2013年8月28日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・ワーキングマザー

今週の第1位は『週刊東洋経済』

週刊東洋経済 ... ワーキングマザー
日経ビジネス ... 女性昇進バブル
週刊ダイヤモンド ... 人気医療の罠
週刊エコノミスト ... 本当に強い株・投信

 今週は4誌のうちの2誌が「女性と仕事の関係」を特集に持ってきました。「日本経済の活性化には女性の力が不可欠」とした安倍首相の発言を受けたわけでもないでしょうが、面白い一致です。ただ、中身は若干違っていて、『週刊東洋経済』が働く母親をテーマにすれば、『日経ビジネス』は女性の昇進をテーマにしていました。奇しくもというわけではないですが、この2誌のうち、『週刊東洋経済』を第1位にします。そして、『日経ビジネス』が第2位です。内容の濃さによって決めました。しかし、両誌に共通していたのは、日米の代表格2人を登場させていたのですが、どちらも同じ人だったということです。その2人とは? それは、本文を読んでください。
 第3位は『週刊ダイヤモンド』です。医療の中でも保険が適用されていないけれど人気が高い自由診療の治療について、その危うさと、適切な選び方を説いています。
 第4位の『週刊エコノミスト』は「投資」のなかでも定番の株と投資信託を取りあげ、その買い時や銘柄を紹介しています。
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第1位
■週刊東洋経済■ <<<  ワーママの実態

『週刊東洋経済』も「働く女性」にフォーカスしてきた。が、『日経ビジネス』とはちょっと趣が違う。特集タイトルは「ワーキングマザー」。つまり、働くお母さんスポットを当てたのだ。
 女性の年齢別有職率の統計では「M字カーブ」が存在するのは割に知られた話である。30代から10年間ほど有職率が低下するのを表した言葉だ。1980年代に比べ緩やかになったが、スウェーデンでは1980年にはすでに解消されていたが、日本ではまだまだ、仕事と子育ての両立はできていない。そこでワーキングマザー略してワーママから社会を見る、というわけだ。ただし、いいことばかりではない。表紙のサブタイトル<職場のお荷物か? 戦力か?>が示すように、ワーママの問題点も取りあげているのだ。
 どんな中身か? 「ワーママ最前線!」の項では、各社のワーママを取りあげている。例えば、ローソンでは保育園のネットワークを使い、"ママ目線"の商品を開発する。日産自動車では、7:30〜22:00までの社内保育園を完備するといった具合。この他、特集では、女性幹部数から働きやすい会社を探ったり、待機児童問題、はたまたマタニティハラスメントの問題など、今そこにある「問題」をすべて並べてみた印象がある。正解のない問題であるけれど。フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏を扱った記事とDeNA取締役ファウンダーの南場智子氏へのインタビューが、ある種の結論と言ってもいいだろう。2誌共に、両者へインタビューしていることが表している。
 第2特集は「いま狙うべき350銘柄」、第3特集は「『士業』崩壊」。


第2位
■日経ビジネス■ <<< 女性が昇進するとどうなる?

「現在もっとも活かしきれていない人材とは何か、それは女性です」―― これは4月19日の成長戦略スピーチで安倍首相が発した言葉である。1986年の男女雇用機会均等法から、女性は社会進出した。しかし、世界に比べると甘んじているのがこの女性の社会進出だ。そこで冒頭の首相の発言になるのだが、それ以降、各企業で数値目標が打ち出されるなど、女性の昇進が「数値目標バブル」の様相を呈しているのだ。
 そんなわけで、今週の『日経ビジネス』は「女性昇進バブル」と題した特集を掲げた。
 本特集では4つの実話をあげる。女性部下へのイジメ、男性差別、ロールモデル、制度ぶら下がり。性の違いや新しい事例による弊害など。そして、この特集が面白いのは、これらが過去の施策によって引き起こされたと分析する点だ。データとして、過去の『日経ビジネス』の特集をひっぱりだす。
 例えば、2004年5月17日号で同誌は「とにかく女性支援制度を充実せよ」と提言しているのだが、これが制度ぶら下がりを生んだと関連づけるのだ。日本は数々の施策を打ち、多くの企業が横並びで同じような制度を打ち出した。この「ウチはやってますよ」的な制度がかえって仇となり、女性進出を遅らせたと分析する。
 第2特集は「『下請け』 新時代」。EMS(電子機器の受託製造サービス)についての特集。「下請け」の範疇を越えた大企業「ホンハイ」など、新しい製造の形と日本企業の付き合い方を取りあげる。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  危ない治療法は山ほどある

 医療技術は日進月歩である。不治の病と呼ばれていたものが、今や数日の入院で完治できたりもする。治療方法も様々で、自分に合った選択ができるようになった。しかし、その全てが公的に認められている訳ではない。いわゆる「自由診療」だ。『週刊ダイヤモンド』の今週の特集は「人気医療の罠」。この自由診療に潜む罠を徹底取材し、紹介する。
 罠と書けば想像はつくだろう。そもそも自由診療とは、公的医療保険制度の枠外の診療。新薬や最先端の医療などは保険適用されない。薬や治療の有効性や安全性が確認されていないからで、一般的になっている美容外科やレーシックもこのうちの1つである。しかしながら、「国が承認」していなくとも治療に成功する例があるのも事実。治療費はかかるが、成功する可能性も大いにあるからだ。ところが、最近になって問題視されているのは、これによるトラブル。自由診療の選択肢を選ぶ際は、その治療がどれほどの科学的根拠があるのか、見極めが肝心だと同誌は指摘する。
 そして、もう1つ大きな罠がある。それはマーケティング。医療も商売である以上、顧客獲得に躍起になるのは仕方がない。一方、われわれは広告の言葉を鵜呑みにしてはいけない。例えば、よくサイトには治療前と後の画像が載っていることがあるが、これは厚生労働省のガイドラインに抵触している。売り手と買い手であることを念頭に、一歩引いて見ることが大切だ。
 第2特集は「ウェブサイト価値ランキング2013」。企業におけるウェブサイトの貢献度を数値化した。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  買うべきか、買わざるべきか

 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「本当に強い株・投信」。ありきたりな感じがするが、内容は第1部・日本株編と第2部・海外&投信編の2パートでの構成。これからの局面で力を発揮するであろう、株・投信を色々な角度で紹介する企画である。
 第1部・日本株編では7つの見方をあげる。例にだすと、「バブル期の高値銘柄に好機」。これからの日経平均株価で1つの正念場と考えられるのが、上値抵抗線を上回れるか。その時、ともに上昇が期待される銘柄とは何か。記事では、バブル期に高値をつけた後、長期にわたって高値を上抜けない銘柄と予測する。これは、20年以上低迷している状況を、バブル期に買った投資家が損切りで売り切った可能性が高いとするからだ。すると、相場全体が下げる局面でも下げ渋り、少しの買いで上昇する。他にも、オリンピック関連やバイオベンチャーなどが挙げられている。
 第2部・海外&投信編は5つの見方を。内容は、米国のバイオ銘柄からブラジルの債券まで手広く紹介。中国に関しては、「レッドバック=人民元の国際化」に言及。
 それよりは、後半に掲載した「宝塚歌劇100年」が面白かった。宝塚歌劇をビジネスの視点で読み解いている。

2013年8月21日

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・伝える技術 なぜ『伝え方が9割』なのか

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 伝える技術 なぜ『伝え方が9割』なのか
日経ビジネス ... ロボットVS職人社長
週刊東洋経済 ... ネット保険&共済
週刊エコノミスト ... 金持ち投資、貧乏投資

 書籍のベストセラーを雑誌の特集に持ってくるというやり方は、よくある手ですが、じつを言うとあまり成功するものではありませんでした。ところが、最近はその傾向が変わっているようです。本は知っているが雑誌なら「はしょって気軽に読めるからいい」とでもいうのでしょうか。『週刊ダイヤモンド』の今号の特集は『伝え方が9割』という同社のベストセラーを特集に持ってきました。あざといと言えばあざといですが、でも売れそうな企画です。中身も面白かったし、これが今週の1位です。
 次にランクされたのは『日経ビジネス』です。FAなど、どんどんロボット化が進む工場、ソフトウェアでもプロの将棋指しが初めてコンピューターに負けた。こんなことからの着想かもしれませんが、職人社長とロボットが対決して、どちらが勝つか、という観点から30年後に残る仕事は何かを考えようという特集を組みました。こんな予測はなかなか難しいもんですが、職人社長の弁を読んでいると、人間味があって面白いというのが感想です。現実はどうなっていくのでしょうか。
 第3位は『週刊東洋経済』で「最安値の保険を探す」というのが特集のテーマです。ただ、保険だけでなく、共済にもスポットを当て、総合的に見て安い保険を探そうという企画です。そして第4位は『週刊エコノミスト』で、投資の特集です。お金持ちの投資と貧乏人の投資とに分け、"お金持ちの投資術を学び、貧乏でも賢く投資しよう"というような趣旨で構成されています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  連合にもゆるキャラがいる!

『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)が売れているらしい。いや、売れているのだろう。本屋のランキングの棚やアマゾンのベストセラーでも十数位に入っている。そんな訳で、今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「伝える技術 なぜ『伝え方が9割』なのか」。
 著者の佐々木圭一氏は、内外数々の賞をとった広告会社のコピーライター。作詞もこなす伝えるプロの彼が、伝え方を伝授するという内容だ。しかし、もともとは理系でボツばかり出していたダメ社員だったらしい。そんな彼が、ある法則を見つけ、サクセスストーリーが始まったのだ。特集は、半分は本で紹介する法則の一部を切り出したもの。「『ノー』を『イエス』に変える技術」や「『強いコトバ』をつくる5つの技術」など、分かりやすくまとまっている。まだ手に取ったことのない人には良いかもしれない。残りの半分は、「伝えること」に一家言ある方へのインタビューなどだ。ご興味のある方はどうぞ。
 第2特集は「バーナンキの誤算 米QE3撤退の綱渡り」。サマーズ氏なのかイエレン女史なのか、次期FRB議長をめぐる人事情報とともに、経済の常識が通用しない「不思議の国」と化した金融市場と米QE3縮小→撤退の綱渡りをレポートする。


第2位
■日経ビジネス■ <<< ジム・ロジャースVS 投資ロボット

『日経ビジネス』は先週の合併号をレビューする。今号の表紙、ジャパネットたかたの名物社長・高田社長と映画「アイ,ロボット」を彷彿とさせる人型ロボットの顔がドーンと表紙を飾る。その上には「ロボットVS職人社長」というキャッチーな特集タイトル。いったい何に焦点を当てる特集なのか? サブタイトルには「30年後、消える仕事・残る仕事」とある。
 2030年、人間の仕事の50%は消滅する----とは、未来研究家トーマス・フライ氏が唱える機械化による「2030年雇用半減説」。なるほど、特集の意図が見えてきた。
 では逆に、遠い将来まで人間の手に残る仕事とはどのようなものなのか。「我が技術こそ、半世紀後も生き残る」と、そんなプライドを持つ5人の"職人社長"が、最新テクノロジーと誌上対決」した。この勝負の行方から、今後30年ロボットに奪われない仕事をリストアップしたのである。
 5人の職人社長とは、河原成美・博多一風堂創業者(ラーメン)、星野佳路・星野リゾート社長(ホテル)、ジム・ロジャーズ・ロジャーズHD会長(投資)、小川三夫・鵤工舎創設者(大工)、髙田明・ジャパネットたかた社長(実演販売)。「5番勝負の結果から見えた数十年後も人間の手に残る仕事」が掲載されている。プロローグ「仕事はここまで減る」全4ページが読みどころだ。「専門家に聞いた今後数十年で自動化可能な仕事」の中身も「ジャーナリスト」や「歌手・声優」なんてのが入ってたりして、衝撃的だ。
 第2特集は、Google。グーグルのすごさを今さらながら扱った特集。グーグルといえば、8月17日の23時52分(英国時間)に約2分間停止。その際、世界のネット・トラフィックが40%減少したらしい。


第3位
■週刊東洋経済■ <<<  おすすめはネット保険のみ!

 今号の『週刊東洋経済』の特集は「ネット保険&共済」。要するに、「特約だらけの複雑な保険よ、さようなら。『安くてシンプルな保険』よ、こんにちは」、という特集。
「普通のサラリーマンにとって本当に必要な保険を、安さとシンプルさを軸に、相談有料の実力はFP(フィナンシャルプランナー)やコンサルタントの5人に挙げてもらった。すると挙げられた保険の候補は、ネットで契約できるものばかりだった」のだとか。このネット保険と、安くて人気の共済に絞って、ひたすらオススメ保険をピックアップし、最安を追求する特集だ。
「がんの先進医療特約の意味はほぼゼロ」というタイトルの近藤誠医師(慶応大学医学部)、「開発者は語る 保険はもっと安くなる」など、興味深いインタビューも。Part3では、ネット、ショップ、外交員と、「多様化する保険チャネル」をレポートしている。
「町工場よ、連携せよ 京都試作ネットの挑戦」、「熱狂で稼げ! 進化する音楽ライブビジネス」という2つのレポートも面白かった。
 第2特集は、東芝売上高7兆円への課題。

第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< 退職金を守る4つの心構え

 今週の『週刊エコノミスト』は「金持ち投資、貧乏投資」。タイトルだけ見ると、"成功した投資と失敗した投資"みたいに読めてしまうかもしれないが、そうではない。"お金持ちの投資術を学び、貧乏でも賢く投資しよう"という意味のようだ。
 まず、「金持ち投資」で紹介されるのは「海外不動産の心得」。人口増や成長率から値上がり益を狙う。ハワイやマレーシアなどが話題の地域として取りあげられている。投資を兼ねて永住権を取得しハッピーリタイア後の海外移住先とする展開。ワイン投資ファンドlなどの紹介もある。
 では、貧乏投資はどうするべきか。同誌が推奨するのは「NISA活用術」。2014年1月からスタートするこの制度は既にテレビCMなどで宣伝されているのでご存じの方も多いだろうが「少額投資非課税制度」のことだ。毎年100万円までの非課税投資枠が設けられ、活用しがいのある制度というわけだ。特集が薦める選択は「手堅く運用」と「大化けを狙う」。NISAの仕組みと共に「有力アナリストが選ぶ全20社 この『大化け』銘柄を狙え!」などで活用の幅を広げる。先日取材した、ユーグレナも「大化け」銘柄の1つとしてあげられていた。
 ということで、適材適所の投資術を伝えてきたが、最後の最後は「退職金を守る4つの心構え」。
 損してからでは遅いのだ。

2013年8月 7日

【来た!見た!書いた!】盤石な安倍政権だからこそ危惧される「政策の不確実性」

政権内部から聞こえ始めた「消費増税先送り」

 7月21日投開票の参院選で、政権運営の基盤を盤石のものとした安部晋三政権。自民・公明両党の圧勝により、野党が参院で多数を占める「ねじれ国会」を解消したことで、政権内部から、昨年末の総選挙で勝利し矢継ぎ早に政策を打ち出していたころとは違った「気の緩み」とも「慢心」ともとれるようなニュースが伝わるようになってきた。
 その代表例は、麻生太郎副総理が憲法改正を巡り、戦前ドイツのナチス政権時代を例示した発言の撤回に追い込まれた件だ。

「憲法改正は静かな環境で議論すべきだ」と強調する文脈の中での発言だったとはいえ、ワイマール憲法のもとでのナチス政権を引き合いに出して「手口を学んだらどうか」と述べたのは適切ではなかった。
 もう1つは、政権内部から消費増税の「先送り論」が聞こえ始めたことだ。
 安倍首相は7月末、来年4月に予定する消費増税による景気や物価への影響を、周辺に再検証するよう指示した。
 指示を受け首相周辺は①法律で定めた通り消費税率を現行の5%から2014年4月に8%、15年10月に10%と2段階で引き上げる②最初に2%上げ、その後1%ずつ引き上げる③5年間で毎年1%ずつ引き上げる④増税を当面見送る――という4つ案の影響を検証する作業を始めたという。
 もちろん安倍首相が指示したからといって、すぐに消費増税先送りが決まるというわけではない。だだ首相が考える4つの案の中に「当面見送る」が含まれたことで、内外の投資家などから「本当に日本は消費増税ができるのか」という懐疑のまなざしで見られることは避けられないだろう。


増税をしないことの方がリスクは遥かに大きい
 安倍政権は、日本で15年ものあいだ続いたデフレの克服に命運をかけている。幸いにも、政権が打ち出した「大胆な金融緩和」「積極的な財政出動」「成長戦略」という3本の矢からなる「アベノミクス」により、景気の回復やデフレの克服の端緒をつかんだ。安倍首相やその周辺が消費増税に慎重になったり、税率引き上げの幅を検討し始めたりするのは、アベノミクスでつかんだ今の勢いを失いたくないという論理からだろう。
 増税は確かに国民に不人気の政策だ。安倍首相には、消費税率を3%から5%に引き上げた1997年度の轍(てつ)を踏みたくない、という思いもあるだろう。このときは消費増税も含めた国民負担増が9兆円近くに上り、景気悪化の一因になったといわれているからだ。
 だが財政悪化が1997年度よりはるかに深刻になった現時点で、消費増税を先延ばししたり、税率引き上げの幅を見直したりすることで、本当に国民の支持を得られるのだろうか。
 財務省によれば、国及び地方の長期債務残高は2013年度末に977兆円に、対国内総生産(GDP)の比率は200%に達する見通しだ。
 一方、税収は国と地方を合わせてもたかだか80兆円にすぎない。そこで広く徴収できる消費税を増やし、高齢化で毎年増え続ける社会保障の制度見直しにも着手し、財政再建も図るというのが、消費増税の論理だ。
 借金と税収の規模を、冷静に比べて考えれば、「増税が景気を冷やす」ことよりも「増税をしないことで日本の財政が破綻する」方が、はるかに大きなリスクであることがわかるはずだ。


国民から指示された理由を見つめ直すべき
 経済学者の池尾和人氏は近著『連続講義・デフレと経済政策 アベノミクスの経済分析』(日経BP社)の中で、安倍政権の経済面での成果は「大方の予想を上回る大きなものであった」と評価したうえで、その理由の1つを「安倍政権の登場自体が『政策の不確実性』を大きく削減することにつながった」ためと分析している。
 将来の不確実性が大きく、先行きの見通しが立てづらいとき、家計は消費を抑え貯蓄を増やそうとするし、企業は設備投資などを先送りしようとする。政府の政策運営事態が将来の不確実性を増やす原因となっている場合を「政策の不確実性」とよぶ。
 2009年に誕生した民主党政権は当初こそ国民の熱い期待を受けたものの、その後は失策続きで、2012年末の総選挙前には、いつどんな政策があるかを国民が全くわからない、「政策の不確実性」が極度に増した状況になっていた。
 総選挙で自民党が圧勝すると、「決められない政治」からの脱却が進むとの期待が増し、実際に政策の不確実性が著しく低下することになった。それが人々や企業のマインドを改善し、それまで抑えられていた支出をするようになった――というのが、池尾教授による見立てだ。
 企業経営者からも「アベノミクスのそれぞれの政策の是非についてはわからないが、政策の一貫性が生まれたことで経営がやりやすくなった」(自動車部品メーカー首脳)という声は多い。
 それでは「政策の不確実性」という点から見た場合、消費増税の先送りはどんな評価になるのか。
 池尾教授は同書の中でこう説く。「増税が実施されても、逆にそれが財政の持続可能性の回復につながり、将来の見通しを曇らせている大きな要因の一つが除去されることになるのであれば、民間部門の自信の修復に寄与します。大切な点は、増税か否かとか、増税のタイミングといったこと以上に、将来の見通しがよりクリアになるか、不透明になるかです」
 消費増税の先送りや修正は日本の財政の見通しを不透明にして、「政策の不確実性」を高めることになってしまうのだ。安倍政権は「なぜ国民から支持されたのか」を、今一度、見つめ直すことが必要だ。

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・中国「逆回転」/マンション大規模修繕 完全マニュアル

週刊東洋経済 ... 中国「逆回転」/マンション大規模修繕 完全マニュアル
週刊エコノミスト ... 世界経済「出口」の後
日経ビジネス ... 2013年版 アフターサービスランキング
週刊ダイヤモンド ... 相続税対策の落とし穴

 今週はお盆前の合併号で、どこも分厚い特集を組んだ経済誌。だが、夏休みに読むべきテーマを眺めてみると共通するのは「切実さ」。どうも経済誌にも生活感が相当生活感が増したようです。
 だって『週刊ダイヤモンド』の特集は「相続」だし、『週刊東洋経済』のそれは「マンションの修繕」だし。ただ、『週刊東洋経済』の方は若干違いがあり、巻頭に20数ページの特集を持ってきています。このテーマが「中国経済」。逆回転し始めたと言われる中国をフィーチャーして、これが強みとなりました。よって、第1位は『週刊東洋経済』です。
 そして、第2位は同様に中国を意識して「世界経済」に焦点を当てた『週刊エコノミスト』です。震源地となる中国、そして米国の行方を追っています。
『日経ビジネス』は毎年恒例のアフターサービスランキングを特集しました。今回の特長は初めて調査した「証券会社」部門の結果でしょう。トップに立った松井証券をはじめ、ネット証券会社が軒並みランキングの上位を占めたのは面白い結果だと言えるでしょう。
 冒頭でご紹介した『週刊ダイヤモンド』はそういうわけで第4位です。ただ、去年も同時期に同じ企画をやっている同誌のことです。きっと売れるんでしょうね。

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第1位
■週刊東洋経済■ <<<  中国は「リコノミクス」

 今週の『週刊東洋経済』は、お盆前の合併号ということもあり3つの特集が並んだ。
 第1特集は「マンション大規模修繕 完全マニュアル」。6月8日号「マンション時限爆弾」で扱った内容を、管理・修繕に絞った形だ。前回のマンション特集が好評だったのだろう。国内マンションの3棟に2棟が「修繕適齢期」だという。昨今問題の老朽化するインフラ修繕と並ぶニッポンの課題だ。
 さて、今週読むべきは第1特集ではなく、巻頭特集の「中国『逆回転』」だろう。新政権となって、前政権の高成長路線の矛盾が一気に噴出し始め、経済減速による先行きが不安視される中国。李克強首相の経済方針は「リコノミクス」と呼ばれている。「財政出動の抑制」「過剰融資の是正」「産業構造の変革」が3本柱。7月末には、国務院(内閣)から国家審計署(日本の会計検査院)に中央と地方の全政府を対象に債務を巡る監査を行なうよう要請が出された。最大のリスクと目される地方債務問題に中央政府がメスを入れる。シャドーバンキングによって巨額の過剰投資を続けている地方政府や国営企業。これを許した前政権「胡−温体制」。「習−李体制」は経済の失速を前政権に押しつけることはできたにしても、大国をまとめていけるのだろうか。「逆回転」の現状を現地に精通する特約記者を起用し、生々しくレポートしている。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  中国から米国へ、その後は?

 このところ、『週刊エコノミスト』がマクロもので飛ばしている。「マネー大逆流 出口と中国」(7/16号)、「新興国投資の終わり」(7/23号)、「機関投資家の正体」(7/30号)、そして今週(8/13・20合併号)の特集、「世界経済『出口』の後」。同誌のタイトルを見ていくだけで、米中で、あるいはグローバル金融界で阿吽の呼吸で合意されたであろうシナリオが見えてくる。
 先週の『週刊ダイヤモンド』特集、「ヘッジファンドが仕掛けるバブル相場」で機関投資家が読むシナリオとだいたい流れは一緒だ。つまり、「新興国投資は休止し、当面米国を軸とする先進国が世界経済を牽引する」というものだ。米国の「出口」は金融緩和を縮小し正常化する道。中国新政権の意思はこれ以上バブル経済を膨張させてはならないというもの。その軟着陸に挑む過程で、今後も日本は畳み掛けるように追加緩和に踏み切り、なりふり構わぬ景気の底支えに走るとの観測が市場関係者の間に広がっているようだ。8月2日、米国ではダウ工業株平均が2日連続で史上最高値を更新した。米国の景気回復に支えられ、日本も浮上できるのだろうか。
 特集は2部構成で、第1部では「『震源地』中国・米国全解明」と題して、アメリカ、中国、そして欧州の現状分析を行っている。「深化する米中関係 その舞台ハーバード大の実態」が面白かった。第2部は日本について。有力ストラテジストによる年末までの日経平均株価予測もみな上昇、1万5000円以上だ。肝になってくるのが、アベノミクス第3の矢「成長戦略」だろう。民間投資をより早く喚起できるかが今後の行く末を決める。アメリカなどの他国頼みや一時的な金融緩和ではなく、根本的な改革が必要ということだ。『週刊東洋経済』「中国『逆回転』」と合わせて読むとより深いかもしれない。


第3位
■日経ビジネス■ <<< アフターサービスは後始末ではなく第一歩

 今週の『日経ビジネス』は、恒例の特集となった「2013年版 アフターサービスランキング」だ。特集の目の付け所もさることながら、1万7075人の有効回答を集められるネットワークにいつもながら感心する。
 今年は証券会社部門が新設され、既存部門でも5つのトップが塗り変わる結果となった。アフターサービスから企業はどのように見えるのだろうか。まず、初調査の証券会社部門。1位松井証券、2位マネックス証券と5位までネット証券が独占した。ネット証券は、コールセンターに問い合わせが集約されるため、必然的に力を入れざるをえない点はある。しかしながら、各社ともに並々ならぬ思いがある。松井証券では、社員100人に対してコールセンターの人員は150人とのことだ。また育成制度も完備し、質の向上を忘れない。企業の顔ならぬ声は、コールセンターのスタッフになるからだ。
 次に変化を見るとすると、トップが変わった部門。共通することは、対応の速さ。携帯電話・PHSの通信会社でトップになったイー・アクセス。コールセンターのスタッフが手を上げると上司が駆け寄ってくる。解決できない問題に直面した時の顧客対応を早めるためだ。パソコン部門トップになったパナソニックは、持ち込み修理の99%を即日で完了させる。他にも、数々の施策を成功させた企業がランクインしている。それらの企業に共通するのは、アフターサービスを「後始末」ではなく次への「第一歩」と考えていることだ。


第4位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  争族回避の相続術!

 お盆前後の特集に通ずるものがある『週刊ダイヤモンド』。2010年は病院。2011年は介護。2012年は相続。今年は昨年に引き続き「相続税対策の落とし穴」を特集に持ってきた。といっても、昨年より特集の重みは増している。2015年1月1日に税制改正が行なわれることが決まったからだ。これにより、今までの相続税対策では効力を失うものもあり、課税対象者は増え、首都圏の持ち家に住む者なら検討が必要だ。
 Part1は「変わり始めた相続節税」。都内の億ションの売れ行きがいいが、相続対策でシルバー世代が購入しているのも背景にあるのだとか。税制改正で変わりつつある節税対策を、メインとなる不動産を中心にタイプ別に解説する。Part2は「贈与は最大の相続税対策」だ。教育資金、住宅補助、生前贈与の3大贈与の徹底活用と注意点がまとめられている。Part3「"争族"回避の相続術」。このパートは実践&心構え編だ。「生前の準備マニュアル」なんてのもある。税制改正で相続税対策が必要な層が増えるいま、時間がある夏休みに読むべき!ってことか。
 第2特集は「産めなきゃ終わりの日本経済」。共働きが増えているのに出産・子育て環境整備はちっとも進まない。 夫婦ともに非正規雇用で出産に踏み切れない人も多い。"マタハラ(マタニティハラスメント)"が横行する職場もいっぱいある。サブタイトルどおり、現状では働きながらの「出産・育児は絶望的」とも言えるような状況だ。