2013年11月27日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・トヨタ大攻勢

週刊ダイヤモンド ... トヨタ大攻勢
週刊東洋経済 ... サプリ、トクホの嘘と本当
週刊エコノミスト ... 介護離職
日経ビジネス ... 東京五輪 点火

『週刊ダイヤモンド』がトヨタの特集を組みました。今期は6期ぶりの過去最高益決算になろうとするトヨタゆえに注目したのでしょう。そのトヨタの特集を読んでいると、なるほどなと思わせられました。<「もっといいクルマづくり」を徹底しようと言うのです。あらゆる物事の起点を、販売台数や数値目標ではなくモノづくりへと変える。それをみんなで考えていこう>ということなのだそうです。モノ作りの原点に立ったトヨタは強い、と感じた次第です。これが今週の第1位。
 第2位は『週刊東洋経済』で、特集は今や多くの人がお世話に案っているサプリとトクホについてです。規制緩和で動き出す2兆円市場とも言われるこの市場の何が本当で何が嘘か、その見分け方を知ることができます。
 第3位の『週刊エコノミスト』は同誌には珍しい前後半に分けた27ページの特集で、介護から起こる「離職」という厳しい現実に目を向けています。後半にある永六輔さんの介護上手になるための話がちょっと心に残りました。
 第4位の『日経ビジネス』はオリンピックに向けて企業も個人も始動しだした、という特集です。私は知りませんでしたが、既に建設業界では競技場等の建設受注が始まっていると言います。7年しかないので動き出すのは当たり前ですが、その動きは建設等にとどまらずあらゆるメーカーやサービス業に広がっていて、同誌の特集はその様をよく伝えています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  Reborn(再生)したトヨタ

「トヨタ大攻勢 豊田章男は何を変えたのか」―― 今週の『週刊ダイヤモンド』の特集だ。表紙にはTOYOTAのエンブレムと社員に熱弁をふるっている豊田章男社長の写真が並ぶ。今月頭に業績予想を上方修正、過去最高益に近づきさらに更新も視野に入れたトヨタ。思い返せば、波乱のない年はなかった。リーマンショックから大規模リコール、東日本大震災にタイの大洪水、そして超円高。そんな中で、2009年に代表取締役になって駆け抜けたのが豊田章男だ。
 特集では"喜怒哀楽"の4つのパートに分けて、トヨタ復活の理由について語られる。最高益に貢献した年3000億円レベルの原価低減やサプライヤーの脱純血主義への転換。東北・新工場計画の功罪や返り咲き人事と切り口はさまざま。また「章男社長にモノ申す!」と題した下請けメーカーの覆面座談会では本音もこぼれる。どれも「Reborn」を掲げたトヨタを鮮明に表している。しかし、一番端的に表しているのは冒頭の豊田章男社長インタビューだ。
 なぜ最高益なのか? なぜ返り咲き人事なのか? インタビューでは、その理由を説明すると共に、トヨタがあるべき姿を語っている。それは、数値ではなく「もっといいクルマづくり」をする企業であること。自社利益を追求するのではなく、業界全体の利益を考えていること。この思いを浸透させ、体現したからこその復活なのだ。経済界から批判された社長自身のレースへの参加も、若い世代には共感する声も多い。豊田氏は個性的な社長になってきた。
 日本をこれからも牽引する企業、トヨタ。この大企業をしっかりと捉えた今週の特集は、読まない訳にはいかないだろう。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<< ストレス軽減に聞くのはビタミンC

 米国の健康食品に関する基準に倣った新制度が2014年度に始まることになった。米国基準は世界50カ国以上で採用されているから、トクホのようなローカルルールを離れ、日本製品を世界中に輸出することも可能になる。国内では機能性表示が認められるため、「売上高10倍!」と意気込む企業もある。健康食品&サプリの国内市場規模は1.7兆円。実は2007年あたりをピークに頭打ち状態なのだという。米国では1994年に機能性表示の制度が導入されたあと爆発的に市場が拡大したことから、日本でも起爆剤として期待されているのだ。今週の『週刊東洋経済』は「サプリ、トクホの嘘と本当」と題し、これから大きく動くこの分野を特集した。
 さて、メルマガ読者の方々も、日常的に健康食品やサプリメントを摂られているのではないか。特集では「間違いだらけのサプリ選び」「健康食品 広告の嘘と本当」など、あのサプリは本当に効く? 摂るべき? という疑問に対する答えがちょっと覗ける。サプリを利用している諸氏にはぜひ読んでみてほしい特集だ。今回のイチオシ情報と思ったのは、70ページの銀座上符メディカルクリニックの上符正志院長の副腎疲労に関する記事だろうか。抗酸化ホルモンDHEAというのがあって、「一流企業の経営者や一度破綻した会社の再建を担うような人の血液を検査すると、DHEAの多さに驚かされる」のだそうだ。ビタミンCがキーになるそうです。


第3位
■週刊エコノミスト■ <<< 
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介護離職

 今週の『週刊エコノミスト』は「介護離職」を特集している。仕事と介護の両立ができずに離職する人が年間10万人。さらに、少子高齢化と定年延長が介護離職者増加に追い打ちをかける。まさに"大介護時代"。育児休業取得者に占める男性の割合は2%だが、介護に関しては男女比が1対2であるという。働く男も女も親や配偶者の介護にどれだけ切実に直面しているか、この数字から見えてくる。
 お金で解決できる人はいいが、ほとんどの個人は大きな組織・共同体に助けを求めるしかない。その辺りがまだまだ制度的に脆弱だ。介護者の85%以上が現役社会人だそうだ。介護離職による経済的な損失は、会社も個人も計り知れない。特集1部は働く介護者の現状、第2部は「介護力をつける」と題して、企業の取組みと介護保険の仕組みなどを伝えている。
 多くの介護者・介護予備軍が戦うための武器である介護情報ゼロからのスタートとなる。こういう特集は余裕のあるうちに手にしておくといいのかもしれない。


第4位
■日経ビジネス■ <<<  動き始めている東京五輪

 新国立競技場が一体どうなるのだろうか? 近未来的なデザインに決まったと思ったら、待ったがかかった。デザインに引っ張られて景観や費用まで現実的ではなくなっていたからだ。縮小の方向で修正されるようだが、私は落選した日本人建築家チームのものが趣もあって良かったと思う。ま、それはさておき、この五輪は閉塞感を打破する起爆剤になりうる。今週の『日経ビジネス』は「東京五輪 点火」と題して、7年後を目指してすでに駆け出した企業と個人をレポートする。
 9月の招致決定以来、様々な業種で五輪体制が取られた。中でも建設は受注先が決まった案件がある。「武蔵野の森総合スポーツ施設」のメインアリーナ棟は竹中工務店、サブアリーナ・プール棟が鹿島建設となった。五輪施設の総工費は4500億円とも言われ、どこも特需に乗りたい。メイン会場に近い新宿駅や渋谷駅の再開発も間に合わせようと急ピッチで進むだろう。
 波に乗りたいのは、物をつくる企業ばかりではない。和食という食文化もその1つだ。今春の海外日本食レストラン数は5万5000店。経営者はほとんどが現地の外国人であり、現地流にアレンジされたなんちゃって和食が供される。そこで、本物の和食文化の共有に向けて、日本流を理解する和食職人の育成教科書(英語・スペイン語・中国語など)の開発などが進められている。
 動き出すのは企業ばかりではない。選手として出場することを夢見る個人もいる。7年という期間は今の小中学生がオリンピック選手へと成長するに十分な時間だ。競技者人口の少ない狙い目の種目も紹介されている。
 賛否を問うていた感すらあった東京五輪だが、決まってみると日本人はみな適応している。せざるを得ないのかもしれないが、やはり楽しみだ。第2特集は先週に続いて「日系アメリカ人という資産 後編」。

2013年11月20日

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・絶望の中国

週刊エコノミスト ... 絶望の中国
週刊東洋経済 ... 6000万ガラケーユーザーのスマホ選び
日経ビジネス ... スマホ第二幕
週刊ダイヤモンド ... 守る資産運用

 今週の経済誌のなかでは特に『週刊エコノミスト』の特集が際立っていたように思います。テーマは中国。それも彼の国の成長しながらどんどん蓄積されていく「絶望」を描いた特集です。都市に出てきても、病気をすると都市の医療保険に加入していないため、田舎に戻らざるを得ない農民工の実態からPM2.5による大気汚染の深刻さまで、その絶望感(どうしようもなさ)を描き、中国が採るべき姿を示唆しています。これが今週の第1位です。
 第2位と3位はどちらもスマホの特集です。ガラケーユーザーの読者に的を絞ったのが『週刊東洋経済』、スマホ市場の今後の動向に注目した『日経ビジネス』というわけで、どちらもそれなりの内容ですが、どちらかと言うと『日経ビジネス』の特集は少し前の『週刊ダイヤモンド』の特集「スマホの次はこれがくると重なる部分もあり、損をしていました。というわけで、前者が2位で後者が3位となります。
 2位の『週刊東洋経済』はガラケー6000万ユーザーに買い替えを促すような特集で、それほど新鮮味はないものの、分厚い取材で、手取り足取りの細やかさで情報を提供しています。3位の『日経ビジネス』では、特集の最後に載せた伊藤譲一MITメディアラボ所長のコメントが的を得ているような気がしました。
 さて、第4位は『週刊ダイヤモンド』です。同誌の特集は「資産運用」がテーマ。NISAなど新商品で盛り上がっている金融業界ですが、一般の市民は何をどう買えばいいのか分からないまま、来春からは消費増税もあるとあって資金の目減りに不安が募っている、ということなのでしょう。「資産を守る」をキーワードに、特集を組んでいます。

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第1位
■週刊エコノミスト■ <<< 成長の裏の絶望

『週刊エコノミスト』はよく中国特集をやっている気がする。そこで確認してみると、約3ヵ月おきに特集を組んでいた。3月に「中国の破壊力」、6月に「中国・韓国の悲鳴」、9月に「墜ちる中国」。そして今週の特集は「絶望の中国」。
 なにが絶望なのか? 過去の誌面では、シャドーバンキングに端を発した経済問題について書かれてきた。または官僚の横領や言論統制といった政治問題についても。これらも絶望の中の1つとしてとりあげられる。しかし、もっと根本的な"生きる"上での絶望が中国では深刻化しているという。その象徴が、出稼ぎ農民(農民工)だ。彼らはけがや病気をしたら終わりだ。出稼ぎにきている農民工の医療保険加入者は1割。雇用主が払っていない、または手取りをあげるため加入しない選択をするためだ。その上、都市部の治療は高額で前払い。けがや病気になってしまった場合は故郷に戻り、就労経験も水泡に帰することになる。こういった格差は数値にも表れる。所得分布の不平等さを表すジニ係数が警戒ラインの0.4を超える0.61だ。しかし、貧困層に限らない「絶望」(ちょっと言い過ぎだと思うが)もある。地下水汚染に食品の品質不安、大気汚染がそれだ。
 こういった絶望の中、政府は「政左経右」の戦略を打ち出す。共産党の一党支配体制を維持しつつ、市場経済化を進めるのだ。くしくも、ビジネスの土壌として中国は優良であり、いまだ支持は厚い。儲けられるうちは、これらの問題は据え置かれていくのだろうか。
 第2特集は「東電解体」。東電が存在する理由を問う。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  ガラケー6000万ユーザーを狙え

 都内で電車に乗っていると、携帯をいじっている人のほとんどがスマホである。肌で感じる普及率は6割を軽く超える感じだが、実は日本のスマホ普及率はそれほど高くない。シンガポールや韓国は7割を超える。いろいろなデータがあるが、日本は最も低い統計で28%(約4人に1人)、高いもので49.8%(IDCによるネット上の調査)の普及率だ。なぜ? ガラケーで満足のユーザーが6000万人もいるからだ。
 今週の『週刊東洋経済』は、まだスマホデビューに二の足を踏む方々に贈る「6000万ガラケーユーザーのスマホ選び」が第1特集だ。まあ、ここ数年で飛躍的に進化したスマホは、今やどの機種を買っても失敗しないレベルに達し、デビューには「絶好のタイミングが到来した」ってことで。
 特集前半は「ガラケーからの乗り換え完全マニュアル」。ドコモ、au、ソフトバンク3社の各種スマホやサービスを3人のスマホプロフェッショナルが評価する。通話に特化するLCC(ローコストキャリア)&タブレットorスマホのダブル持ちなど通話料削減ノウハウも。基本用語解説もあって、検討中のシニアにも優しい作りだ。
 後半「3キャリアの激突」では、ドコモ、au、ソフトバンク3社の戦略分析をメインに、快進撃LINEとの連携と覇権争いなどレポートする。
 第2特集は「白モノ家電に明日はあるか」。電機メーカー最後の砦の白モノ家電。海外メーカーとの攻防とトレンドを伝える。

第3位
■日経ビジネス■ <<<  ウェアラブルはありか?

 先週『週刊ダイヤモンド』がサムスンの限界を特集で取り上げた。片や、アップルも『iPhone 5c』が思うように伸びず、一時の輝きはない。スマートフォンは、世に出て6年ではや完成形まで行き着いたとされ、新興メーカーの台頭と急激なコモディティ化が、アップルとサムスンという2強に襲いかかる。そしてウェアラブル端末の行方は? あらゆるデジタル機器を飲み込んで増殖したスマートフォン。「iPhone後の世界の扉は誰が開くのか」。今週の『日経ビジネス』は、「スマホ第二幕」と題し、iPhone後の世界を予測する。
 特集前半は現在シェア争いの主戦場である中国市場やアフリカ市場における急速な「ローカルモデル」の台頭が描かれ、大手メーカー各社の現状やその戦略がレポートされる。後半は「『目』『腕』『体』の争奪戦」と題してウェアラブルに寄せられる熱狂が描かれる。
 2ヵ月前、『週刊ダイヤモンド』が「スマホの次はこれがくる!」と、ウェアラブル端末にフォーカスした景気のいい特集を組んだが、「はて、ウェアラブルにそこまでの威力があるか?」と疑問だった。実際、部品各社は「ウェアラブル端末市場の立ち上がりに絶対的な確信を持っているわけではない」という。しかも異業種からの参入も多い。自動車産業における自動運転や電気自動車開発と同じようなことがスマホでも起こっている。どこもかしこもSF映画のようなメカの商品が見えてきて、使ってみたいような、疲れてしまいそうな、複雑な気分だ。
 第2特集は「日系アメリカ人という資産」の前編。各界で日米間を支えた日系アメリカ人を紹介する。


第4位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  とにかく守る時代に突入?

 1年前のこの時期に、野田前首相が衆議院解散を明言した。あれから1年と考えると、あっという間だ。その後アベノミクスで「インフレ率2%」が目標に掲げられ、物価はじわじわ上昇してきた。金利上昇も忍び寄る。現金を持っているだけで実質価値が上がったデフレ時代は終わり、預金の価値が目減りするインフレ時代へ。今週の『週刊ダイヤモンド』はそんな時代の資産運用術を「あなたの預金が危ない! 守る資産運用」として特集した。とにかく資産を減らさないことに重点を置いた"守り"の資産運用を伝授しようという特集だ。
 Part1は「これで守る! タイプ別資産運用術」、Part2は、編集部が独自算出した「お金を目減りさせない投資商品ランキング」、Part3は近頃大宣伝されているNISAについて、活用のツボなど。Part4は「主要投資信託&株ランキング」だ。資産を減らさないためには、本当にまあ、たくさんの知識が必要なんだよね......。あ、証券マンや資産運用会社社員による覆面座談会は業界の営業マンの裏が描かれていて面白く読みました。

2013年11月13日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・サムスン

週刊経済誌の読みどころ20131113

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... サムスン
週刊東洋経済 ... 英語は7割でイケル!
日経ビジネス ... 2013年 日本の革新者たち
週刊エコノミスト ... 沈む銀行、浮かぶ銀行

 週刊誌という情報媒体は確かに昔よりも情報の新鮮さが薄れてきました。でも、だからこそ明確になってきたのは、その質です。1つのテーマをどう深堀するか、どう「視点」を持って取りあげるかが重要になってきています。
 その意味で今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は興味深いものでした。秘密主義のベールに包まれた巨大韓国企業「サムスン」を真っ向から取りあげたからです。特に日本のメディアには拒否的な意味で敏感な反応をする同社の問題点を(おそらくネタ元は元社員の日本人でしょうが)あぶり出すことに成功しています。しかし、「イゴンヒ(サムスングループ代表)友の会」というのがあり、日本を代表する電子部品メーカー9社の代表が20年にわたって定期的に会合を持っていたとは!! 今週は間違いなく『週刊ダイヤモンド』が1位です。
 次に面白かったのは『週刊東洋経済』の英語特集です。お勉強ものは同誌の得意技の1つですが、「英語は7割でイケル」と謳っています。外国人妻に聞く日本人の英語力なんて、コラムもあってちょっと気になります。この座談会は英語でやったの? それとも日本語で? これが第2位です。
 第3位は『日経ビジネス』で日本の革新者たちを取りあげ、その人たちがなぜイノベーターになったのかを探っています。表紙にはいま絶好調のLINE森川亮社長が出ています。
『週刊エコノミスト』は銀行特集を組んできました。マクロ的な話ではなく、どう付き合うかと言った消費者目線での特集です。特にネット銀行との付き合い方など工夫が垣間見ることができます。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  韓国のタブーに迫る

「スマートウォッチの旗手となるか!? 『GALAXY Gear』発売!!」―― 世界的には9月、日本では10月半ばに発売された腕時計型のスマホ『GALAXY Gear』だが、どうも上手くはいかなかったようだ。英国ではスマートフォンのおまけとしてプレゼントされたなんて話も聞こえる。1993年の大改革から20年で世界のトップに上りつめたサムスン。そんな大財閥の陰りを『週刊ダイヤモンド』は特集した。「サムスン 日本を追いつめた"二番手商法"の限界」だ。
 まず、注目したいのは特に日本のメディアにとって取材が不可能とまで言われているサムスンを取りあげたことそのものだろう。おそらくは元サムスンの日本人社員がネタ元になっているのだろうが、それにしても現役日本人社員の覆面座談会まで載っているのは迫力である。そのなかで「ダイヤモンドの記者に会ったらクビだ」と言われている事実まで明らかにされているとなるとなおさらだ。
 さて、同誌によると「スマホ依存」「B to B、素材への転換」「世襲問題」はそのアキレス腱だ。
 年間販売台数1.4億台のiPhoneを3.1億台で抜いたGALAXY。これは競合の製品をまね、さらには勝ち抜く二番手商法の賜物ともいえる。しかし、頂点をとってしまい、真似る相手がいなくなったことで、次の一手を見いだせずにいる。家電分野でも日本の技術をキャッチアップしつくし、次のフィールドとしてB to Bと素材を狙っている。しかし、極端な短期成果主義が徹底されるサムスンにおいて、これらの分野は結果がでるまでに時間がかかりすぎる。そのため、こちらも成果が十分にでていない。その間サムスンが登用した日本人技術者は、幹部クラス以下いったい何人に上るだろう。重要人物ほど韓国名を付けた名刺を使わせるなどベールに覆われているが、「サムスンに貢献した日本人技術者ランキング」(45p)としてまとめた力作が見られる。
 韓国の経済をも左右するサムスン。韓国内で"ロイヤルファミリー"とも呼ばれる一族の系譜や巨大財閥のタブーに迫る。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  英語ができるようになる4つの条件

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「英語は7割でイケル!」。発音、文法、単語と完璧を目指しがちな日本人。本誌では「7割英語」を身につけ、実践で磨く大切さを指南する。
 7割英語の条件は4つある。1つ目は中学+αの文法で十分。日本の教科書はレベルが高く、その中の50〜100の構文を使い回せば会話はできるのだ。2つ目は、1500語+専門用語の単語で事足りる。日常会話に比べビジネス会話の方が簡単であり、やり取りは可能だ。3つ目はTOEIC600点以上を目標に。会話力が飛躍的に上がる境目であり、テスト勉強が好きな日本人ならば無理のない目標となる。最後に、ライティング力もつける。効果的な表現や良いフレーズを積極的にまねるなどして、自分のものにするのも1つも技だ。
 この4つを念頭において、継続的な努力をすれば英語でのコミュニケーションは達成できるとする。特集はその後、「現場」と「学習」を章立てて解説する。アジアで生まれた英語「アジア英語」や、力がつく教材ランキング、逆に英語ができないのであれば利用したい翻訳サービスなどなど。社内公用語が英語でもおかしくない時代において、効率よくツールを習得することも、大切な要素となる。
 第2特集は「PV(ページビュー)争奪戦」。新聞、雑誌の読者が減り続け、ネット利用頻度は高まり続けている。独自調査した「国内主要サイト・カテゴリー別PVランキング」で主要153サイトのリアルな集客力がみえる。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  日本で「革新する」ということ。

 どの業界にも「今年の顔」がいる。『日経ビジネス』は、革新者=イノベーターの「今年の顔」として森川亮・LINE株式会社社長を表紙にもってきた。日経BPが主催する「日本イノベーター大賞」が2013年の受賞者を発表。今週はそれに合わせた特集「2013年 日本の革新者たち」となった。
 「独創モデル生む覚悟」「ケタ違い技術を実現する執念」「世界の困難を救う情熱」の3つに分けて、30人の受賞者の中から13人を取り上げている。大賞に輝いた森川亮をはじめ、初の日本一に輝いた東北楽天ゴールデンイーグルスの立花陽三社長や、『JINS』を運営する田中仁・ジェイアイエヌ社長などが特集に並ぶ。
 技術者・研究者のイノベーターたちのエピソードも興味深い。
 細野秀雄・東京工業大学教授は、酸化物半導体「IGZO」の生みの親だ。シャープがこれを用いた液晶ディスプレイを製品化している。細野は超一流の研究者であり、今年のノーベル賞候補に挙げられたほどだが、一方で、彼は学会のつまはじき者であり長く辛酸をなめてきたという一面もある。この続きは、ぜひ記事で感じてもらいたい。
 他にも、世界で初めてニホンウナギの卵採取に成功した塚本勝巴・日本大学教授、プロを破った将棋ソフト『ponanza』の開発者である山本一成・HEROZエンジニアなどがイノベーターとして登場している。

第4位
■週刊エコノミスト■ <<< いざという時、助けてくれない銀行

 12月20日からの三菱東京UFJ銀行の手数料値上げを皮切りに、メガバンクなどの大手行が次々とATM手数料を値上げする。みずほ銀行の反社会的勢力とへの融資問題ももやもやしたままだ。一方、ネット銀行など新しい業態の銀行が伸びている。今週の『週刊エコノミスト』は「沈む銀行、浮かぶ銀行」と題して、これら銀行との賢い付き合い方を探る。
 手数料値上げを行なうメガバンクに比べ、ネット銀行は使いやすさと手数料の安さで業績を伸ばしている。2001年に開業したソニー銀行は、13年3月末で17倍の1兆8574億円の預金残高となった。また、若年層の獲得もできており、これは将来、ローンなどでの収益を確保していることも意味する。企業関連では企業規模による取引銀行の棲み分けが進む。メガバンクはグローバル展開の大企業を、その他が中堅・中小を支える形が出来上がりつつある。「いざというとき助けてくれない」メガバンク離れが、中小企業側でじわりと進んでいるという。
 拡大するキャッシュレス決済の現状をグローバルに解説した記事もあれば、おトクな銀行を手数料や住宅ローン繰り上げ返済手数料で比較したページもある。昨今の銀行まわりの動きと現状のトピックがわかる。

2013年11月 5日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・完全対策 事業承継

週刊経済誌の読みどころ20131105

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 完全対策 事業承継
週刊東洋経済 ... スマートカー巨大市場
日経ビジネス ... 最新版 会社の寿命
週刊エコノミスト ... 自動車サバイバル

 今週の経済誌はテーマが2つに分かれました。1つは「自動車の未来」について。もう1つは「会社の継続性」について。前者は『週刊ダイヤモンド』と『日経ビジネス』、後者は『週刊東洋経済』と『週刊エコノミスト』でした。
 そこでまず紹介するのは『週刊ダイヤモンド』です。事業承継というとテーマが地味ですが、高齢化がどんどん進む日本ではその一大集団を形成する団塊の世代が65歳を迎え、いよいよ本格引退に入るとあって喫緊の課題です。同誌らしくケーススタディやハウツーなど無難にまとめてあります。
 次はスマートカー(=自動車の最新技術)を取りあげた『週刊東洋経済』です。2年ぶりの東京モーターショー開幕間近とあってか、同誌が取りあげたテーマは、おそらくショーでも各社が盛んにアピールするだろうところの技術です。この市場は将来30兆円に膨らむと期待されているようで、日本のみならず世界的な取り組みがなされています。スマートカート言えば、電子や電池など日本の強い技術もあり、有望な市場で注目度も高い、これが今週の第2位です。
 第3位の『日経ビジネス』の特集テーマは「会社の寿命」。その昔、同誌が「会社の寿命は30年」と銘打って同じ特集を打ったのが、ちょうど30年前。と言うわけで、もう一度会社の寿命を見直してみようと言う特集です。もちろんその寿命は短くなっているというのが結論なのですが......。詳しくは本誌をお読みください。
 そして第4位は『週刊エコノミスト』です。こちらは『週刊東洋経済』と同様クルマの特集を組みましたが、ニュアンスはちょっと違って、そのサバイバル戦争です。新技術も大事だけれど、目の前にはもっと喫緊の課題が山積しているということなのでしょう。


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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 事業承継は喫緊の課題

 帝国データバンクのデータによると、後継者不在を理由とした中小企業の廃業は年間約7万社に上るという。その結果、毎年20万〜35万人の雇用が失われる。企業を取り巻く環境変化も相俟って、「10年後には日本の中小零細企業は壊滅している」との悲観論もある。事業承継は、中小零細企業の喫緊の課題。そこで働く従業員のことを考えると、日本の活力を支える重要なテーマだ。今週の『週刊ダイヤモンド』は「家族と従業員を幸せにする会社の継がせ方」を「完全対策 事業承継」として特集した。
 オーナーの年齢が50〜59歳の場合で80.4%、80歳以上でも34.6%の中小企業で「後継者がいない」というデータがある。目の前の事業展開を追ううちに事業承継の準備が疎かになっている現実がある。こういう特集から後継者育成やM&Aへの第1歩が踏み出されるかもしれない。町の不動産屋さん、病院経営者、製造業から老舗店舗まで、身近な事例も満載。「親族に承継する」「親族以外に会社を託す」「大企業・老舗の継がせ方」と、ケースごとに起こりうるトラブルや課題を見せてくれる特集だ。
 第2特集は「日本の魚が危ない」。水産資源としてみた日本漁業の危機を知らせる。


第2位
■ 週刊東洋経済■ <<<  スマホで無人の自動車を呼ぶ光景

 交通の進化となると、東京〜名古屋間で2027年開通を目指しているリニアモーターカーが目下の話題かもしれない。しかし、もっと身近な交通の進化が、いまも着々と進んでいる。それは、自動車だ。スマホで呼んだ無人の自動車が目の前にスーッと現れるなんていうSFみたいな光景も、リニア新幹線よりも早く実現するかもしれない。今週の『週刊東洋経済』は、「スマートカー巨大市場」。自動運転+エコカーで激変する自動車ビジネスを特集した。
 自動車にまつわるトレンドは大きく3つ挙げられる。1つ目は「自動運転」。今、世界的自動車メーカーが集結している場所は、ITベンチャーの聖地でもあるシリコンバレーだ。最新技術を自動車に取り込む動きが盛んで、その1つが自動運転。自動車メーカーだけでなく、Googleが自動運転車プロジェクトを立ち上げ、2017年の実現を目指している。
 2つ目は、「電機との融合」。近年の自動車の進化を語る上で欠かせない、電気自動車。コストの49%が電子部品なんてものもあるほど、もはや家電であり、電機メーカーはもちろん電子部品メーカーの活路ともなりうる。そのため、12年14兆円の市場が、22年には26兆円の市場に拡大するとも予測される。
 3つ目のトレンドは「燃料電池」。水素で走る燃料電池自動車(FCV)。10年前1台1億円もした価格が大きく下がっており、2015年には500万円までになる。また、FCVの普及には水素インフラが欠かせないため、これをめぐる争奪戦も必至だ。
 いろいろな業界を巻き込んで沸騰していく自動車の未来。次世代においても、重要なプロダクトであることには違いない。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  会社の寿命は18年という現実

 今週の『日経ビジネス』の特集は「最新版 会社の寿命」。"最新版"ということは昨年もやった企画か、と思うかもしれないが、実はいまから30年前の話。当時「会社の寿命は30年」と打ち出して経済界に話題を振りまいた。そこで30年経った今年、この企画が再びやってきたという訳だ。
 では、「最新版 会社の寿命」はどれくらいになったのか。答えは、18年。ここまで短くなってしまったのには3つの視点を失ったからだと本誌は投げかける。1つ目は「創業者視点」。苦楽を共に成長させた企業の創業者としての目線を忘れてしまっているということで、一例として大王製紙の暴走が取りあげられている。しかし、もっと根幹での問題は長期投資する姿勢をなくしていること。株主の権利が向上したこともあり、短期収益主義に陥ってしまったと同誌は解説する。
 2つ目は「顧客主義」。これは「顧客より利益」と「顧客よりリスク回避」の二種類あって、後者ではアパレルのつきまとい接客や極端に複雑なパスワードなどが挙げられる。ただしこちらも、「コンプライアンスの行き過ぎ」という時代の変化も考慮すべき点ではある。
 3つ目は、「共創視点」。面白いのが、佐々木正・元シャープ副社長がシャープの敗因として語る。「独創はできた」と前置きをした上で、自信過剰が招いた国内自前主義をあげる点。果たして日本企業は3つの視点を取り戻すことができるのか。成功例として日本電産の例があげられているのが興味深い。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  自動車、新たなビッグ4の時代へ

 自動車の未来をどう捉えるか? 転換期となる次世代を、『週刊東洋経済』は技術進歩と市場拡大という2つのポイントから伝えた。
 一方の『週刊エコノミスト』はどうか。特集のタイトルは「自動車サバイバル」。つまり業界再編の始まりというのである。 
 東京モーターショーを前に、2誌が自動車ビジネス関連のテーマを持ってきたわけだが、自動車業界に登場したキラーコンテンツ「自動運転」の存在も大きい。
 しかし、現実はそんなに甘くないと言うのが、同誌のポイントだ。「自動運転」はおろか、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)も最終的にステーションなどのインフラを含めてどの技術に集約されていくのかまだ先は見えないし、伸びる新興国市場で求められるクルマはまた別の方向性を持つ。自動車産業は、それぞれの市場に合わせた自動車づくりが求められている。
「高付加価値の追求に失敗した電機メーカーの二の舞にはなりたくない」というある自動車メーカー幹部の言葉は業界の本音だろう。
 では、今後自動車業界はどのようになるか。ビッグ4の時代になると誌面では予測する。2025年時点に1000万台以上の規模を確保するにはトヨタ、VW、GM、日産・ルノーの4グループ。地域・事業補完や技術開発などの提携が生き残りのカギになってくるとする。
 特集は第2部として「魅せるクルマ」を紹介する。F1話や「プロが評価するクルマ」など。

【来た!見た!書いた!】 いつもと違う景気回復に地方は安心するな

北海道の景気が絶好調

 日銀が3カ月に1度、支店長会議のあとで各地の景気の現状をまとめて報告する「地域経済報告(さくらレポート)」がある。地域ごとの景況感を測るには最も信頼できる調査・数字だ。最新の報告を発表した10月21日の支店長会議のあとの記者会見では、ある支店長からこんな言葉が飛び出した。
「観光業界は、絶好調という言葉を使ってもよいと思う。ホテル、タクシー、レンタカー、どこに聞いても景気が良い」(札幌支店の曽我野秀彦支店長)。景気について慎重な言い方をすることが多い日銀マンが「絶好調」という言葉を使うこと自体、珍しいことだ。
 日銀は北海道の景気判断を前回7月は「持ち直している」としていたが、10月は「緩やかに回復しつつある」に上方修正した。さくらレポートは2005年に始まったが、北海道の景気判断の文言に「回復」の2文字が入ったのが今回が初めてだという。東南アジアを中心に、外国人の北海道観光人気が高まっていたところに、政府がビザの発給要件の緩和を実施した。北海道は円安に伴う観光需要の増加をうまくつかんだ。安倍政権が「三本の矢」として打ち出した「機動的な財政政策」による公共投資の増加も、北海道の景気をひっぱる役目を果たしている。
「今回の景気回復は、いつもの『飛行機の後輪型経済』とは違うかもしれない」。北海道の経済人からはこんな声も聞かれるようになったという。

「飛行機の後輪」だった地域が躍進

 地域の経済を飛行機やジェット機の後輪にたとえるのを初めて聞いたのは2000年代半ば、日銀の高知支店での記者会見のときだったと思う。景気上昇局面では最後に浮上し、下降局面では最初に降下する。これを離陸時には最後に地面を離れ、着陸時には最初に接地する飛行機の後輪にたとえたものだ。
 当時の高知県は自民党の小泉政権下での地方交付税の削減などにより、他県よりウエイトの重い公共事業が不振を極めていた。円安効果を受けて製造業が好調な中部・関東などが力強い回復を遂げていたのに対し、回復する兆しが見えない状況だった。支店長は「高知は飛行機の後輪型経済といわれていたが、今回は遅れての離陸すらできないかもしれない」。そんな弱気な発言だった。
 当時の高知はともかくとしても、「後輪型経済」というたとえが使われるのは、ほとんどが「全国の景気は回復しても、○○地方の景気回復は遅れている」という文脈においてだ。記事データベースで検索してみると、既に1991年6月に、当時の日銀の札幌支店長が北海道内の景気を説明するのに「飛行機の後輪」という言葉を使っている。おそらく日銀の中で代々使われてきた言葉なのだろう。
 しかし今回の場合、その後輪型回復のパターンがあてはまっていない。
 日銀の企業短期経済観測調査(短観)によると、9月の全国の業況判断DI(全産業)は+2ポイント。これを9つの地域別にみると、北海道が+10、九州・沖縄が+7、東北が+6なのに対し、関東甲信越が2,東海が0と地方が都市部を上回る形になっている。北海道のような地方が「飛行機の後輪」ではなく「前輪」の役割を果たしているといっていい。


製造業よりも非製造業がプラスの現実

 これを、前回の景気回復局面の短観業況判断DI上でのピークである2006年12月と比べてみると面白い。全国の全産業DIは+10。東海は+15、関東甲信越は+13なのに対し、東北は-8、四国は-9、北海道は-13。
 日銀の高知支店長から「今回は遅れての離陸すらできないかもしれない」と弱気の発言が出たことも、このDIを見ると肯ける。2000年代半ばの景気回復は、都市部や東海地方に恩恵が集中した。当時の円安で為替面での利益を得た製造業の立地が多かったからだ。
 昨秋を起点とした景気回復局面も、為替相場が円安方向に修正されたことが大きな改善要因にはなっている。しかし10年前と比べると、地域の製造業の多くは中国や東南アジアなどに製造拠点を移し、それに伴い大企業の仕事を主力とする中堅・中小企業もかなり海外に拠点を設けた。
「発注元の大企業が海外に生産拠点をシフトしており、中小企業の受注が増えない」(日銀福岡支店の市川能英支店長)構造になっているのだ。
 2006年12月の製造業の業況判断DIは+17で、非製造業は+3にとどまった。一方13年9月は製造業が-2にとどまるのに対し、非製造業は+5。


景況感の良いうちに育てなければならないこと

「景気回復のけん引役は地方と非製造業」。ややおおざっぱにまとめると、こんな姿が見えてくる。確かにこれまでの「後輪型経済」とは違った風景が広がりつつある。
 地方企業の経営者で、安堵の思いを抱いている人は多いだろう。だがここで安心することは禁物だ。なぜなら今回の地方景気の回復は円安による外国人観光客増や株高による資産効果に加え、財政支出など一時的な刺激策に頼っている部分も強いからだ。
 最新のさくらレポートでは公共投資について、北海道、東北、九州・沖縄の3地域は「大幅に増加している」、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国は「増加している」「増加傾向を維持している」と報告している。
 地方の景気回復について公共投資がどの程度の役割を果たしているかはより詳細な分析が必要だが、公共事業が引っ張る形での景気回復で思い出すのは、1990年代半ばの地方経済だ。
 しかしこの90年代の公共事業中心の経済は、結果的に日本と地方の財政の大幅な悪化と、自ら成長産業を生みだそうとする地方の自活力をむしろ弱めることにつながった。
 景況感のよいうちに、何よりも地域や地域企業は自立的に成長できる「何か」を育てなければならない。安心しているひまはないのだ。

(2013年11月5日)