万円を受け取っていた問題で、2013年末に辞任したからだ。2月9日投開票の東京都知事選で、新しい知事が誰になるかによっては、五輪の準備に大きな影響が出るかもしれない。
 1月12日までの段階では、「脱原発を訴える」元首相の細川護熙氏が、同じく元首相の小泉純一郎氏と連携をとりつつ立候補する見通しだ。自民党が支援する元厚生労働相の舛添要一氏との一騎打ちになる公算が大きい。

 参院選で自民・公明の与党が圧勝した2013年夏のような政治状況であれば、いくら細川氏が元首相で知名度が高いといっても、自民が推す舛添氏の優位は揺るがなかっただろう。だが安倍晋三政権が特定秘密保護法の成立を強行に進めたことで、同法が成立した12月には高かった内閣支持率が急落した。12月末には安倍首相は中韓などから反発の強い靖国神社を参拝し、外交面でもきしみが生じている。
 安倍政権にとっては、政権発足後ずっと高かった支持率に陰りが見え始めたところに、「細川氏+小泉氏」という強力なタッグが突如現れた。仮に反自民の細川氏が知事選に勝つとなると、五輪に向けての準備も猪瀬知事のもとでの当初の計画通りにはいかなくなるだろう。


築地市場移転で建設工事予定価格を大幅引き上げ

 しかしもう1つの問題こそ、2020年東京五輪にとっても、日本全体にとっても実はダメージが大きいかもしれない。建設現場の人手不足が深刻になっていることだ。
 昨年12月27日、東京都が中央卸売市場築地市場(中央区)の移転計画で、再入札の建設工事予定価格を6割、約400億円も引き上げたことがわかった。入札をやり直すため、豊洲新市場の開場は従来予定していた2016年春には間に合わず、最長では2017年春まで延びる可能性があることも、今年に入って明らかになった。
「日本の台所」として知られる築地市場は開場から80年近くがたって、さまざまな施設が古くなり、荷さばきの場所なども大幅に不足している。これを、現在よりも敷地が8割も広い江東区豊洲に移転しようというのが「築地市場の豊洲への移転計画」だ。
 ただこれまでも移転計画は、スムーズには進んでいなかった。豊洲の移転先予定地はかつて都市ガスの製造工場があり、土壌がガスの製造工程で出るベンゼンやシアン化合物などで汚染されていることがみつかった。そこで東京都は13年1月、土壌汚染対策のために新市場の完成を2014年度中から2016年2月に遅らせることを決めた。


建設現場の人手不足と資材価格急騰でゼネコン応札できず

 その完成に向けての入札が行われたのが2013年11月。水産仲卸売場棟など全部で4棟の建物の入札を実施したが、最も規模の小さい管理施設棟を除く主要3棟の入札で、参加希望を出していた大手ゼネコンなどの共同企業体(JV)が応札を辞退した。3棟合計の予定価格は628億円。都庁内では「200億円を超える入札で不調は聞いたことがない」と衝撃が走ったという。
 それだけに東京都が再入札の予定価格をどれくらい引き上げるかが注目されていた。東京都新たに決めた額は1035億円。最初の入札のときより6割超、約400億円という大幅な上乗せは最近の公共工事では例がない。東京都の大型工事では、2020年五輪の会場になる武蔵野の森総合スポーツ施設(調布市)でも2013年7月の入札が成立しなかった。10月の再入札で工事業者が決まったが、そのときの上乗せ幅は1割未満だった。
 どうして公共工事の入札が成立しなかったり、入札の予定価格が大幅に上がったりすることが頻発しているのか。その最大の原因は、建設現場の人手不足と資材価格の高まりで工事の費用が急騰しているのに対し、自治体など発注者側の予算が少なく、ゼネコンなどの事業者が応札できないことだ。
 例えば東京地区の鉄筋工の現在の賃金は1日1万7000円前後と、東日本大震災前に比べて5割前後も上昇した。資材価格も為替相場の円安傾向などで、震災前と比べ1割程度上がっているものが多いという。


20年五輪の施設整備費も大幅に膨らむ?きず


 日本の建設投資は1990年度から96年度まで80兆円前後で推移していたが、国や地方の歳出削減などのためから2012年度には42兆円にまで減った。それに伴い、建設に従事する人は大幅に減っていた。そこに東日本大震災からの復旧・復興需要が生まれ、さらに景気回復でオフィスビルやマンションなどの民間建設、国土強じん化のための公共工事が加わった。建設現場で人手不足が明確になり、賃金が急騰しているのはこういった理由のためだ。
 2020年夏期五輪のメーン会場となる新国立競技場の総工費は当初、約1300億円と想定していたが、計画が大きな規模になりすぎて、最大3000億円に及ぶことが判明した。運営主体の日本スポーツ振興センター(JSC)と文科省は2013年11月、デザインを見直して1852億円にまで圧縮することを決めている。
 だがこの建設費は従来の賃金や資材価格を前提としたものだ。仮に東京都が豊洲新市場の再入札で示した「予定価格の6割超の引き上げ」ならって1852億円に6割を上乗せすれば、3000億円弱になってしまうのだ。2020年五輪の全体の施設整備費は約4500億円の見通しだが、これも大幅に膨らむ恐れがある。
 政府や自治体はまず、着手する公共事業を厳選する必要がある。また官民で、建設現場で働く人が社会保険へ加入しやすくするなどして、建設業に就く人材を増やす努力が欠かせない。

(2014年1月15日)