2013年7月31日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・ヘッジファンドが仕掛けるバブル相場

週刊ダイヤモンド ... ヘッジファンドが仕掛けるバブル相場
週刊東洋経済 ... 住んで損する街 得する街
週刊エコノミスト ... 食える弁護士、食えない弁護士
日経ビジネス ... 安倍晋三

 世界中のヘッジファンドが雑誌のアンケートに答えるという画期的な企画を盛り込んだ「バブル相場」の特集を『週刊ダイヤモンド』が組みました。先週『週刊エコノミスト』が「機関投資家の正体」という特集を掲載しましたが、それをさらにパワーアップさせ、これを読めば現在のヘッジファンドの動向がよく分かる=バブル相場の行方が見えてくるという図式の特集になっています。これはなかなかの者で、今週の第1位です。
 次に取りあげたいのが『週刊東洋経済』です。全国の住みやすい街、行政サービスの行き届いた街をランキングにして特集しました。東洋経済は『都市データパック』という全国の都市のデータ集を発行している強みがあって、それをうまく使いながら取材と絡めて面白い特集に仕立てました。
 第3位は『週刊エコノミスト』です。特集のテーマは「弁護士」。4月に、税理士・会計士の特集を組み、その悲惨な現状をレポートしましたが、今度はその弁護士版です。もっとも弁護士の方は強者と弱者に分かれる格差社会になっているようです。
 そして第4位は『日経ビジネス』です。参議院選挙も終わり、ねじれを解消した与党自民党が一層の強みを発揮していく、そのリーダーである安倍晋三首相の特集です。「強い首相」は本物か、というサブタイトルが効いていますが、中身はちょっと薄かったかな? という感じです。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  ヘッジファンドがアンケートに答えた

 先週の『週刊エコノミスト』「機関投資家の正体」に引き続き、今週『週刊ダイヤモンド』が「ヘッジファンドが仕掛けるバブル相場」という特集を組んだ。ヘッジファンドがこれだけ取り上げられ、分析されるということは、以前の「得体の知れない」存在から「メジャー」な存在へと変質したということだ。その変質の背景は本誌Part1に詳しい。
 特集のウリは、「海外ヘッジファンド 総力アンケート」だろう。ヘッジファンドに幅広い人脈を持つパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズと組んで大手ヘッジファンドを中心とした海外投資家に直接アンケート調査を実施したものだ。7月初旬に120社に向けて発信し、20日までに実に48社からの回答を得て集計されている。「回答数の多さから、日本への関心の高さがわかる」(パルナッソスのチーフストラテジスト宮島秀直氏)という。デジタル版「デイリー・ダイヤモンド」に記事番号(本誌38p掲載)を入力すると、アンケートの最新完全版も閲覧可能だ。
 ヘッジファンドの間ではすでにコンセンサスがとれている長期投資テーマがあるという。それは「新興国バブル崩壊、次は先進国買い」だ。2000年代のテーマはBRICs、そしてこれからは先進国=G3(日米独)。なんだか日本としては景気がよくなりそうな話だが、もちろんことはそう単純ではないのはみなさんもご承知の通り。メディアへの露出を嫌うヘッジファンド。シナリオや戦略を説き起こし、「幽霊だと思っていたもの」の足が見えてくる特集だ。投資家ジム・ロジャーズ氏へのインタビューなど盛りだくさん。ご一読を。


第2位
■週刊東洋経済■ <<< 母になるなら流山市!?

 人口減と高齢化は自治体にとっても死活問題だ。そのために、多くの街が将来の税収源である若者の獲得に躍起となっている。「日本一子育てしやすい市」とか、「『株主総会』を開催する市」とか、差別化を図りつつ勝ち組自治体を目指している。自治体の行政力・財務力は住む人の生活に直結するし、将来の地価にも影響を及ぼすだろう。今週の『週刊東洋経済』は「住んで損する街 得する街」と題し、住民側からみた行政サービスという観点から街を評価する特集だ。わが街がどういう評価なのか、誰しも興味あるところだろう。
 特集Part1は「住む人の心をつかむ行政サービスはこれだ!」。例えば、千葉県流山市は「母になるなら、流山市」というキャッチフレーズで、子育て支援をアピール。保育園への送迎バスや親子参加型イベントも行う。その効果か、2005年と比べて現在1万人も人口が増えた。その他にも、介護や防災などで秀でた自治体が紹介されている。
 Part2「あなたの街の医療・介護は大丈夫か」では、2030年を予測。大都市だから医療・介護が有利......ということはないらしい。その他にも、財政ランキングや行政サービス比較などランキングも豊富な本特集。わが家のある街の将来性をチェックしてみてください。
 第2特集は「高くても売れる! 沸騰 アウトドア市場」。ゴルフやスキー、テニス人口が減少するなか、一人気を吐くこの市場のいまがわかる。「一目でわかるアウトドア業界地図」も小振りながら力作だ。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  ワーキングプア弁護士登場

 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「食える弁護士、食えない弁護士」。今年4月9日の同誌が「食えない税理士・会計士」という特集だった。タイトルから推測すると、まだ弁護士の方が救いはあるようだ、果たしてどうなのか。
 端的に言えば、二極化が進んでいる。4大事務所に勤められれば初年度から年収1000万円は堅い。その一方で、年収200万円の「ワーキングプア弁護士」が出始めている。平均を比べてもここ10年で、収入で約500万円、所得で200万円減少している。原因の1つに、司法制度改革による受給の均衡が崩れたことがあげられる。訴訟数の増加により弁護士ニーズが増えると考え、新司法試験を開始。これにより毎年2000人もの合格者を出した。しかしながら、訴訟件数は逆に落ち込みを見せる結果となり、均衡は崩れたのだ。また、努力が足りないという声も聞こえる。村上政博・成蹊大学法科大学院教授は「もう弁護士は特別な資格ではなくなった。自分のキャリアアップにつなげるための一資格にすぎない」と言い切る。「弁護士になってからも、努力がないと生き残れないという、当たり前のことが顕在化しただけではないか」と本誌は指摘している。
 このような弁護士過多の時代。良い弁護士を見抜くことも大切になってくる。そこで特集では、記事「弁護士業界 基本知識」や記事「企業が信頼する弁護士ランキング」などで、知っておくべき知識を伝える。また第2部「第一人者が斬る!企業法務」では、現場をレポートした。知的財産権、企業統治、国際紛争、国債租税と今やどの企業も関わらざるおえないテーマが集まっている。


第4位
■日経ビジネス■ <<< 何が首相を強くさせたか

 特集タイトル「安倍晋三」。表紙はボクシンググローブをはめた安倍首相のイラスト。今週の『日経ビジネス』はどストレートに選挙を、いや安倍晋三を特集する。
 7月21日に行われた参院選、自民党が圧勝した。これにより、「ねじれ」が解消され、向こう3年は国政選挙が行なわれない公算が大きい。2006年に辛酸をなめた男は見事、返り咲きを果たしたのだ。なぜ、今回は「強い首相」なのか? それは、一冊のノートによるものだった。そのノートとは、2006年の退陣後から気付いた反省点や教訓を安倍晋三自身が綴ったもの。この6年間、ことあるごとに読み返しているらしい。特集では、改善に繋がった点を2つあげる。1つは、「情に流されてはいけない」。「お友達内閣」と揶揄されたチーム安倍体制から、首相を頂点とするピラミッドが各省庁を統括する体制に変貌した。情より実務、実力での人選。もう1つは、「政策の優先順位を冷静に判断する」。大きな政策には時間がかかってしまう。そこで、まずは目に見える実績を積み重ねていくことで、安定を計ったのだ。当たり前のことを着実にやっていくということか。安倍晋三は理念先行型からリアリストに脱皮したらしい。
 しかし、TPPに原発、外交、経済と難題は続く。「ねじれ」という言い訳がなくなったこれからが、正念場だ。
 第2特集は「ゲームを『リセット』せよ」。最近なにかと特集が組まれるゲーム業界。今回は家庭用ゲーム機、ソーシャルゲーム、そしてゲームセンターにおいての次世代を、「リプレー」をキーワードに探る。

2013年7月24日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・主役交代 ゲームウォーズ

週刊ダイヤモンド ... 主役交代 ゲームウォーズ
週刊東洋経済 ... U40才 大図鑑
日経ビジネス ... 部品創世記
週刊エコノミスト ... 機関投資家の正体

 今週号もタイトルを見るとなかなかバラエティにとんでいて、面白そうだった経済週刊誌ですが、読んでみると中身の濃さに違いがありました。今週の一押しは先週に続いて『週刊ダイヤモンド』です。ここのところ好調です。特集はゲーム。今大流行りのパズドラを中心にゲーム業界の現状を得意の取材力で余すところなくレポートしています。それにしても(ちょっと前の『週刊東洋経済』も取り上げていましたが)パズドラの威力は凄い。
 さて、その『週刊東洋経済』ですが、U40(アンダー40)世代を特集に取り上げました。同誌が分析するに、その上の世代とは全く異なった価値観を持つ世代なのだそうです。その違いのキーになるのがデジタル。何となく分かりますが......。でも残念ながらちょっと散漫。もう少し掘り下げて展開すると面白くなったかなというのが印象です。これが第2位。
 第3位は『日経ビジネス』です。部品業界が大変なことになっているのはよくわかります。例えばアップルの業績が発表され、20パーセントも売り上げが落ちたと出ていましたが、影響が出るのは日本の部品メーカーに他なりません。同誌はこの部品の話を自動車とスマホに絞って取り上げ、その現状と課題をレポートしています。
 第4位が定位置化した『週刊エコノミスト』ですが、この雑誌はいかんせんページが少なく、他の3誌と比較するのが無理があるのが現状です。でも今週の特集「機関投資家の正体」は、5月23日の株価暴落の背景を分析しつつ、機関投資家の影響を分析するという、面白い特集でした。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<< みんながはまるゲームの力

 電車に揺られているとき、スマートフォンをいじっている人が必ず視野の中に複数入ってくる。メールやネットかと思いきや、しばらく前からパズドラをしている人が男女を問わず多い。
「ソーシャルゲームは初心者向けでつまらない」と言っていたゲーオタ大学生(ウチの息子)もパズドラにはハマる。「課金しなくても1人でじっくりコツコツ遊ぶことができる」(池田敬人・ゲームエイジ総研コンテンツアナリスト)からだ。携帯ゲームの主流はいまやスマホ。そんなゲーム界の変化を『週刊ダイヤモンド』が取りあげた。タイトルは「主役交代 ゲームウォーズ」だ。そういえば6月には『週刊東洋経済』が第2特集で「パズドラの破壊力」として取り上げていた。
「パズル&ドラゴン」を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントの時価総額は1兆円を越え、一時は任天堂を抜いた。ガンホーはじめ、角川ゲームスやサイゲームスなど、Part1では新興勢力たる企業が時代を語る。
 Part2は任天堂、SCE、スクウェア・エニックスなどの苦悩する老舗企業にも焦点をあてる。Part3は「拡大するゲームの力」だ。「ケータイ国盗り合戦」にハマっている方もメルマガ読者にはいるだろう。スマホや携帯の位置情報機能を使って楽しむスタンプラリーゲームだが、プレーヤーは「国盗りゃー」とも呼ばれ、その行動力と移動によって生じる経済効果で注目されている。こういったゲームのメカニズムをマーケティングや組織運営に導入するゲーミフィケーションが注目されてもいる。表組「群雄割拠のゲーム業界30年史」も資料としてご参考に。主役交代は繰り返せども、ゲームの力はいまも健在だ。
 ところで、「ケータイ国盗り合戦」100城攻略地図が綴じ込み付録についている。これって夏休み企画? 


第2位
■週刊東洋経済■ <<< 40代以下に人気の三平君とは

 今週の『週刊東洋経済』はジェネレーション分析だ。アンダー・フォーティー=U40才を特集した。題して「U40才大図鑑 デジタル世代の本音と行動」。
「最近の若手社員は......」という嘆きはいつの時代も尽きることなく言われてきたことだ。が、U40は低成長と不況しか知らない。そして急激なデジタル化で上の世代とは明らかに異なるコミュニケーション手法の中で育った。40代、50代以上とは育った社会背景がまるで異なる世代なのだ。
 U40を特集では年代ごとに4つに分けてる。初の低成長を経験した30代後半の「団塊ジュニア世代」、初のネット世代である30代前半の「ポケベルPHS世代」、仲間を重視する20代後半の「ケータイ世代」、上から目線は嫌いな20代前半の「スマホ世代」。詳しくは本誌を読んでみてほしい。起業家や会社員、棋士など、たくさんのU40も登場する。
 個人的にもっとも興味深く読んだのは、「U40 恋愛・結婚観」。「旧世代の恋愛の多くは相手に対する買いかぶり、つまり『勘違い』から生まれたものだが、SNSのせいで『勘違いが起こりにくい』状態になっている」そうだ。気になる人がいたらフェイスブックで検索するといい。「学歴から友達などをシゲシゲと見ているうちに『何か違うな』と思うことがほとんど」なんだって! そして人気なのは平均的な年収、平均的な外見、平穏な性格の「三平くん」だそうな。バブル期にもてはやされた三高(高学歴・高収入・高身長)男にアタックするなんて、「ぶつかり稽古みたいで好きじゃない」なんですと。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  部品メーカーの下克上

 今週の『日経ビジネス』の特集は、「部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図」だ。進化と淘汰の繰り返し、生命さながらの競争が起きているのが、部品メーカーの世界。自動車とスマートフォンというグローバルにうごめく2大市場の最新部品事情から、この業界の大激流をレポートする。
 まず、自動車。自動車部品をとりまく"事件"といえば、1999年ゴーンショックがある。日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEOが部品の調達価格の引き下げを断行し、「ケイレツ」が崩壊した。そんなゴーンショックが再び訪れようとしている。今回のキーワードは「モジュール」。モジュールとは、機能や部位ごとに分けた部品集合体のことだが、それをベースとした開発を行ない、複数車種で共通化して調達先を絞り、2〜3割のコストダウンを図る。部品メーカーにとって、受注すれば大きいが、受注失敗は倒産の危機につながる。寡占化を避け部品メーカー間の競争状態を作り出すために、中韓メーカーにも門戸が開かれている。
 一方のスマホ部品。下克上が起きていた。ケータイ時代は端末メーカーから部品メーカーへと商流が下っていた。それがスマホ時代になり、一部品であったLSIメーカーがいまや主導権を握っている。スマホで進む上下逆転現象は、もちろん自動車産業でもほかの業界でも起こりうるだろう。部品メーカーはいまや世界に通用するキラーパーツなくして生き残れない時代のようだ。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< ヘッジファンド破綻情報で下がった日本株

 5.23ショックという。それまで、アベノミクス効果で上昇していた株価が暴落した日のことだ。この原因は、俗に米FRBのバーナンキ議長が米国議会でQE3(量的緩和第3弾)を早期に縮小することを示唆する発言をしたからと言われている。しかし、実際は、それは表向きの理由で、業界内では別の理由が存在していることは常識なのだそうだ。
 今週の『週刊エコノミスト』はその5.23ショックの原因となった機関投資家の動向と影響力について特集を組んだ。タイトルは「機関投資家の正体」である。
 同誌は5.23での株価暴落の本当の原因はヘッジファンドの大規模な売りだったと分析している。昨年末からの株価上昇は外国人投資家によるものだったが、5月当時ある大手ヘッジファンドが破綻するのではないかという懸念がささやかれ、その観測情報から次々に日本株が売られたのだそうだ。ヘッジファンドの破綻というと98年に起きたLTCM(ロングタームキャピタルマネジメント)が思い浮かぶが、当時の大混乱からすると、ヘッジファンドが一斉に売りに出て利益を確定させたのも無理はない。同誌はこうした機関投資家の背景から、戦略とその影響までを分かりやすくまとめている。

2013年7月17日

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』・・・鉄道新発見!

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 鉄道新発見!
週刊東洋経済 ... マッキンゼー学校 最強メソッド&全人脈
日経ビジネス ... 爆発する日本食経済圏
週刊エコノミスト ... 新興国投資の終わり

 今週は切り口の面白い特集が集まりました。これくらいバリエーションがあると経済誌も読み出があります。そのなかで、一押しに感じたのは『週刊ダイヤモンド』です。特集のテーマは鉄道なのですが、この種の特集をよく載せる『週刊東洋経済』と違って、鉄道と街(というか消費)を組み合わせたような特集で、それが面白さになっていました。東京では東急東横線と地下鉄副都心線の相互乗り入れが実現し、渋谷で降りる人が減ったとか、実際にもインパクトがあるものです。今週の第1位はこれでしょうね。
 もう一つ毛色の変わった特集は世界的なコンサルティングファームであるマッキンゼーの人材に焦点を当てた『週刊東洋経済』です。マッキンゼーでは卒業生のことをAlumni(アルムナイ)と呼んでいますが、その人たちが総出演しています。これが第2位です。
『日経ビジネス』も「世界に広がる日本食」をテーマに面白い特集を組んだのですが、ちょっとボリュームが足りない感じです。同誌はおそらく幾つもの小特集を組み合わせて、雑誌全体にバリエーションを持たせる方針だと思いますが、昨今の週刊誌は情報のスピード的にいうと昔の月刊誌のような位置づけです。だとすると、もっと一つの特集を掘り下げて勝負する方がいいように思います。
 そして、第4位は『週刊エコノミスト』です。特集のテーマは「新興国投資の終わり」です。先週号でマネーが新興国から米国へと還流している実態を特集しましたが、その続編的な扱いでしょうか。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  鉄道が変われば、街が変わる

 のっけから余談で恐縮だが、7月31日で渋谷東急本店のデパ地下の象徴であるスーパーの紀伊国屋が閉店となる。なぜだろうと考えていたら、はたとこの特集で気がついた。渋谷を素通りして、新宿伊勢丹に行くようになったんではないか知らん? そんな思いにさせる特集が『週刊ダイヤモンド』に現れた。今週の同誌特集「鉄道新発見!」だ。
 東横線と副都心線が繋がって4ヵ月。渋谷の駅構内を右往左往する人もだいぶ見かけなくなった。しかしながら、どうやら鉄道を中心とした街の変化はまだまだ始まったばかりのようで、その辺りの最新情報を読み取ることができる。
 鉄道と表裏一体とも言われる不動産開発。特集のパート1は、鉄道によって変わる街を取りあげた。冒頭で挙げた渋谷では、"渋谷大改造"と称される再開発が実行に移されている。ヒカリエを筆頭としたオフィス需要や一大商業施設計画など、勢いは止まらない。その他にも田園都市線の二子玉川や品川・田町間にできる新駅など、資産価値の向上が見込めるところは多く存在する。
 続くパート2では、都市鉄道の新潮流を扱う。丸の内に新東京駅を開設し、羽田と成田が乗り換えなしで行き来できるようになるらしい。航空需要の高まりを背景に政府が打ち出した「都心直結線」構想の一環だ。総事業費4000億円と実現にはまだまだ時間はかかるが、大規模な変革が始まっている。
 パート3は身近な鉄道の使い方を紹介。クレジット機能付きの鉄道系ICカードの使い方や、ビジネスマンのための鉄道アプリなど明日から使える情報だ。
 第2特集は「国内減速で海外注力 キリン 覚醒なるか」。度重なるM&Aで海外事業の拡大を計ったキリン。やっと業績に出てきたが、国内を含め課題は多い。競合ひしめく飲料業界でキリンは勝つことができるのか。


第2位
■週刊東洋経済■ <<<  マッキンゼー・マフィア全紹介

 政治、企業経営、NPOまで、ここ何年かマッキンゼー出身者の活躍が目立つ。古くはかの大前研一元日本支社長しかり、南場智子・DeNAファウンダーに茂木敏充・経産相しかり、高島宏平・オイシックス社長や朝倉祐介・ミクシィ社長もマッキンゼー出身者だ。いまやトップクラスの東大生は、官僚ではなくマッキンゼーを目指す傾向もあって、新たなエリートコースとなっている。今週の『週刊東洋経済』は、その「マッキンゼー学校 最強メソッド&全人脈」が第1特集だ。マッキンゼー出身者は各所で緊密に結びつくことも多いので「マッキンゼー・マフィア」と呼ばれるらしいが、その相関図が壮観。国内では1971年の支社設立来まだ「卒業生(これを社内的には"アルムナイ:alumni=卒業生、OB・OG"と呼んでいる)」は1000人未満というのに、見開き2ページにわんさかいる。近年起業家が多いのもたのもしい。
 マッキンゼー出身でキャリア形成コンサルタントの伊賀泰代さんのコラムから引用すると、「高確率に多彩な人材を輩出できるのは『グローバルに活躍できるリーダーを養成する』という人材育成上の明確な目標設定にある」そうだ。採否を分けるのは最終的に「リーダーシップの体験」で、「そういう人を採用する以上、退職者も多くなる」のだとか。記事には"アルムナイ"が次々登場。ご興味のある方はご一読を。
 第2特集は「原発と東電 再稼働7つの争点」。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  世界で当たり前に食べられる日本食

 7年前の、時差を考えると夕食に重いものは食べられないと入ったパリのラーメン屋さん。右隣のテーブルも左隣のテーブルも、仕事帰りの女性連れや大学生と思しきグループなど現地の普通の人たちだった。日本人がほとんどいない! 日本の大衆食が外国で普通に受け入れられているのを実感した瞬間だった。そしていまや日本食は海外でさらに人気を博しているらしい。今週の『日経ビジネス』が「爆発する日本食経済圏 世界が食いつくブームの裏側」として特集を組んだ。
 海外の日本食レストラン数は、わずか3年で2倍近くに増加したのだという。寿司だけでなく、ラーメン、カレーライスなど「低価格」な「大衆食」もウケ、裾野はどんどん広がっている。現在、海外で5万5000店舗。その8〜9割を経営するのは日本人以外だ。イタリアでもフランスでも韓国でも中国でも、好きでよく外食する外国料理の1位が「日本食」。もう上から目線で「正しい日本食とは」などと言っていられない。がんばれ日系外食産業! 食材産業! と思わされた特集だった。
 第2特集は、「『ポイント』ウオーズ」。TポイントにPonta、楽天スーパーポイントとポイント戦国時代ともいえる業界。そんな中、「O2O(Online to Offline)」をキーワードに新たな動きが見られる。またもう1つの経済圏、仮想通貨の現状も伝える。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  総崩れの新興国がらみ金融商品

 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「新興国投資の終わり」。先週、「新興国から米国に逆流するカネ」と題して、一連の動きを分析した。特に中国を中心としたシャドーバンキング問題などを取りあげたが、今週は新興国投資について。
 特集は2部構成となっており、第1部が「投資の見直しどき」。ハイリターンを声高にうたい新興国投信が売られてきたが、どれも総崩れ。ここ1ヵ月のファンドの運用成績ワースト50を「通貨選択型」、「株式」、「債券」、「コモンディティ」別に表組で列挙している。第2部は新興国の「大荒れの政治・経済」に焦点を当て、デモが活発化し政情の不安定化するブラジルやトルコを伝える。他にも中国はもちろんのこと、成長率低下に見舞われているインドや、汚職により生産性があがらないロシアも取りあげる。

2013年7月10日

【来た!見た!書いた!】人気の登山スタイルが世界文化遺産・富士山を貶める!?

大混雑の夏の富士山に潜む危険

  6月末に世界文化遺産に登録された富士山が6~7日、山開きから初めての週末を迎え、多くの登山者で賑わった。山梨県側の富士山5合目に通じる有料道路、富士スバルラインは6日午前から観光バスや乗用車で渋滞が続き、5合目からの吉田口登山道ではカラフルなウエアに身を包んだ登山者が数珠つなぎになって山頂を目指していた。5合目の商業施設によると、世界遺産効果で富士山への客足は例年より3割程度も多いという。
 関係者は登山客や観光客が増えるのをおおむね歓迎しているが、一方で危惧するのが「弾丸登山」のような無理をする登山者が増え、事故の危険性が強まっている点だ。

 弾丸登山とは、山小屋などに泊まらず徹夜で登り下りする登山を指す。富士山の場合、たくさんの人が御来光目当てで登るため、弾丸登山が多い傾向にある。5合目の吉田口を夜9時ごろ出発、頂上でご来光を見て翌日昼までに下山するのが一般的だ。
 特に登山シーズン中の7~8月は山小屋が大混雑していることもあり、たくさんのツアー会社が弾丸登山前提のツアーを組んでいる。山梨県のアンケート結果による推計では、弾丸登山者は登山者の約3割にも達するという。
 しかし富士山は標高3776メートルの日本最高峰。約2300メートルの5合目から登り始めたとしても1500メートル近い標高差がある。下界との寒暖差は激しく、全国的な猛暑となった6日でも、山頂の気温は5度だ。急激な気圧の変化で高山病の症状も出やすい。
 前日に十分な休息をとらない弾丸登山の場合、睡眠不足やたまった疲れで、温度や気圧の急激な変化に対応する力が弱まる。富士山で体調不良により登頂を諦める人の割合は、通常の登山者が5%なのに対し、弾丸登山者は14%もおり、大きく上回るという。


遭難事故死世界一の山で見た風景

 富士山の弾丸登山の話題で思い出したのは、上越国境にある谷川岳のことだ。
 2010年の5月、ロッククライミングのメッカである谷川岳の一ノ倉沢を初めて訪れたときの印象を忘れることはないだろう。5月末でも沢には分厚い雪渓が残り、そこから肌を刺すような冷たい水が溶け出している。「衝立岩」と呼ばれる有名な岩場は分厚い雲に隠れて見ることはできなかったが、そのダイナミックな様は十分に想像できた。
 周囲を散策しようと、湯檜曽川沿いにより奥の沢へと向かう林道を歩き出した。すると、お線香の香りが漂っている。
「こんなところでなぜお線香が?」といぶかりながら歩いていると、林道の左側の岩壁の下にある線香と献花が目に入った。
 岩壁に目をやると、一ノ倉沢で遭難した登山者の名前が刻まれた「遭難碑」が埋め込まれている。ちょっと見渡せば、それこそ1メートルほどの間隔で、数多くの遭難碑があるのだ。一ノ倉沢のこの岩壁だけでも、その数は百を下らないかもしれない。
 雄大な風景に、すがすがしさを感じていた自分の中に突然、黒い鉛のボールをどすんと放り込まれたような重苦しさを感じた。
 1931年に統計を取り始めて以来、谷川岳の遭難死者数は805人(ほかに行方不明者9人)。残念ながら世界一の数だ。2012年にも雪崩に巻き込まれ2人が亡くなっているが、その大半は1950~70年代のロッククライミング黎明期に、一ノ倉沢やマチガ沢、幽の沢など谷川岳東面(群馬県側)の岩壁を登ろうとして遭難したものだ。
「一般の登山者や観光客には関係ない」と思われかねないが、当時の状況を検討すると、今の富士山の弾丸登山と似通った重要な論点が浮かび上がってくる。

睡眠不足が減るだけで山の遭難死は減少する

 1950~70年代、多くの登山者が谷川岳に詰めかけたのは、その絶妙な「位置」が関係している。
 ①標高は2000メートルにも満たないが、急峻な岩壁と複雑な地形で、初心者から高度な技術を必要とするクライマーまで楽しめる山である。②標高1500メートルより上は森林限界となり、その上では視界が開け数多くの高山植物が観察できる。③首都圏に近い上に、最寄りの上越線の土合駅から登山口までが行きやすいため週末の限られた時間でも登りやすい――などによって登山者の人気を集めた。
 特に当時の国鉄は上野から土合への夜行列車を運行しており、午前2時台や4時台に土合へ到着する夜行列車に乗り、仮眠も取らずに山行を開始、夕方に土合に戻り帰着するという「夜行日帰り」のコースが一般的だった。これこそ今の富士山の弾丸登山と全く同じ構図なのだ。
 その上、谷川岳は中央分水嶺に位置し、特有の濃霧とともに猫の目のように気象が変化するため、風雨や雪への対処が難しい。雨ははじいて水蒸気は外に出すゴアテックスの雨具や合成繊維の速乾性アンダーウエアなどがなかった当時、春や秋でも谷川岳で風雨に長時間打たれれば、それだけで疲労凍死の危険性にさらされる。
 これに夜行日帰りによる睡眠不足が加われば、遭難死の可能性がさらに高まってしまう。岩場で墜落死した場合でも、睡眠不足からくる疲労によって転落したケースが少なからずあるはずだ。
 群馬県警察本部が谷川岳での遭難を減らすためにまとめた谷川岳警備隊員の手記『この山にねがいをこめて』(二見書房、1963年)。この本で群馬県警の担当者は「もし登山者が前夜充分な休養をとっていたならば、この山の事故もこれほどにはならなかったであろう」と分析している。
 結局、どれだけ道具が進歩しようとも、登山者にとって最大のリスクは睡眠不足や疲労、経験とは不釣り合いの無謀な登山計画だ。
 富士山は谷川岳ほどの危険はないとはいえ、逆にそこを登ろうとする人の数はけた違いに多い。自治体の啓発活動などによって、弾丸登山をどれだけ少なくできるかが、まずは富士山で事故や遭難者を出さないためのカギを握る。

今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・狙われる「老後のカネ」

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 狙われる「老後のカネ」
週刊東洋経済 ... セブンの磁力
日経ビジネス ... 人材逃避(フライト)
週刊エコノミスト ... マネー大逆流

 またしても新手の金融商品が出てきて、アベノミクスの行く末が80年代後半のバブルを彷彿とさせてきました。新たな金融商品の名は「日本版ISA(Individual Savings Account)」で愛称「NISA」(ニーサ)だそうです。これを巡って証券会社などでは資金をたんまり持っている老人に売り込みの攻勢をかけているとか。
 そんな状況を鑑みてか『週刊ダイヤモンド』は今号の特集で狙われる老後のカネの実態と予防策を特集に設えました。詐欺と詐欺まがいの手口の紹介記事が満載のこの特集は、別の意味で勉強になりますね。ともあれ、切り口とテーマで今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』です。
 次にご紹介するのは『週刊東洋経済』です。セブンイレブンの強さを多くの取材から導きだしたこの特集は単純に言って面白い。でも、私がつくづく感じたのは鈴木敏夫さんは全く変わってないなぁ、ということでした。このブレなさ加減は凄い。基本的に10数年前に私が鈴木さんにインタビューしたときと言っていることがほとんど変わっていません。これが今週の第2位。
 そして第3位は『日経ビジネス』です。特集のテーマは人材流出。日本人の若者だけでなく、一度日本企業に就職した有能な外国人の人材も日本を結局のところ見放すという実体を捉え特集にしています。
 前週は第1位だった『週刊エコノミスト』ですが、今週は第4位です。同誌の特集はマネーの逆流。つまり新興国(主に中国)に集まっていた投資マネーが米バーナンキFRB議長の発言を境に米国に還流するという内容で、これによって新興国が危機に陥る危険性があるというものです。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  こんなにも多い、老人のカネを狙う輩

 1500兆円におよぶ個人金融資産。そのうちの6割以上が60歳以上の高齢者が保有している。金は天下の回りものなんて言葉があるが、動いてくれないとどうしようもない。2013年4月から期間限定で孫への1500万円までの教育費贈与を非課税にする政策など、この6割をなんとか動かそうとするものの1つだ。政府だけではない。日本の「お金持ち」=老人の持つ金融資産を狙い、さまざまな商売や詐欺が横行している。今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「家族で守る!狙われる『老後のカネ』」を特集。資産運用や暮らしに潜む「老後のカネ」にまつわる落とし穴の、最新情報を伝える。
 まず出てくるのは、ローリスク・ハイリターンの儲け話。金融商品から海外やマンション投資。特に慎重になるべきなのは、2014年1月から導入される「NISA」。利用すると年間100万円までの投資について、譲渡益や配当が非課税になる。そんなうたい文句で口座獲得に躍起になっているが、なんと商品内容が確定していない。他にも詐欺や押し売りなど犯罪まがいの行為も横行する。傍目に見ていると、「なぜ引っ掛かる」と思うが、相手もプロ。健康や孤独などの隙間につけ込む。特集では守り方として、家族で共有しやすい環境をつくる、後見人を立てておくなどの指南をする。
 第2特集は「『国家の計』なきエネルギー政策 原発復活」。参院選が近づき各党、正念場といったところ。そして、自民党政権の再稼働が現実味を帯びてくる。しかし、解決していない問題はまだまだ山積している。


第2位
■週刊東洋経済■ <<<  PBを変えたセブンの強さ

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「セブンの磁力」。コンビニ業、ひいては小売業において圧倒的な規模と収益性を兼ね備えた企業、セブンイレブン。この企業、なんと言っても他企業を巻き込む力がピカイチだ。特集では、大手メーカーから銀行までを取り込む"磁力"に迫る。
 他企業を巻き込んだ事例として、馴染み深いものの1つにPB「セブンプレミアム」があげられる。2007年から販売を開始し、いまやすっかり定着したPB。そして、今年6月末からはサントリーと組んだプレミアムビール「ザ・ゴールドクラス」を発売。従来のPBがもつ価格訴求型ではなく、価値訴求型のPBをうたう。これは、"安さ"をPBに求める顧客と同数、"美味しさ"を求める顧客もいるという気付きから生まれた。
 このように、セブンイレブンの成長の秘訣は「価値ある商品の創出」にある。鈴木敏文 セブイイレブン・ジャパン会長兼CEOはインタビューで「人間の心理に挑戦」という表現をする。個人的には、セブンは確実にそのエリアの1番店になれる場所と広さを確保して出店してるな...と感じる。オフィスの近所でも自宅の近所でも、一番広くて品揃えもいいので、つい行ってしまう。なぜかその近くには必ず同じような規模のローソンも...。
 第2特集は「悩める韓国」。円安の影響により、成長率が鈍化した韓国。日本を含めた隣国問題を抱える韓国を描く。こういう記事が結構面白い。第3特集は「大衆薬に明日はない!?」。ネット販売解禁で注目されることは多いが、実は大衆薬の危機が訪れていた。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  ガラパゴス化する日本の人材

 先週、「エリート教育」のグローバル化への変容を『東洋経済』が伝えた。そうなれば、必然的に起こるのが優秀な人材の国外流出。今週の『日経ビジネス』は「人材逃避(人材フライト)」というタイトルで、優秀な日本人の海外流出と有能な外国人の日本素通りという現実をレポートする。
 考えてみれば、優秀な人材の確保はなにも日本だけの問題ではない。いまや各国が経済発展の切り札となる有能な人的資源を奪い合う時代なのだ。レベルの高い人材確保のための各国の施策を読むと、具体的に何も対応していないかに見える日本の現状がはがゆい。まずは「チリコンバレー」。南米チリの首都サンティアゴのことであり、起業家育成プログラム「スタートアップチリ」が功を奏し、世界中から起業家を引き寄せている。審査に通ると4万ドルの無償資金と1年間の就労ビザが支給される。そして義務は半年間チリで活動し、自らの経験をチリの起業家に伝えることだけだ。カナダ、オーストラリアも柔軟な移民政策で戦略的に海外からの人材を呼び込む。人材不足に悩む本家シリコンバレーでも、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグが政治団体「FWD.us」を立ち上げ、移民制度を改善し人材を流出させないよう訴え始めている。
 日本は社会も人材も、「ガラパゴス化」している。この安全でのほほんとしたガラパゴス、大好きだけれど、気がついたら禿げ山......なんてことにだけはしてはならないと思うのだが。
 米NSAによる個人情報収集活動を暴露したスノーデン氏が最後に勤めていたブース・アレン。影の米情報機関と言われるこの企業について書かれた「世界鳥瞰」も興味深く読んだ。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  新興国から米国に逆流するカネ

 混迷する経済に対して、一定の距離からアプローチする『週刊エコノミスト』。今週の特集は「マネー大逆流」だ。QE(量的金融緩和政策)の減少および停止にバーナンキ議長が言及し、これにより米市場の株安と債券安を招き、日本株もその影響を受けた事はご承知の通り。
 今回の特集は、そこから先のお話。緩和依存の世界が「出口」へ向かう動きとなり、日本株同様、各国も影響を受けている。米国にマネーが"流入"、元の出所を考えれば"逆流"が起きている。新興国やASEAN、特に中国からの逆流が大きい。また、中国の「シャドー・バンキング」の影響も大きく出ている。同誌6月18日号の「中国・韓国の悲鳴」でも扱ったが、融資規制のある銀行を介さない金融取引を指す言葉だ。これにより、通常では融資が難しい企業に貸し付けをし、不良債権化。まさに中国版サブプライム問題が起こりはじめ、中国経済がどこまで持ちこたえるのか、不安視されている。
 この「出口」。明るい「入り口」へと繋がっているとは限らない。プロの口からも「新しい正常(ニューノーマル)が見えないなかで出口に向かうことに対し、世界の考えは深まっていない。よくわからない」と言わしめている。この流れの時期に量的緩和を積極化した日本はババを引かされた? という見方もあり、それも紹介されている。

(2013年7月9日)

2013年7月 3日

今週の第1位は『週刊エコノミスト』・・・東大VS慶応

今週の第1位は『週刊エコノミスト』

週刊エコノミスト ... 東大VS慶応
週刊東洋経済 ... エリート教育とお金
日経ビジネス ... 年収1000万円世帯の憂鬱
週刊ダイヤモンド ... 食べればわかる日本経済

 今週は教育にまつわる特集が2誌で組まれました。一つは『週刊エコノミスト』の東大と慶応を比較した特集、もう一つは『週刊東洋経済』のエリート教育とお金を扱った特集です。前者が早稲田vs慶応でなく、慶応を東大と比較したところがみそでそれぞれの総長、塾長のインタビューが2つの違いを表しています。
 それにしても、もはや国内の争いではない、という観点で教育特集を組んだのが後者の『週刊東洋経済』です。何せ、国内トップの東大も世界ランクにすると27位というのですから、同誌の視点も当然といわなければなりません。ただ海外(ハーバードやMIT)などの大学に行くとなるとかねがとほうもなくかかるのも事実。その辺りを特集ではしっかりと扱っています。どちらが今週の1位か逡巡しましたが、『週刊エコノミスト』を1位、『週刊東洋経済』を2位としました。
 そして3位は『日経ビジネス』です。年収1000万円というと今や高所得者ですがその人たちの家計がそう楽ではなく、しかも今後起こる消費増税などでターゲットにされ、苦しくなるその辺りの現実を分析しています。
 4位の『週刊ダイヤモンド』の特集「食べれば分かる日本経済」も面白い企画ではありましたが、ちょっとまとめ方が散漫なような気がしました。

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第1位
■週刊エコノミスト■ <<<  維持する慶応、改革する東大

『週刊東洋経済』がエリート教育を特集した。偶然なのか『週刊エコノミスト』も教育特集を持ってきた。特集のタイトルは「東大VS慶応」だ。タイトルだけみると『週刊エコノミスト』を時代遅れに感じるかもしれない。が、まあそれはそれとして「東大VS慶応」っていうコンセプトはこれでいいのかなぁとも思う。
「東大早慶」などと括られることはあっても、そこには歴然とした差が存在した。ところが、である。この特集の表すところは大学ブランド力の変化(低下?)なのだ。特集ではそのあたりの要因を大学別に分析する。早稲田は入試変更と新学部によって「気風」が損なわれたこと、東大は公務員などの進路の価値下落をあげる。それに比べて慶応が踏みとどまったことにより相対位置が比較的縮まったということのようだ。慶応も新学部の質を担保できないなど問題はあるが、まぁ東大、早稲田に比べたら、踏みとどまったということなのだろう。
 とにかく、「東大VS慶応」の対比は浜田純一・東京大学総長と清家篤・慶応義塾長のトップインタビューから始まる。そして卒業生やネットワークの話などに。慶応に関しては目新しい変化はないし、あえて大きな変化を起こさない考えを清家義塾長が述べる。対して東大は、同窓会「赤門学友会」の強化とともに「教育改革」を進める。
 世界大学ランキングにおいて東大は言わずもがな国内勢トップである。しかし27位という位置は、優秀な教員と学生をひきつけることができない現実も表している。日本の教育機関の向上はもちろんだが、やはり東大には日本の1強として君臨していてもらいたい。
 そう思うと、面白い特集ではあったのだけれど、読んでいて「日本の最高学府が慶応と同列に語られてどうする!」と、ちょっと情けない気持ちになったのも確かである。

第2位
■週刊東洋経済■ <<<  お金がかかるグローバル人材教育

 今週の『週刊東洋経済』だが、記事の端々で引っ掛かってしまった。誤解しないでほしいが、決して記事に問題がある訳ではない。非常に難しいテーマだったからだ。特集は「グローバル時代にも勝ち残れ エリート教育とお金」。経済週刊誌の売れ筋、教育ものだ。本特集ももちろん教育ものなのだが、本題はもっと大きなところに置かれている。
 日本における「エリート」の変容だ。端的に言えば、最高学歴が東大から世界の大学、ハーバードやMITへということだ。そして、その変化を念頭においた塾やお稽古などの補助教育が熾烈を極めている。競争はゼロ歳から始まり、学問だけでなく体育や音楽なども含まれる。そこで気になってくるのが「お金」。補助教育はもちろんのこと、教育機関でも大きな差が生まれる。公立幼稚園から公立高校の場合で504万円、すべて私立で1702万円。インターナショナルスクールだと2775万円にもなる。大学では国立で243万円、私大文系で386万円。しかし米アイビーリーグを考えると最低でも1629万円。個人の能力次第であり奨学金制度もあるが、大多数はお金がないと始まらない。そこで、本特集は教育投資の今を、伝えるということなのだ。
 よい教育を願う親の気持ちは変わらない。しかし、時代とともに内容は変わった。そして、本当に子供のためなのかと言われると、自問自答が繰り返される。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  目を付けられる年収1000万円族

 平均年収が400万円台というなか、年収1000万円といったら高収入となる。しかし、それだけの年収があったとしても、都会で生活しつつ子供がいたりマンションやクルマのローンがあったりするわけで、どこにも余裕がないのはみなさまご存じの通り。今週の『日経ビジネス』は、「年収1000万円世帯の憂鬱」として、増税やリストラで狙い撃ちされる年収1000万円世帯を特集している。
 実際に計算してみると、1000万円世帯の実質可処分所得は、2011年767.83万円から2016年706.15万円へと、61.68万円、つまり8.03%も低くなるのだ。これから消費増税、所得増税、児童手当減と次から次へと重荷がのしかかる。生活に多少の余裕があると見られてきた層への、まさに狙い撃ちが始まるのだ。ただし、これだけで終わらない。政府だけでなく、企業からも目を付けられている。大手企業の1000万円の社員層は40〜50代の正社員であり、企業が整理したい層に符合する。敏感な対象世帯は、外車から国産車へシフトしたり、外食を減らすなどすでに対応を始めているが、大きな不安を抱えているのは間違いない。
 第2特集は「中国内陸の光と影」。以前の『日経ビジネス』で、中国からメコンへの工場シフトが特集されていた。しかし、広大な中国にはまだまだ"内陸"市場が存在した。新たな中国進出のキーワード「内陸」、とともに3つの潜在力とリスクが語られる。


第4位
■週刊ダイヤモンド■ <<< 唾液腺が刺激されない特集

 趣味嗜好は数あれど、「食」の楽しみは人生に欠かせない。この毎日起こる身近な欲求は、懐事情をたちどころに反映させる。近ごろ外食が増えたり、第3のビールからプレミアムビールに戻った人もいるらしい。こういった切り口で特集を組んだのが今週の『週刊ダイヤモンド』だ。タイトルは「食べればわかる日本経済」。不景気と言われつつ豊かな食文化を誇る日本。その安定感が腹に沁み渡るタイトルとなった。
 特集冒頭は「対談・安けりゃいいってもんじゃない!」。正垣泰彦氏はカイゼンと流通改革で獲得した低価格が幅広い年代層に支持されるサイゼリアの会長。お相手の坂本孝氏は、星付きシェフの料理を常識はずれの価格で提供する立ち食いレストラン「俺のイタリアン」社長。客層の違う両者だが、「腕のいい職人さん(シェフ)の特徴は、(神業的に)粗利をコントロールできちゃう」ところなど、共通意見も多く、時代を感じ取る経営者のシェフ談義がおもしろかった。で、食いしん坊としてはどんな展開になるのかちょっと期待したのだけれど、続くレポートは「脱デフレに動き出した」食品市場・外食市場、PB商品の安心度ランキング、中国産輸入食品レポート、起きかねない食料危機を描くなど、あまり唾液腺は刺激されない特集となっていたかな。
 今週は他にも特集があり、「ゴーン拡大路線に黄色信号 日産の"踊り場"」と「地域経済再生戦略『イナカノミクス』成功の極意」が続く。