2013年9月 4日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・激変! ベストホテル

週刊ダイヤモンド ... 激変! ベストホテル
週刊東洋経済 ... 楽天 VS. Tポイント
週刊エコノミスト ... 「期待」の経済学
日経ビジネス ... 役員報酬の「怪」

 今週は割にどの経済誌も面白かった、というのが第1印象です。ま、こんな僅差の勝負もありますね。
 さて、経済誌の面白さの1つはランキングにあります。どの企業がどの企業よりも(どの点で)優れているか(あるいは劣っているか)が明白になる。つまり企業を見るもう一つの指標です。今週の『週刊ダイヤモンド』はそうした特集の1つ、「ホテルのランキング」を特集しました。もちろんランキングだけではなく、最近の業界の動き、企業の動きをうまく捉えた特集でした。「女性に人気のあるホテルランキング」なんて、きっと当事者は気になるんだろうなぁ。というわけで、これが今週の第1位です。
 次に面白かったのは、『週刊東洋経済』です。ポイントビジネスが大流行りの現在、その2強とも言うべき楽天とTポイントを対比させ、ポイントビジネスに切り込んでいきました。このテーマは実は奥深く、例えば電子決済・電子マネーであるとか、消費者囲い込みのためのIDを利用した派生ビジネスなどにも繋がり、面白いテーマといえるでしょう。
 第3位は『週刊エコノミスト』で、テーマは「期待」の経済学。と言ってもピンと来ない人が多いでしょうが......。そもそも「期待」とは一般的な意味で使われていません。経済学の「期待」はexpectationの訳語で、単なる"予想"という意味。つまり、インフレを期待するのではなく、インフレ予想に働きかけるということなのですね。と言ってもよく分からないか? でも中身は面白かったので。
 そして第4位の『日経ビジネス』ですが、「役員報酬」というこれもちょっと気になるテーマです。日本では日産自動車のカルロス・ゴーン社長の9億8800万円が最高額だそうですが、今や1億円以上のプレーヤーはざら。でもそれは、果たして妥当性があるのか、同誌が分析しています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< いまホテルが激変だ!

 ホテル業界が明るい。
 とくに東京や大阪のホテルが好調だ。海外からのインバウンド(訪日外国人)が増加し、日本人は円安で海外より国内に旅行をシフトしている。さらに、スカイツリーや歌舞伎座新開業、東京ディズニーランド開業30周年など、ホテルがにぎわうコンテンツがそろった感がある。そこを特集したのが今週の『週刊ダイヤモンド』で、タイトルは「激変! ベストホテル」だ。ハイアットの最高級ブランド「アンダーズ」やこれまたラグジュアリーホテルの代表格「アマンリゾーツ」の2014年東京進出など、1990年代、2000年代半ばに続く「第3次ホテル戦争」の感がある。
 変化しているのは、大手ブランドの高級ホテルだけではないのが「激変!」のゆえんだろう。高級路線と低価格ビジネスホテル路線の中間をいく「宿泊特化型」ホテルのクォリティがどんどん上がっている。Part2.「このホテルが面白い!」にまとめられているが、個室、浴室、ロビーなど、個性的でリーズナブルで宿泊してみたくなるホテルがたくさん紹介されていた。弊誌『CEO社長情報』にもご登場いただいた江戸の粋が感じられる「庭のホテル」も登場していた。
「ベストホテル100」のランキングはどうぞお手に取ってご確認を。年代別や役職別のランキングもあり、楽しめる。
 第2特集は「東芝」。新体制による改革を、田中久雄社長のトップインタビューと共に、解説した。


第2位
■週刊東洋経済■ <<<  大混戦のポイント業界

 この夏、知り合いがポイントで旅行に行ったらしい。その方面にはめっぽう疎く、どういう理屈なのかわからない。塵も積もれば山となるといった話なのだろうが、それほどの効力があるとは思いもしなかった。もはや"ポイント"ではなく、電子マネーなのかもしれない。
 そんなポイント業界を取りあげたのが、今週の『週刊東洋経済』の特集「楽天 VS. Tポイント」。Tポイントを運営するカルチャーコンビニエンスクラブ(CCC)と楽天が天下を取るべく各々大きく動いている。CCCは、得意の提携戦略でこの7月にヤフーと提携。楽天は、高還元率と共通ポイントへの移行でポイント経済圏を広げる。ともに、ネットとリアル店舗といった「O2O(Online to Offline)」サービスでの雌雄を争う。ただし、競合が沢山いるのがこの業界。リクルートにNTTドコモ、そしてアマゾンジャパンなどの圧倒的ユーザー数を抱える企業も侮れない。また、LINE株式会社は「LINE」を販促ツール化した「LINE@」をローンチし「LINEマイレージ」の導入準備もしている。一方、ポイントカードを捨てる企業もある。記事ではスタバ、ユニクロ、ミスドの3社の例があげられる。
 大混戦のポイント業界を伝えた、本特集。「ビジネスパーソンのための最強カード14選!」など日常で使える記事もあり、一読の価値ありだ。
 今号は、第2特集「来ちゃうぞ 2020年 東京五輪」、第3特集「国際化するアメ横商店街」、他にもレポートなど読み応えのある記事が並んだ。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  「期待」に働きかける? 経済学? 

 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「『期待』の経済学」。副題は「『期待に働きかける』って何だ?」と、黒田総裁が異次元緩和の際に発した言葉を引用した。その後も、「インフレ期待」など耳にするケースは多いが、その意味をみなが正確に理解していたかというと、怪しいところ。そこで、「期待」という言葉から経済学、特にマクロ経済学をひも解く。
 そもそも「期待」とは一般的な意味で使われていない。経済学の「期待」はexpectationの訳語で、単なる"予想"という意味に過ぎない。つまり、インフレを期待するのではなく、インフレ予想に働きかけるということなのだ。では、その上で、働きかけられているのか? 8月8日の金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は「人々の経済・物価に対する期待は好転している」と手応えを口にした。
 しかし、この考えに警鐘を鳴らす人物がいる。吉川洋・東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授だ。そもそものマクロ経済学が間違っているとする。一般的なマクロ経済は、「政府・日銀」、「代表的企業」、「代表的個人」と中核を成すものが存在する。しかし、吉川洋教授の考えるマクロ経済は、いくつかの企業や家計が集まったミクロコスモス(小宇宙)が、さらに集まってマクロを成すとする。つまり、「日銀が期待に働きかけようとする経済主体は、存在しない」と考えるのだ。
 特集では、吉川洋教授のインタビューのほか、経済学説史や波及経路、金融政策などから「期待」する。


第4位
■日経ビジネス■ <<<  実績に比例しない役員報酬

 9億8800万円、カルロス・ゴーン日産自動車社長の役員報酬だ。日本一の役員報酬であり、この下には300人の1億越えが名を連ねる。この額の多寡が波紋を呼ぶことは往々にしてある。なぜなら、役員報酬の実態が掴めないからだ。今週の『日経ビジネス』の特集は「役員報酬の『怪』」。役員報酬にまつわる20の怪を照らし出した。
 例えば、実績と報酬に比例するのか? 「ROE」、「連結純損益」、「時価総額増減」の3つ軸で比較をしてみる。すると、分かったことは「全く関係がない」だった。冒頭のゴーン氏の1億円当たりの純利益は347億円だが、永易克典・三菱東京UFJフィナンシャル・グループ取締役(役員報酬1億2800万円)は6661億円にもなる。このように不明瞭であり、言ってしまえばトップの「お手盛り」なのだ。他にも、「外国人は厚遇になる」や「大赤字でも巨額の退職慰労金」など謎は深まるばかりである。本特集では、韓国やアメリカの企業から役員報酬の在り方も考える。信賞必罰の韓国、青天井のアメリカとここでもお国柄がでる。どちらも課題はあるものの、大いに学ぶ点はある。役員報酬が明確になり、「ふさわしいだけの額」と誰しもが思えるようになることが、日本企業に求められているのだ。米ファイザーの株主総会招集通知書には、役員賞与を決める22の評価指標と達成率が一覧表で掲載され、40ページのボリュームだという。対して日本では有価証券報告書にわずか数行の記述という企業が大半。この不明瞭さは海外の投資家から敬遠されかねない。
 第2特集は「ファンドマネー日本回帰」。企業が成長する際、リスク込みで支えるファンド。事業会社のVC参入など、熱を帯びてきた日本市場を切り取る。